そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱)   作:夜月工房

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150.ぶつかりました。ご協力下さい。

精霊のやらかしに一段落つけて数日、その間は様子見がてら【ソーマ・ファミリア】の酒とか造ってる連中の話を聞いたり、人造迷宮(クノッソス)と繋がる予定の土地を整地して基礎工事を済ませといたり、その人造迷宮(クノッソス)内部に開設する孤児院のために内装を整えたり、バルカに超硬金属(アダマンタイト)を補充したり……まぁ割とダンジョン外の用事を頑張った。

あと忘れてたギルドへの【ランクアップ】申請もしといた。偽装は継続なんで表向きLv.6になったが、ロキ派へのプレッシャーには丁度いいんでねーかな。知らんけど。

 

その間に【ヘスティア・ファミリア】の面々は改めて【フレイヤ・ファミリア】の面々と顔通しをして、戦争遊戯(ウォーゲーム)とは違う組み合わせで勝負したりで過ごしてた。深層からの帰還に要する時間を考えると今後は対人で上げる方が効率いいって事になるかもしれんし、相手が増えたのは嬉しい話よな。

成長スキルバレの可能性は高まったが、そもそも既に公然の秘密でしかないからいいかな、と。むしろ知覚する事で生えて来やすくなる可能性もあるから今後に期待だ。

 

リリはアタシの代わりに春姫及び親衛隊と化した【タケミカヅチ・ファミリア】と【麗傑(アンティアネイラ)】を引率してくれた。

できる事なら【フレイヤ・ファミリア】との模擬戦に混ざってもらいたかったが、その辺はベルのパーティーと向こうのパーティーの合同探索から模擬戦と段階を踏むべきって事で今回は不参加を決めたそうな。向こうの四兄弟ががっかりしてたとかベルが言ってたが……まぁ、単純に若い実力派の小人族(パルゥム)に対するミーハー精神だろう。フレイヤ派だからそっち方向の心配をしなくていいのは助かるな。

 

引率ではせっかくの機会だし、と【勇機指令(スキル)】で能力が上がってる状態の春姫に実戦経験を積ませてみたらしいが、攻撃全般に才能がないとお墨付きを与えたそうな。どうにもやはり目を瞑ってしまうらしい。強いて言うなら遠距離からスリンガーで支援する分には目を開けていられるが、今度は純粋に射撃適性が低く誤射率が高いので無理、と。

反面、攻撃される側に立った場合は不思議と回避率が高かったそうな。目を瞑るのは変わらず、動き自体も大袈裟な感じが多くて正直に言えば見苦しい感じがあったそうだが。

戦闘以外だと、事切れたモンスターの収集や魔石回収の腕はかなりいいらしいので、要所要所で妖術師をやりつつ基本はサポーターがよさげって事で関係者の意見は一致してる。階位(レベル)上げは難航するが、潜在値(エクストラポイント)に拘る必要もないから魔力を500まで上げたら十分か。偉業は……防具固めてタイマンさせたら恐怖心の克服でいけねぇかな。

そんな春姫だが、教会地下に住み込み指導を受ける日々の中で炊事洗濯掃除の腕をメキメキ伸ばして良妻度を高めてる。絵本の読み聞かせなんかもできるようになってるので賢母の側も目指せそうだな。何よりあの尻尾が凶悪なんだ。悪ガキが強く握ったりしそうではあるが、あの肌触りを知ってしまえば逆らえなくなるに違いない。いたいけなショタの性癖が壊れる……ッ!

