産まれた推しの子の電脳物語   作:阿後回

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「ハル」

校舎から遠く離れた山の中にあるひらけた草原。

対峙するのは2人の少女とその相棒。

私はそれを見て、どうすればいいのかわからなかった。

「……いいんだよ、喧嘩させとけば」

「お互いを知り合うには時間が足らなかったんだ」

平凡な日常、平和な日本で暮らすなら浅い関係でもよかったのだろう。でも、今は違う。

「ほんとに、これでよかったのかな?」

姉さんのその言葉を聞いて、私は昨夜のことを思い出していた。


「……本気でそれ、言ってるの?」

「本気も本気や」

2人の少女の視線が交わる。

1人は困惑し、もう1人を見る。

対するもう1人は、困惑している少女への自身の優越が滲んだ瞳で、嘲り笑っていた。


「状況わかってるの? 私達の勝手で戦っていいわけない……むしろ、協力しあって、タイトの復活まで待たないといけないのにっ……なんで、そんなことが言えるの!?」


紅き瞳の少女は状況を理解していた。
現状はとても万全とは言えない状況の中で、仲間同士での戦闘は避けるべきだと、仲間と協力しあうことの重要性を理解していた……しかし、


「……気に食わない」


それが、対する少女……、寿みなみの……ウチの癇に障っていた。

「……へ?」

「……は?」

ああ、その表情がさらにウチの怒りを増長させる。


「ウチはあんたのことずっと気に食わなかったんやっ!!!」

「ーーーーっ!?」


気に食わなかった。

ずっと、ずっと気に食わなかった。

「ルビーのなにが気に食わねぇって言うんだよっ!?」

「ミナミの邪魔をするなっ!!!」

ブイモンが怒ってウチの前に出ようとするが、ギルモンによってそれが阻まれる。
ありがとな、ギルモン。


「ブイモンっ!?/「ギルモンっ!?」


外野が騒がしいなぁ?

「2体ともやめろっ!? 今は争ってる場合じゃないだろ!!!」

教授とみゆきちゃんがウチ達の間を取り持とうとこっちに来てるみたいやが……、

(ギルモン)

(うん)

近づいて来たら、頼むで。


「ミユキっ!!!」/「やめろ、ハルっ!!!」

「レナモン!?」/「ガブモン、なんで!?」


……あっちのパートナー2人が止めてくれるのか……、ならやる必要はあらへんなぁ。

「好きにさせてやればいい」

「むしろ、『主』からの攻撃がない今のうちに、お互いの不満は解決するべきだ」

「そんなことっ!!!」/「……わかった」

「ハルもなにを言ってるの!?」

「……ガブモン達の意見も一理ある……それに、」

ええこと言うやん。そうや、外野は黙っとれ……それに引き換えーーーー

「なにが、気に食わないの? ずっと、ずっとなかよくやってきたじゃん。それなのに……不満なところがあるなら言ってよ。今は協力するべきだし、タイトが帰ってきたらなおーーーー


「そこが気に食わないって言ってるんやっ!!!」

()()()()()()()()()()


「タイトくん、タイトくんタイトくん!!! ……あんたはいっつもそうやっ!」


無遠慮に、無自覚に、マナトくんを求めて、……本当に求めてないくせに、ウチの目の前で掻っ攫って、……だから、むかついとる。

ずっと、ずっとむかついとる。

この女の原理、行動……全てがいらつく。

「困ったことがあれば、タイトくんに頼って、誰かに聞いて、タイトくんがいつもそばにいて当たり前みたいなことばっか言っとる。タイトくんがどれくらい頑張って来たか知らん癖にっ!!!」

過去(ゆめ)を見た。

マナトくんは幸せやった。

マナトくんは楽しんでいた。

マナトくんはあの場所を望んでいた。

おまえが『家族(ごっこ遊び)』で壊そうとしとるのをウチは知っとる。

「知らないっ!? ……そんなことないっーーーー私はっ!!!」

「知らん、知らん知らん……知らんっ!!! ウチはあんたのことなんか知りとうないっ!!!」

おまえのことなんか知りたくない。

マナトくんがそれを望んだのか?

