そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
結論から言えば、シルとのデートは概ね成功だったようだ。
原作と違ってベルはLv.6に到達済――更にはLv.7目前――だったし、そもそも団体行動が基本なので、白エルフによる独断先行――誘拐と対シル特化な改造は叶わなかった。が、代わりに姉御とリリによる過酷な
講師陣も口では及第点と辛い評価だが、合格判定が出た時点で自信を持って送り出せると太鼓判を押しているに等しい。なお、最終テストのお相手を務めた
そのおかげか、一日目は大成功。フレイヤ派は介入前に姉御とオッサンから
二日目の入れ替わりに関しても即看破。しかしここで
読ませてて良かった綺麗な部分だけ抜粋したランスロットのエピソード。木の枝ならぬ白メインなヒナギクの花束で返り討ちにされた最強派閥の皆さんは泣いていい。アタシも泣いた。季節外れの花を用意するためにわざわざ【
そして告白の答えは、幼き日に立てた誓い――黒竜の討伐――を果たすまで他の事に目を向けられないため、期待には応えられないという
ちな、アタシはバイトでてんやわんやしてたから全く介入できなかった。途中で
注文取りに配膳、片付けや台拭きといったウェイトレスの仕事だけじゃなく、調理と皿洗い、ゴミ出しに食材の供給まで手伝ったんだぞ。褒めてほしい。つーか【
更には天気が崩れそうだからなんとかしろなんてどこぞの映画監督ばりに無茶振りされるし。吸湿特化な
シルは原作のような明確に
で、数日後。
「そんなわけで
「どういうわけだー!?」
はい、フレイヤ襲来です。いや教会付近にほぼ総出で来られたらさすがに出迎えるわ。とりあえず
アタシの言葉遣いに周囲の殺気が高まってたが、無警戒にこっちの
で、呼び出されたヘスティアが周囲のピリピリした雰囲気に辟易しながらフレイヤに要件を確認したら、出て来た言葉が
まぁ、フレイヤの掲げたお題目としてはやはりベルが欲しくなった。そして思うところがあって黒竜討伐に本気を出す事にしたので、手始めに間違いなく戦力になる少数精鋭派閥の取り込みを考えた……という
自由気ままで非協力的な女神の率いる最強派閥が重い腰を上げるわけで、ギルドとしては諸手を上げて歓迎したいところだろう。形式上は同じ等級S――デート中の乱戦を糧にベルがLv.7になったし、姉御とオッサンもLv.6になったので上げられた――の、強権を振るわずとも命令には従う協力的な派閥を狙った動きでなければ、止めるか悩む事すらしなかったはずだ。
しかしまぁ、逆に言えばまだ【
いやまぁリリを
で、ヘスティアは一つの
そうして早速二柱は仲良くギルド本部へ向かいましたとさ。道中、朝食を中断して外出する羽目になってぷりぷり怒りながらトルティーヤモドキを歩き食いをするヘスティアは眼福だった。なおギルド本部ではベルたちの担当をしていたばかりにヘスティアの唯一知り合いなせいで話しかけられて対応したエイナさんが石化し、ギルド長は悲鳴を上げて考え直すよう説得しようとするも、ウラノスより鶴の一声が投げられてしまったので胃を押さえながら受諾した。
競技内容とかは例の如く
「まァ、予想はできてたが」
「戦力的には幹部同士のぶつかり合いでもこっちが不利なんだけどねぇ」
で、決定した勝負の方法論は総力戦。攻城戦から旗とかリーダーとか立場を抜いたガチバトル。頭が悪すぎて一周回って納得しかないわ。さすがは
一応はS等級同士によるドンパチではあるんで派手さと明瞭さが求められたのが一つ。最速で駆け上がってきたヘスティア派に対するやっかみによる洗礼の意味が一つ。要は
当事者や親交ないし因縁のある神からすれば、どう転んでも得しかない【
「数字の上でだけはな。今の私たちより
「話じゃ幹部になると身内の喰らい合いすら禁じられるそうじゃねぇか、馬鹿らしい。火も通さず塩にも漬けず、腐り果てた生ごみなど味わうに値せん……丸呑みだ」
【ヘスティア・ファミリア】の異常性は際立っているし、ぶっちゃけここに至り成長速度に関するボーナスの存在を疑っている神なんざオラリオにはほぼいない。行方不明なイケロスなんてのはいるが。それでも
「とりあえず今は訓練場でズレの調整と、後はジル
「まー
『
故にLv.8寸前と目される【
ルビスやヴィトーは戦力として数えられてないが、他のフレイヤ・ファミリアの面々も割とその他大勢扱いになっている。向こうは世界的には上澄みに入る第二級冒険者もそこそこいるんだがな。
『私も本番でオリオンの力になりたいんだが……ダメか?』
「却下」
『くっ、かくなる上は精霊武器として短剣に……狩人が解体用のナイフを持つのは常識だからいけるはず……ッ!』
「テメーが姿を変えた武器を振るうとかベルの良心が許さンよ」
『ベル……ポッ』
