そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「そンじゃ、いてきまー」
「いってらっしゃいませ、お姉ちゃん」
『お土産よろしくでやんす』
そしてヘスティア派は自分の時間――おそらくは模擬戦尽くしになるだろう。マンネリを感じたら
メレンの漁業に関しては、養殖に向けた取り組みが効果を発揮し始めたと言ってもいい。
モンスターは普通の生物に比べて巨大な傾向があるので、モンスターから逃げ延び隠れられる場所が多数存在する沈没船は漁礁として機能し始めているようだ。魚の餌になる貝類や甲殻類も順調に集まっているらしい。
そしてロログ湖の出入口に張り巡らした魔石絶対通さない魔力壁で海からの流入を防ぎつつ、元から存在している分は水中用
そのせいでモンスターの卵を食べる剛毅な生物の個体数が危ぶまれているらしいが、その辺は諦めて欲しい。どうせ通常生物も餌にしてるだろその悪食なやつ。
まー途中で海に出て行く魚に関してはどうにもならんが、その辺は手が届かんから自然の流れに任せるしかない。ゆくゆくは魔石だけを通さない魔道具でネットワークを築いて、追い込み漁でモンスターを殲滅しながら征服領域を広げ――モンスターの生息域を狭めていきたいところだが。
それこそ実現には海に面した国や【ポセイドン・ファミリア】の協力が必要になるんだろうが……下らない政治に巻き込まれるのは勘弁してほしいから学区にアイデアだけ投げて終わりかね。
こちらとしてはメレンの漁業だけ守れればそれでいいんだし。ロログ湖の生物は海に繰り出して育つ場合でも近海の範囲っぽいからな。そこまで網張ったら後はどうでもいいわ。
怖いのはイルカみたいな知能高い系の生物が有益だと学習して魔道具を拾っていく可能性かな。座標とか速度で自動的に……その時までに対策考えておけばいいや。まずは湖内のモンスター駆除だ。
なんて事を考えつつ、ニョルズとその眷族から現状の報告を受け、改善提案について実現可能か検討してく。
例えば千切れたり落としたりしても二次災害を起こさないような網の開発とか……いや『潜水』覚えさせて回収させろって言いたい。さては
発展アビリティを持たなくても『
あとは網そのものを海藻類とかの餌になる素材にするとかか? 魔力を通してる間だけ頑丈になる
「あ、いました」
「おン? あァ、終わったか。結果は夕飯時まで取っとけよ。全身で表現してて隠す意味もねェが」
「いやぁ~やっぱりオーラ出ちゃってます!? ボクも隠そうと努力はしてるんだけどなぁ!」
「煩い……気持ち、わかるけど」
「外で騒がしくするのは美しくないぞ。我慢したまえ」
更新を終えたらしい第三小隊が探しに来ていた。どこから見ても浮わついた様子を隠せてない事から、
「お迎えが来たなら今回はここまでにしとくか。こっちでも考えを煮詰めておくんで、気にしてくれると助かる」
「あい、あい。考えまとめて試作品できたら持って来るわ」
「そいつら学区の生徒だろ? どうせなら今朝獲れたやつ食っていけよ【
お開きの流れでまとめに入ったところに、
「だ、そうだが。昼飯は食って来たか?」
返事は腹の音だった。誰の、とは、あえて言うまい。辺りには焼かれたソースの暴力的な香りまで漂ってたからしゃーない。
そうして新鮮な魚介類を単純かつ豪快に焼いただけとか、一手間かけた料理にしたのとかで腹を満たしてからオラリオに帰って来た。
ついでに南西区を再び荒らし、流れで南区の賭博場まで足を伸ばして遊ばせてみた。アタシは悪い大人なのだ。
ちなみに結果はニイナが大勝して、レギが勝ったり負けたりでトントン。イグリンは豪快に賭けて盛大に爆死して、クリスは勝ち続けたが最後の最後で外して儲けなし。まぁ楽しんでもらえたようで何より。
最後に確認がてら【フレイヤ・ファミリア】の本拠である
なんかアタシとも模擬戦を、って希望されたんで時間が惜しいって白黒エルフと小人四兄弟をまとめて相手にしたけど、同格になった前者も差が一つに縮んだ後者もかなり手強くなったよ、うん。装備を新調してなけりゃ負けてたかもなぁ。勝つには勝ったが時間はかかったしダマ鞭の長さが半分になっちまったし。
「……何なのだその装備は」
「我が爆炎までも喰らうとは、如何なる逸話を持つ呪われし外套なのか」
「見ての通りご大層な逸話も何もねェ新作だっつーの。アタシとした事が、今の今まで
「…………は?」
「なにそれこわい」
前々から抱いていたモンスターの返り血ドロップアイテム疑惑。現にミノ血を混ぜたブラッドソーセージが超短期の補正効果を発揮した事もあり、普段は洗い落とすしかないそれをどうにか有効活用できないかと考えに考えた結果が、装備に自浄作用盛り込もうぜというものだった。
そこにもったいない精神まで入り込んできたからさあ大変。例えば吸血植物から繊維を採集して……とか有効活用する方向で考えてたら、横から成長する装備へのロマンまで入り込んできたので、この際だからドロップアイテムじゃなくモンスター生きたまま加工しようぜ! とか深夜テンションもびっくりなぶっ飛び方をしたのが先日の話。そして【
つーか魔石ごと繊維にできるとか地味に革命じゃね? 正常な状態の魔石と違って、何割か断線しても即死扱いで灰化とはならないから補修できるのが実にグッド。なんなら餌を与えてやれば自己修復もするし。これ応用して機構武装を作ったらメンテ不要なモンスターの特性を利用できる便利装備にならんかね。
まー実際には試作品の試験段階なんだが。本番はベヒーモスやジャガーノートの遺灰を練り込んだりしたいし。触れたらカウンターで毒を与えるとか、魔法反射とか、夢広がるよな。虫取り網にジャガーノートの遺灰を混ぜて魔法反射させんだよオラァ!
