そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
あの後、『
帰り道にもう一体くらい
「まぁ、そんな心配を台無しにしてくれる素敵なプレゼントが目の前にいるわけだが」
『フフ……ネェ、遊ビマショウ?』
「門限が近ェからテメーが泊まりに来いや。ルビスもご新規様も仲間が増えて喜ぶだろーよ」
『ウフッ、アハハハ……素敵ネ! トッテモ素敵!』
牡牛か雄牛か統一してくれねぇから記憶が混同して大変だが、とりあえず前世記憶だと古戦場のお肉な印象が一番強い名前のグガランナちゃん。次点はリョーゴのFAKE。フワワだとふわふわもふもふでかわいい印象あるけどフンババだとゴリマッチョで厳つい印象あるよね。どうして差がついたのか……慢心はともかく、翻訳は環境の違いではあるか。
こちらとしては監視カメラの前で浄化するわけにもいかないんで、適度にボコって返すのが穏当か? 暴れさせたら床とか壁の修復まで請け負う羽目になるしな。カメラ破壊も手だけど、カメラに気づかれてるって察知されるのは避けたい。こういうのは最高のタイミングで台無しにしてやらないとね。
「ちなみに外へ連れ出せるかもしんねー方法あるが試してみるか?」
『イラナイ! スグニ叶ウモノ!』
「交渉決裂、か。なら、コイツを食らいな」
しかしコイツ、寄生先のモンスターが思い切り前衛だけど、
一応、剣だの槍だので戦う連中相手になら大きさと質量と勢いで上半身はある程度までなら守れるし、遠距離攻撃に対しても障壁の一つや二つは張れるだろうが……中、遠距離攻撃からの飽和攻撃を防ぎきれるデザインではないんだよな。イシュタルに絡めた結果がこれだよと言いたくなる。
食人花に寄生したやつみたいに盾代わりにできる触手を多く持つわけでもないし、障壁頼りじゃ攻撃魔法が撃てないどころか最悪牛部分で別個に詠唱できても思考リソースまで削られて棒立ちまであるだろ。胎児の時点で酷評されて、それでもめげずに
『バーリバーリ、ムーシャムーシャ』
「手持ちはこれだけだから大事に食えよ。近い内にまた来るから今日は大人しく元の場所に戻ってな」
『ワカッタ、マタネー!』
上機嫌な様子でのっしのっしと元の場所に戻っていく牛型。いいのかそれで。
やった事は単純で、さっき仕向けられたモンスターから引っこ抜いておいた極彩色の魔石を小袋ごと渡して取引を成立させただけである。餌付けにしか見えないって? 奇遇だな、アタシもだ。
んなアホなと言いたくなる気持ちはわかるが、ついさっきも無反応かと思ったら極彩色の魔石を食った例があるからなぁ。試しに取り出した時点で動きが止まる程度には効果あったんで、そのまま友好的な態度で懐柔したわけだ。
信じて送り出した大型兵器が壁ぶち抜くだけぶち抜いて特に何もせず帰ったとか、今頃は
しかし、なんだ。
つーか、ぶっちゃけ下界で邪神に区分されるような連中が混沌目的で派遣した精霊とかいたらほぼ同質なんじゃねぇの? 正規の精霊だとモンスター食って強化はできないかもしれんが。
そういやレヴィスに会わなかったな。両腕なくして絶望中か? いうて自己再生で生やせなかったっけ
「――てな事があったわけだ」
「ベル君、胃薬を持って来てもらえるかい? ボクはお水を用意して来るから」
「あ、あはは……」
夕食を囲みながらの報告を聞いて、ヘスティアはシクシクモードなご様子。胃薬よりも
「それで、精霊の六円環とやらは発動を警戒しなくていいのか?」
「古の大精霊が六つだろ? 元の格はわからんが、おそらくは格下になる
「新しい『
「邪竜とオラリオの街とじゃ、必要な力も変わるだろうよ。しかも街相手なら動きを押さえる役目も要らねぇだろ」
「それは確かに考えたが、なら最初から六円環じゃなくてよくねーかって気もすンのよ」
外伝じゃディオニュソスが壁画から着想を得た的な感じだったと思ったが、その意味じゃあの神って嘆く人間を見続けて来たんだし、当時の事件もリアルタイムで見て余計な真似しやがってとかキレてたんだろうか。
ニーズホッグだから対処したのはきっと北欧系の神だよな。それこそヴィーザルとかバルドルとかラグナロク後も生き延びたり復活したりで人間を見守る系の神じゃね? でもこの世界って神も転生するせいでラグナロクが何度も起きてそうなんだよな。『
関係ないけど、ずる賢い神なせいでラグナロク起こしておきながら自分はヘイムダルと相討ちになって抱き合うように倒れて眠るロキのヤンホモ説がアタシの中にはあるんだよな。この世界だとロキが女神だから世界丸ごと道連れ――生け贄に捧げる激重メンヘラ女の可能性がワンチャン?
