そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
『相変わらず代わり映えしないっすねぇ。そういうの馬鹿の一つ覚えって言うんすよ?』
「うる、さい……ッ!」
『せっかく考える時間と頭があったんだから、せめて隠し玉の一つや二つは用意してから挑んでほしいっす。僕だって逃げ足と魔力壁しか能がないっすけど、代わりに他の同族じゃできない魔力壁の使い方を考えて実現したっすよ? 見せてあげないっすけど。ネキを見続けて来たからその辺は抜かりないっす』
「このっ!」
いやー、激しい攻撃が続いております。アイズの一方的な攻勢で、しかしエイジャは全く意に介してない。途中から普通に寝そべって毛繕いし始めたし、これが本当の舐めプってやつか。やかましいわ。
『そもそもこの機会を設けてくれたネキに申し訳ないと思わないんすか? 常日頃から考えろとは言われてきたはずっすよ? 何か記憶と一緒に思考や記憶の能力まで封印されてる系お姫様か何かっすか?』
「……コロス」
『あー、そこで考えるのを放棄したら成長しないっすよ。選べなかった弱さとか無知から来る間違いを認める勇気、変わっていく周囲に置いていかれないために自分から一歩を踏み出す覚悟を持たないと。ほらほら頑張れ~っす』
「ああああアアアアッ!」
おそらくだが、アイズとしては派閥の決定な以上は従わざるを得ない、しかしかつて掲げた誓い――今のアイズを形作る
『うーん、信じられないけど、マジで何も用意してないっぽいっすね。ちょっと提案なんすけど、これ時間の無駄なんで止めないっすか?』
「……」
『そっちだって得るもののない無意味な真似はしたくないっすよね? 感情に任せて動くんじゃネキの期待には答えられないっすよ?』
「う、っ……」
『先生って呼んでる割にネキから、全然、何も、学んでないっすよね。教えても一向に覚えてくれないんじゃ愛想尽かされてるのが自然っす。そんなんじゃ生徒失格っすよ?』
「うぅ~」
うん、まぁアタシが
ついでに言えば、エイジャは見た目も性格も愛らしい上に、
で、その時の結果なんだが……まぁ、まがいってつくんで予想できるとは思うが、一方的だった。アイズの【
カーバンクルって作品によっては竜属性を持ってたりするんで、もしそうだったら結果は違ったのかもしれない。自惚れだが、エイジャがアタシと仲良く息の合った――
それ以来、アイズは密かにエイジャを黒竜に続く第二の宿敵と見定めたのか、毎年
ガネーシャ派も二度目以降は慣れたもので、アタシの保証もあって片付けの邪魔にならないなら放置。なんなら見世物扱いだった。
フィンやリヴェリアも、アイズが傷一つ与えられない強化種の存在に思うところはあれど、諦めて黒い風の観察に回っていた。地上で倒れる分には比較的安全だし、力を使い果たして倒れるから数日はダンジョンに通わなくなって監理が楽だったって面もあるんかね。最悪、アタシがいる以上は力尽くで止めるし。つーか止めたんだが。毎回。アイツらホント家族としての役割をさぁ。
「はいはい、アイズが泣いたから終了だ」
『りょーかいっす』
「っく、ひっく……」
つーわけで今回もアタシが
気のせいか幼女アイズのが精神的には大人で、涙ポロポロしてる本体の頭をポンポンして慰めてる幻覚が見えるわ。
一方のエイジャは余裕そのもの。耳の後ろを掻いてリラックスしてるわ。何年もほぼ常に一緒なわけだし、その上【
「アイズも
『それ生理作用だから完全に自分のために泣いてるやつっすよね?』
「……だなァ。アイズ、聞いたな? アタシだって間違ってばっかなンだ。間違いは誰にだってある。でも間違いを認める事は誰にでもできる事じゃあねェのよ」
「えぐっ、はい……ずずっ」
「あーもう鼻水チーンってしろ、はいチーン」
「ズビビビビ」