マナトくんがそれをほっしたか?

違うやろ?

マナトくんが望んどるのは『家族(あんたら)』やない。


「ウチは『ゴーグル(これ)』を手にして、タイトくんの望んだ世界へと連れていく!!!」

ウチは勇気の象徴(ゴーグル)を掲げ宣言する。



()()()()()()()()()()()()()!!!」



あの世界に『2人』で行くと。


「「ーーーーっ!?」」


ルビーとブイモンが大きく肩を揺らしたのが見えた。

「……それ、本気で言ってんの?」

……ルビーの表情が変わった。怒っとるような顔つき……、 なんや、嫉妬か?

「本気やって言うとるやろ?」

どうせ、ウチの本当の目的が知れて、嫉妬しとるんやろ。

「……だったら、『ゴーグル(それ)』は渡せない」

…………。


「タイトは『残酷(あんな)』世界に連れて行かせはしないっ!!!
ママとアクアとミヤコさんと壱護さんと、……そして、私とブイモンと一緒に人間の(あの)世界に帰るんだっ!!!」


…………は?

「……は?」

この女、頭いかれとんのか?


「冗談も休み休み言い……でないと、本気で怒るで?」/「グラルルルッ!!!」

「そのセリフはこっちのセリフだよっ!!!」/「そうだっ!!!」


……はっ、やっぱり最初の話でええやないか。

「ーーーーじゃあ、勝ったほうがこの『ゴーグル』を……タイトくんの意思を継ぐってことでええな?」

「望むところ……行くよ、ブイモン」

「作戦会議だなっ!!!」

ルビーとブイモンが教室を出ていく。

「ギルモンも行くで」

「……うん」

ウチらも教室を出て、ルビー達とは違う方向へと歩いていくのであった。



第十四話 ルビー&ブイモンvsみなみ&ギルモン 決着を求めて

 

 

「ねえ、本気でやるの?」

 

 

 私はみなみに聞いた。

 本気でやるつもりなのか……と、

 

 

「やるに決まっとるやろ」

 

 

 ウチはルビーの妄言に答えた。

 くだらない話はやめて、さっさと()ろうやってな。

 

「四聖獣も2人で倒せなかった奴らに、俺達は負けるわけねえよ」

 

「そうだよ……ブイモンの言うとおり、引いたほうが身のためだよ」

 

 甘ちゃんの言葉には反吐が出るなぁ。

 

「イグドラシルが言ってた。弱い奴倒したところで、ブイモン達の強さを決めること、できない」

 

「それこそナンセンスや。ウチらはあの戦いから学んだ……対策もうっとる。負ける気なんか絶対にあらへん」

 

 ギルモンの言葉が胸に響く。だけど、今考えると、イグドラシルの言葉……それには疑問が残る。四聖獣って一括りにされているデジモン達が強さの強弱がそこまであるのか……と、

 

 

「…………」/「…………」

 

「……ギルモン」/「…………」

 

 

 くだらん言い合いは時間の無駄や。/だけど、煽り合いはここまでにしよう。

 

 

「まずは小手調べやっ!!!」

 

 

 ギルモンの体を初代デジヴァイスが光で照らした。

 

 [ギルモン 進化]

 

 成長途中の紅き爬虫類は、少しずつ魔の影響を受け、身体が成長して……、

 

 

「グラウモンッ!!!」

 

 

 魔の竜がそこに降り立った。

 

 

「────ルビーっ!?」

 

「うん!」

 

 

 ブイモンの掛け声と共に初代デジヴァイスの力を解き放つ。

 

 [ブイモン 進化]

 

 未熟な子供の竜が、聖なる光の力を手に入れ、強力な成竜へと姿を変える。

 

 

「ブイドラモンっ!!!」

 

 

 紅き瞳の古の竜がそこに現れた。

 

 

「────行けっ!!!」/「────走ってっ!!!」

 

 

 その姿はすでに勝っとる。/作戦は万全だよっ!!! 

 

 

「────わかった!!!」/「了、解っっ!!!」

 

 

 勝ってくる。/作戦、通りだなっ!!! 