 

 

 

で、今度はフレイヤ派の……まずは幹部以上を対象に、ヘスティア派の本拠(ホーム)を紹介しろって話が出たらしい。

 

「……借家(アタシんち)なんだよなぁ」

「やっぱり無理ですか?」

「いや、別に。見られて困るもンも盗られて困るもンもねェからな。回数制限ありの許可証(パス)でも作って渡してやればいいだろ。強いて言うなら単なる住居を案内する意義が見出だせねェが」

「その、フレイヤ様が興味津々らしくて……」

「あンのアホ信者共……」

 

つーかフレイヤの知りたがる情報なんて実質ベルの部屋くらいだろ。あいつら主神のお熱な相手の寝室について調査して報告するの? いくらなんでもアホすぎんか。

いや、連中の事だからフレイヤ様が足を運ぶには相応しくないとか言い出して模様替えとか始めるぞ。それもベルの部屋だけじゃなくダイニングとかも。やべぇ、想像だけなのに今から連中の本拠(ホーム)に乗り込んで無双したい衝動が。どうせ【猛者(おうじゃ)】はフレイヤ共々バベル最上階だろうし、普通にやれんべ。

まー、いっそ先に『豊穣の女主人』を招待してやるのもありか。そしたらフレイヤも「もう見た」ってなるやろ。そうなりゃフレイヤ派の方はキャンセル入るかもしれんし。それに、割と暇してそうなフレイヤ派幹部と違って連中なら仕事が忙しすぎて滅多に来ないはずだし。

 

「暴れたら永久出禁な上に一定範囲内に接近を確認したら迎撃するって伝えとけ」

「うん、わかった」

「ちなみに一定範囲ってのは?」

「半径15K(キルロ)くれェで良くね?」

「事実上のオラリオ追放か」

「安心しろ、メレンの端まで含まれてる」

「やるときは徹底的に、ですね」

「何一つ安心する要素がないよ!?」

 

暴れなきゃいいってだけの話だから何も問題はない。あぁ、さすがに地下の訓練場は対象から除いてやらんとないか。逆に他の場所じゃ一切容赦する気ねぇって話なんだが。

とはいえ連中の殺気や害意に精霊が反応して攻撃とかは考えられるからな。地下の一部には闇精霊(シェイド)地精霊(ノーム)が住み込んでるし、訓練に驚いて思わずって可能性は考えられる。

そういや知らん内に畑の収穫物や保管庫の酒が少しずつ減っていってるんだよなぁ。精霊用供物置場とか作るか? ないとは思うが、ヘスティア辺りが精霊に罪を擦り付けながらこっそり摘まみ食いとかし始めたら反応に困るし。アルテミスの監視があるから大丈夫だとは思うが、念のためな、うん、念のため。

ちなみに、精霊の質量じゃ引っかからない落とし穴を仕掛けておいたら、後日ヘスティアが引っかかる事件が起きた。一応、アルテミスから仕事をやらせてた精霊たちへのご褒美を確保しに行ったと証言は出たのでお咎めはなかったが……顔面から落とし穴に突っ込み、天高く尻を突き上げて動けなくなっていた姿に神の威厳はなかったと言っておこう。下位精霊に出力を最低限にした魔法で尻をツンツンされていた事はアルテミスとアタシだけの秘密だ。

 

「まー条件を伝えた上で、それが飲めねェなら無理って事で。来訪日が決まったら教えてくれ。ほれ、許可証(パス)は作ったから渡しとく」

「うん、ありがとうジル姉」

 

ちなみに、豊穣の女主人側に提案をしたらミアさんから休暇を分けながらペアまたはトリオで訪問する事と、抜けた穴埋めにアタシがバイトする事になった。解せぬ。

なお最初がミアさんとシルのペアであり、ベルの寝室――むしろ寝台(ベッド)――に一直線で潜り込んだシルをミアさんが拳骨落として引きずり出す愉快な場面もあったらしい。これに対してヘスティアとアルテミスの処女神同盟からこんこんと湧き出る説教に晒されたのだとか。拳骨と一言二言で済ませる(ミア)さんは偉大なんやなって。

おかげでアルテミスの存在バレたけど、神威を発してはいないから神違いだと説明したらしい。こっちにも確認が来たけど、複雑な理由があるってだけ言っといた。まー、神だったはずが精霊になってたら驚くわな。そうでなくともシルとしてはまさかの恋敵(ライバル)出現だし。でもソイツ、実は先に告白してるんですよ。やーい奥手ピピックしてるからそうなるんだよ。

