「ルビー、早くこっちにっ!」
「わかってるっ!!!」
ルビーはブイモンがワープ進化したと同時に、デュナスモンの側に近づいた。
「俺の背中に乗れば攻撃に当たる危険がある。だけど、無防備な状態で狙われることもない」
「大丈夫だよ、信じてるから」
そう言いながら、ルビーがデュナスモンの手に乗っているのを見てみなみは……、
「カオスデュークモン」
「わかった」
「「ーーーーっ!?」」
みなみの首筋に大きな槍の先が当たっている。
「空を飛ぶことは許さへんで」
みなみはうっすらと笑みを浮かべ、ルビーとデュナスモンを嘲笑う。
「ーーーーみなみ、あんたっ!?」
「そこまでするのかよっ!?」
「……言ったやろ? 容赦しないって」
ルビーとデュナスモンの背筋に冷や汗が混じる。
(……みなみは本気で、手段を選ばないつもりなんだ)
その事実がルビー達の背筋を凍らせていた。
「だってしかたないやろ? カオスデュークモンの攻撃が当たりずらいはるか上空に逃げられたら困るんや……、しょうがないやろ?」
一方、みなみとカオスデュークモンは学習していた。
相手の弱みにつけ入り、手段を選ばず命を刈り取る覚悟ができていた。
自分自身さえも道具として扱える覚悟が。
「……くっ、ルビーっ!!!」
デュナスモンが全力を出せば、この状況を打破できただろう。
「だめだよ、デュナスモン」
だが、ルビーはそれを許さない。
「ーーーーでもっ!?」
デュナスモンに首を振り、デュナスモンの手から降りて、優しそうな笑みを浮かべみなみのほうへと笑ってみせる。
「みなみ、大丈夫……、私達は逃げないよ」
「ルビー!?」
「デュナスモン、学校の高さまで飛ぶのはだめだよ」
「……、くそっ!!!」
デュナスモンの警告を聞かず、みなみはルビーの言うことを聞いた。
「……へえ、手ぇ抜いてくれるんか……ありがとなぁ」
そのことにみなみの頬は釣り上がる。
(作戦はうまくーーーー
「ーーーー
「ーーーーっ!?」
『だが』
「
この場に置いて、ルビーを超えうる者など存在していなかったのだ。
「…………」
「カオスデュークモン」
「ミナミ?」
「人質作戦はなしや。正面から叩き潰せ」
そして、その言葉はみなみの激情を高めることになる。
「…………」
カオスデュークモンはその様子を見て、ルビーに呆れるような視線を向けて……、
「わかった」
ただ、一言みなみの言葉に従うのみであった。
「あれを見てどう思いますか?」
「青春だなぁ、羨まし……いや、うらやましくねぇ、むしろトラウマを思い出すからやめてくれ、マジであります……としか」
学校の上に立つ、ペンギンと狐。
「……それ、本気で言っていますか?」
狐は……、クダモンはその発言に、無神経さにいらだちを感じていた。
「……あー、テト殿とシン殿との『アレ』を見ていなければそうなるのでありますな」
その発言からペンギンは……、ユイはそういえばと思い出したように、自身に呆れていた。
「……アレ?」
「拙者が、テト殿とシン殿と出会ったときは……あー、まぁ、なんというか……」
ペンギンの過去を思い出すトラウマの数々。
戦場中心で喧嘩する2体。
吹き飛ばされる仲間。
避難場で喧嘩する2体。
吹き飛ばされる怪我デジモン。
訓練中に競い合う2体。
壊れる訓練場。吹き飛ばされる自分。
トラウマを思い出していた。
「やけに歯切れが悪いですね。ボタモンとシン……それらはご主人様の仲間だったはずでしょう? まさか、仲が悪いなんてことはあるはず……」
「…………」
ボタモン……、ユイの師匠であり、先達であるテトとシンの常時の言動をクダモンに言い当てられ、冷や汗が出るユイ。
「仲が悪かったんですね」
呆れるように二度言われる。
「流石に、あそこまで手段を選ばないというわけではなかったのでありますが……まあ、ハイ……そうでありますな」
……、むしろ、シンがユイを盾にしたところで、そのままぶん殴っていたのがテトである。手段を選ばないというか、容赦がないのはむしろテトのほうである。
「…………」
その考えを読み取ったのか、完全に呆れた様子のクダモン。
「
それにフォローを入れてるつもりのユイである。
「……本気で危なかったら介入いたしますよ」
「もちろん、当然でありますな」
果たして、2体は間に合うのであろうか?