 

 

 ダン、ダン、ダンッ!!! 

 

 2体の地を走る音が鳴る。

 

 ダン、ダン、ダンッ!!! 

 

 草原の草を削り、竜の足跡が地面に減り込む。

 

 ……そして、

 

「────ッ!?」/「────っ!!!」

 

 両者相打つ。

 

「……っ、だあっ!」

 

 ブイドラモンの尻尾がグラウモンの腹に向かって薙ぎ払われる。

 

「ふんっ!」

 

 同時に、グラウモンの尻尾がブイドラモンの尻尾とぶつかり合った。

 

 

「らぁっ!」/「ふあっ!」

 

「うらっ!!!」/「……ぐっ!?」

 

「そりゃっ!」/「ふんぬっ!」

 

「喰らえっっ!」/「なんのっ!?」

 

 

 

 拳打、裏拳、肘打ち、尻尾の薙ぎ払いに、互いの爪のぶつかり合い。絶え間なく、お互いがお互いを捉えようとする攻撃と防御の応酬……そして、

 

「ぐっ、ぐぐぐぅっ!」/「……ぅうううっ!!!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(これならっ!)

 

「────っすぅううっ!」

 

 グラウモンは大きく息を吸った。

 グラウモンの口から炎が溢れ、火花がブイドラモンの角にぶつかり弾ける。

 

「────っ!?」

 

 ブイドラモンは急いで腕を離そうとするが、グラウモンはしっかり掴んで離そうとしない。

 

(来たっ!?)/(────来たっ!!!)

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「『エキゾースト────ッ、

 

 

 ……そして、

 

 

「オラァッ!!!」

 

 ブイドラモンの尻尾がグラウモンの足に巻きついた。

 

 

「フレイ、むぁっ!?」

 

「グラウモンっ!?」

 

 互いにもつれあうように、草原に倒れ込む。『エキゾーストフレイム』がブイドラモンにぶつかることなく、明後日の方向へと飛んでいった。

 

「────かはっ!?」

 

 そして、グラウモンが『エキゾーストフレイム』を放った反動で、グラウモンとブイドラモンは地面に叩きつけられる。

 

 

「グラウモンっ!!!」/「────攻めてっ!!!」

 

 

 互いのパートナーの声が草原内に響き渡った。

 

(────なっ!?)

 

 みなみはグラウモンを心配する声であったが、ルビーのその掛け声を聞き、ブイドラモンの動きを観察することに注力する。

 

 

「……うっ、ぐぐぐ」/「────しゃらぁっ!!!」

 

 

 先に立ち上がったのは、ブイドラモンであった。

 

 

「続けてっ!!!」/「首を狙っとるっ!!!」

 

「────らっ!」/「────に、あっ」

 

 

 ルビーの指示を受けたブイドラモンの攻撃……、それに即座に反応したみなみの指示によって、這いつくばるように避けるグラウモン。

 

 

「おらっ、おらっっ、オラァッ!!!」

 

「転がって避けるんやっ!!!」

 

 

 ブイドラモンはグラウモンを踏み潰すように、なんどもなんども足に力を込めて追いかける。それを、みなみの指示を聞き、転がるように避けるグラウモン。

 

「このまま決着(ケリ)つけてやるっ!!!」

 

((────まずいっ!?))

 

 ブイドラモンが追撃をしようとすると……、

 

「追いかけず、こっちで力を貯めて!!!」

 

 ルビーからそんな声が聞こえてきた。

 

 

(『プラズマブレイド』の攻撃範囲から離れたっ!!!)/(────見逃されたっ!?)

 

 

 互いに危機一髪の状況から脱したことに安堵する……が、

 

 

「なんで、攻撃させなかったんだよッ!?」

 

「ブイドラモン」

 

 私はブイドラモンの言葉を遮り、耳も……いや、耳どこだ? とりあえず、近づいて小声で自分の考えを伝える。

 

(……相手には、近距離攻撃の『プラズマブレイド』がある。前回、それを喰らって痛い目を見たでしょ?)