そして先にシルたちを案内した事でフレイヤ派の幹部たちが来た際はものすごいテンションの低さに……かと思いきや、人形兵(ゴーレム)や精霊の存在に広い地下室といった浪漫、普段とは違う珍しい料理にと、割としっかり楽しんでいった。

それと【異界倉庫(ドラッヒェン・マーゲン)】内で活動するエイジャとラピスの動画は、未知が詰まってて娯楽としては最上級と呼んでもよさそうだ。喋るモンスターに関しては、戸惑いがないと言えば嘘になるものの、主神(フレイヤ)が未知を楽しんでいるのでヨシ! って姿勢(スタンス)らしい。うーむ実に【フレイヤ・ファミリア】してるな。

 

 

 

で、数日後。なんやかんやあってアタシとリリが【フレイヤ・ファミリア】の本拠『戦いの野(フォールクヴァング)』に赴く事になった。名目は合同探索前の実力確認だとか。

とりあえずリリが【猛者(おうじゃ)】以外の幹部とタイマンで連戦、余裕のストレート勝ちを決めてプライドをボコボコに凹ませた。小人四兄弟は四人一組で再戦したが、格上狩りと多数相手に慣れているので無限の連携も武器破壊四回のちリーチ差で完封していた。強い。さすがにエキシビション気味な【猛者(おうじゃ)】相手に勝利はできなかったが、獣化なしの絶対防御を崩すまではいけたので偉業十分じゃねぇかな。

アタシは表向きLv.6上がりたてなので、ズレ修正も必要だろうって事で最初は二軍集団相手だったんだが……ダマ鞭を相手に集団で来てもなぁ。結果は察してあげてくれ。同じように小人四兄弟も予備武器で相手してくれたが、まぁこっちはそれ以上の手数だったんで接近もさせませんでしたとさ。多分兜の下で泣いてたと思う。一応表に出して持って来てた長巻でも相手してみたが、やはり同時に二手以上来るわけじゃないから対応できちゃうんだよなぁ。あと予備武器はすまんな。弁償代は払おう。

アラサー四兄弟の嗚咽をBGMに白エルフ、黒エルフ、ツンギレ猫とも長巻で戦ったが、やっぱり白エルフの雷は対策してないと厄介だな。威力もそうだが範囲と速度がやべぇ。コハクの前身相手にやり合ったときのセラミック籠手(ガントレット)で絶縁しながら武器で受けてたけど、その、熱がですね。思わずプッツンして綺麗なお顔に峰打ちかまして吹き飛ばしちゃったんだわ。幸い、歯が抜けたりはなかった。黒エルフと黒猫はアタシが避けるより受け流すタイプなんで相性差というか、攻撃を受け流しながら丁寧に削って決着。猫に至っては普段から負けてるから負け癖がついてないか心配になるね。そして迎えた【猛者(おうじゃ)】戦。

 

「【銀月(ぎん)の慈悲、黄金(こがね)の原野、この身は(いくさ)猛猪(おう)を拝命せし】」

「は?」

「【駆け抜けよ、女神の真意を乗せて――】」

「ちょ」

「【ヒルディス・ヴィーニ】」

「待てやゴラァァァァ!?」

 

開幕強化魔法から斬撃の雨霰が飛んできて、アタシは余りにも呆気なく吹き飛ばされたとさ。魔力壁がなければ即死だった。あっても重傷だったわけだが。

むしろ獣化なしとはいえLv.8の魔法込みを受けて当たり前に五体満足で生存してる事に向こうの観客からドン引かれた。解せぬ。

 

「やはり――至っていたか」

「テンメェ……言うに事欠いてそれか」

 