「相変わらず発想が狂ってる」
「まだ生きてるモンスターを着るとかないわー」
「
「でも『彼女だから』で納得できるのがな」
「「「ほんとそれ」」」
四兄弟の言葉に周りも深く頷いてるのは我が事ながら納得しかなかった。が、それはそれとして一番近くにいた四兄弟の青いやつをひん剥いて、脱いだコートを着せてみる。食われるぅーとか悲鳴を上げて気絶してて草なんだ。
仲間になるとギャグ要員の法則が仕事してて、これには観戦していたフレイヤ派二軍も親しみやすい上司にニッコリ。アタシはリリから叱られてしょんぼりだったがな!
とりあえず幹部間の連携の甘さや同時多角攻撃への対処を課題として挙げてから、褒美に
後日連中を代表して【
「えーと、私たち第三小隊は皆様のご指導により、無事全員がLv.3に【ランクアップ】する事ができました! ありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」
「「「おめでとう!」」」
はい、帰ったら夕食はお祝い会ですよ。頻繁に祝ってる気もするからマンネリ化の懸念もあるな。いっそ次は豊穣の女主人で祝うのもありかね。
「いやー、しかし相変わらず常識を覆すのに余念がないよね君達」
「単に神の考えそうなアレコレについて予想して実践して確かめてを繰り返して、得られた結果をそのまま代入してるだけなンだがな」
「それを下界の子供ができちゃうのは非常識なんだけどねぇ。そんなんだから実は神なんじゃないかって疑われるんだぜ、キミ」
「下界の未知だぞ、喜べ
ヘスティアは最初の一ヶ月でLv.3って成長速度に異常さを認識していたものの、その後も変わらない爆進っ振りに感覚が麻痺しかけていたらしい。しかし二度目の
ソーマが出席しないせいで同居してるヘスティアにアタシとリリの話題が向けられるみたいなんよね。次回はどう足掻いてもフレイヤ派の吸収と頂点への台頭に関して言われるだろうし、ロキ派との溝はある意味でフレイヤ派より深いからな。理由を聞けば呆れるしかないが。
これでロキ派がイシュタル派と組んだら対立構造が更に深まるんだが、アタシと【
「まー今日の主役はあくまでも【ランクアップ】した
「いや、さすがに
「むしろ朝夕のミーティングを主導しているのはお姉ちゃんなんですが」
容赦ないツッコミに、アタシ以外の首が縦に動いた。解せぬ。
「……さあ、食って飲んで騒げテメーら。アスピナに叱られねェ程度にな!」
『逃げたでやんす』
「逃げたな」
「逃げたなぁ」
やかましいぞ最年少と年長組。
なんて心の中で文句を言ってたら、威力をかなり抑えた【サタナス・ヴェーリオン】が飛んできた。心を読むのはアタシが隠し事できない素直な性格をしてるんで今更として、ついに詠唱破棄し始めたんだがこの才能お化け。どこまで強化されるんだ。このままいけば決戦のタイミング次第だが
「ちなみに明日は今度こそ丸一日休養日で、その次の日からはお待ちかね【ランクアップ】記念で深層旅行な」
「「「「……えっ」」」」
『来週もあっしらと地獄に付き合ってもらう、でやんす』
UA80k達成、ありがとうございます。
また、今更ですが誤字報告も助かっております。こちらについても改めてお礼を。本文章はそれくらいじゃ補いきれない読み難さに負けない皆様の根気によって支えられております。今後ともお付き合い頂ければ幸い。