そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱)   作:夜月工房

136 / 202
136.乗り越えました。予約して下さい。

束の間の平穏……そんなふうに考えていた時期がアタシにもありました。

 

なんというか、むしろ余りにも濃すぎたんだが。具体的に言うと、短期間に世界が二度ほど滅びかけた。そんで二度とも救われた。別の言い方をすれば、小説にない特大イベントが重なるように二度も起きた。

オラリオに生まれ育った身としてはふざけんな厄年ってレベルじゃねぇぞって声を大にして言いたい。春だからって芽吹きすぎだろ。いやまぁ結果的に見れば【経験値(エクセリア)】がおいしかったんだが。それでもイベントを起こすならせめて予約をしろ、予約を。どこに予約してどこで予約を確認すればいいのかは知らんが。

 

一つは神月祭。村からオラリオ来るまでの途中で共に山賊(イヴィルス)退治した仲な懐かしのアルテミス……の分霊的なサムシングに依頼されたベルが、旅行の建前で都市外のモンスター退治する事に。

【ガネーシャ・ファミリア】が調教(テイム)した翼竜(ワイヴァーン)に運ばれて空の旅を続けて数日、いざ現場に着いたら実は退治するモンスターがアルテミスに関係ある遺跡に封じられてた古代のモンスターで、しかもアルテミスの本体を食って『神の力(アルカナム)』使いたい放題なチートボスになってるらしくて、気づいたらベルが神殺しをしなきゃない流れになってた。詐欺かな?

アルテミスの眷族は残念ながら全滅。主神食われたタイミングで恩恵消えたんじゃないかね。ベルにとっては祖父に続く既知との死別を経験した形になる。まぁその祖父(ゼウス)は普通にヘルメス経由で生存報告の手紙届けてきたけど。大丈夫? なんか原作的にものっそいガバになったりしない? 外で派閥を再興させてどうこうしてたとかないって言える?

いやまぁ元よりタッチの差で追いつけなかったヘラからアイツ実は神やぞ『神の力(アルカナム)』出てないやん生きてる生きてるって暴露されちゃいたんだが。その時のベルのうろたえようは……正直グッと来ました。ついでにゼウスの書いた本は原典である可能性に至り保護を頼まれたんだよな。

アルテミス補食事件に関しては普通に【終憶(ビス・モーゲン)】案件かなーと思ってたら、神を転生させるのは現在の実力的に無理って【異界信仰(ヴェルト・グラオブ)】に止められちゃったんよね。代替案として【異界信仰(ヴェルト・グラオブ)】に頑張ってもらって古代のモンスターとかこれめっちゃ黒モンスじゃねーかゴライアスの補填にしてもふざけんな案件なアンタレスから『神の力(アルカナム)』発生装置にされてたアルテミスの能力を抽出して、消えそうな分霊――槍だと思ってたけど矢だというそれに宿った残り香らしいんでそっちは能力を残して他を抽出した――と合わせて上位精霊にした。アタシは精神疲弊(マインドダウン)でスヤり、ヘスティアの胃は死んだ。

アンタレスはアルテミスが脱け殻になった時点で『神の力(アルカナム)』を引き出せなくなり、回復能力がなくなったんで普通に元アルテミスな上位精霊の力を借りたベルに生きたまま解体されてって、最後は魔石引っこ抜かれて灰に変わったそうだ。キレたベルは強い。

なんか【英雄決心(スキル)】でこんこんと湧き続ける新鮮な怒りと悲しみを捧げてたらしくて、完全にヒーロー物の劇場版最強フォームみたいな状態だったって話だかんね。見たかった……どうして誰も撮影してくれなかったんだ。いやまぁ雑魚の処理で手一杯だったし、気絶したアタシが悪いんで仕方ない。ヘルメスに魔道具(マジックアイテム)の存在を知られなかったからヨシ!

