そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「すまない、アイズたちを見てないか?」
「あっち」
「……感謝する。なっ、あれは……!」
引き続き食人花を処理してたら、余裕があるからか、リヴェリアが屋根上まで来たけど……スカート大丈夫だった? ハイエルフのパンチラは需要あるぞ? まぁいいか。
ちょうど胎児も寄生したみたいだし、レヴィスも一旦後退した。でもってアイズたちはこっちに来た、か。いや、普通に戦えるのも戦えねぇのも
「悪ぃが獲物もらうぞ」
「は?」
念のため一言断って、倉庫から大量の火炎石を射出する。あれだけデカイ的を外すわけもなく、推定
食人花だった触手で防御しようとしても、先行してそちらに向けた火炎石もあるわけで。ついでに言えば爆発ってのは空気の膨張だ。触手を持ち上げようとしても上から風圧に押さえつけられ、ほぼ全ての火炎石による爆撃をノーガードで受ける羽目になった。
「神は言った。巨大化は負けフラグだと」
いやまぁ手のひらに収まるサイズの胎児から巨大化しなかったらそれはそれで濃厚な負けフラグなんだが。初代マンの四次元怪獣みたいな? ところで精霊って神みたいな現代日本オタク的価値観や知識を持たせてあったんだろうか。シリアスな場面に真顔で神のノリやネタ台詞持ち出されたら台無しだぞ色々と。
火炎石って言っても濃縮されてたり加工されてたりするんで威力は段違い。バロール確殺できる攻撃だし、寄生先が食人花な生まれたての
「なん……だと……」
「おいおい、まだ
「え、あぁ……すまない、感謝する」
巨大モンスターが秒殺されたのを目の当たりにしたリヴェリアが呆然と呟いてるが、眼下ではレヴィスがアイズに襲いかかってた。
風を纏ったアイズの反撃もいなしてる辺り、冒険者としての実力だけでも相当に高いんだよな、レヴィスって。やっぱり精霊と契約してた古代の英雄とか候補、あるいはその仲間みたいな感じだったんだろうか。
外伝だといかにも因縁ありそうな感じに現れといて、謎を明かさないままあっさり目に退場したからなぁ。魔法なんてトンチキがあるんで、アレが本体とは限らんけど。あるいは精霊が『
「ボールス! おかわりは尽きた! 被害状況知らせ!」
「まだこっちは終わってねぇ! だがもうすぐ、だっ!」
うむうむ、どうやら人的な損害は軽微っぽいな。
念のためもう一度周囲を見回すが、流石に状況は多勢に無勢。程なく鎮圧されるだろう。普通に加勢して【
……原作ベルのLv.3って何してたっけ。アポロンと
その後、本来の歴史とは違って犠牲者ほぼなしで切り抜けたリヴィラの街は、建物の被害も比較的軽微に終わった。なもんで、ある意味では普段通りに宴会が始まり、何故かアタシの奢りになっていた。解せぬ。
「いやぁ、しかし大変な目に遭ったよ」
「これだけ大規模な襲撃だ。ギルドに報告しないわけにもいくまい」
ロキ派もすぐに報告へ上がるでなく、宴会に参加してた。ただしレヴィスは普通に逃がしてしまったらしい。アマゾネス姉妹も追加で向かったのに。一応、腕の一本は奪ったらしいが灰になってしまったんだとか。
とりあえず魔石もあったら殺すのは楽だなって素直な感想を言ったら何故かドン引きされた。解せぬ。
巨大モンスターの誕生
「しかし助かったぜ。【
ボールスぅ! お前には失望したぞ。アタシを巻き込むなって言ってるだるォ!?
まーここの復興具合でシナリオに変化出るとは思えなかったから介入を良しとした感じはあるからな。荒廃したリヴィラの街に心を痛める必要がないならそれに越した事はないし。
「そンときゃ最強派閥様が敵討ちはしてくれてたろうよ。ありがたく崇めとけ」
「いやおめぇ、そこは守ってくれたとかにしとけよ」
いやー普通に考えて守るのは現実的じゃねえからなぁ。格上が大挙して押し寄せて来るんだし。湖から崖を上って来るって事は街の防壁だって簡単に上って来るんやぞ。しかもあの数が。無理だろ。
「物理的な範囲攻撃の一つも持たねェのに離れた場所に配置されてる複数対象の護衛なンざできるわけねーだろ。アタシが見つけたのだって
「お、おぉ……背中が寒くなる話だな。対策どーすっかなぁ」
「強くなるしかねェだろ。ここだってダンジョンなんだ。何が起きても文句は言えねェ」
「チッ、簡単に言ってくれるぜ」
「あァン? そりゃ言うに決まってンだろ。重々しく言って欲しいならテメーもソロでほぼ毎日ダンジョン潜ってLv.2でゴライアス、Lv.3でアンフィス・バエナをソロで狩って来い」
「誰ができるか、この変態が!」
ゴライアスの一件は目の前で見てるからな。これ言えば古参は大体黙るし、若手や新入りは古参の様子から察する。それができねぇのは無視するか直接指導。
