そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「はぁぁぁぁッ!!」
「ぐっ……」
今回の
とはいえ、だ。【ヘスティア・ファミリア】は眷族が五名しかいないんで、ハッキリ言って戦術も何もあったもんじゃない。対する【フレイヤ・ファミリア】の眷族が百五十名を越えている。層の厚さも含めて考えれば公開処刑と呼ばれるのも無理はない……そう思っていた連中も、開始数分で『神の鏡』が映し出す光景に意見を撤回する事となる。
「止まらない、止まらないッ! 止まらなぁぁぁぁいっ! 都市最強への挑戦状を叩きつけて既に五分、一向に攻撃の手が緩まない! こいつの体力は底なしか【
「俺が! ガネーシャだぁぁぁぁぁ!!」
開始前までの特訓でベルの【ステイタス】は力と敏捷をD、他はEまで持って行けたが、それでも数値上は【
ついでに言えば自分のできる事への造詣が深いのも【
それでは何故【
実況の漬物みてぇな名前した長いけど一言でいうと炎な二つ名を持つ別名喋る火炎魔法が言うように、ベルはひたすら連撃を加え続けている。同格である以上は一撃一撃に傷を負わせる威力を持った攻撃が、
アレに斬り刻まれた経験を最も多く持つアタシとしては、大剣一本でほぼ捌ききってる【
ただまぁ、とても不幸な原作
あ、ベルの二つ名は前回の
ちなみにアタシは例の如く豊穣の女主人でバイト中。シルの抜ける穴を埋めろと当事者二柱からの神意なんで仕方ない……いやまぁアタシの
「何が起きてるのか全然わからん」
「なんか辛うじて白い影が【
「これ何かの間違いで三十倍速とかになってんじゃね?」
そう、一般人はおろか
で、他の様子を見ると、こちらも実質Lv.6同士の戦いなので目に優しくない感じなのだが……フレイヤ派は戦力の振り分けを誤ったな。白エルフの意見が無視されたのか?
オッサンに小人四兄弟と猫戦車、姉御に白黒エルフ。せめて逆の方が、叶うなら猫と白を交代した方が良かったんじゃなかろうか。いやまぁ幹部の仲とか知らんから相性あるかもなんだけど。どちらにせよ、真の
「うわぁ」
「これはひどい」
「何でできてんだあの鎧」
悲しいかな、オッサンの防具は劣化版とはいえベヒーモス製。なもんで個々で見るとLv.5な小人四兄弟の攻撃が全く通らない。しかもダメージを受けないからと、止まない連携攻撃を強引に突破して、生け捕りにした一人を盾……いや、武器にして連携を崩した。
四人で一人扱いだろうと四肢を一本もがれたらそら戦力ダウンしてそのまま押し込まれるわな。つーかある意味オッサンのこれはボトク・ジツなのでは? アタシは訝しんだ。
「に、兄様ー!?」
「ミンチよりひでぇニャ」
残された猫が魔法を使って長く助走を稼ぎ自滅覚悟の一撃を加えるも、これまた残念な事にはいはい急所狙い急所狙いとばかりに
まー小人も猫もフレイヤ派である以上は洗礼で瀕死なんて慣れたもんだろうし、回復されたら再び襲ってくるんだろう。フリーになったオッサンが回復役の集まっている部隊に向かって突撃してなきゃ再起の目もあったかもしれん。人の夢と書いて儚いってやつだ。
で、回復部隊の前に護衛が立ち塞がるも、Lv.6しかも数値以上なオッサンは簡単に止められるものじゃない。むしろ駆け抜けるオッサンに護衛が武器を当てた瞬間に撥ね飛ばされる愉快な光景が繰り広げられてたんだわ。当然、魔法も飛んできたけど……その鎧アホみたいに魔法防御力も高いんよね。当たっても跡すら残らんかったわ。
ノーダメで終了したけど、実はこっそり武器も防具も再生能力までありますとか言ったら泣いちゃうんじゃなかろうか。
「粘ったなー」
「いや、頑張ったよ、うん」
「邪王は滅びぬ……何度でも蘇る……」
「見えなかったけどあれ集中砲火されてたんだろ? 怖くね?」
姉御の方は
黒エルフが姉御にビビりまくりで、魔法使って性格矯正してたけど……逆に姉御の癇に障ったらしく、効果が減じていようと知った事かと言わんばかりに魔法を全方向から叩き込まれまくった挙げ句に
その後は残された白エルフ一人だけで相当に健闘したが、戦闘時間の経過と共に太刀筋を学習されていき、勝ち目が潰えたと悟ったらしく最後は意趣返しの如く至近距離で相討ち狙いの全力魔法を放ち、見事『精霊の護布』を破損させ姉御にもダメージを与える事に成功した。魔法を放棄したとは一体……傷の深さ? 聞いてやるな。