アンタレスを片付けて配下のミニタレスとかプチタレス的なモンスターも消えたが、上空に佇む『月の矢』は根性で残ってて発射まで秒読みになってたそうで、ベルが神殺し用の矢で相殺したんだとか。き、貴重な神造武器が……こんな事ならちょっとくらい削っておくんだったなって。一応、解析はしたから開発ツリーは解放されたけど、再現には『神の力(アルカナム)』が必要だからできないっていう。エンジョイ勢を捕獲して無理矢理協力させるのも視野に入れるか。

つーかほぼ本神な精霊の誘導(ナビ)ありとはいえ、洞窟内から狙撃ってベルってばマジで狩人(オリオン)やん。どうにも【英雄決心(アルセウス)】って思い浮かべた英雄または伝承から想像した武器を創造できるらしいし。なお今回思い浮かべたのは、よりにもよって恋射ちだったとか。ちゃうねん。だって必修科目やん。オマケにアカペラなら吟遊詩人と混じってもそこまで違和感なかったのが悪いんや。

そんで事件は今度こそ解決したらしいが、結局アルテミスは補食された段階でモンスターと同化してて、アンタレスと共に死んだらしい。一般的な『神の力(アルカナム)』の強制発動による天界送還ではなく、真の意味での死亡。間接的ではあるが、ベルは神殺しの咎を負った事に……分霊の人格を保った(ポンコツになってる)上位精霊が側にいて恋愛攻勢(ラブアタック)かましてるんだが。これヘスティアが触発されて恋愛脳になるんじゃなかろうか。

こうして世界は救われたんだが、この事件でヘルメスに能力をある程度知られたのが痛いわー。何かあったら階位(レベル)偽装の件を大々的に触れ回りエンジョイ勢を巻き込んで戦争遊戯(ウォーゲーム)仕掛けるって脅してはみたけど、果たして効果はあるのやら。

 

それとタナトスからの事前情報通りにベヒーモス討伐記念日なグランド・デイに合わせて闇派閥(イヴィルス)残党がベヒーモス復活キャンペーンやらかしてくれやがったんで、強制任務(ミッション)受けた第一級冒険者持ちの派閥が総出で都市外旅行して潰した。

こっちはゲームの周年イベントだって知ってたけど、原作も外伝も前倒ししてるから間に合った感あるんだよな。おのれ超過密スケジュールの申し子サザエさん時空め。

復活といっても再生怪人のお約束、オッサンが言うにはかなり弱体化してたらしい。毒性も在りし日の原種に比べたらいっそがっかりするくらい弱かったらしく、オッサンの方もまた在りし日よりも弱くなってたが『悪食』のおかげもあって普通に食えちゃったっぽいんよね。それでも腹痛で半日寝込んで【戦場の女神(デア・セイント)】とヴィトーとヘスティアにトリプルで説教されてたが。ウケる。

そういやヴィトーはヘスティアから『神の恩恵(ファルナ)』をもらったわけだが、やっぱり【迎逝想起(メメント・モリ)】が生えてたんよね。ヴィトー本人としても【ステイタス】の記載された羊皮紙を見て盛大に吹き出したそうだ。まだLv.1で狙ってるらしい回復魔法も生えてないプレーンな状態だが、孤児院の活動を手伝う方が楽しいらしいんで気長にやってもらう方針。回復魔法よりも原作リリの【縁下力持(アーテル・アシスト)】みたいなスキル生えそうだな。

アタシはアタシで『黒の砂漠』を構成する『ベヒーモスの遺灰』が【異界信仰(ヴェルト・グラオブ)】を使えば極上の素材に早変わりする事を知った瞬間つい嬉しくなっちゃって、思わず三段笑いしちゃったせいで周囲の冒険者たちからドン引きされちゃったよね。灰の回収を始めたら更に引かれた。普通の工芸品も作れるんだがな……入れた中身が味や香りはそのままに猛毒となる壺とか。ダメじゃん。

あと灰を回収してたら埋もれてたドロップアイテムもこっそり回収できた。角と牙と爪と骨……さてはこれ闇派閥(イヴィルス)残党は何度か復活失敗してるな? あとなんか一つだけ明らかに大きくて禍々しい角があったんで鑑定してみたら原種のドロップアイテムだったよね。これでオッサンの武器作ってあげようと思いました。呪われそうとかは知らん。遺体を丸ごと封印に流用された同僚(リヴァイアサン)が悪影響を出してないならこっちも問題あるめぇ。