「……カオスデュークモン」
デュナスモンにあったのは疑問であった。
「…………」
こちらを冷たい目で見るカオスデュークモン……、そして、
「お前、本当にそれでいいのかよ」
「あいつ、お前のパートナーなんだろ? だったら、ちゃんと言わないといけないことがあるんじゃないのかよっ!!!」
自身を人質にとっても、脅迫しようとしてくるみなみに、だ。
あれほど待ち望んだ相棒を自身の手で命の危険に晒すという行為……、それ自体が、デュナスモンにとって許せない行為の一つであった。
「……くだらない」
だが、カオスデュークモンにはそんなことは関係なかった。
「くだらねぇだとっ!?」
「ミナミの想いもマナトの想いも知らず、
カオスデュークモンにとって、ミナミは全てであった。自身に恐怖していても、味方であることを確信し、
(……雰囲気が違う?)
デュナスモンモンにとって、……その雰囲気が進化前のギルモンとの乖離を感じてしまう。
(……それでも)
「……わかんねえよ。話してくれなきゃ、誰がどう思っているなんて伝わんないだろうが……、誰も誰かの気持ちなんて理解できるわけねぇだろ」
わからないから聞く。
ルビーから学び、1人で戦うのではなく、相手から学び、聞くことを覚えたデュナスモンにとって、目の前にいる2人の行動は理解できた者ではなかった。
「……そんなだから、タイトは苦しんだんだ」
「……は?」
カオスデュークモンがボソッと言った言葉が、デュナスモンは理解できず────
「いや、いい……、話したって意味がないことがわかったからな」
「────っ、ああ、そうかよっ!」
カオスデュークモンにとってそれは……、デュナスモン自体を失望する一因となってしまっただけだ。
「だったら、無理矢理にでも聞いてやるっ!!!」
「お前に話をする必要はないっ!!!」
そして、2体はぶつかり合う。
「「はぁああああっっ!!!」」
盾と拳がぶつかりあい、大きな衝撃が荒地となった草原に響き渡ったのであった。
「……デュナスモン」
その様子を見ていたルビー……、その視界にみなみがこちらへと『手を振った』のが見えた。
「────っ!?」
(────、った!?)
急いでその場を避けると、髪になにかが当たるのを感じる。
「へえ、避けるんか」
みなみの右手には手のひらサイズの石が握られている。
「……みなみっ!?」
「あっちも始まっとるみたいやし、こっちもやろうやっ!!!」
みなみはそう言いながら、ルビーへと石を投げてくる。
「なんで、私達も戦ってるのっ!?」
「ぬるいこと、言ったらあかんわ。戦っとる最中やろっ!」
ルビーは走りながらそれを避け、少しずつみなみへと近づいて行く。
「────ルビーっ!?」
デュナスモンはルビーのその様子を見て、急いでルビーのもとへと行こうとするが……、
「よそ見をするなっ、お前の相手は、このカオスデュークモンだっ!!!」
「────くっ!?」
カオスデュークモンの槍が、デュナスモンを攻め続ける。
「そらそら、行くでっ!!!」
みなみはルビーへと石を投げる。
「────っ、デュナスモン……、こっちは大丈夫っ!!!」
「────ルビーっ!?」
「私は大丈夫だからっ、……さっさと決着つけて、私にかっこいいところを見せてよっ!!!」
「……わかった」
みなみの手にはたくさんの石があるが、ルビーに一つも当たってはいない。母親から受け継いだ運動神経をアイドルへとなる為に鍛え上げた肉体、そして今までの強敵達との戦闘経験から得た非日常の中で培われた反射神経がみなみの攻撃を全て避けることを可能としていた。
……そして、
「みなみぃっ!!!」
「ふべっ!?