姉御はオッサンが回復役を仕留めに行ったのを見て、自分は第二級冒険者狙いに移行していった。さすがに耳栓は数を用意できなかったらしく、魔法で面白いくらいに吹き飛ばされてたな。
「やっぱりおかしいだろ【
「何あれ、すっげー」
ルビスはアタシの用意した大型の
「「「へ、変型合体ロボだー!!」」」
テンション爆上げな男神共の言うように、切り札とは戦闘不能になっていない
なお、身も蓋もない事を言えば小型化したファイナルに至ったほぼビッグなモスさんを模した姿である。いや、なんか格闘の強そうなロボって考えて作ってたら【
「何だアレ!?」
「知るか! ゴライアスだと思って
『イヤーッ!』
「「「グワーッ!」」」
『イヤーッ!』
「「「グワーッ!」」」
『イィィィィィィィ、イヤーッ!』
「「「ンアーッ!」」」
強い(強い)。サイズがデカいからまとめて吹き飛ばせて雑魚狩りには便利だな。巨体だから鈍く見えるけど実際はLv.5相当だし。ただ幹部が残ってたら最優先で排除しに来て、瞬殺されてただろうな。的がデカいし。
戦闘特化型数十体分のコストでルビスの操縦があってギリギリLv.5を達成してる感じなんで、コスパは悪いしワンオフの専用機だしで要改善の塊っすわ。地味に空は飛べるから人間相手ならかなり有利なんだがなぁ。黒竜の前じゃ盾にもならんし有人機だから使えない……悲しい。
ちなみに影のMVPは命名式を受けてない期待の新人ヴィトー。スリンガー引き撃ちで香辛料やハッカ油といった『耐異常』持ちにも通る嫌がらせで調子を崩し、魔剣使って地面を凍らせた上で水浸しにし、突っ込んできた相手を転ばせる。そして雷でまとめて葬る。更には油を撒いてから火を放つ始末。いやまぁアタシの教えたやり方なんだが。
だから滅茶苦茶良く響く大声量でアタシを大々的に称えるのを止めるんだ。店内の連中から向けられる視線が冷たい。
幹部も回復役も粗方が片付いたんで、残るは団長の【
結局二十分に渡るベルの連撃を受けて、大剣が破壊される。
ベルの体はものっそい速度で吹き飛んで、ルビスの合体
「……次はどちらだ。いや、二人まとめてか」
「甘く見るなよ、Lv.7」
「その通りだ。勝ち誇るには……」
「「まだ早い」」
直後、着弾。
戦域の半分近い距離を一瞬で詰めたベルによる返礼の拳が【
「なるほど、謝罪しよう……続きを」
「……はい」
「待て、それじゃ締まらんだろう」
第二ラウンドが始まるかと思ったところに、オッサンからの制止。そして……【
「使え。ただし、相当なじゃじゃ馬だぞ?」
「……感謝する。礼は後ほど」
「いらん。精々喰らい合え」
これには【ヘスティア・ファミリア】に賭けていた観客から悲鳴の嵐。なお今回のオッズはフレイヤ:ヘスティアで1.6対2.5だとか。割と接戦だと思わん?
「……なるほど。確かに。だが……」
そうして何度か素振りをして、おそらくはじゃじゃ馬の意味を理解、納得したのだろう。それでも【
「待たせたな」
「いえ、今度はそちらからどうぞ」
ベルの言葉は、慢心に聞こえたかもしれない。都市最強を相手に勝ちたければ、騎士道や武士道のような礼節を持ち出さずにどこまでも卑怯とは言うまいな精神でかかるべき……そう観客は思うだろう。
だが、ベヒーモスの大剣を知っているのなら話は変わる。武器の強度はほぼ同じ、武器破壊などは夢のまた夢。しかもこの状態で先程までの絶対防御なんてのをされた日には、溜まりに溜まった衝撃を解放してのカウンターで間違いなく即死する未来が見えるんだな、これが。
だからベルは勝つための最善手を打っている。これからは相手に攻めさせて避け、流し、合わせて削る。恐ろしくか細い綱渡りの開始だった。
なお、当然ながら【
結局、獣化の度に体力を激しく消耗する【
今度こそトドメの一撃を放とうとするも、相手が立ったまま気絶していると気付いたベルが武器を寸止めしたタイミングで、気絶したまま繰り出された【
まぁ
そんな感じで今回の
早い話、都市最強派閥の看板が変わったわけで、しかも最強より強いのに最強だった派閥を取り込んだ……おかげで、今回の
直接戦ってないのに負けを決められた気持ちはいかなるものか。早速取材班はオラリオ北区――黄昏の館へと飛んだ!
「行かせるわけないだろ馬鹿たれ!」
「グワーッ!」
ミアさんからは逃げられなかったよ……。
しっと団の年行事があるので明日以降の投稿が遅れるかもしれません。