「ねぇ、テト」
「……ん?」
「もしも、テトやシン、ユイだけじゃない」
「クロスウォーズの世界で出会ったデジモンやキリハやネネ」
「母さんやルビーやアクアやおじさん、ミヤコさんと一緒に」
「この『
「……そうだね」
これはただの妄想だった。
テトの前だったから言えた妄想だった。
他の人やデジモンの前なら絶対に言わないことだった。
母さんやルビーやアクア、おじさんやミヤコさんにだって、それぞれの生活があって、それぞれの仲のいい友人だっている。
キリハやネネは別の世界の人間だ。俺の妄想に巻き込むべきじゃない。
デジモン達の気持ちなんかわからない。
特に、ブラックテイルモンは目の前で友人だったプロットモンをみすみす見殺しにしてしまった。
そう、これは俺の妄想でしかなかった。
タギルに人が集まる。
タギルを人が褒める。
タギルによって世界は救われた。
つまり、この物語はもう終わったものなのだ。
「なあ、ブラックテイルモン……それに、俺についてくるといったみんな?」
俺の、確かに俺の言葉のはずだ。
「「「なんでしょうか?」」」
俺の口から出ていた言葉に、口から出してしまった言葉に、みんなが聞いてくる。
「俺はこれからきっと間違いを起こすと思う」
「「「…………」」」
そう、これは間違いであってほしい。
間違っていてほしい言葉なんだ。
否定してほしい言葉なんだ。
誰か、誰か、だれか否定してくれ、止めてくれ。
「……それでも」
そうであれば、
「それでもついてきてくれるか?」
そうであれば、
「「「……はい」」」
…………覚悟は決まった。
「タギル、よくやったなっ!!!」
「ガムドラモンっ、……あのチンピラが、まぁ…………本当によくやったっ!!!」
クォーツモンが倒れた。
明石タギルとそのパートナーデジモン、アレスタードラモンの手により、クォーツモンは倒された。
「ありがとうございます、タイキさんっ!!!」
「……ああ、がんばったぜっ、王様っ!!!」
タイキとシャウトモンが近づいて、タギルを誉めている。
「やったな、タギルっ!!!」
「やってやったぜっ!!!」
「タギル、……クォーツモンを倒してくれて、ありがとう」
「……リョーマ……、ああ、やったぜっ!!!」
そして、それに続くように、ユウや最上リョーマなどのハンター達。
「よくやったじゃねえかっ!!!」
「おわっと!?」
「タギルっ!?」
「タギルが転びかけてるぞ。ダイスケ、……お前はもう少し……落ち着いて、だな」
「いいじゃねぇかっ、世界は救われたんだからよっ!!!」
八神太一や本宮大輔、他の英雄達が集まっていくなか、……たった1人、たった1人だけ動いていない奴がいる。
(……タイト)
タイトはただ、その光景を見ているだけ、見ているだけで……俺には、何か不安なものを感じさせる。
「……ネネ」
「わかってるよ……、キリハくん」
隣にいるネネも気づいている。
タイトの表情が変わったことに……、気づいてしまった。
「……お前もわかってたか」
クロスローダーを構える。
メタルグレイモンは背後で静かに頷いた……っ、!?
「警戒を……っ!?」
タイトが動き出した。
「タギル、ガムドラモン……よくやった。よく世界を救ってくれた」
「……時計屋のおっさん……っ」
時計屋とタギルに向かって歩いている。
「ブレイブスナッチャーを使い、世界を救い……まさしくお前は最高のハンター……、いいや、工藤タイキを超える『スーパースター』になったわけじゃ」
周りにはデジモンはいない。だけど、それ以上に不安を感じていく。
「……俺は、まだ実感が湧かないっす」
「タギル、何考えてんだっ!? 世界を救ったんだぜ。あの王様とそのジェネラルと同じように世界を救ったんだっ! 自信を持てよっ!!!」
「……まあ、そんなモンじゃよ。しばらくすれば実感なぞ湧いてくるじゃろう」
3人の会話、実感が湧かないと笑い合う。その3人に向けて、走り出すタイト。
(メタルグレイモンっ!!!)
(キリハッ!!!)
メタルグレイモンに指示を出して、いつでもタイトを止められるように準備をしている。
(タイトの狙っていることはわからないが、お前の目的は邪魔させてもらう)
友人として、仲間としての決意を固める。
「……それより」
時計屋が動いた。
「ブレイブスナッチャーっすね」
タギルも時計屋も、タイキもシャウトモンも……あの場にいる誰も、タイトの動きに気がつかない。
「返しちまうのかよっ、もったいねえっ!!!」
ガムドラモンが叫ぶ。
「こんな力持ってたとしても俺達に扱い切れるかよ。……それよりも」
タイトの走り出す速度が上がる。
「
「……それもそうだなっ!!!」
2人が時計屋に『ブレイブスナッチャー』を渡そうとしている。
(メタルグレイモンッ!!!)