コイツ、アタシの虚偽申告を確認するためだけに魔法乗せやがった。いやまぁ原作開始前時点で50階ソロ未達の帰り道と遭遇した辺りから確信してはいたんだろうが。思えばあのタイミングが少しズレてたら、コイツ普通にウダイオス黒剣拾えてたんだろうな。そう考えたら運のないやっちゃで。

さておき、貴重な格上相手の機会だし粘れる所まで粘ろう。イベント消化した感はあるし、今後敵対する事もないだろうから倉庫を見せてもいいや。武器オンリーとか容量は大きくないとか言い訳はいくらでもできるし。武器の在庫(ストック)が半分割るまでは体力持てばいいなー、なんて。

 

「続けるぞ」

「上等だァ! 脱毛剤ぶっかけてしばらく表に出られねェ頭にしてやンよオラァ!」

 

あ、ビクッとしたな。さすがの【猛者(おうじゃ)】も眉なしスキンヘッドは嫌か。だがこのラジルカ容赦せん!

ちな、明確な脅威とかでこのあと滅茶苦茶ボコボコにされた。

 

「彼女は不死身なのか?」

「どれだけ武器を取り出すんだ」

「しかも全部使いこなしてる」

「一言で言うとキモい」

「「「それな」」」

 

そんな四兄弟の会話が、アタシと【猛者(おうじゃ)】の戦闘を目撃したフレイヤ派の総意だったそうな。黒エルフなんかは普通に中二ムーブ投げ出して白エルフの後ろに隠れて震えたらしい。

まー途中からは【猛者(おうじゃ)】も獣化を解禁して、それでも武器と引き換えに一撃を受け流し、モロに入っても立ち上がったからな。いや、なんでミスリルの大剣で超高純度アダマンタイトの武器を破壊できるんだ。おかしいよコイツ。

しかも獣化の代償で割と消耗を強いたから粘り勝ちあるかなーと希望が見えて来たら、埒が明かないってんで再び魔法を発動されちゃって詰んだわけだが。いやね、ぶっちゃけこっちも体力の限界来てたから、詠唱中に呼吸を整えて向こうの初撃に合わせて武器ぶった斬ってやっただけで満足です。満足しきった直後に視界を拳が埋め尽くしてたわけだが。コイツいっつも素手で勝負決めてんな。

うん、わかっちゃいたが負けたわ。脱毛剤とか自滅する予感しかなかったから使ってる暇なかったし。でもリリの指揮下にあったとはいえ、前回【ランクアップ】したベルのデート前から合わせて耐久と器用の伸びが300超えてた事からヨシ! なお一番の損害はリリの涙である。おのれ許さんぞ【フレイヤ・ファミリア】。

あ、連中からはしっかり同行に不安なしって評価を勝ち取りました。むしろ【猛者(おうじゃ)】以外全員に全員が負けてるんだが、息してっか元最強派閥。

 

しかし今回の模擬戦でリリに限界超えた項目が出たし、今までに比べて経験の密度が違うとはいえ早くもLv.7の資格は得てるんだよな。フレイヤ派もここ最近は負け続きとはいえ同格以上とバチバチにやりあえたんで、幹部が揃って停滞から抜け出せたっぽいし。これますますロキ派が焦ってとばっちり来るやつでは?

アタシも原作開始前だからってつい欲張ってカンストさせてたけど、Lv.6→7で妥協したし、今後も可能なタイミングで【ランクアップ】しとかんと駄目だわ。元よりアタシは【異界信仰(ヴェルト・グラオブ)】の内包する生産系の発展アビリティがLv.依存なわけだし。カンストさせずに【ランクアップ】してた場合でも少ししかタイミングは変わっちゃなかったとは思うが、その少しで一つ違った事が明暗を分ける可能性もあるわけだし。戦闘はそれ専門に時間を費やせる連中に任せて、アタシは生産――特に魔道具(マジックアイテム)の開発や改良、量産を頑張ろう。

それはそれとして実地で鑑定しながら素材探したいんでダンジョンには潜るがな!

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