そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
えー、ただいま深層に来ております。アタシ本来の目的である44階層以降よりは遥か手前、現在地は37階層にございます、はい。
「それじゃあ、行ってきます」
「気を付けろよ、アイズ」
フンス、とガッツポーズを決めてから進み出すアイズを、軽く手を振るだけで見送る。
「お前は声をかけてやらないのか?」
「生憎と
「……うちの馬鹿が本当にすまない」
アタシの態度が気に食わなかったらしい
具体的には爆破落下の情報を得たらしくバベルで待ち構えてた【
向こうのやってる事が当たり屋なんだが、だって主神がロキだしって考えると納得できちゃうというかむしろ穏当に思えて来るから困る。
結局あの契約書もレフィーヤ個人の借金になったしな。一括支払い禁止が項目に盛り込まれてるから永久にリボ払いから抜け出せなくなったレフィーヤは泣いていいと思います。契約書をしっかり読み込み理解しなかったお前も悪いが、そんな風に焦らせ混乱させた上層部も悪いんやで。これで派閥ごと距離を置いてくれると助かるんだが、そっちは効果が見込めそうにない。まぁ傭兵っぽいスタンスを止めて完全に私情だけで動くようにすればいいだけの話なんだが。でもどうせなら最高のタイミングで断りたいよね。弱り目に祟り目な感じで。でも
ちな、予想できた事態だろうに何故わざわざ人通りが少なくない
つーかアマゾネス姉はさぁ、フィンの説得にその場は首を縦に振るけど直後には自分の感情を優先させて喧嘩売ってくる辺りホント、なんていうか、もうね。むしろフィンに同情する。人からアタシとフィンが会話してたって話聞いただけでも勝手に暴走するし、害意も悪意も本物で何よりギャグ補正が働かないガチの敵対行動だからな、アレ。
しかもアタシ以外の女性に対してでも、暴力がフィンには決して向かわず相手にのみ向かう辺りどうにもならん。早い話が規模こそ小さけれど性質としては前世の神話におけるヘラよりも悪いって事で、最悪を更新したに等しいからな。それがアタシに何度も向いてる以上、ファンの皆様には悪いがこっちからも向こうに負けない大きさをした嫌悪感の矢印が向いてる。仮に言動が修正されて謝罪されても受け取らないし和解不可能な段階まで進んでるんだわ。
女の争いにありがちな陰湿さがない部分だけは評価できなくもないが、それ自体は
今回の依頼だって言い出しっぺは金稼ぎが必要な
せめて姉として妹にいい格好したいから協力しろとか耳打ちするなら折れるのもやぶさかではなかったんだが、子種欲しい雄の前で格好つけたいのと気に入らない相手をぶっ飛ばしたいってのと自分の思い通りにならないイライラからってので見事にスリーアウトだからなぁ。チェンジで。
要は
「こっちにも予定ってもンは存在すンだからさぁ。ついでに運んでじゃねーのよ、わかるか? 今日は
そう説明したらバカゾネス発動ですよ。今にして思えばフィンとリヴェリア以外には少し難しい話だったかもしれんね。そりゃ脳筋の短気な方はキレるか。そこから栄えある27回目の武力衝突、内容は顎擦って脳震盪からの延髄切り。1R5秒K.O.で終了。地味に五年前辺りの派閥決め闘争の時期から毎回同じパターンで沈んでるし、どっちが身の程を知れって話だよこれじゃ。ブーメランってアマゾネス得意そうだよね。
一応補足しておくと、本来の予定は火炎石の補充と24階層の
ついでに言うと深層まで落ちるのはダンジョンの修復速度との兼ね合いなんで、人数が増えた今回の場合は普段よりも使う爆弾の規模がやや上がって経費上乗せになるくらい。向こうとしても移動時間の短縮ができるなら安いもんだろうし、win-winが実現できる事業ってわけだ。
それはそれとして、都合の良い事に気絶中な【
他の面子も見学したいとかみんなで倒そうとか言ってたのを金稼げって遠回しに追い払って、それでもと食らい付いた結果リヴェリアを派遣する事で妥協したのが今。つーかLv.6付き添うならアタシいらなくね? 帰り道は短縮できねぇんだし。でもアイズたっての希望だったので抜けられませんでしたとさ。解せぬ。
通常の狩りに回った主力側が戦力低下の上に注意力散漫でレフィーヤ辺りを危険に晒す未来が見えるんだが、そこはこのルートの追加戦士枠ベートがなんとかすんべ。なお本人はアイズが気になって一番気もそぞろな模様。ダメじゃん。
「馬鹿共、だろ。まぁ思春期のメスゴリラが感情制御を手放して暴れるのは通過儀礼だし数年後には話題にされたら身悶える消し去りたい過去になるだろうさ。ショタオジはアタシならゴリラに潰される心配がねェしいい訓練になるしお得とか思ってンだろ。いざって時も今回みてェに金さえ積めば動かせると信じてそうな辺りは間抜けだが」
