そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱)   作:夜月工房

121 / 202
121.挑戦しました。頭痛薬下さい。

念願の上級鍛冶師(ハイ・スミス)になれたので一旦鍛冶に専念したいというヴェルフが抜け、代わりにヘファイストス経由でツアーに申し込んで来た新人鍛冶師を加えて、ルビスと【タケミカヅチ・ファミリア】の食料庫(パントリー)狩りは続いた。

今度は人数が増えたので目的地を11階層にしたんだが、解禁された怪物の宴(モンスター・パーティー)により道中の難易度は更に上がっていた。あと当たり前にインファント・ドラゴンと遭遇して、参加者はひーこら言いながら戦ってたが、千草の弓矢が目を貫通して脳まで破壊したらしく即死させてた。

新人鍛冶師たちにとってのアイドルが生まれた瞬間であり、桜花が兄力で守護(まも)り抜いた出来事でもあった。違う、そうじゃない(このぼくねんじんめ)

 

で、食料庫(パントリー)で雑魚殲滅戦からの強化種連戦。ここより浅い層とはいえ、経験者組はやり抜いた成功体験から比較的余裕を見せていたが、新人鍛冶師組は泣き叫びいっぱいいっぱいになりながら戦っていた。わかってるさ、嬉し涙だろ?

今後も繰り返すって言ったら狂ったように泣き叫んでたし、これは完全に喜びの感情だ。間違いないな。やれやれ、また一つ徳を積んじまったようだ。そろそろ重みで床が抜けるんじゃねーか。

ちなみに命と千草が【ランクアップ】可能になったが、もう少しアビリティを伸ばすそうな。他のタケミカヅチ派も基本アビリティDを満たしたらしいので、近く【ランクアップ】できるだろう。バイトに来て報告してくれたタケミカヅチが男泣きしてた。

 

 

なんてのをこっちが続けてる間に、ベルたちは18階層を拠点に下層狩りを続け、途中で湧いたゴライアスをリリに譲る事で全員Lv.4に到達した。圧倒的な早さだが、いよいよ移動時間の壁が高く厚くそびえるようになってきたとも言える。

事実、今回もプチ遠征的な日程だったんで数日間は教会(いえ)を空けたわけだし。それにより寂しがったヘスティアがベッドに潜り込んで来る一幕もあった。というか二日目から一行の帰還までずっとだったが。なんでアタシはン億歳の女神を寝かしつけてるんだろうな? いやまぁ逆をやられても困るが。普通に添い寝じゃダメなんだろうか。ダメらしい。よくわからんが普段は聞き分けのいい女神なので流されておくか。普段の功績を考えたらいささかささやかにすぎる要望なんだ、一つや二つ叶えてやるのがいい雇用主ってやつだろう。

まー神会(デナトゥス)が近くなって不安も大きいんだろうな。遠征前の更新で【ランクアップ】――資格()じゃなく納得()――がほぼ確実だったろうし。そりゃ女神もシクシクよ。涙的な意味か胃痛的な意味かはさておき。

つーかまだオラリオ入りで一ヶ月と少しよ? 原作開始からじゃないんよ? 原作だとまだギリギリLv.1なんだわ。あれトラウマとか言ってたからやっぱり精神的な成長も上位の【経験値(エクセリア)】に関係深いんだろうな。アタシの場合は……特になくね?

しかしこのペースが続くようなら期限(タイムリミット)までに果たしてどこまで行けるのか。黒竜って事情を知ってても主神(おや)としては頼もしくもあり恐ろしくもありってところなんかね。

 

 

そんでアタシはルビスたちの休暇に合わせてソロダンして、超硬金属(アダマンタイト)を集めてもいた。そして本日は精錬したそれを持って人造迷宮(クノッソス)へ。

隠形と魔道具(マジックアイテム)を駆使しての潜入……懐かしさを覚えなくもないが、いい思い出ってわけでもないんだよなぁ。

 

原作だと春姫騒動の少し前にロキ派が自信過剰な勇み足して敗走したわけだが、時間にして月単位しか差がないんじゃ劇的な変化なんぞないわな。内部にはモンスターの気配がうじゃうじゃ。

