そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
青い空、白い雲、気温は高め。木陰で昼寝するには絶好の日和である。そんな環境下において直射日光に焼かれ続けてげんなりというかぐんにょりしているのがアタシであり、視界内で行き交う船が今いる場所の正体を教えてくれる……はい、オラリオからわずか3
いやまぁ思いついた作戦を嬉々としてフェルズに伝えたら【ガネーシャ・ファミリア】では取引場所に赴けるだけの
残る手札は裏切り者と罵られた事から
いや層が薄すぎるだろ。暗部を持て、暗部を。給料高め休日多め、たまに表向きの仕事を与えて名声欲を満たしてやれ。つーか表向きの
まぁやる事は
ギルド支部長はギルド側でうまくやるらしいので任せておく。ガバの気配がするけど、まぁ逃げられたからってアタシに迷惑はかかるまい。
街の有力者――マードック家とかいうコズミックなイラで足つきの整備士してそうな家名の共犯者には直接の手出しはできないが、
そんなわけで、その日の夜。本来の受け渡しとかは【イシュタル・ファミリア】がやってたらしいんでアマゾネスの同行者が欲しかったんだが、生憎と用意できなかったってんでアタシが認識阻害の
それでもモンスターの引き渡しなのに一人しかいないし、普段と担当が違うしって事で怪しまれたが、取引現場にノコノコ来た時点で有罪なんでネタバラシ。あえなく御用……とまではいかんが食人花はもう使えないって知らせて新しい方法を考えるよう通達した。
その際に
モンスターと動物の区別って話なら魔石の有無を魔力の数値で判断して自動迎撃する
なお、これの少し前に取引のため食人花を受け取ろうとやって来た【イシュタル・ファミリア】がようやく
まぁ歓楽街の役割はデカいし、本神にオラリオを壊滅させる意図はなかったし、肝心の
罰則まで終わってから報告上がって来たんで手遅れだったんだが、イシュタルへの罰則とアタシへの褒賞を兼ねて春姫身請けの許可をもらえば良かったなー、なんて。まぁ現時点だと
まぁメレンの不正に関するお話はこれでおしまい。
つーか生態系と食料の問題なんだし、もっと国境とか越えた集まりで積極的に対抗策を考えるべき問題なんだがな。とはいえ『
とりあえずメレンに関しては、湖の航路になってない一部を隔離して大掃除したらそこで魚や貝の養殖試そうぜって話を持ちかけて、実際に湖の土地を購入した。
で、それとは別の日なんだが、アタシは工芸品やら
同じタイミングで【ロキ・ファミリア】の女性陣が来訪している。なんでも、やっぱりダンジョンとの直通ルートが開通してないか心配だって話になってギルドからこっそり依頼したらしい。ただ、食人花どうこうの探りは不要なので、アマゾネス姉妹以外は純粋にロキの性欲を満たすために連れてこられたっぽい。
そのせいでここ数日はロキが
カウンターで【勇者の嫁】って返したら固まってたが、あのドチビとか逆ギレしてたので、情報源が一つしかないと思ってるのかと軽くからかっておいた。まぁ事実ヘスティア以外にもゴブニュやヘファイトス、デメテルやタケミカヅチ辺りから同じ内容を教えてもらってるし。持つべきは
まーロキ相手には毅然とした態度でお断りしたけど、代わりにレフィーヤに渡しておいたんだが。欲望のおもむくままリヴェリアとアイズを存分に撮影するといい。特にカナヅチなアイズを。そして盗撮という犯罪行為の動かぬ証拠を押さえられてアタシの手駒にされるのだ。
ちな、正史より早まってるのにカーリー派の到着時期ともバッチリ被るらしい。前々から話は通ってたし断る理由はないが、それはそれとしてやべー噂しか聞かない連中だからって街の治安を心配したマードック家が知らせて来た。イシュタルが
多分これに合わせてイシュタルもやって来るな。はて、これ
最悪送還されるならしばらくは歓楽街の管理を代行してもいいし。娼婦が『
ん? そういやよく考えたら正史なら春姫が来るんだな。こっちでも可能性あるのか。ほほーん……誘拐しよう、そうしよう。どうせ第一魔法は発現済なんだし、性格的に優柔不断で動きが鈍いからLv.1でも2でも大して変わらんわ。強いて言うなら発展アビリティの『魔導』や『精癒』がほしいくらいか。
まぁその辺は粘り強くイシュタルと交渉しようじゃねぇの。一年レンタル
「で、問題の方からやって来るわけだ」
用件を済ませた帰り、街中でニョルズ眷族を相手にイキる
ニョルズ眷族とはいえ、肩ぶつけたって明確な理由があるなら助けに入るのもなぁ。でも漁師が減って漁獲高が落ちるのは損失なんだわ。喪に服す習慣とかあって漁に出ないとかあっても困るだろ。つまり間接的にアタシを害そうとしている敵だ。潰そう。
「手ェ離せや田舎っぺ。外から来てタッパだけじゃなく面まででけェ真似してンじゃねーぞ外来種が。検疫通ってんのかテメー」
「何だ? このチビ」
「見逃してやるから殺される前に失せろって言ってンだよ雑魚ノッポ」
「ほぅ……」
ニョルズ眷族くん、ぶん投げられたー!! まぁダマ鞭で絡め取って無傷で回収するんですがね。
「ずいぶんとお優しいじゃねェか。そンくれェ手加減できンなら最初の脅しも止めとけよ、小者臭ェ。戦士の名も戦神の名も泣くンじゃねェか、アマゾネス?」
「なるほど、口だけは達者なようだ」
