そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「つーわけで参加者募集中なんだが」
「アタシが参加するはずないだろうが。せっかくの
「デスヨネー。いやまァ、宣伝にもちょうどいいかと思ったンで一応、な? どっちにしろ
ミアさんは不参加か。シークレットっぽい感じでいいと思ったんだがなー。知られざる強者がここにも的な? いやまぁ腐れご長寿な神々がたくさんな
「いいじゃないですか、ミアお母さん」
「お店はミャーたちで回しておくから、ガツンと一発キメて来るニャ!」
「ほぉ、言ったね? なら普段の三倍は売り上げを立ててもらおうじゃないか!」
「えっ」
流れ変わったな。つーかシルの介入って、要は主神命令なんだよなぁ。
「それとアーニャはアタシとコンビで出場だよ。ラジルカはアーニャの衣装を用意しな。もちろん宣伝用のをね!」
「ニャニャ!? ヤビヘブだったニャ!」
「ヤブヘビだアホ。それと衣装は承ったわ。クリーンヒットを受ける度に花火が上がって、装備者の体力が限界に達したら本人が打ち上げ花火になる着ぐるみを改造しておくな」
「売り上げ……三倍……?」
「
Lv.7と6のコンビか……容赦ねぇな。まぁ現場を離れて長いって事で納得してもらうべ。【ナイト・オブ・ナイト】は二人について情報持ってるだろうし……意外と帰港の度に豊穣の女主人を利用してたりもあるか?
とりま、早めに宣伝したらそのまま店に集中したいだろうし、初戦というか開会式直後のエキシビションマッチでいいか。アーニャ参戦なら話題としては戦車の両輪が揃っても良かったが、祭りとしては店の方がおいしい気もする。真剣勝負だけじゃ息が詰まるしな。アタシとリリも真面目にふざける予定だし。
「とりあえず戦闘にも耐えるエプロンとか耐熱手袋とか要るか?」
「そうだねぇ……貰える物は貰っとこうかね」
「あい、あい。後で届けに来るンで、サイズの微調整はそンときにでも」
シルにも話は通ったわけだし、このままフレイヤ派にも出場して楽しませろ的な神意が下るんでねーかな。ヘスティア派は強制参加だけど、言われんでも参加したがるだろうな。オッサンと姉御はワンチャンかわいがりまである。
逆にロキ派はなー、ロキがバルドル派の団長メインな催しに参加なんてごめんだとか言って突っぱねそうだ。それともけちょんけちょんにしろって後押しするか? その場合は下手すると【ナイト・オブ・ナイト】一人に三幹部で挑む形式になりかねんな。
ぶっちゃけロキを除いて水面下で話を進めたいところあるけど、何しろヘスティア派とフレイヤ派の
とりあえず直に会って伝えるとロキから下らねー愚痴や文句聞かされそうだし、お知らせのチラシ入れた手紙をリヴェリアとアイズにそれぞれ送って、リヴェリアの側に人数分の参加希望並びに同意書を同封しておけばいいか。
とりあえず場所は押さえて日程は最長で組んでるからな。仮にロキ派が不参加の場合はチーム戦やったりしてもいいかもしれんね。
第一目的になる【ナイト・オブ・ナイト】のストレス解消を考えるに、同格相手に暴れるだけじゃなく、同格と肩を並べて戦うのも願望としてはありそうやん? それこそ参加の場合でもロキ派の三幹部と言わずオールスターを相手に【ナイト・オブ・ナイト】が選んだ面子で相手するドリームマッチとか入れたいくらい。もちろんそのまま対フレイヤ派幹部、対ヘスティア派みたいに続けても【
あ、ガネーシャ派に警護と実況解説頼まんと。学区メインのイベントにするから、冒険者に対する判定厳しめで取り締まってもらうべ。
フレイヤ派にもお知らせ自体は手紙かなー。こっちは
「つーわけで【ナイト・オブ・ナイト】を丸裸にして欠点ツンツンして遊ぶぞー」
「レオン先生に何しようとしてるんですか!?」
「本人には許可を取ってあるの?」
「バルドル様から直々の依頼だし、こっちからは取ってねェぞ。主神から説得なり命令なりで参加は強制だろうから心配すンな。日程は闘技場の予約期間で固定されてるが、順番や組み合わせは向こうの希望を可能な限り叶えつつ参加者の意向も反映かね」
第三小隊を代表してニイナが慌ててるが、ベルへの回答を聞いてバルドルほどのお方が言うのなら効果で鎮静化。よく訓練されておる。むしろバルドルの
「僕たちは強制参加なんだよね?」
「そりゃなァ。この時期にしか戦えない相手で、しかもLv.7……多分だが途中で【ランクアップ】してLv.8だぞ? 希望制でも不参加を表明するやつァいねェだろ」
ベル・クラネル氏、笑顔が好戦的になっております。まぁ先日の【
「見世物にされるのは気に食わんが……今更だな」
「本気でやってもいいのか?」
「殺しがなけりゃな。欠損は治療のアテができたンで、可能な限り避けるくらいでいいぞ」
「ほぅ?」
姉御もオッサンも超乗り気。騎士が騎士を保てるか微妙になって来たな。というかヘスティア派の三名とリリは
欠損については、精霊が居着いた影響で変異した
ぶっちゃけアタシは【ナイト・オブ・ナイト】の手札を知らんからとことん嫌がらせして戦闘を長引かせるつもりだし、リリにはそれと噛み合った戦法になるような課題を与えるつもりだ。
まぁリリが真っ向勝負を望む場合はその限りじゃないが、別個で模擬戦に誘ってもいいのよって説得してみる。
「まー
「くじ……」
「くじですか……」
ヘスティアとリリがとても分かりやすく
「今の内から言っておくぞ。不正はなかった」
「ほぼ予定調和じゃないか!? 絶対に疑われるぞ!?」
「だよなァ。勝ちたいロキ派やフレイヤ派を先に当てて、経験を積みたいアタシらが後半戦って方が好ましくはあるンだが……まァ、そこも含めて参加者が集まってからだァな」
予定は未定。文句は決まってから出すべきであってうんぬん。幸運相手に勝てる気はしねぇがな!