 

 

 

で、そんな苦労の甲斐あって、ベル一行がリリ以外はついにLv.5に。先日の戦争遊戯(ウォーゲーム)で目立っちゃいたが、ここで更にって感じ。結成から二ヶ月半も経たず第一級冒険者にまで駆け上がるのはさすがに異例というか前例がないからね。

ギルドも【ファミリア】の等級をAに認定したんだが、同時にその等級に見合うよう人数を増やし後進の育成にも力を入れろと命令してきたんだとか。どうせ成長速度の秘訣を探るためなんだろうが、勝手に等級決めて勝手に見合うよう人数増やせとか、いくらオラリオのファミリアがギルドの傘下って名目だからって横暴にも程がある。

つーか等級なんざ要は名誉(ゆめ)権力(まぼろし)の類なんで目の前の黒竜討伐(げんじつ)には無力なんよね。強制任務(ミッション)の分だけ邪魔まである。これだから権力の座にしがみつく肥えた豚共はいかんのだ。グランド・デイで強権発動したからしばらくは大人しいとは思うが、連中の欲は甘く見ちゃいかん。

そもそもそれを提案したであろう上層部はヘスティア派が実質的にアタシ個人の傘下にある事や、冒険者記録の内容が異常な事を知らないんだろうか。基本的に格上狩りを日常にできなきゃ普通に死ぬんだよなぁ。

とりま黒竜退治の悲願を邪魔するつもりの視野が狭い政治屋共とか不要なんで、視野を拡げるためにギルド上層部にはベルたちの冒険者記録に基づく内容を体験して頂こうキャンペーンをフェルズ経由でウラノスに提出したのだが、無事に却下された。チッ、唯一除外されたギルド長が過労死手前になるくらいで済むようなスパンで拉致していく計画表まで作って提出したのに。

 

ちな、規模を大きくすればいいなら新規団員募集じゃなく同盟または傘下で増やせばいいんじゃないかって話になって、ヘスティアが頼んで回った結果【タケミカヅチ・ファミリア】と【ミアハ・ファミリア】が傘下に入ってくれたんで無事クリアできた。普通に募集かけると思って手駒を用意してたであろうギルド上層部のぐぬぬ顔を思えば飯がうまい。

まー仮に眷族募集したとしても、神の持つ人間の本質を見抜く――なんとなく合う合わないの判別ができる――能力で弾かれるだけなんだよな。でもそう考えるとオラリオのギルド職員が知らないはずのない情報だし、上層部の目的は別にあるのか? うーむ、わがんね。どうでもいいわ、終わった話だし。

さすがに等級が離れすぎてて不自然だろって事で同盟ではなく傘下の形になったんよね。人間関係の面ではちゃんと意見が言える対等な関係を徹底するとヘスティアは明言しているが。とはいえ、資産的には完全におんぶにだっこで世話して逃がさんようにしたがな!

あとなんか都市外でオラリオ以上に心ない言葉を投げかけられながらも正義の味方やってる【アストレア・ファミリア】にも同盟を打診してるらしい。あと【アルテミス・ファミリア】が残ってたらなぁ……ってしんみりしてた。

 

とりあえずミアハ派には借金を全額一括で返済させた。余りにも唐突な借金全額返済を受けたディアン・ケヒトの間抜け面はしっかり撮影しておいたんで、次回の神会(デナトゥス)でどうぞ。

それとミアハ派には戦争遊戯(ウォーゲーム)の要求によりアポロン派から抜けて流れて来たダフネとカサンドラも追加されてた。軽くベルたち――特に直接相手をした姉御――にトラウマがあるらしいが、よりにもよってその姉御から傘下とはいえ関係者になった以上は不甲斐ない真似をされては困るとのお言葉を賜り、時間を作って鍛練を受ける事が決定していた。見所があるって言われたも同然だから諦め……誇ってほしい。