────ガンっ!!!
みなみの顔へとルビーの拳が当たったのだった。
「……まだやっ!!!」
そう言って、立ち上がるみなみ。
「かかってきなよっ、全力で相手してあげるっ!!!」
「ほなら、さっさと始めようかっ!!!」
ルビーとみなみの本当の喧嘩が今始まったのであった。
「……どうした、動きが遅いぞっ、……『デモンズディザスター』ァッ!!!」
カオスデュークモンの槍が怪しい光を纏った。
(右、左、頭、下、……腹っ!!!)/(右っ、今度は左っ!? 次は頭部、次は膝、その次は胴かっ!?)
デュナスモンへと繰り出される必殺の槍の雨……しかし、
「……ふっ」
「……防がれたか」
デュナスモンにその槍は届かない。
「まだ、行くぞ…… 、『デモンズディザスター』ァッ!!!」
「そう簡単にいかせるかよっ、『ドラゴンズロア』ッ!!!」
お互いが必殺の一撃を放つ。
片方は相手を倒す為に、もう片方は自身を守る為に、
(まずは『鋼』────っ!?)
そして、デュナスモンの『ドラゴンズロア』はカオスデュークモンの『』に当たった途端、鋼の壁へと移り変わった……のだが、
「そんな柔らかい壁で我が必殺の『デモンズディザスター』が破れると思うかっ!!!」
易々と、その壁は貫かれる。
「そんなのはわかってる、『ドラゴンズロア』」
もう一度、カオスデュークモンに貫通された壁に『デモンズディザスター』を放つデュナスモン。
(さらに、『鋼』っ!!!)
『ドラゴンズロア』は『ドラゴンズロア』が生み出した壁に当たることで、さらなる強固な壁へと進化するが……、
「さらに防御を固めたか……、だがっ!!!」
やはりカオスデュークモンの『デモンズディザスター』を突破されてしまう。
(これも突き破ってくる!? ────ならっ!!!)
だから、カオスデュークモンは、/だけど、デュナスモンは、
「『デモンズディザスター』っ!!!」
「『ドラゴンズロア』っ!!!」/(
同じ技で倒せると思っていた。/自身にある知識を最大限に使い、壁をさらに進化させたのだった。
「────なっ!?」
(あの程度の防御に『デモンズディザスター』が弾かれただとっ!?)
そして、ようやくカオスデュークモンの『デモンズディザスター』弾き飛ばしたデュナスモンの『ドラゴンズロア』。
「次はこっちの番だっ!!!」
「『ドラゴンズロア』」
体勢を整えたデュナスモンは次の一手を繰り出していた。
「────なにっ!?」
デュナスモンの『ドラゴンズロア』はカオスデュークモンの体を縛る植物へと姿を変える。
(さっきまでの攻撃とは違う……、鋼の盾を出す技じゃなかったのかっ!? )
「俺の『ドラゴンズロア』はここにある『火』・『光』・『雷』・『風』・『氷』・『土』・『水』・『植物』・『鋼』・『闇』の十種の力を操る攻撃だ」
(……なん、だとっ!?)