重要なルートのいくつかは隔壁が降りてたが、鍵は持ってるんで構わず開けて進む。まぁそんなんしたら当たり前に侵入バレするわけで、撃退用のモンスターが投入されてきた。例の極彩色の魔石持ってる系統。

姿隠しが魔道具(マジックアイテム)な以上は魔力を発してる事になるのか、割としっかりこっちを狙って進軍して来る。キモ虫は優しくぶん投げて即席の爆弾代わりにして、他は魔石を引っこ抜いておいたが。新顔っぽいミズグモ? いたけどキモ虫と心中してたから詳細わからん。それこそバルカから聞けばいいか。改造を人間側でやってんならアタシが表向きの所有者(オーナー)になった後の警備に使えるし。

そういや結局この極彩色の魔石について詳しく調べてねぇや、ははっ。ルビスに見せても首捻ってたからもう後回しでいいかな、って。外伝で役立ってる場面とか無かったはずだし。

進行速度を幾分か緩める程度で採算が合わないと判断されたのか、途中からモンスターの襲撃が止んで、代わりに目的地から別の場所に誘導するようになった。まぁ地図が頭に入ってて鍵を持ってる相手には無駄だよね。これタナトス辺りは焦ってるけど、バルカはうぜー仕事に戻らせろって感じなんでねーかな。

 

 

そんなわけで迷主の間だっけ? とある広間に到着。仕掛けが動いた以上はここにいるだろうなーと思ったらビンゴだよ。非常事態扱いだからか闇派閥(イヴィルス)が詰めてて、懐かしい姿もチラホラ。

その中には【殺帝(アラクニア)】もいるが……チッ、Lv.5だけあって大して老けてねぇな。思い切り馬鹿にしてやろうと思ったのにアテが外れちまった。いや、あんなんでも女としてのプライドはあるだろうし、目元のシワとか指摘してやったら面白いように激昂してくれるんじゃねぇかな。

 

しかし困ったな。これだとバルカに超硬金属(アダマンタイト)渡してタナトスと取引するの無理臭くね? 麻痺毒煙幕使った後で奥地に連れてくか? それこそ【殺帝(アラクニア)】が耐異常を取ってねぇとも思えねぇから却下。んー、あえて動かずにじっとしておくのもありか。バルカが我慢できなくなって仕事場に戻る可能性は高いし。

どうせなら記憶の中にある最奥地点にメモと……いや、ここはむしろ超硬金属(アダマンタイト)に直接刻印して置いてくだけでもいいか。ついでに魔石動力のドリル辺り作って置いていくか? 悪用される未来しか見えんから概要だけ書いて需要の有無を尋ねる形のがいいか。よし、それでいこう。

 

こうして半端ではあったが一番の用事を済ませ、次の優先目的である精霊の分身(デミ・スピリット)探しに移行した。

あの広間に闇派閥(イヴィルス)の主力が固まってたって事は、誘導しようとしてた方向には単純な罠あるいは怪人(クリーチャー)勢力が配置されてる可能性もある。イシュタルの牡牛……雄牛だっけ? まぁいいや要はグガランナだろ。あれ辺りは浮いた駒だし、投入されてもおかしくはない。

代わりに六円環だかは発動前だろうし、魔法で迎撃はされないだろう。されたら壁や床に傷がついて家主(バルカ)がキレるだろうし。エニュオ(笑)が勝手をしていない以上、闇派閥(イヴィルス)最期の希望であるタナトスとしては六円環で十分に目的は達成できるはずだからなー。七体目がいないか、単純な魔力タンクに使われてる可能性が高いかな。

 

で、実際に迎撃される事はなく11階層へ下る。ここまで来ると以前の――割と曖昧な――記憶と若干の齟齬。それでも離れた位置から届いてくる威圧感を辿る事で、目的である七体目――仮称ニーズホッグを発見するに至った。

 

――ドスケベっす! ネキは見ちゃいけないっす!