ナァーザはトラウマからダンジョンに潜れないって話なんで、人形兵(ゴーレム)相手の模擬戦で【経験値(エクセリア)】を稼がせる事にした。ふと、殺すよりも殺さない方が難しい理論で【経験値(エクセリア)】増えねぇかなぁと思ったけど、ファイアーなエムブレムを考えたらトドメささなきゃ得られる経験値はかなり落ちるよなぁと思い直した。聖戦の闘技場みたいな扱いで倒した判定の経験値もらえんかな。まぁターン制じゃないし、ボスチクって考えれば割と経験になるっしょ。

アタシの方で調合も面倒を見てもらってはって意見も出たが、ミアハとの時間が減るのを望むはずがないので多忙を理由に却下。代わりに倉庫の畑で採れたダンジョン素材を融通するんで存分に試せって投げておいた。ミアハが畑に目を輝かせていたので、上手くいけば外出時間が減ってポーションのバラ撒きも抑えられるかもしれんね。完全な傘下なら禁止命令も出せたが、ヘスティアは対等な関係を望んでるからなぁ。そもそもあくまでヘスティア派の傘下でアタシとは直接関係ないじゃんってのは内緒。

 

タケミカヅチ派はバイトで関係してるが、別にアタシの方から派閥に対して口を出すべき立場ではないし、出すべき部分もない。

つーか貧乏から解き放たれた武神の眷族ヤバいわ。栄養状態が解決され内職に割いていた時間を鍛練に費やした結果、じわりじわりと実力を伸ばしてて、対人だと普通に格上狩りできる。

現に同格なはずのダフネやナァーザは相手になってなかったし。まぁダフネは指揮官も兼ねてるし殴り合いでの防御に秀でてるんで、意識を刈り取る方法に長けた極東面子とは相性がね。ナァーザはナァーザで現場離れ(ブランク)があるし。

 

構成員の人数が問題になったんで、将来的な同盟相手になればいいなと思いベル一行をダンジョン内で活動する『異端児(ゼノス)』と引き合わせた。元より会話はたまにしてたけどな。で、交流は無事に成功。力試しもリドとグロス相手に勝利して認めさせた。リドの発言からするに、猛牛系ヒロイン(アステリオス)も生まれているらしい。ただまぁ【猛者(おうじゃ)】の指導を受けてないんで技術への理解は乏しくやや弱体化している可能性はあるんだが……パワーファイターが技術捨てても力に偏って厄介さは大して変わらない気もする。

そしてアタシ的には本題の、人造迷宮(クノッソス)警備のバイト募集。予めバルカには許可を取っている。むしろモンスター出歩くとか本物のダンジョンらしくていいって認識らしい。なお『異端児(ゼノス)』に対する感想は興味なし。うーん、血の呪縛。

あと教会近くに出入口を増やしており、そこを取り囲むようにドームを建造してある。外壁はマジックミラーにしてるんで、外からは見えず内からは見える仕様になっている。休憩時間中と業務時間外はドーム内までなら出入り自由って条件でそこそこ採用できたよね。

もっとも、今後も新しく生まれるであろう同胞(ゼノス)の保護活動もあるから条件はゆるゆるにしてある。果たして契約書の内容に盛り込まれた怪物祭(モンスターフィリア)への参加と発表に気づく面子はいるだろうか。少なくともリドとグロスとレイはスルーした。

それと、モンスターと会話できる魔道具(マジックアイテム)っていう偽装(ダミー)で『異端児(ゼノス)』を表に出せないかと思ったんだが、フェルズに却下された。なので、仕方なくモンスターと会話できる魔道具(マジックアイテム)(本物)を使う事にした。アルミラージ(アルル)が感動の言葉を流暢に出力する姿を見て、フェルズは顎の骨が落ちてた。リドたちからしっかり翻訳されているとお墨つきも得たし、他の個体で試しても問題なし。どうやら賢者超えは成ったも同然のようだな。

亀の甲より年の功とは言うが、この世界じゃどうやったって【ステイタス】の差はでかいよねっていう。神時代……無慈悲だわぁ。




135話が二重投稿されてたっぽいから数字の合わない最新になる方を消しているのだ。つまりこのページは古戦場跡地なのだ……なのでちょうどいいと思ったからこれを経験しといて原作の流れにはならんやろなイベントを挟むのだ。
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