カオスデュークモンはその驚きから身が固まる。
「諦めてくれ……、お前に勝てるわけがない」
(……だけど)
……しかし、
「ミナミの為に負けるわけにはいかないんだっ!!!」
カオスデュークモンの魔盾『ゴーゴン』はすでに光の充填を完了していた。
『ジュデッカプリズン』
「なにっ!?」
カオスデュークモンの盾……いや、魔の盾『』から放たれる魔の光が、咄嗟に避けたデュナスモンの体の『一部』に命中してしまう。
「ぐぁぁあああああああああああ────っっ!!!」
その『一部』が、光にあたることにようで酸性の液体に触れた肌のように溶け、ぐずぐず音を立てていた。
「これで、さらに機動力が削られたな」
(────羽、がやられたか)
「どうやら、俺の『ジュデッカプリズン』は聞くようだな」
「────っ!?」
カオスデュークモンの体を縛っていた『植物』が、腐り果て泥のように溶けてなくなった。
「だが、それでも俺の『ドラゴンズロア』を攻略したとは言えないんじゃないのか?」
それでも、精一杯の強がりで笑うデュナスモン。
「お前の機動力が下がったのなら、このカオスデュークモンがお前の攻撃に当たらなければ問題ない……ということだ」
それを理解し、追い打ちをかけるカオスデュークモン。
「────『ドラゴンズロア』っ!!!」/「遅いっ!!!」
デュナスモンの一撃はカオスデュークモンに簡単に避けられてしまった。
「ならっ、『ドラゴンズロア』、『ドラゴンズロア』っ!!!」
そこで、次なる一手を……と、『ドラゴンズロア』と『ドラゴンズロア』を巻き込み自身とカオスデュークモンの下へと生み出された『ドラゴンズロア』を叩きつける……すると、
荒地は泥沼へと移り変わっていた。
「ここにある土と水を合わせて泥を生み出したから……、だがっ!!!」
カオスデュークモンは鎧の重みで泥沼へと沈み始める……しかし、
「『ジュデッカプリズン』」/「────『ドラゴンズロア』っ!!!」
カオスデュークモンの魔の盾はすでに光を灯し、泥に変わった地面を荒地に変えていたのだ。
(『植物』の力が操れないっ!?)
デュナスモンは『ドラゴンズロア』でできた『植物』を泥から生成するつもりが、『』を地面ごと消し飛ばされたことにより、泥沼を完全に失ってしまう。
「このように、着弾位置を更地にしてしまえば、お前の攻撃など問題ないっ!!!」
「────くっ!?」
カオスデュークモンの策が今回は勝った。
「まだだっ!!!」
「こっちも本気を出すとしよう」
…………だが、
「『ドラゴンズロア』っ!!!」/「『デモンズディザスター』っ!!!」
2体の攻防はまだ始まったばかりだ。
「あんたはっ、なんで……そんなに怒ってんのよっ!!!」
ルビーを殴ろうと必死になって、拳を振り続けるみなみ。
「ルビーなんかにわかるわけないやろうがっ!!!」
その拳を必死になって避けるルビー。
(わかるわけない? ……だったらっ!!!)
みなみの話そうとしない、その姿勢に、
「話さないんだったら、……私が話すっ!!!」/「聞きたないわっ!!!」
ルビーは一つの覚悟を決めた。
「私は、ただ……タイトをっ、ママに会わせたいだけだったっ!!!」/「うっさいっ!!!」
ルビーは自分の想いを話す。
ルビーにとって、タイトとは最初は目の上のたんこぶでしかなかった。しかし、それは幼少期までの話。
アイにとって大きな存在であったタイトが、ルビーにとってとてつもなく大きな『執着』へと変わったのだ。
「再会したタイトは、別人の名前を語っていた。それがとてつもなく許せなかった!!!」/「そないなこと、知ったことやないっ!!!」
アクアへの愛は……、雨宮吾郎への恋は否定された。そこに現れたタイトはルビーにとって『執着』する相手が変わるのは必然だった。
「だから、調べた!!!」/「────っ!?」