メタルグレイモンに全力でタイトを捕まえるように指示を出した。
時計屋と俺達との距離は、30メートルも離れていない。メタルグレイモンの全力を出せば、周りの人達を巻き込んでしまう。
(上空へ行き、タイトを『トライデントアーム』で捕獲するんだ)
(わかったっ!!!)
メタルグレイモンが大きく上昇する。
「……では、貰い受けようか」
時計屋が『ブレイブスナッチャー』に手を伸ばした時には、タイトと時計屋の距離は5メートルもなくなっている。
(────まずいっ!?)
タイトは『それ』に手を伸ばした。
「
「えっ?」/「……は?」
「……キリハ?」
俺は大きく声を上げる。
ブレイブスナッチャーを持つ2人も、時計屋も、タイキも、ハンター達も英雄も気づかない。
「メタルグレイモンっ!!!」
「『トライデントアーム』ッ!!!」
メタルグレイモンがタイトに向かって手を伸ばした。
「…………これが、『ブレイブスナッチャー』……これが、『クォーツモンのデジタマ』」
タイトの左脇に『ブレイブスナッチャー』が、左手には『デジタマ』が抱えられている。
「……ぐっ、ぐぐぐっ!!!」
メタルグレイモンの『トライデントアーム』は、タイトの右手人差し指と中指に挟まれ、動きを止められている。
「間に合わなかった、か」
「……間に合わなかったの?」
俺達は止めることができなかった。
「メタルグレイモン、ごめんな?」
「────っ、タイ、……と」
ズシンと音が鳴った。
「────なっ!?」
気がついた時には、メタルグレイモンが倒れていた。
ズガンっ!!!
大きな音が鳴り、メタルグレイモンを中心にクレーターができる。タイトの指から『トライデントアーム』が離れ、力無く地面へと落ちている。
「……なんで」
「なんで、こんなことをしてるんだよっ、タイトっ!!!」
タギルが叫ぶ。
タイトの突然の兇行……、俺達ですら内面さえ気づかなかったタイトの行動の変化。
「……なんで、か」
「「「────っ!?」」」
タイトの表情が見えた。
俺も、タイキも、ネネも……その『顔』には見覚えがあった。
「
「タイキさん」
タイキへと顔を向ける。
「なんで俺がこんなことをしなくちゃいけないんでしょうか?」
……なんで?
タイトはなんでタイキにそのことを書いている?
「……タイト、とりあえずそれを返すんだ。そして、話をしよう。話せばそれくらい」
ああ、ダメだ……タイキ、その言い方だとっ、
「
「────っ!?」
絶望した人間は救えない。
「なあ、タギル?」
「……なんだよ」
今度の標的はタギルに変わった。
「俺さ、……君のおかげでわかったんだ」
「何がっ!?」
タイトはタギルに向けて、自重するような笑みを浮かべる。そして、タイトの言った言葉には疑問が残る。
(何が、何がわかったというんだ!?)
タイトの兇行……、その原因はタギル。
(……タイトくん)
タイトが俺達と再開した時にはなかった、絶望した表情の原因……その理由がタイトの口から話される。
((……えっ!?))
「────すぅ」
俺とネネに向かって、笑って……、その後息を整えて、タギルに寂しそうに笑っている。
「
「────っ!?」
((……なんで?))
なんでそんな悲しそうな顔をするんだ。俺にも、ネネにもその言葉の意味はわからない……でも、
タイトの表情が怒りに変わっていく。
「
力無く震える手のひら。
「
怒りと悲しみ……、その表情はまるで……、
「……なんで俺は」
まるで、
「…………これを言ったらおしまい、だよなぁ」
(
「……タイト」
俺はタイトの方へと歩み寄ろうとして……、
「わけわかんねえこと言ってんじゃねえっ!!!」
「テト」
タイトの顔に誰かが突っ込んでいくのが見えた。
「────っ、どりゃあっ!!!」
異世界から来た英雄の1人、大門マサルだ。
ぴきっ、ぴきぴきぴきっ!