「……遊び半分か」
「残る半分は本気って事でもあるがなァ。少なくとも成功する分にゃ、一矢報いる以外は考えてなさそうな連中の目的は達せられるわけだし」
「
「皆殺し!?」
「そうだな。本来なら託した側が出しゃばるのもアレだが、こうして今がある以上は責任を果たすべきか」
「にやけてンぞ先輩方。本音は?」
「「【
「「「ですよね~」」」
「納得しちゃうのかい!? 君ら英雄を目指すんじゃなかった!?」
姉御とオッサンがやる気だけど、なんだかんだ使ってくる
「まー今回は情状酌量の余地があるやつはほとんどいねェし、改心の可能性に至っては皆無だ。そンな連中でも黒竜討伐の悲願を叶える礎になれるってェなら、少なくとも生まれてきた価値くれェにはなンだろ」
「うーむ、間違いなく賛同しちゃいけないタイプの意見なんだけど、それだけ堂々と主張されると流されてしまいそうな……」
ヘスティアは情報処理に手間取って本調子じゃないみたいだな。本来ならキレのあるツッコミで場を沸かせてくれただろうに。お労しやヘス上……。
「決行日時は?」
「明日の午前中でよくね? 多分今頃はアタシの置き土産相手にどったんばったんしてるだろうし」
「置き土産ですか?」
「そうだぞ、愛しいリリ。行きと帰りで微妙に違う道を通り各所に仕込んできた罠……まぁ破壊されると圧縮空間から戦闘特化型の
「ほへー」
通路や広間――迷主の間とかにも。見た目はどこにでも落ちてるような小さなゴミに擬態している爆弾だ。あの薄暗い部屋に黒塗りのビー玉やら針金やらが転がってても気づけるやつはほとんどいねぇだろうな。極彩色のモンスターに掃除担当がいたら処理されるかもわからんが。キモ虫の溶解液なら……床まで溶けるから使わんと思いたい。
「戦闘特化型だと性能はどんな感じなの?」
「基本的にLv.4程度で、片手槍または弩と大盾で武装した全身鎧だな。腕、脛にそれぞれ弩が内蔵されてて下手に接近すると至近距離から射撃してくる。一応、各部12発しか装填されてないから弾切れはそれなりに早いんだが……胸部には魔剣に近い
「ひたすらエグい……」
「さすがです、お姉ちゃん!」
「それで、設置した数は?」
ベルとヘスティアはドン引きし、リリは全肯定。姉御は考え事をしているようで、代わりにオッサンが不足している情報を尋ねてくる。さすがのベテラン、冷静だった。
「大体30個」
「「えっ」」
「えっ」
「「なにそれこわい」」
ベルとヘスティアが仲良しすぎる件。姉御、事案ですぜ!
「Lv.4相当が600体ともなればあの抗争よりも上、最早オラリオを呑み込める戦力だが……
「いンや。向こうの主神がいるだろう部屋にも置いてきたからな。普通に確保できるだろうし、それなら取り返されないようにって思って守り抜くために少し多く置いてきた」
「ふむ……幹部辺りは主神を置いて逃げるのでは?」
「ギルドのブラックリストに入ってる似顔絵は記録させてるから優先的に狙うし、その上で無力化を第一に動くようにしてあるンだが……正直自信はない」
姉御が鋭い指摘をしてくるが、確かに可能性を排除できない部分ではある。それでも一番逃がすと面倒な【
「え、そ、それじゃ危険人物が野に放たれちゃうんじゃ!?」
「そうだぜラジルカくん、いくら主神を送還してしまえば『
「あー、まぁLv.5のままだろうし、初手逃走を防ぐために
そう、
そして流れてくるのは裏切り者と呼ばれたアタシの自己紹介と大抗争の感想。そしてその後は名指しで【
が、周囲には
「つーか気になるなら映像見るか。ポチッとな」
「あ、やっぱりあるんだ」
「ボク驚き疲れたんだけど。もう寝てもいいかい?」
「ダメ」
さてさて、上手く映るかね。