ルビーは全部、ゼンブ、ぜんぶ調べた。それでも全部わからなかった……けど、それでも、
「この世界で全部知ることができたっ!!!」/「その言葉が気に食わないんやっ!!!」
ルビーとタイトが再会したあの四月は、あの夜を運命づけていたのだと、ルビーは言葉足らずな思考で確信していた。
「でも、たくさん、タイトに助けられて……、初めて私の……『
……そして、ルビーは、
「
その言葉を口にした。
「なに、いっとんのか、わからんって言うとるやろっ!!!」
みなみにとって、それは恐怖であった。
知り合いの……、それも、好きな相手が血のつながった弟を好きになった姉が、血縁関係でトラウマを持っていた
それ以上の恐怖はないだろう。
「あんたはどうなのかって聞いてんのっ!!!」
……だが、
「
そんな気持ち悪い
「…………」(クダモン)
「わーお」(ユイ)
「血の繋がった
「ハル、……空気が読めてないのでは?」(ミユキ)
「────姉さんっ!?」(教授)
「ミユキ、あなたも案外
「顔を真っ赤にしてるレナモンもな」(ガブモン)
「ルビー?」/「……ミナミ」(デュナスモン&カオスデュークモン)
「こんな人前で言うか、普通?」(みなみ)
だが、上記の面々の反応の結果を除く。
「あ、あああっっ!」
そして、ルビーの顔は真っ赤に染まり……、
「あんたはどうなのかって聞いてんのっ!!!」
もう一度そのセリフを叫んでいた。
『あっ、ゴリ押しして、一連の話を無かったことにするつもりだ』
ルビーを除いたこの場にいる全員がそう思っていた。
「……まあ、ええわ」
「話したる」
そして、呆れたようにその少女へと笑うみなみは、
「ウチにとって『マナトくん』は光やった」
その瞳の中に狂気を宿らせていた。
「わけわからん理由でいじめられて、わけわからんまま、犯されそうになったウチを助けてくれたのがマナトくんやった」
みなみの過去はありきたりな『不幸』であった。
中学生でありながら第二次性徴が著しく、異常なほど発育した身体が、周囲のプライドの高いお嬢様気質な馬鹿な女子生徒の気に障ってしまった。
そこからいじめが始まり、最終的には『末堂マナト』に救われるまで、暴言・暴行、盗難をはじめとする多くの心理的な負荷を背負わされ続けていた。
「……ミナミ?」
みなみの中に今更、いじめてきた相手に恨みはない。
むしろ、末堂マナトという運命の相手と出会うことができて、その上で制裁を喰らっているのだから、みなみにとっては感謝しているぐらいだった。
……そして、それ以上に、
「やから、そのマナトくんが大事にしとる『
「…………」
自身の『好きな相手』の隣にいた女を不愉快に思っていた。
「理由もなく、そこに
マナトくんの隣で笑うルビー。
「理由なく守られて」
いじめてきた少女達から、ルビーを守る為にウチを助けたと聞かされて。
「理由もなく笑っていられるあんたがうらやましかった」
それが、とてつもなく胸を掻き立てた。
「正直言って負けたと、ずっと、ずーっと思っとったよ」
だけど、こんな気持ちをマナトくんは許しはしないと思っていたから、……とみなみは諦めていた。
「あんたのことがただ好きやから守られとると思っとったからな」
あんな女どもにあれだけの『怒り』をぶつけていたマナトがぶつけていたからだ。
「
なんで『執着』しとるかを知った少女がそこにいた。
「
そこで秘めていた想いが始まった。
「助けとる理由もわかった」
家族だったから助けていたのだと、『恋』の敵ではないことに歓喜した。
「『ウチにもチャンスが回ってきた』……と、ウチは思うた」
喜びはやがて、『執着』を呼び戻し……、
「
『あの日』全てを奪っていた。
「あの日から好きになった?」
あれだけ守られとって?
「ウチがずっと、ずっと前から好きやったって言うのに?」
ウチとずっと一緒に友達をやったったのに?
「マナトくんを助けたい?」
マナトくんをとって行くんか?