 

「…………ッ」

 

 前回の戦いのことを思い出したのかブイドラモンのほうから唾を飲み込んだ音が聞こえてくる。

 前回の戦いでは、地面に当たった『プラズマブレイド』から飛んできた砂がブイドラモンの目に入って、みなみ達に負ける原因に繋がった。だから、前回の戦いの失敗をしないためにも、ブイドラモンの得意な遠距離からの攻撃にするよう指示を出したのだ。

 

「次の攻撃、聞こえてたよね?」

 

「……わかった」

 

 あの指示はみなみにも聞こえていた。なら、正面から突破して勝ってみせる。

 

 

(聞こえへん……、いったいなにを考えとる?)

 

 ルビーの意図が分からず戸惑っとったら、

 

「ふっ、はっ……ごめんっ!!!」

 

 ルビーの指示でブイドラモンの離れたことにより、立ち上がることのできたグラウモンが走って戻って来た。

 

「別にええ、それよりも……くるで」

 

 こくり、とグラウモンが頷いた。

 グラウモンにもルビーのさっきの指示は聞こえとったみたいやな。準備を始めるように指示を出す。

 

「……すぅううっ」/「……かぁあああっ」

 

 互いが、大気を極限まで吸い上げ、『必殺』の一撃への準備段階に入る。

 

 

「『ブイブレイズッ! 

 

   「『エキゾーストッ! 

 

       ────アローッ!!!』」

 

          ────フレイムッ!!!』」

 

 

 ほぼ同時に放たれた両者の攻撃が、互いに向かって放たれた。

 

「いってっ!!!」/「負けるなっ!!!」

 

 互いのパートナーの声が重なったとき、光線と炎がぶつかりあう。

 どちらも永続的に放たれる技ではないからこそ、互いがぶつかったときに発生する衝撃や元から存在する技自体の貫通力によって勝敗が決定する。

 

 

 

「はぁああああっっ!!!」/「やぁあああっっ!!!」

 

 

 

 ────ドカン、と音が鳴った。

 

 立ちこめる煙と焼き焦げる砂と草の匂い。そして、その着弾した技の結果は…………、

 

 

「「……引き分け」」

 

 

 ルビーとみなみの声が重なった。

 

 

「作戦、うまくいったな」

 

「でも、ここからはアドリブだよ」

 

 

 前回の傾向と対策。

 普段は使わない頭を全力で使って、私はこの勝負に勝つ。完全体での戦いはあんまり見たことがないから、ほぼアドリブになってしまうけど、でも全力で戦うと意気込んだ。

 

 

「ミナミ、……ごめん」

 

 グラウモンからそう言われる……、前回勝った相手に勝てなかったことに対しての謝罪やな。

 

「所詮、小手調べや。次全力を出すでっ!!!」

 

「わかった!!!」

 

 ただの組み手同然の戦いの勝利なんぞに興味なんてあらへん。問題なのは、『次』の戦いからや。

 そう思って、手段を選ばぬ覚悟を決めた。

 

 

「ブイドラモンっ!!!」/「グラウモンっっ!!!」

 

 

 再び、彼女達は初代デジヴァイスを掲げる。

 

 

「「完全体に進化するよ(んや)っ!!!」」

 

 

 その掛け声と共に、それぞれの光が互いのパートナーを包み込んだ.

 

 [ブイドラモン 超進化]/[グラウモン 超進化]

 

 紅色の光が蒼の古竜の姿を照らす。/宵の灯りが魔の竜を闇へと誘う。

 

 光は竜を傷つけ、/灯りはやがて鎧へと変わり、

 

 

「エアロブイドラモンッ!!!」

 

「ブラックメガログラウモンッ!!!」

 

 

 古の竜は偉大な翼を手に入れた./魔の竜は全てを撃ち壊す機械へと姿を変じた。

 

 

「上に飛んでっ!!!」/「耐衝撃準備っ!!!」

 

 

 少女達の声が響く。

 エアロブイドラモンははるか上空へと飛んでいき、ブラックメガログラウモンは自信を守るべく防御に注意を向ける。

 

「……はるか上空からの攻撃に耐えられる?」

 

 ルビーの声が響く。

 

 

「エアロブイドラモン!!!」

 