タイトの顔に拳は当たっていない……けれど、タイトの顔と大門マサルの間にある空間の壁にはクォーツモンの攻撃ですら入らなかったヒビが、顔のあたり一面に広がっている。
「テトの壁にヒビを入れるなんて……やっぱり、馬鹿力ですね」
「お前は元の世界を救うんじゃなかったのかよっ!?」
「どうなんでしょう?」
「『どうなんでしょう』じゃねえっ、お前には大切な家族がいて、それを救う為に、旅してたんじゃねえのかよっ!? それを……どうしてこんなことをしてんだよっ!?」
「…………」
「いいから、答えやがれっ!!!」
なんども、なんどもタイトの顔へと拳をぶつけようとする。その拳はデジソウルを纏い、テトの空間操作でできた壁にヒビを広げる……広げるけれど、一向に壊れる様子はない。
「貴方に言って、何か変わるんですか? 自分の世界すら捨てたあなた、なんかに?」
「────てめえっ!!!」
全力の拳。
タイトを狙った全力の一撃。
タイトを殺すためだけの、怒りに身を任せたたった一度の全力の拳は……、
「マサル、やめろ」
金髪の少年によって止められる。
「トーマっ!?」/「トーマさん?」
「ひさしぶりだね、タイト」
タイトの知り合いみたいだ……というより、
(タイトが敬意を払う相手?)
大門マサルを蔑むような顔から一点、驚いたような表情へと変わったのが を俺は見逃さなかった。
「君は…………」
タイキが近づこうとする……、っ!?
「トーマさん」
タイトが泣いた。
「
「「「────っ!?」」」
14歳?
「あれから10年……、貴方はいつ俺と……、俺達と別れてからどれだけの時間が経ったのかわかりません。でも、俺はこんな見た目だけど『14歳』になったんです」
あの顔で?
「……大きく、なった……とは言えないね」
俺とタイキと同い年の……中学生?
「大きくはなりましたよ。途中で、体をぶっ壊されるまでは」
うそだろ?
「この体は、もう成長しません」
8歳の頃よりも身長は縮んでるんだぞ?
「────っ!?」
俺達が1年もしないうちに、あいつは6年過ごしてた?
「第二次性徴だってまだ来てないんですよ」
それなのに、?
「…………」
友人なのに、
「長年デジタルワールドの食事を摂り続けていたせいか、人間の食事を……『
仲間なのに、俺は?
「────っ!?」
俺は、
「それに見てください」
俺は何をやっている?
「────うそ」
「なんで、ブレイブスナッチャーが使えるんだよっ!?」
なんで?
「俺の壊れた体を治すときに六人の英雄の細胞で肉を作り、一人の英雄の血で体を維持しました……、こうすればわかりますかね?」
「「「────っ!?」」」
なんで、俺はあいつに何もしてやれないっ!!!
「あそこから、太一の気配を感じるっ!?」
「大輔もだっ!?」
「あの肌の色……、もしかして拓也の?」
「目の色が緑色だぜっ!?」
「あれ、タイキくんと同じ耳の形……」
「肌が……なんていうか、つぎはぎに繋がってる。全部肌色なんだけど、全部違う色に見える」
「あれ、もしかして、タギルの髪の毛か?」
外野の声がうるさい。
(顔をあげろ、キリハ)
デッカードラモンの声がクロスローダーから聞こえてくる。
「────っ、あっ!?」
「……タイトくん、なんで」
ネネが座り込んでいた。
(俺は、俺は何をやっているっ!!!)
勝手に絶望している暇はない。
(今、考えなくちゃいけないのは、タイトをどう救うかだろうがっ!!!)
「なんで、こんなにがんばってるんですかね、俺は?」
「…………」
ツギハギだらけのタイトが僕に聞く。
(……これは?)
どう声をかければいい。
本人の中で、もう結論は出ている。それを確認するために、わざわざ僕に話しかけているだけだ。
(タイトの感情は自分の鬱憤を晴らしたいだけ……、でもそんな相手にどう声をかければ)
「おい、タイトっ!!!」
────まずいっ!?
