そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
その日、バベルの前ではちょっとした騒ぎになっていた。まぁ二大派閥の第一級冒険者が揃ってるんだ、それだけで話題性しかないわな。有名人は大変だねぇ。
「また【
「あんな面子集めて何を……てか、どうやれば集められるんだよ」
「知るかよ。とりあえずあの中で一番やべーのはどう考えても【
「「「それな」」」
おかしいな。幻聴が聞こえてくるわ。根を詰めたつもりはなかったが、あるいは働きすぎなんだろうか?
「あー、集合時間前だが揃ったし前倒しで始めンぞ。途中にトイレはねェが大丈夫か? 大丈夫だな? よし、まずは参加に感謝を。説明は順次行うンで早速移動開始すンぞ。準備運動に競争しても良かったンだが目的地の説明がだりィから申し訳ねェが後について来てくれ」
と、いうわけで12階層に移動開始。ツアーガイドのコスプレには誰も――最愛の妹ですら――触れてくれなかった。泣きそう。慣れない真似はするもんじゃねーわ。
これも今朝見た
「なるほどな……」
「床を爆破して短縮……? 馬鹿なのか?」
「いいから進めや穴が閉じンだよ怖ェなら蹴り落としてやろうか」
床を爆破して落ちていく方法に一部の参加者が取り乱す場面もあったが、まぁ基本的に第二級冒険者以上しかいないので遅延には繋がらなかった。
まぁその後の
いやー大変気持ちがよい。胸がすく。
「【
「してどーすンだよ。見張り置くのか? 無駄な心配事を増やすだけだろ」
「しかし……!!」
「一つ聞きたいんだが、ここは
「正確にはだった、だな。昨日時点で憲兵様に最後分の引き渡しを済ませたし」
「……ごふっ」
「お姉ちゃんが血を吐いた!?」
「この人でなし!」
【
とりあえず増血効果付与した
現地の分岐点でそれぞれに回復セットと、ネーゼムを酷使する形で作ってもらった各属性の『精霊の護布』を渡したら仰天していた。ウケるし気分がすっとしますわ~。
なお全く顔色を変えずに受け取る【フレイヤ・ファミリア】の白エルフ。やれやれ【
「そンじゃお
「精霊……!?」
「【ロキ・ファミリア】の何人かは覚えてると思うが、リヴィラの街に出たデカブツの進化形と思ってくれ。
「あのときはお前が瞬殺したせいで脅威が伝わらないのだが……」
「リヴェリア、多分だけど50階層のアレと同じ……強かった、よ?」
精霊って部分に反応するロキ派の上層部。隠すつもりあるんだろうか。いや、
つーかこの中じゃ進化前すら交戦経験あるのアイズだけか。逆に先入観はないから油断しないで済むのかな……いやでも基本的に井の中の蛙っていうか慢心してるからな
「深層にはちょこちょこいるみてーだな。だが連中はモンスターと同じで魔石がある。色のおかしいやつがな。でもってモンスターらしく魔石を食ってどんどん強化されていく。生まれたての輪郭だけ人型な状態だと
「ハッ、何がLv.7だ。てめえがソロでやれる程度なんだろうが」
「ソロダンしてバロールまで狩れるンならその言葉は正当な価値を持つがな【
「チッ……!」
やっぱり軽く見ちゃうか。まーツッコミとしては至って妥当なんだよな。アタシは表向きLv.5だし。でも自己申告を信じるとか正直頭大丈夫かって思っちゃうんよね。特に
いやまぁ都市の顔として周囲への牽制が必要な上に名声欲が駄々漏れな二大派閥と真面目一徹な憲兵らしいっちゃーらしいんだが。
でも神まで信じてるんだよな。下手に寄ると爆発に巻き込まれて送還されるとか死なない程度に拷問されるとかって噂のせいでわざわざ尋ねて来るモブ神はいないが。
「そンで今回のやつは魔法をバカスカ撃ってくるが、渡した精霊の護布で受け流したり弾いたりできるンで上手く使ってくれ。超短文から超長文詠唱まで多彩な魔法を使ってくるンだが、めっちゃ早口だからつい笑って隙見せて直撃しねェようにな。それとアタシは確認してねェが、床下に根を張ってると思うンでウダイオスの
「したんですかね? 直撃」
「派手に直撃してましたね」
「あれ、僕たちじゃ絶対に耐えれなかったよね。レフィーヤさんもお気をつけて」
「うぅ、はい……」
各々で色々な反応が起こるが、まぁ油断して死なれるのも気まずいし、参考に牛型との戦闘を見せておくのもありか?