つーか今までは黒い風で自壊していくから否応なしに止めてたんだが、今回は風が黒くなかった。つまりはそういう事なんだろう。
そう考えたら納得のために負けたかったのかもしれんな。普通に会話しながらだったし、完璧に言い負かされてたもんなぁアイズ。いうて、エイジャの何割かはアタシに侵食されてる都合上、考え方にも影響はある。しかもアイズより先に出会って倉庫越しで常に一緒だったから、以前アタシが指摘した内容も知ってる。改めて指摘されたそれに対して、アイズは答えに詰まっちゃったからなぁ。
アイズの天然というか思考能力に関しては割と疑問なんよな。時を越えてる疑惑もあるし、生えてない系ハリセン持ちヒロインみたいな封印の影響とかあってもおかしくないとは思う。両親健在の頃は子供ながらもマトモっぽいし、両親を失った子供の患った精神障害の一種って線もあるか。
しかしエイジャを特別視してるとすれば、ベルと
まー今回ので精神の変化が起きて、少しだけ前に進めた感じはするから、上位の【
「本当は、ずっと前から気付いてた……先生に、教えてもらったから。お父さんとお母さんを奪ったのはモンスターだけど、
「そーか。そンで? 心機一転で『
静かに首を横に振るアイズ。ノータイムな辺り、まだまだ時間は必要か。半年以内には改善されてくれると助かるが、まぁ別にセット運用する機会も早々ないだろうしな(フラグ)。
あんま多くを求めても対応しきれんだろうし、まずはダンジョン内で不意の遭遇した時に
「テメーにも重ねてきた年月があるからな。ましてや
「私、子供じゃない……」
「最初の決心したのは
「……先生は、ずるい」
「大人だからな」
子供扱いを否定してくるが、まず見た目幼女に膝枕されて頭撫でられてる状況に疑問を覚えない時点でどうかと思うんだが、実際そこん所どうなってるんだろうか。しかも疲れからか寝入っちゃったし。くそっ、脳内で黒塗りの高級車とか示談の条件とか出てくるのが辛い。
そしてリリ、ジト目はご褒美だから止めるんだ。やましい気持ちは一切ないから見逃してくれ。後でリリにもするしされるから。ベルもアイズの太腿をガン見するんじゃない。そんなんしたら……手遅れだったか。姉御の目潰しが決まった。
「ヴァレン某君も大変だねぇ。よりにもよって一番倒す想像ができないエイジャ君をライバル視するとは」
「むしろ師と仰ぐやつを間違ってんだろ」
「それな」
ヘスティアとオッサンのツッコミが的確すぎるんだ。アイズなぁ、本当にコイツはどうしてこうなってしまったのか。
いやまぁアタシのせいではあるんだが、きっかけはリヴェリアなんだよなぁ。つまりあのポンコツハイエルフが悪い。もっと言えば恩恵与えたロキが悪い。同じ境遇の仲間をあてがって感情を分かち合って楽にしたり、むしろ燃え盛った結果やらかして仲間を失う方が怖いって覚えさせるくらいの事をやらんかった
この件に関してはガレスも悪いと言いたいが、その後の付き合い方を見るに自分のできる範囲での最適解だと考えた感じはあるんだよなぁ。アイナさん情報だとちっちゃな頃は悪ガキで、大人になってからも頼れる兄貴分ではあったけど鉱夫として男所帯気味だったみたいだし。異種族の復讐に凝り固まったメスガキとか専門外過ぎるだろ。復讐とガキのフィンやメスでガキのリヴェリアと違ってアイズを映す鏡にならんもん。いやまぁ熱い戦いを求めるのは
まぁ、三人とも諦めて死なないように強くする方向には協力してはいたか。当のアイズから受け入れてもらう下地を作れてなかったが、仕方ないっちゃー仕方ない。
何せコイツら、アイナさんの知ってる過去と比較しても、その、
「ここは……いいところだね」
「そうだろう? 君の
「あぁ、本当に」
アルテミスも普段のポンコツモードから神モードが漏れた感じでしみじみしてるなぁ。
ちなみに
「つー事があったんだが?」