「そんなに嫌ならやめちまえばいいじゃねえかっ!!!」
何も考えもしないで、爆発頭の少年、『本宮大輔』がタイトへと逃げるように言ってしまう。
「大輔さん……たとえ、自分の生まれ故郷が滅ぶとしても、それが言えますか?」
「────っ!?」
タイトの標的が変わってしまった。
「この世界と同じように、そこにはたくさんの命があります。それを見捨てて、貴方は『一人だけ生き残れ』とそう言うんですね。本宮大輔さん」
「────それはっ、ちがっ」
「違わないんじゃないですか? 俺が逃げたら、世界が滅びる可能性があと二つもある世界だと言うのに」
「貴方は部外者なのに、『全てを見捨てて俺に逃げろ』って、なんで言えるんですかね?」
「────ッ!?」
「ダイスケっ!?」
容赦なく繰り返されるタイトの質問。その答えを持てずに、本宮大輔は追い詰められる。
(しかたない)
容赦なく追い詰めていくその様子を止めるべく、僕は覚悟を決める。
「……それに」
追撃をしようとするタイト。でも、その話はもうこれでおしまいだ。
「タイト、今は僕と話す時間だろ?」
僕は本宮大輔の前に立ち、タイトと僕が話している最中であることを意識させる。
タイト自身、僕と話したいと思っているのは事実だろう。その上で、会話に入ってきた彼を不愉快に思った。だから、嫌悪をむき出しにして対応した……全く、昔以上に、相手がしづらい。
ただ、怒りに身を任せていた昔の方がまだマシだった。
「そうですね、……目を逸らしてすみません」
言葉だけの謝罪。
だが、意識をこちらに向けたことに意味がある。これで、こちらが敵対しなければ、彼はこちらへと不穏な動きを取らないだろう。
「……君に、君に何があった?」
僕はマサルの質問を繰り返し聞いた。
昔の彼と違い、今の彼は……、まるで『自分の産まれた『今世』の世界』を憎んでさえいるようなそんな気配がする。
「…………」
タイトが空を見上げる。
「……この世界はすばらしい世界ですね」
「なんの打算もなく、誰かを助けてくれる人がいて」
工藤タイキを見て、
「間違えても、やりなおすことができて」
天野ユウを見て、
「目の前の目標を前に臆することなく進むことができて」
明石タギルを見て、
「本当にすばらしい世界です」
タイトは寂しげに笑い……、
「────
「────っ!?」
瞬時に、憤怒の表情へと姿を変える。
「トーマさん」
「目の前で性暴力を受けそうになる少女を何度も見たことがありますか?」
ない。
「目の前で自分の子供に暴力を振るう母親を見たことがありますか?」
母親はない。
「自分の欲を満たす為に、拒絶する衰えた父母を無理矢理長生きさせていることを、『父の為だ』『母の為だ』と笑う壮年の男女を見たことがありますか?」
ない。
「金に溺れる友人の姿を見たことは?」
……友人はない。
「性欲に突き動かされ、1人の少女に無理矢理覆い被さろうとする男子生徒を見つけたことは?」
ない。
「助けた人に裏切られたことは?」
ある。
「仲間が殺されたことは?」
ある。
「泣いている少女に犯されそうになったことはありますか?」
……ない、はずだ。
(…………、これは?)
なんの質問だ?
いや、違う……まさかっ、そうであってほしくない。彼には、僕は幸せになってほしくて……それで、
「
「…………は?」
信じたくない言葉が聞こえた。
彼から、彼はまた苦しんだのか?
僕は彼を救えなかったのか?
「俺は、……なんで、あの世界を救いたかったんでしょうか?」
「……それはっ、君が僕達の……僕達のことを憧れて、いて」
不意に口から出る言葉……、違うとわかっていても、そう言ってしまった自分に後悔する。
「……すまない、忘れて」
「俺はもう、疲れたんですよ」
タイトが力無く笑った。
「テトに、シンに、ユイに、この三年間、何度も何度も言われました」
きっと本宮大輔と同じ言葉だ。
「『逃げようよ』って」
無責任に言ったわけじゃない。
「『見捨てていいんだよ』って」
自分もその罪を背負う覚悟を持って、
「『無理しないで』って」
あの3体のデジモンは、タイトに対してそう言っていた。それを否定してまで、無理をしてまで、今日まで戦ってきたのがタイトだ。
(……それを)
「この世界に来て気づきました」/(理解させてしまったのは)
「『
(
「俺は、ただ……、あの人達と笑っていたかっただけだったのに」
笑っていたかっただけだった。俺はただ、それだけだったんですよ……トーマさん。
「君は、助けを求めたのかい?」
助け? ……なんで?
トーマさんの言ってる言葉が理解できない。
(…………)
少しだけ考えて、結論を出す。
「助けを求めたのなら、僕は進んで君の力に────」
彼は気づいていないんだろう。
「本当に成れると思っていますか?」
「────ッ!?」
「『時計屋』さん、ここにいる人達に残された時間はどれくらいですか?」
俺は時計屋さんに声をかける。もう時間はないはずだ。
「後、数分……って、ところじゃな」
「────ッ、そんなに長くいられるんですね」
アニメでは話している時間なんてなかったから……、いや、違うか。
(『クォーツモンのデジタマ』の権利の行き先が決まったからか)
なんとなく思い出したことを整理して、答えを導き出す。
アニメではタギルからシャウトモンに、『クォーツモンのデジタマ』は渡されていた。しかし、今、俺の手の中に『クォーツモンのデジタマ』が存在する。
つまり、まだ、所有権は俺の中に存在する。
「────どういうことだよっ!?」
タギルが叫んだ。
俺と彼にしかわからないことだから、ちゃんと説明してあげないといけないかな?