「『ドラゴンインパルス』っっ!!!」

 

 

 ルビーの掛け声と共に、古の竜の衝撃波が空から降り注いだ。

 

「ブラックメガログラウモンっ!?」

 

 ミナミの声が聞こえてくる……でも、この程度なら、

 

 

「大丈夫、そこまで痛くないっ!!!」

 

 

 この装甲を破ることはできない。

 

 

「────嘘でしょっ!?」

 

「メガシードラモンを一撃で倒した技だぞ!?」

 

 

 ルビーとエアロブイドラモンが驚く。

 

 当然だ。

 今まで、数多のデジモンを屠ってきた強力な一撃がブラックメガログラウモンにはほとんど書いていなかったのだから、

 

「チンロンモンの雷より全然痛くないっ、ミナミっ!!!」

 

「よしっ、そのまま相手をよくみるんやっ!!!」

 

「わかったっ!!!」

 

(ヒヤヒヤしたわ)

 

 相手はワクチン種に対して、

 

(本当に相性って関係あるんやろか?)

 

 タイトくんの言葉を疑うわけやないけど、今まで逆境を乗り越えてきてしまったからこそ、疑問に思えてまう。

 

 いや、そんなことは考えてはいけへんと思い、みなみは首を振った。

 

 

「そのまま『ドラゴンインパルス』で攻撃を続けてっ!!!」

 

「『ドラゴンインパルス』っ!!!」

 

 

 ルビーの指示に従い、空からなんどもなんども技を続けるエアロブイドラモン……しかし、

 

 

(なんでブラックメガログラウモンの体は傷ひとつつかないのっ!?)

 

 

 その鎧には傷一つつくことすらなかった。

 

(なんで、どうしてっ!?)

 

 そんなことを思いながら、必死になって頭で考える。顔の一部は傷がついているが、鎧の上から攻撃できてる感じはしない。

 このまま、ジリ貧になったら技を使い続けている自分達のほうが体の負担が大きくなってしまう……どうすれば、

 

 そう考えたときに、手元の初代デジヴァイスが目の中に入ってきた。

 

(……そうだ、図鑑)

 

 私は急いでブラックメガログラウモンに焦点を当て、図鑑を起動してどんなデジモンなのか必死になって調べた。

 

 [ブラックグラウモンが進化した完全体のサイボーグ型デジモン。ブラックグラウモン同様、ウィルス種の性質をより濃く表しており、「黒い破壊竜」と呼ばれている。上半身は超金属“クロンデジゾイド”でメタル化されていて、両肩に付いている2基のバーニアで飛行することもできる。また背部の部分から伸びる帯のようなものは伸縮自在で、敵を貫き刺すこともできる。得意技は両腕のペンデュラムブレイドで敵を切り裂く『ダブルエッジ』。必殺技は両胸の砲門から原子レベルで敵を破壊する『アトミックブラスター』]

 

 その中の一文に気になる言葉を見つける。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

(────これだっ!!!)

 

 

「エアロブイドラモンっ!!!」

 

「ルビーっ!?」

 

 私は急いでブラックメガログラウモンの弱点を伝える。

 

「ブラックメガログラウモンは『クロンデジゾイド』っていうすごい金属の鎧で体を守ってるっ!!!」

 

「だから、ダメージが通らないんだな……って、『ドラゴンインパルス』を防げるような鎧を着てる相手にどうすりゃいいんだよっ!!!」

 

「お腹と足には鎧がないから、接近して、スピードで相手を隙を狙ってっ!!!」

 

「────わかったっ!!!」

 

 よし、これで逆転できる。

 エアロブイドラモンが『ドラゴンインパルス』を打ち終えて、ブラックメガログラウモンへと急降下していく。その翼には『Vウィングブレード』が準備されていた。

 

「────っ!?」

 

 爆風と共にルビー達の声が聞こえてくる.

 

(バレたんか)

 

 ブラックメガログラウモンには『ドラゴンインパルス』に耐えられるよう鎧にできる限り身を隠すよう指示を出しとった。

 

(けど、もう遅い)

 

 もう準備はできたんや。

 

「ブラックメガログラウモンッ!!!」

 

「大丈夫、準備できてるっ!!!」

 

 ここからはウチの作戦に付き合ってもらうで、

 

 

「『アトミックブラスター』ッッ!!!」

 

 

()()()()()()? 