「まぁ、今回の被害分は補填するさ。ちょうど妹のパーティーが行き分だがドロップアイテムここで捌くし」
「おぅ、助かる」
「あー【
「
「いっそ敵対的でいれくれた方がマシな返事をありがとう。しかし無名だった君の妹たちが急激な成長を見せている事は僕らとしても見逃せなくてね」
「それはそれは。最強派閥の自覚がおありでしたらば、是非ともそっとしておいて下さると助かりますね。どのような意図があろうと、どれだけ譲歩された言動であろうと、周囲からの評価は若い芽を踏み潰そうとする巨人の図ですので」
「おい、てめぇらよそでやれ! ここだけ気温が下がってるみてぇに寒気がするんだよ!」
体感の気温どころか重力まで変動してると思います。どけ、アタシは
「だ、そうですが?」
「わかったよ、この場は引こう」
「左様で。可能でしたら団員の手綱を握るのもお願いしたいですね」
「団長に媚び売る牝犬が……!」
「【
一応これ、ボールスとアタシがリヴィラの街側の、フィンとリヴェリアが居合わせたロキ派の責任者って事で設けられてる話し合いの席だからね。プライベートの話題はぶった切るとも。
つーかそんなんじゃなきゃリリの下に馳せ参じて甲斐甲斐しくお世話させて頂くに決まってんだろうがよ。何が楽しくてムサいおっさんと若作りAおよびBと同じ席を囲まにゃならんのだ。
そのリリたちはパーティーでまとまってるが、一応参加してる。そしてアイズと【
「それで、おめぇら途中で抜けたのはあのローブの女を見付けたんだろ? ハシャーナの探し物はどうなったんだ?」
「……灰になったよ。彼女のおかげでね」
「【
「なンだ。せっかく守れそうな街を犠牲にあのデカブツを調べたかったのか?」
「は? じゃあ、何か。ハシャーナが、【ガネーシャ・ファミリア】があんなデカいモンスターになるアイテムを持ち込んでたってか?」
「正確にはハシャーナの手は離れてただろ。あのデカブツが出て来る前、屋根の上から見た感じだと同じ方向の街の外れに【剣姫】と若いエルフとよくわからん女が三人でいたからな。てっきり七年前邪神の間で流行ってた連れションかと思ったんだが……」
「ローブの女――赤髪の
あくまでも知らぬ存ぜぬを通す、か。まぁどこから漏れるかわからんし、アタシは
「要は落ち合う場所を僻地にしなかったハシャーナと受取人のせいで巻き込まれたわけだな、この街は」
「そういう事かよ。おいフィン、その受取人って女の所属先はどこだ? そいつが受け取ってすぐに
「アイズたちも聞きそびれたってさ。聞き取り中に赤髪の襲撃があったせいで有耶無耶になったし、受取人の姿も消えたらしい」
「カーッ、冒険者の風上にも置けねぇやつだぜ。おい似顔絵描いて指名手配するぞ! 出禁だ、出禁!」
「遠目だから微妙だが、
「おめぇ、割と絵下手だな」
「昔からどうにもな。おかげで絵画は輸出してねェから、高級品扱いで一当てすンなら狙い目だぞ」
「無茶言うなっつーの。仕方ねぇ、フィンの方でも【剣姫】に頼んで似顔絵描かせてみてくれ」
「ふむ、そうだね。じゃあ頼んでみよう」
「こりゃ……なんだ?」
「……ルルネ、さん?」
「いやなんで描いた本人が疑問系なんだよ!? つーかこれで人捜しは……」
アイズの画力は素晴らしかった。画伯と呼べる程度には。アタシは普通に下手だなーで終わる、要点だけは伝わる絵。対して、アイズのそれはとても……そう、宇宙だった。写実的とか抽象的とか、そんな次元の遥か上を行っていた。
「いや、何事も考え方次第だぞボールス。この絵で【ヘルメス・ファミリア】のルルネとかいう情報を載せて貼り付けておくんだよ。本人や知り合いが見たら絶対に反応するし、本人なら剥がそうとする可能性大だ。つーか【ヘルメス・ファミリア】って部分だけでも情報としちゃ十分だしな。さすがに【
「なるほどな……まぁ、せっかくあの【剣姫】が心を込めて描いてくれたんだ。使わねぇ手はねぇぜ。ありがとうな!」
「はい……先生、私、役に立てた?」
「おぅ、もちろんだ。似顔絵もそうだが、何より所属と名前が分かったのはでけぇからな」
「そっか。良かった……」
アイズが口止めされてなかったのか、先生呼びする程度には慕ってくれてるアタシにならいいやと思ったのか、あっさり名前と所属を言っちゃったからな。さすがに詐称は黙ってたが。後でフィンに叱られるかもしれんが、庇う義理ないし大丈夫っしょ。
つーかこれエイジャとラピスとの関係知って脳破壊されないか心配になるな。原作のベルとウィーネで大丈夫だったんだしいけるいける。
アタシが24階層の
「……ん」
「はいはい、よしよし」
アイズがしゃがんで頭をこっちに突き出してきたんで、撫でてやる。遠くから悲鳴のような怒号のような叫びが最低でも二ヶ所から上がった気がするけど、リリとレフィーヤか? リリのご機嫌取りは頭撫でに
「おめぇ、大概
「うるせぇ」