「そうだな。一応、今回依頼したのとは別種類だから大した参考にはならねェが……やや格下との戦闘を見てもらうか」
「……どうやって?」
「知らないわよ、あいつ秘密多すぎなのよムカつく」
「これだな。まァ騒がず見とけ。ポチっとな」
動画記録用の
「この後は普通に電気を通さない手袋を装着して上半身を切断して終了だ。一応、超短文詠唱の速度と軌道は参考にしていいと思う」
「思った以上の難敵だな」
「でも今回のやつは動かないんでしよ? それに下半身のモンスターも壊せなくはないみたいだし、精霊の護布で魔法を掻い潜って意識を逸らしたところに魔法をドーンってやればいいんじゃない?」
「食人花と同じなら魔力に反応するかもしれないね。その辺はどうなんだい?」
「連中の餌になる極彩色の魔石には反応したな。在庫いくつか融通するか?」
「お願いするよ。支払いは交渉含めて後でいいかい?」
「いらねーよ。配給に比べりゃ端金だ」
やはり集団だと意見交換できていいな。つーかアマゾネスが戦術を考えてるのすげー違和感あるんだが。すごいぞ【
あとフレイヤ派は不気味なくらいに沈黙を保ってるんだが。フレイヤの動画撮影したの寄越せとか言って来そうだな。ちょっと躊躇わせるか。
「ちなみに今回戦ってもらう相手との戦闘記録もあるが……見るか? 生憎と全く参考にならねェ方法で終わってるが」
「是非見ておきたいね。相手の耐久力や射程くらいは分かるんだろう?」
「あー、まァ短ェし誤差か。えーと、こいつだな。ポチっとな」
「その掛け声は必要なのか……?」
はい、それでは今回のお相手、独立して詠唱可能な
アホみたいに高く広い
そして見た目から予想される敵の情報を外伝の知識も含めてちょい盛りで列挙し、それを終えたら状況開始の声を合図に入り口から凝縮した火炎石を投射し続けるアタシ。観客のドン引きする声が聞こえてくるが、過去の映像でしかないので止めるはずもなく……華麗さの欠片もない花火大会が約一分。終わった後には灰すら爆風で散ってしまい何も残っていないように見える広間が映っていましたとさ。動画の締めに入った状況終了ってアタシの声がひどくつまらなそうだったのが印象的ですね。実際作業だったので速く帰りたい気持ちでいっぱいだったし。つーかこれ多分だけどオーバーキルしてたんでねーかな。
「……まァ、こんな感じでやれば勝てるぞ」
「「「できるかぁ!!」」」
「ですよねー」
この面子でここまで心が一つになるとか、最早これは偉業なのでは? これは【ランクアップ】も期待できるな!
そんなわけでそれぞれの組に分かれ、アタシは表向きベル一行のサポート。とはいえ緊急用の魔力壁を自動展開する
外伝とは違って異界化してないし、儀式もしてないし、七体目は欠けてるしで状況はそこそこ違っているが、相手の
肝心の
なお、バルカにはこっち持ちで修復するのと追加の素材――今後はオブシディアン・ソルジャー体石も――を条件に、多少の破壊に関して許容してくれるよう取り計らってもらってる。まぁそのまま置いてると
まー単純労働用に貸与してる
ちな、タナトスは魂のない人形には興味ない的な事を言っておきながら外見がロボロボした