「うん、なんていうか、すまない」
「借りが増える一方だな……」
「返せるアテがないというのも痛いのぅ」
「アイズたんを膝枕してナデナデやと……ぐぬぬ」
すっかり眠りに落ちたアイズだが、困った事にこっちの服の裾を掴んだままだったんで、とりあえずネタで作った
当然のように道中の視線は独り占めだったが、果たして
「まァ、とりあえずエイジャは全くの無傷で消耗らしい消耗もなかったし、気にしてねェとよ」
「助かるよ。しかしLv.6になったアイズでもダメ、か。凄まじいの一言に尽きるね」
「ふぅむ、本来ならこちらから赴いて直接礼を言うのが筋なんじゃろうがな……儂もその魔力壁とやらを相手にしてみたいしの」
「馬鹿を言うな。自分で返すアテがないと言ったばかりだろうが」
「ふん、言われんでもわかっとるわい。願うだけならただじゃろうが」
こいつらホント仲良いな。まぁとりあえずアイズの返還は済んだし戻るか。時間的には半端だから
「礼は伝えとくさ。こっちの用件は済ンだし、帰るわ」
「なんや、せっかく来たんやし、もう少しゆっくりしてけばえぇやん」
「無理を言ってはいけないよ、ロキ。彼女は忙しいんだ」
「ちぇー」
「それはそれとして、今度お礼に食事でも……」
「懲りろよ英雄。こっちは新しいのが『
改めてやる事が多いな。どこぞの事件簿の犯人じゃねぇんだぞ。口にしてねぇアレコレも多いし。
「抱えすぎだろう」
「なんで倒れとらんのじゃお主」
「人を使えるようにした上で上手く使ってるからな。下らねェ書類仕事で時間を消費するなンざアホのする事だ」
「「ぐふぅ!?」」
こうかはばつぐんだ!
「だとしてもお主でなければ処理できん事も少なくないじゃろ、十分に多いわ。儂らにもその教育の手管を教えてほしいもんじゃわい」
「テメーらは手遅れだろ。実務やらせンなら長い目で見て【
中立気取りってロクな事しねぇよな。いやまぁこの場合は何もしないからこそ問題なんだが。ギルド長もオラリオの存続と繁栄に力を入れちゃいるが、戦力確保は個々の派閥任せだから片手落ちどころじゃねぇっていう。
もっと
「「……」」
「へんじがない。ただのしかばねのようだ」
「まーその辺担当できねェ脳筋なのにダンジョンに行かねェで主神にべったりな猪と街娘と見せかけて妹にべったりな猫もいるがな」
「容赦ないのぉ」
「二枚看板がこれで周囲に舐められるなって方が難しいだろ。仮にアタシが都市外に産まれてたら
「具体的な
最近になって聞いたんだけど、なんか【
「既に仕込んでないじゃろうな?」
「なまじ
「
「すンなや不謹慎な。神ってこれだから嫌だわー」
「ぐぎぎぎぎぎぎ……」
「ストレス発散も終わったし、今度こそ帰るわ。こいつは駄賃だ、取っとけ」
予め倉庫から出して袋詰めしてた酒やツマミ、アロマなんかを
「あ、あのっ!」
「あれ、レフィーヤ?」
「こ、これは【
「え、ちょっ、えぇ!?」
「レフィーヤ、貴女何をしたの……?」
「何もやってませんよぉ!?」
いや、
「どうかしたのー? って、え」
「何だって、んだ……と……」
「あああああ、もうやだぁ~お願いですから頭を上げて下さいよ~!」
「どうか平に! 平にご容赦を!」
「ぶえぇぇぇぇぇん!」
「……なにこれ」
唯我独尊を地で行く動きが多々あるアタシが人目をはばかる事なく頭を下げる。しかも極東の礼儀を知ってるかは不明だが、おそらく意味は通じるであろうDOGEZAを、初手ノータイムで。迫真の演技も相まって【
ちなみに復活して様子見にきたリヴェリアから即座に看破され、しかしロキの嘘センサーには引っかからず、現場は更に混乱した。結局はフィンの尋問も加わって悪戯だってバレて、滅茶苦茶叱られたが。
ついでにロキ派への貸しを一個失ったし、レフィーヤの用件は聞いてなかった。後でビデオじゃないカメラの