「ここで問題行動を起こしたら街から叩き出されンぞ。当然、最寄りのオラリオだって犯罪者の受け入れはお断りだ。よその縄張りで勝手したせいで主神を送還された挙げ句に力を失って追い返されるのがお好みか?」
「ふん、力で押し通ればいい」
「なら今すぐ竜の谷に向かえよタコ。勝てる相手にしか喧嘩売れねぇ小賢しいやつが強者なわけあるかボケ。テメーの強さなンぞ価値も誇りもありゃしねェよ、主神も肩落として溜め息吐くわ」
「よく言った……!」
うーむ、記憶だと感情薄そうなイメージあったんだけど、顔が真っ赤になって怒り心頭って感じだな。しかし『
「おいおい一人で大丈夫か? 後ろのお仲間に助けを求めてくれていいンだぞ? 群れてる以上は狩りだって群れでするのが獣だろ」
返答は拳だった。よく我慢した方だと思うよ、うん。ベートやアレンなら発言二つ目の途中で手足が出てたもん。アマゾネス以下とか恥ずかしくないんか連中(風評被害)。
とはいえ怒りで単調になった大振りの一撃なんぞは潰して下さいって言ってるようなもんなんで、遠慮なく厚意に甘える事とする。具体的には打ち下ろしになった腕が伸びた瞬間に肘を外側から踏み抜いてへし折り、それを足場に軽く跳ねたら顎を擦るように振り抜く。後は脳震盪を起こした長身のアマゾネスをそっと優しく足に乗せて後ろのお仲間に放り投げる。
「くにへ かえるんだな。おまえにも かぞくがいるだろう」
「アルガナ……ッ!?」
言ってからそういや妹も来てるんだったなーとか思ってたら【
「アンタ……【
「人違いですぅ。お姉さんどなたですかぁ?」
「ふざけんなっ!?」
「あべしっ!?」
返答は拳だった。師弟で反応同じやないかい!
とりあえず美しい師弟愛に免じて拳はわざと受ける。まぁスリッピングしつつ後ろに跳ねたんで、ダメージは落下と摩擦の分だけだが。手応えは残る素敵仕様なおかげで殴った側が自分の拳を眺めながら呆然としてるのは納得いかねぇ。
「あれー、思ったより静かじゃない?」
「……先生?」
「あ、本当だ。【
遅れて【
「なんや、もう終わったんか……い」
そうこうしてるとロキも登場。なんか視線を感じるが、生憎とアタシはうつ伏せになって倒れてるんで確認できない。
「アイズたーん、そこの危険物回収しといて。放置しといたら
「うん、わかった」
とても失礼な物言いで飛ばされたロキの指示を、なんら疑問を示す事なく実行しようと返事するアイズ。よし、このままメレンにおける仮拠点でまとめて爆殺しよう。
「待てーい!」
「な、
そこに響くロリロリしい声……戦神のエントリーだ! ところで戦神を《せんしん》とか《せんじん》って読むと先進だったり先人だったりでそんな強そうに聞こえないけど《いくさがみ》って読むと威厳とか出てめっちゃ強そうに聞こえると思います。関係ないけどな!
そんなカーリーの登場に、ロキが
「そんな事はどうでもよい! そやつはうちのアルガナを傷物にした犯人、身柄はこっちで預からせてもらうぞ!」
「ほーん、だ、そうやで?」
「……そこは黙って渡しとけよ。拠点ごと爆破すりゃ持ち込んでるかもしンねー病原菌を熱消毒できっし、横暴な客は消せっしで、元の活気に満ちた港街を取り戻せて万々歳だったってのによォ」
幻滅しました。デメテルのファンになります。
しかも身柄寄越せって始まったから、ロキが断って一触即発な雰囲気になるのを期待したのに。そのまま「やめて、アタシのために争わないで!」って言いながらステレオタイプな爆弾の導火線に火を着けて反応を楽しもうとしたのに。
はーつっかえ。ケッ、何がロキだ、道化もやれねぇ半端者が。オラリオ戻ったらマイクロビキニ着せてギルド本部の前に吊るすかな。精々モブ神共に笑われろ。いや待て、どうせならマイクロビキニはそのままにリオのカーニバルみたいな衣装を模した飾りつけしたらどうだろうか。想像してみたら割と笑えるし、今回使わないとしても今後はいつでも「こんなこともあろうかと」枠で使えるように準備しておこう。これは決定事項である。あとは今日の主役とか書いたタスキも用意しておくか。汎用性高いし。
「……おぅ、ドチビ二号。これやぞ」
「よくわからんが、わかった。ここでは何もなかった」
「あァ? そこのまともに立てねぇ生まれたての小鹿みてェなノッポにちゃンと頭下げさせろや、ニョルズの
逃してなるものか。貴重なオラリオの生活に影響しない
「……のぅ、ロキ。そやつ本当に子供か?」
「……あかん、うちも自信のぅなってきたわ」
「なンだ似た者同士で
「何を全方位に喧嘩売っとんねん、アホ」
「あふン」
どうやらもう完全に収束する流れらしいな。つーかあっさり受け流されると少し恥ずかしい。いやまぁワガママ言ってるのはこっちだって自覚あるんで最初から恥知らずムーブかましちゃいるんだが。
あぁ、なんかアイズの視線が妙に生暖かい! 微笑みながらあらあらうふふみたいな目でこっち見てるぅ!? ぐ、ぐわぁぁぁぁ!!
こうしてアタシは【ロキ・ファミリア】に捕縛され、アイズに抱っこされたまま連行されたのであった。その姿、まさに人形の如し。
レフィーヤがどこぞのウサギ探偵みたいな目でこっち見て来るんだが、撮影しない辺りに生真面目さが出てると見ればいいんだろうかね。変わりたいなら言えよ。いつでも変わるぞ? むしろ変われ。つーか助けろ。唇の端から血を流すんじゃねぇよ!