「マナトくんを
「ふざけるな、ふざけんな……ふざけとんのかっっ!!!」
ああ、
「あんたなんかにマナトくんは渡せない、……いや、渡さないっ!!!」
渡せるはずがない。
あんなくそったれた日常をマナトくんに戻してなるものか。
「絶対に、絶対にマナトくんだけは守ってみせるっ!!!」
そう、……だから、
「やから、やれ」/「わかった」
「……え?」/「……っ、あぶねぇっ!?」
ルビーの横を槍が通り過ぎた。助けたのはデュナスモンである。
「……カオスデュークモン?」
「ミナミ、ごめん」
カオスデュークモンはみなみを見て、謝った。ルビーを倒せなかったことを謝った。
「やから、あんたはウチの『敵』なんよ……、ルビー?」
「────っ!?」
そう、『はじめから』ルビーの命を狙っていたのだ。カオスデュークモンは。
みなみの命令に従う為に、マナトを苦しめる元凶を葬り去る為に。
「カオスデュークモン……、お前っ!?」
「デュナスモン」
怒るデュナスモンを止めるルビー。
「……ルビー?」
「みなみ、本当に容赦ないんだから」
みなみの前に立って、ルビーは再び笑った。
「……だったら?」
みなみは怒りに染まっている。
「だったら、こっちも本気でいく」
「────ふべっ!?」
みなみの顔をルビーは思いっきり殴っていた。ルビーの手には血が滲んでいる。
「────ミナミっ!?」
カオスデュークモンはミナミが立ち上がるのを待っている。ルビーとデュナスモンもみなみが立ち上がるのを待っていた。
「……っ、ちっ……、全力でいくんやなかったんかっ!?」
鼻血を右腕で拭き取りながら、ルビーになぜ追い打ちをかけなかったのかみなみは聞いた。
「私も全力で行くだけだよっ!!!」
そして、ルビーとデュナスモンは2人に向かって駆け出している。
「
「へえ、……と言うことは?」
「私も見たよ」
「やったら、なんであんな糞にも劣る世界に連れていこうとしとるんや?」
「
「……は?」
「少なくともタイトにとっては」
「なにを言うとるん?」
「
「……あ゛?」
「ふざけとんのか、お゛どれ゛ぇ゛え゛え゛っっ!!!」
「ふざけてるのはあんたでしょ、みなみっっ!!!」
「……お前もそう思うのか、デュナスモン?」
「悪いけど、俺はルビーとおんなじことを言ってやるよ」
「だったら」「だから/「やったら」「……」
「あんた達を倒して言うことを聞かしてやるっ!!!」/「ふざけたこと抜かしてたやつに鉄槌を下せ、カオスデュークモンっ!!!」
「お前の全部、叩き潰してやるよ」/「……わかってる」
「本気の本気であの世界に連れて行くつもりなの、みなみっ!!!」
「本気に決まっとるやろうがっ!!!」
「タイトはあの世界でたくさんの人とデジモンに痛めつけられたっ!!!」
「タイトくんはあの世界でだけ幸せやったっ!!!」
「人がたくさんいたにもかかわらず、その中に入らなくて……、3歳と言う小さい子供の体で外で暮らさなきゃいけなかった!!!」
「タイトくんをいつも助けてくれる先輩や仲間に囲まれとったっ!!!」
「ママや家族の隣で笑ってるのが、普通なのにっ!!!」
「ようやく手に入れることができた普通に、本気で喜んでたんやっ!!!」
「クリスマスだって、外に追い出されて、寒さにずっと震えてたんだっ!!!」
「クリスマスやってみんなと笑って、飲んで食って、ケーキだってみんなに切り分けとったっ!!!」
「最後には仲間のデジモンが殺されたっ!!!」
「あの世界でそんな悲劇起こるわけないやろうがっ!!!」
「みなみはあれを本気で言ってるのか!?」
「本気の本気に決まっているっ!!!」
「タイトは家族のそばにいるのが幸せだと言っていたっ!!!」
「タイトはあの世界に帰りたくないって言っていた!!!」
「タイトは母親を……、ルビーのママを助けるのに必死だったっ!!!」
「人間は、意味もなく他者に理不尽を強要するっ!!!」
「頭を悩ませ、必死になって、家族を守るための手段を探していたっ!!!」
「死にかけの人間を、自分の我儘で無駄に生かし続けるっ!!!」
「家族に離れ離れになるのは嫌だって叫んでいたっ!!!」
「
「ルビーの母親を傷つけようとする奴でさえ、命を見逃したっ!!!」
「強要したことを考えず、汚れた世界を生み出し続けるっ!!!」
「タイトはそんな世界を救いたかったんだっ!!!」
「タイトはもうこんな世界な救いたくなんてないっ!!!」
拳が、槍が、光が、力がそれぞれがそれぞれの戦いの衝撃を放つ中、問いを答え続ける声が響き終わる。
互いが互いを憎み合い、呪いあう世界で……、たった2人の少女の純粋な恋心が、草原を荒地に変え果てる。
そして、少女達とそのパートナーデジモンの『決意』が固まった.