――感傷だが、別の形で出会いたかったぞ……

――なにいってだこいつら

 

既にこの段階で精霊の分身(デミ・スピリット)の方が取り込まれてるみてぇになってんな。刺さる人には刺さるんじゃなかろうか、この苗床感。

ドラゴン部分は目を閉じて眠ってるっぽいし、精霊も目は竜の体に埋もれてるし、理知的な会話は無理そうかな? とりあえず、反応するかどうかを確認するために極彩色の魔石を取り出して精霊の分身(デミ・スピリット)の口に押し付けてみる。食べた。ガリゴリ言ってるけど気にせず咀嚼、嚥下してから口を開けて催促してきた。雛鳥かな?

 

――よし、じゃあ手早く済ませよう。エイジャは魔力壁の展開と精神力回復薬(マジポ)の供給よろ。ラピスは分身で竜の口だけでも拘束しといてくれ。ついでに極彩色の魔石追加で食わせといて。

――了解っす!

――これが、私のドミナントだ。よく見ておくんだな!

 

一人だと胎児の時みたいに精神疲弊(マインドダウン)するだろうし、エイジャとラピスを外に出して協力を依頼。浄化の補助以外に、来るか知らんが怪人(クリーチャー)勢力や闇派閥(イヴィルス)に対する見張りも頼む。まぁエイジャの魔力壁を抜けるとは思ってねぇが。

それではいざ、浄化開始(ヴェルト・グラオブ)

 

 

およそ16時間を64等分した一欠片くらいに及ぶ大手術の末、切り離しと浄化は無事に終わった。

精霊の分身(デミ・スピリット)なんだが、切り離した時点で既に浄化後の胎児並に搾りカス状態だった。しかも胎児と違って成長した後で欠けてるんで、自己同一性とかそんな感じのが邪魔をしてルビス2号的な処理をしても上手くいかない模様。極彩色の魔石食わせたのは良かったのか悪かったのか。

なもんで、例の抗争で獣人司祭がメンテしてた精霊兵とかいうのを参考に、死に体の精霊……ほぼ脱け殻なそれを素材に【異界信仰(ヴェルト・グラオブ)】でこねこねした結果……幼女が誕生しました。解せぬ。ダメなんじゃなかったんかい。鑑定結果には種族:中位精霊ってあるけど、何ができるんだ中位だと。まぁ後だな。

 

そして残った方、竜のモンスターはというと、精霊を分離させたら侵食されてた証みたいな(ライン)をすごい勢いで消してた。自己修復かね。この速さだと戦闘力も相応に高いんだろうなぁ。

ラピスが魔石二つ分の分身で拘束して、エイジャが魔力壁を張って、万全の態勢で見守ってくれてはいたが……割と気が気でなかったよね。

その後どうなったかと言うと、まぁちょうど目を覚ました。さて、どうなるか。

 

『……お姉ちゃん、だぁれ?』

「マジかよこいつ」

『ネキ……人間離れしてると思ってたら』

――どうやら、過去の遺物ではないらしいな!

『わ、すごーい。同じ子がいるー』

 

先ほどまで地を這うような低く威圧感(プレッシャー)を与えてくる、唸り声にも似た音を発していたモンスター。どう見積もっても深層の更に深い場所を根城にしているであろう黒き竜。目を覚ましたソイツは、ものっそい緊張感を薄れさせる舌っ足らずな高い声で、しかしハッキリと言葉を発した。

この日、『異端児(ゼノス)』の強さランキングトップに君臨し譲る気のないドチャクソつよつよドラゴンが産声を上げた。その声は、まさかの声帯被りであった事を追記しておく。もう頭痛い。どうしてこうなった。




私事ですが、昨夜PCのグラボが天寿を全うしました。享年10歳、後一ヶ月で11歳でした。そりゃ最新のゲームが対応してないわけですよ。電源まで落ちたから一部データが消えたけど私は元気です。
しばらくはスマホ投稿になるため今まで以上に改行や誤字が見苦しくなるかと思いますが、チラ裏だしなの精神でご容赦下さいますようよろしくお願い申し上げます。
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