「あぁ、ボクの中のアルテミス像が変わっていく……これが、未知か!」
いやまぁ【
とはいえ、激しい戦闘中に歯を食い縛らずにいられるかって話はあるんで、実際に400%近く削る必要はないんだろうが。それでもボスが全快魔法使うな定期。
「お姉ちゃん、リリは
「そこなンだよなぁ。リリがいたら勝率は100%になるし、ソーマ派からヘスティア派に所属が変わったところで【ステイタス】の更新が自宅でやれるようになるくらいなンだが……」
「な、なんでそこでボクを見るのさ?」
「いや、アタシに顎で使われる神の眷族にしたらリリの立場まで下がっちまう感じがしてな」
「ぐはぁ!?」
「神様ぁ!? ていうかそれ、僕たちの立場がないんだけど!?」
「あとは新入りになってパーティーに団長がいた場合に【
「あ、まともな理由もあったんだね」
「そっちを先に……むしろそっちだけ言おうぜ……でもそれは確かに、
「まー最悪負けてもいいっちゃいいからな。スキルの効果自体は、少なくともリリが現場にいりゃ発動すンのはデートで判明してっし」
そう、今回の
美神と処女神の相性問題はあるが、逆に言えば夏の騒動でヘスティアがイシュタル及びフレイヤへの抑えになる事が判明しているため、
だがしかし、世の中には往々にして例外というものが存在する。そう、今回の場合もその例に漏れず【
一応、商人たちのアイデア使用料に関しては派閥の名前で契約されてるから、金にはそこまで困らんだろうし。新しい商品が開発されていけば苦しくなってくだろうが。
「私は今回お役に立てそうにないですね」
「あァ、ヴィトーには本番までに最低でもLv.3までは【ランクアップ】してもらうつもりなンで安心しろ」
「は? いえ、みっちり特訓すればいけそうではありますね」
「段階飛ばしゃLv.3までなら短期間で量産しちまえるンだよ。
ベルたちの成長スピードを振り返ると、冒険者登録から二週間でLv.3になってる。しかも当時はリリ込みとはいえ遭遇率は普通、モンスターも通常種な冒険というより実地訓練に近い内容だったし。代わりにほぼ毎日通ってはいたが、移動時間の無駄が多かったのは確かだ。
ひるがえって現在とこれからのヴィトーだが、まず【
「そんなやり方をしても熟練度とは別の経験が追いつかんがな」
「本来なら、な。あえて幸いって言うが、ヴィトーは戦闘経験自体はたンまり持ってるからな」
「いやぁ、お恥ずかしい」
転生組の強みはこれなんだよな。本来なら問題視される、急激な成長を遂げたが故の経験不足が生じない。技と駆け引きに初期ボーナスがある分だけ実は獲得できる【
まぁ、ヴィトーの場合は転生前後で五感の有無が変わった分だけ割とズレがあるんだが、その辺は【ステイタス】を取り戻した後の修正で何とかできる。つーか
「これまた幸いって言わせてもらうが、ヴィトーには卑怯な戦法への忌避感がない。罠と引き撃ち仕込むだけで有象無象に対する陽動から殲滅まで幅広い活躍が見込めるだろうさ」
「否定はしませんが、付け焼き刃が通じるでしょうか?」
「【フレイヤ・ファミリア】の連中は正しく信者だ。主神の名に泥を塗る真似をするような卑怯な真似はできねェから戦い方も正面突破。そンな連中の積む経験がほぼ身内のドンパチだけときたもンだ。いっそ笑えるくらい簡単に引っかかるぞ。仮にも最強派閥のプライドもあるから頭に血も上りやすい。アタシから言わせりゃ頑丈なキラーアントの群れみてェなもンだな」
「そこまで言う!?」
「そもそも戦術、戦略に関する視点を持ってンのが白エルフだけだからな。一応、戦争相手してた黒エルフも知識はあるか」
「【
「そうだな。とはいえ、コハクがいるこっちとは悲しいくらいに相性が悪いンだがな」
「あ……『精霊の護布』」
そう、何を隠そう
他のモブ団員から飛んで来る魔法も基本的には六属性なんで、実は同じ対策ができてしまえる。そうなれば怖いのは
『そういやアッシは【ランクアップ】を目指さなくていいんでゲスか?』
「ルビスは姉御たちの相手を最優先してくれ。代わりに扱いやすくて強いとっておきを貸してやるからよォ」
『モーターヤッター!』
「まァ、やれる事やれば大丈夫だろ」
「そうだね。ボクはみんなを信じてる……勝とうぜ!」
その日から準備を含めた一週間。英雄とかより日常を謳歌したいヴィトーが言うところの地獄が教会地下に顕現した。バイトに来たタケミカヅチ派も同じ感想を言っていたので、常識的に考えれば言う通りなのだろう……おかげでヴィトーは勢い余ってLv.4に、ルビスもLv.3になった。
そして特訓に付き合ってる内にリリがLv.6になり、姉御とオッサンの相手ができるようになって効率アップ、更にはスキルと魔法が発現した。Lv.7にこそ届かなかったが、元より
ついでに、ベルにリリが作製した
なお、実は攻撃と回復と