「「「「だから」」」」
そう、彼らは、
「私は」/「俺は」
「ウチは」/「この身を持って」
どうしようもなく、
「「人間の世界に連れ戻すっ!!!」」
「「デジタルワールドへと連れて行くっ!!!」」
『人』が好きなのだ。
「……どうやら、これ以上は無茶なようだな」
「お互い、な」
カオスデュークモンとデュナスモンは互いに必殺の一撃を込める。
「負けたくない」/「負けられない」
負けられない理由がそこにあった。
「俺は」/「ミナミの為に」
誰かの為に全力を尽くしている彼らはどうしようもなく、
「「お前を倒すっ!!!」」
『デジタルモンスター』であった。
「『ブレス・オブ・ワイバーン』!!!」/「『ジュデッカプリズン』!!!」
「うっ、ぐっ……ぐぐぐっ!!!」/「ぐぎぎぎぎ……っ!!!」
「負けられるか」/「負けてたまるもんか」
「勝つんだ」/「いけっ」
「「いけぇえええええええええええ────っっ!!!」」
二つの力のぶつかりあいの勝者は、
「……まだ、や」/「……っ、たい」
「まだ、だよ」/「……くそ、戻っちまったか」
お互いが退化したことにより、勝負の結果はつかなかった。
「ウチらはまだ負けてない」
「私は勝たなきゃいけないんだ」
だが、少女達が争うように、
「『』」/「『』」
デジモン達も戦う。
「タイトをママに会わせるんだ」
「マナトくんはそれを望んでない」
少女達は拳を振るう。
「うぐっ!?」/「ごぺっ!?」
デジモン達は相打ちになる。
「ママに会えば、きっとなに……、か変わるはず」
「知ったことか」
少女達の問いは続く。
「『ブンブンパン、────どぺぇ」
「────ふっ、『ロック……っ、はぼっ!?」
互いが全力を出し切り、転び、頭をぶつけ、デジモン達は必殺技すら出せずもつれあう。
「マナトくんを連れてくんや」
「いやだ」
少女は自身の思いに体が全力を出し切ってもなお、立ち上がり続ける。
「うっ、ああっ!」/「げほっ!?」
デジモン達もそれに従う。
「行って、笑える場所に戻るんや」
「そんな場所じゃない」
互いが互いの想い合う『違う光景』を思い出して、少女達は再び立ち上がるのだ。
「こんのっ!!!」/「……はぁ、はあ」
そして、決着がつきそうなそんなとき、
「そこにウチは……、そこで、隣に……いたいんや」
「そんなの……、いや、だよ。さび……しいよ」
少女達は泣いても笑っても……その最後が近づいたとき、
「『ファイアーボール』っ!!!」
「おそいっ!!!」
ギルモンの攻撃をブイモンが避けてしまった。
「────みなみっ!?」/「────へ?」
「────は?」/「ルビーっっ!!!」
火の玉が2人へと向かう。そこに反応できたのは、
「────危ないっ!!!」
紅い目の少女だった。
「……は?」
火の玉は、金髪の流れる髪のなか少女達の目の前に存在して……、みなみを守るようにルビーが抱きしめたのを、みなみは見てしまっていた。
「ルビー?」「ミナミっ!!!」
火の玉が少女へと『当たる』直前まで、デジモン達には見えていた。煙は火の玉が着弾し、破裂したことで上がっているのだと、ブイモン/ギルモンはそう思っていた。
「「……え?」」
煙の中、2人の少女の声が混ざる。
「タイ、ト?」/「マナト、くん?」
『夜空色の光』が彼女達を包み込んでいた。
「……
「こっちが必死になって作業してるのに……、僕に黙ってこんなおもしろいこと……、ずるいぞっ!!!」
少女達の目はその瞬間死んだ。
(……あっ、イグドラシルだ)/(……なんや、こいつか)
「なんだい、その……、残念な顔は……僕が助けなかったほうが良かったみたいな顔はっ!!!」
((ときめいて損した))
「ああ──、もうやる気なくなっちゃうなぁ。君達を守ってる機能をあらかた作り上げたの僕なのに、やる気なくなっちゃうなぁ!!!」
そんなことを言う神を横目に、