「この世界は『胡蝶の夢』、現実には起こり得ない別世界の英雄達が集う夢想の時間」
この世界は夢と同じだ。
「そんなことは本来、世界にはあってはいけないことなんだ」
別の世界から来た人間が、大きく世界に関わることなんて、本当はやってはいけないことだ。
「俺がトーマさんに、マサルさんに再会できたのも奇跡なんです。そんな時間は、もう俺達には残されていない」
奇跡よりも奇跡的な、世界のルールすら壊してしまう。異常事態……それが、このクォーツモン戦。なんの理由もなく、勝手に別世界の人間を連れてきたらいけないに決まってるだろ?
「……それとも、俺の世界に来ますか? 救う価値なんて見出せなかった世界に?」
自分の意思で来てくれるのか?
「家族も友人も、『二度と会えなくなる』覚悟を決めて?」
もう二度と会えなくなるかもしれないのに?
俺を助けてくれる?
そんな人間いるわけないだろ。
「…………」
タギルとガムドラモンが目を背けた。
「…………」
天野ユウがネネの服を引っ張る。
「…………」
キリハが目を逸らして、
「……でも、俺はっ!!!」
タイキさん、無茶しないでください。俺は、タイキさんの顔を見て首を振った。
「無理なのはわかっています」
無理であってほしいんだ。
「だれしも、『自分の大切なもの』が大事ですから」
俺の世界なんか滅んでもいいんだよ。
「そこに俺の世界は微塵も入る隙はないんです」
貴方達の大切なものを守って生きてほしいんだ。
「……でも、そこにはたくさんの人やデジモン達が暮らしているんだろ?」
タイキさん。
「ええ、そうですね」
俺は頷くけれど、
「────だったらっ!!!」
俺は首を振る。
「『それでも』……ですよ。タイキさん」
滅んでもしかたないんです。
「俺は貴方じゃないから、無理ですよ」
俺じゃだめだったんですよ。
「────っ、そんなことないっ!!!」
そう言われても、俺は決めてしまったから、
「俺はこの世界が好きですから……」
俺はこの世界の人達が好きだからこそ、
「
あの世界が嫌いになれたんだ。
「俺は、この世界に産まれたかったなぁ」
言いたくなかった。
言ってしまった。
ごめんなさい、母さん。
ごめん、クダモン。
ごめん、ユイ。
ごめん、シン。
ごめん、テト。
俺は、君達との出会いすら否定してしまった。目が見えていなかった。
「……だったら、……だったらずっとここにいろよっ!!!」
「私達と一緒に暮らせばいいじゃないっ!!!」
温かい言葉……、そうですね。俺もここに暮らしたいです。
「アカリさん、剣さん……、ありがとうございます。でも」
でも、もう無理だ。
「……もう、時間切れです」
なんとなくそう思って、視界を見渡す。
そうしたら、俺のことを心配そうに見ている視線に『ようやく』気づくことができた。
「キリハッ、ネネッ!!!」
「「……タイトっ!?」」
俺のことを心配してくれたんだな。
「
こんな言葉、言ってはいけない。
「
こんな最後を見せてしまった『裏切り者』が言ってはいけない。
「
こんな俺が言ってはいけないんだっ!!!
「俺を
……言ってしまった。
「「────ッ!?」
結局最後まで、俺は2人に甘えっぱなしで────、
「お前は仲間だろっ!!!」/「私達の仲間でしょっ!!!」
────っ!?
「待ってろっ、絶対に助けてやるっ!!!」
「私、絶対に、タイトくんのところに行くからっ!!!」
2人が叫ぶ。
「……そっか」
『目』がようやく覚めた気がした。
「俺は、いい仲間を持ったなぁ」
俺はテトと一緒に、次元の狭間に吸い込まれていった。
「ノルン様」
「私はこの世界の『裁定者』として」
「彼の世界を見定めることを、ここに再び誓います」
「そして」
「もし、」
「彼の世界がこの世界の敵と、脅威となるならば」
「私が彼の世界を滅ぼすと、
8/1に向けた番外編のif√再アンケート (if√ハッピーエンドに、if√ネタバレ含む情報開示あり)
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『√アポカリモン その手で掴む為』
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『√カオスドラモン 星に寄り添う月世界』
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『√??? 失望の果て』