 

 

 

「────、ルビー悪いっ!!!」

 

「────きゃぁっ!?」

 

 ブラックメガログラウモンへと急降下していたエアロブイドラモンは、『アトミックブラスター』の方向を見て、急激な方向転換を行い、ルビーを背負って上空へと再び戻っていく。

 

「……いたた、いったいなんなの────っ!?」

 

 その言葉を言った途端、エアロブイドラモンの真下から大きな爆発音が鳴り響いた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……ブラックメガログラウモン、おまえ」

 

「エアロブイドラモンなら守るって、わかってた」

 

 真剣な顔で言うブラックメガログラウモン。

 そのことから、わざとブラックメガログラウモンはルビーに向かって、『アトミックブラスター』を放ったのだと、エアロブイドラモンは理解したのだった。

 

 

「……みなみ」

 

 ルビーがこっちを見とる。むかつく顔が、驚愕と恐怖に染まって、少しだけ胸が空いた気持ちになった。

 

「チンロンモン戦で気づいたことがあるんや」

 

「……なに?」

 

 そう、気づいたことがある。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「────ッ!?」

 

 

 無駄な攻撃はするつもりはないってことや。

 

「進化するたびに動きが(とろ)くなっとるからなぁ……、相手の弱みを狙わんとあたらへんのや」

 

「……そこまで堕ちたのかよ」

 

 なんや、エアロブイドラモン。

 くだらないことを聞かへんでよ。

 

「堕ちなきゃ勝てへんのなら、喜んで外道に堕ちるわ」

 

 堕ちてタイトくん救えるんやったら、喜んで堕ちるに決まっとるやろ。

 

「……ミナミ」

 

 なに、こっちを心配そうに見とんねん。ウチはあんたの命を狙ったんやぞ。胸糞が悪ぅなるやろ。

 

「ブラックメガログラウモンも胸糞悪いことさせて悪かったなぁ」

 

「やけど、その必要……もうないで」

 

 この作戦はもう使えへんしな。そう思いながら、初代デジヴァイスへと思念を送ると、ブラックメガログラウモンがギルモンへと退化していく。

 

 

「……ブラックメガログラウモンが、退化した」

 

 

 ウチはもう遊ぶつもりはない。決着をつける気分になったんや。

 

 

「ルビーもはよしい……やらへんのなら、すぐに倒すで」

 

 

 ああ、ウチはなんて優しいんやろな。

 敵に塩を送ってやるやなんて……本当に胸糞が悪い(やさしいな)

 

 

「ギルモン」

 

「……ん?」

 

「全力で叩きのめせ」

 

「ミナミ、……うん、わかった」

 

 ギルモンへの最後の指示や。

 

 

 [ギルモン ワープ進化]

 

 

 宵の灯りは……やがて、強烈な閃光へと変わり、ギルモンの姿を変化させていく。

 

 最初は小さな竜だった。

 

 竜は成長し、魔を納め、雷を操る。

 

 魔竜は雷に呑まれ、機械の体を手に入れた。

 

 そして、内なら魔の力は竜を暴力装置となり、紅き竜を呼び覚ます。

 

 ただ、紅き竜の身体をを子竜は制御する。

 

 竜の体は集約し、忌まわしき『黒き』の鎧へ。

 

 紅は鈍色に覆い尽くされ、鉤爪はしなやかな籠手を見に纏う。

 

 右手には槍、左手には盾を持ち、どちらも危険な光を放ち煌めく。

 

 翼は闇のようなマントへと代わり、顎と牙は兜に変化する。

 

 

 そして、兜の中心に(金の光)を呼び覚ました。

 

 

「カオスデュークモンッ!!!」

 

 

 そこに、宵闇の騎士が顕現した。

 

 

 

「……ルビー、相手は本気だ」

 

 究極体へと進化した相手を見て、エアロブイドラモンがブイモンへと退化する。

 