「そうだな。そしてその団員を矯正せず、団長に諫言しなかった私も同罪か」
「ご自覚頂けて何より。だがまぁ今する話じゃねェ。今はそんな事より
なんて事を言ってたらウダイオスの右腕を肩からごっそり部位破壊。そしてスパルトイ出現。ただ今更コイツらじゃ大した【
まぁアタシは魔法壁で防げてるから一歩も動いてない。ところでリヴェリアが魔力壁の内側に入ろうと寄って来てアタシを抱えやがるのは弾くべきなんだろうか? アイズが見たら戦闘中なの忘れて直撃食らって即死する未来も普通にあるから割と本気で止めろと言いたい。あと戦闘後に自分もやるとか駄々こね始めそうでめんどい。もっと言うなら他の狩り面子が様子見に来たらアタシの威厳が死ぬ。ついでにレフィーヤから無意味な嫉妬を受ける羽目になる。
「おい、もう少し範囲を広げられんのか?」
「贅沢言うなや。雨降って来たからって他人の傘に入るのかテメーは」
「私とお前の仲だろう?」
「厚かましいにも程があるわ」
目の前で
「しかし、思っていたより安定しているな」
「
「……わかるものか?」
「まーな。時間をかけて丸くなって来たところにガリガリ削るやつが出てきたら尖りもすンだろ。チラ見した時はあの赤髪が押し勝ってたし」
昨日の宴会でアイズから改めて強くなる方法を尋ねられた時に心境の変化とかを確認しておいたら、外伝のと微妙にずれてる部分もあるんだよな。どっちかっていうといい方向なんで修正はしてないが。
アリア呼びのショックとかレヴィスに敗北した事もだけど、レフィーヤを危機に晒した無力に悔いてた部分もあったからな。今更になって一人で全部やろうとかは考えてないっぽい。なお階層主に単独で挑んでいる現状。
「何者だろうな、あれは」
「さーな。とりあえずは敵だ。切り落とした腕が灰になるんだし、魔石食って強化ついでに腕も生やしてくる想定でいとけよ。下手すりゃ四本腕で来ても驚かねェぞ」
「……! そう、か……ところで強化種とはそういう物なのか?」
「アタシが知る限りじゃ体内に複数個の魔石を持ってて全部潰さなきゃ倒せねェし、それぞれの魔石を核に独立した個体として動いたりもできた」
「は?」
まぁ
つーか真面目に考えたら完全に出る作品を間違えてるボスキャラだよな。しかも下手な人間以上に賢いから本体を【
「お、見ろよアレ。一応は
「なっ、あんなものは記録にもなかったぞ!?」
「少し壁の強度上げとくか」
「くっ、アイズ!」
駆け寄りたくてもアタシを持ってるから動くに動けないっていうね。最悪相手の攻撃を受けさせるために放り投げられそうで気が気じゃないんだが。いやね、階層主が記憶を引き継ぐとは思っちゃいねぇが、積年の恨みがこもった自壊を厭わない一撃が来そうでなー。
で、アイズは直撃を避けたけど吹き飛ばされて魔法も一度解けた、と。ウダイオスも反動で動けない辺りはバランス取れてんな。魔石の魔力残量割と減ったんでない? あるいは飢餓状態で凶暴化したりすんのかな。底力系の追い詰められると強くなるやつは自然の摂理に反するんよ。
なんて言ってたらウダイオスの二撃目と真っ向勝負して剣を切り飛ばしたな。すごーい。
「何故、あぁまでして……」
「そりゃ、目的があって強くなるためにがむしゃらなンだろ。格上狩りは得るもンが多いからなァ」
「だが、一人でやる必要はないだろう……! 何故、私達を頼ってくれない」
「そりゃーもちろん、大切な物を見つけたって事よ。前だったら止めるばかりで手伝ってくれないから切り捨ててたんだろうが、今は失いたくないから巻き込まないって方向だ。一歩前進してるのは認めてやれ」
「……アイズ……」
ぶっちゃけテキトーに言ってるだけだが納得頂けたんかね? 会話の最中に残った左腕も奪ってるんだけど、外伝だとこの辺でリヴェリアの補助魔法挟まなかった? 本人の微強化と、あるいはアタシが狩って湧きの数やタイミングがズレて弱い個体が当たった可能性もあるか? その場合は最悪【ランクアップ】がお預けになって努力が裏切られちゃうんだが。現実は物語みたいにうまくいかねーんだよとか、そういうの今はいらんからな!?
その後は疲労したアイズと消耗しきったウダイオスの削り合いが続いて、かれこれ一時間近くスパルトイ処理に付き合わされました。ウダイオスが思い切り息を吸い込んでスパルトイの魔石を食って回復するシーンは正に絶望でしたね(存在しない記憶)。
ちなみに、ウダイオスの魔石が砕かれた瞬間にリヴェリアはアタシを右斜め後ろに投げ捨ててアイズの元へ駆け寄ってった。誠に遺憾である。
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