「悪い、ルビー!!!」/「ごめん、ミナミっ!!!」
「避けた結果ならしかたないよ」/「別にええよ。ブイモンが避けたのが悪いんやし」
「あ?」/「あ゛?」
喧嘩は再び再開しそうであった。
「……僕の話は無視なのかな?」
イグドラシルはののじを荒地に描き始めた。
「……イグドラシル、ここでは感謝しておきますぞ。……、というより、それを出していいのでありますかな?」
その横にユイが気になった様子で近づいていく。ユイが気になっているのは、タイトの体から出るデジソウルについてだった。
「よかった、ありがとうユイっ!!! 君だけは僕を無視しないんだねっ……って、これ?」
ついでに感謝されたことに喜ぶのもつかの間、すぐにユイの質問に答えるイグドラシル。
「大丈夫、そこらへんの機能もあらかた
(出力は多少落ちてるけどね)
不完全な為神にも直せないものはあるので、これはしょうがないのである。
「……なんですとっ!? これで、完全復活ですなっ!!!」
だが、それでもユイにとっては幸せなことであった。
「……で、ご主人様は治ったのでしょうか、この、クソガミ様?」
「記憶入れてないんだから、治るわけないじゃん。それに最終調整もまだだよ」
「なら、なんの報告に来たのでしょうか。このボンクラは?」
「ねぇ、僕、最終調整って言ったよねぇ! 言ったよねえっ!!!」
「はいはい、その報告が必要なんでしょう?」
「再度忠告を……って、君達をどうしたんだい?」
クダモンとのいつものやりとり……だが、イグドラシルには別のものが見えてしまった。
「……教授?」/「みゆきちゃん?」
なにかを探すように、2人は周囲を見渡している。
「
ミユキの言った言葉は、
「は?」
「「「はぁぁぁああああああああああっっ!?」」」
現状を変えるには十分な言葉であった。
「クダモンっ、レナモンとガブモンが来たのは本当にこっちなのっ!?」
ミユキは焦っていた。
今まで、レナモンがミユキの前から突然姿を消したことは一度もない……、しかし、今回レナモンはいきなりミユキの前から姿を消した。その異常事態にミユキは混乱している。
「気配はたしかにこちらから来ております」
体育館の床下、そこには埋め立てられた井戸が掘り起こされ、ハシゴが立てかけられている。
「体育館の床の下にこんな道……、いや、防空壕か? あるとは思ってもなかったわ」
次々とハシゴを降りる少女と老人……、そんななか。
「……おい、早く行けよっ!!!」
「ギルモン挟まったっ!?」
「ーーーーおいっ!?」
先程まで、あんな戦いをしていた2体が、仲良くしているのは不思議であった。
「しょうがないな、引っ張るぞ」
ブイモンは呆れて腰を掴もうとするが、
「あっ、抜けた」
「ーーーーうわっ……いてて」
ギルモンと一緒に井戸の底へと落ちていった。
「…………レナモン、どうしたのかな?」
「姉さん……、きっと大丈夫さ。もしかしたら、四聖獣の痕跡を見つけたのかもしれないし、すぐにでもーーーー
(……おかしい)
地下から放たれる強烈な気配がさらに強まる。
クダモンはレナモンとガブモンの気配は、その気配の中心にに呑まれたのを肌で感じ取った。
(倒された? ……いや、違う。残されたのはスーツェーモンのはずです。倒されたのであれば、途方もない熱波がこちらへと吹いてくるはずです)
「あっ、あそこって!?」
「防空壕の出口やな」
「レナモンっ!?」
「姉さん、待って!?」
走り出す少女と男性。
「ルビーっ!?」/「ミナミッ!?」
「行くんだよねっ!!!」/「わかっとるっ!!!」
その背中を追いかけて走り出す2人の少女と2体のデジモン。
私は気配の中心へと飛び込む彼らを追いかけて、走り出した。
…………そこには、
「
紅き大翼。
「
日輪のように燃えるデジコア。
「
そのトリは大いなる力を持って、私達の前に姿を現したのであった。