「わかってる」

 

 どうしてこうなったのか……、そう思わないこともない。でも、一つだけ強く、強く思うことがあった。

 

「……ブイモン」

 

「なんだ?」

 

 私の声にブイモンが耳を傾けた。

 

「みなみのためにも、……絶対に勝つよ」

 

 私は今、とてつもなく勝ちたいって思った。

 

『負けたくない』や『死にたくない』、『許せない』から出てくる気持ちじゃない。今のみなみには絶対に負けたくないっていう、私なりの強く、ただ強い気持ちが降ってわいてできたのだ。

 

「…………、OK、ルビーっ!!!」

 

 ブイモンの掛け声と共に、『究極体』への力を呼び覚ます。

 

 

 [ブイモン ワープ進化]

 

 

 紅の光がブイモンを照らしていく。

 

 最初に子竜……それが成熟し竜となり、翼が生え唸り声を上げ、煌めきは、全てを掻き消し、想像する。

 

 蒼の竜人の身体には白き鎧が包み込む。

 

 両手は紅の宝玉が、両脚は金の装飾が光り輝く。

 

 翼は歴戦を超え、傷を全て呑み込み、より強靭なものへと変化する。

 

 そして、白と蒼、金を全て集約し『紅色の瞳』は、自身の主人の願いを……自身の主人への『忠義』をしめす為、現状を淘汰する。

 

 そう、そこに現れたのは、

 

『忠義を示す者』

 

『神に仕える聖騎士』

 

(ことわり)を越える力』

 

 

 その姿白く輝き、天を照らし現る真なる神の使者。

 

 

「デュナスモンッ!!!」

 

 

 白き竜騎士がそこに降り立ったのだった。

 





「……すごい」

ルビーさんとブイモン、みなみさんとギルモンは一進一退の攻防を続けている。

「成熟期同士での戦いではルビーくんとブイドラモンが、完全体同士の戦いではみなみくんとブラックメガログラウモン……というより、みなみくんの容赦のなさが、ルビーくん達に刺さった……というところかな?」

ハルの声が聞こえてきた。

「ハル」

「ガブモン?」

「どっちが勝つと思う?」

「…………」

ガブモンの心配そうな声が聞こえてくる。やはり、さっきの戦いでのみなみさんの行動に危うさを感じてるみたいだった。

「俺はみなみだと思う」

「…………」

「ルビーと違って、仲間相手にも容赦がないあの姿勢……間違いなく()りにきてる……、このままだとルビーに勝てる要素はない」

「ガブモンはそう思うか」

「レナモン?」

「レナモンはルビーとブイモンが勝つと思ってるのかよ」

レナモンは頷いた。

「イグドラシルが言っていたことを思い出せ」

イグドラシルが言ったことを思い出し始める。

「ルビーにはヒロイン? としての才能があり、みなみにはそれがない……戦いにもそれが現れている」

ヒロイン……それが、なにか関係あるのかな?

「デュナスモンは空からの一方的な攻撃ができ、みなみにはそれがない。接近戦さえしなければ、デュナスモンはカオスデュークモンの体力を削り取りさえすれば勝ちだ」

「…………」/「…………」

「……私は、ルビーさんに勝ってほしいな」

「姉さんっ!?」

私は私の気持ちを素直に言っただけなんだけどな。

「ミユキはどうしてそう思うんだ?」

レナモンにそう聞かれる。


()()()()()()()()()()()()()()()()()」 

「…………っ!?」


そうは思わないの?

「このまま勝ったところでいい結果にはならないと思うよ」

「……そっか」

……ん、アレ?
なんでみんなそんなに微笑ましそうな顔でこっちを見るの?

「ハル、私なんか変なこと言ったかな!?」

「いいや、姉さんの言うとおりだ」

「あの2人がなんでタイトくんのことで、言い争っているのかはわからない」

タイトさんのことで言い争ってる。その内容が、私達には全く理解できない。

「……ただ」

「ただ?」

ハルは……、


「決着がついたほうが、今後を左右すると言っても過言ではないだろう」


ハルのその言葉が少しだけ私の不安を煽った。
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