なお、案内の手紙を送った次の日には返信が届いた。
「毎度ー。装備というか衣装が完成したから持って来たぞー」
「あ、いらっしゃい」
「ドーモ。二人はいるか?」
豊穣の女主人を訪ねたら、珍しくミアさんの姿が見えない。アーニャはサボりだろうか。
「えぇと、中庭で――」
「うニャー!?」
「いつまでそうしてへばってんだい! とっとと起きな!」
「……把握したわ。ちょっくらお邪魔すンぞ」
「はい、ご武運を」
錆び落としでもしてるんだろうか。どうやら割と張り切っているらしいな。
ミアさんの半脱退って暗黒期になってからだったはずだし、つまりリヴァイアサン攻略戦とかの時点では団長やってたんだよな。やっぱり悪童評価時代の【ナイト・オブ・ナイト】とはそこそこの因縁あったり?
「お邪魔ー。お届け物だぞー」
「ニャ! か、母ちゃん、一旦休憩ニャ! お客様が来たニャ!」
「あぁん? あぁ、あんたかい。早かったじゃないか」
「まー元々構想はあったし、仮製作もしてたからな。こっちがエプロンな。斬打突の耐性に加えて耐熱と絶縁。ミトンも耐性は一緒で、薄くて伸縮性が高いから指開いて鷲掴みにしたりできる……着心地やサイズはどうだ?」
「馬鹿言うんじゃないよ。こんな汗だらけで試着なんてできるかい。少し待ってな」
「あいよー。テメーはこのチョーカーな。リボンの中心にある宝石を押せば後は自動で装着されるから難しい事は考えなくていいぞ」
「ち、チョーカー? んおぉ……おミャーは、おミャーはいっつもそうやってぇ……」
「あン? とりあえずテメーも一旦汗流してから試着してみろよ。場合によっちゃ調整入れる部分もあるだろうしな」
とりあえず待つ事しばし。開店に向けた準備として掃除を手伝ってたらミアさんとアーニャが姿を見せた。
「こっちは問題ないよ。いい仕事じゃないか」
「そりゃ良かった。そっちは……うン、似合ってっぞ」
「鬼かな?」
「こいつ相変わらず歪んでるニャ……」
「その、かわいらしいとは思います」
「あはは……」
ミアさん側は問題なし。さりげに引っ張ってみたりもしたらしいが、その結果は今のミアさんの格好を見れば一目瞭然。
そしてアーニャは……完璧だと自画自賛できるデキだった。
「ふっざけるんじゃないニャアアアアア!?」
「大真面目だが?」
「こんな、こんな格好で戦闘させるとか、そんなんだからおミャーはロリオヤジなのニャ! 鬼畜ニャ! 変態ニャ! トーヘンボクなのニャ!」
「でもアーニャ。本当にすごくかわいいよ、その着ぐるみ」
そう、渡したチョーカーを着用してから起動させるとあら不思議、メタルなヒーローもびっくりな変身プロセスで開いた口部分から着用者の顔を覗かせる猫の着ぐるみ姿に早変わりするのだ。
防御性能というか攻撃耐性に関して言えばミアさんに渡したエプロンよりも高いぞ。これなら格上な【ナイト・オブ・ナイト】の攻撃からだって身を守れるに違いない。
着ぐるみの弱点である高温多湿に関しても通気性の高い素材なので対策はバッチリだ。肉球グローブと化している手の部分は不思議パワーで物を掴むというか吸着するので、槍の扱いにも支障はないはずだ……確認はしてもらうが。
「そもそもミャーは美しくて格好いい大人の
「はいはい。じゃあ中庭で槍の扱いに問題ないか確かめて、ついでに防御性能の確認もすンぞ。理論上は【
「……ニャ?」
その後、ミアさんの拳骨にも痛くないとアーニャは大層喜んだ。何発まで耐えられるかのテストと評してミアさんに殴り続けてもらっても、本人的には余裕らしかった。
「ニャーッハッハッハ! 凄いニャ! 母ちゃんの拳骨をいくら食らっても全く痛くないニ゛ャ゛ァァァァ!?」
「あ、アーニャー!?」
クリーンヒットする度に花火が打ち上がって数字を刻んでいき、ゼロになるタイミングで本人が打ち上げ花火になる機能もしっかり確認できた。それを眺めていた周囲の視線は生温かったなぁ。
「惜しい人を……」
「まー、いいやつだったよ……」
「アホニャ。誰も彼もアホばっかニャ」
「ラジルカ、後は任せたよ。さあ開店までもうすぐだ、最後のチェックをしときな!」
「「「「はーい」」」」
こうしてエキシビションマッチの成功を確信したアタシは、晴れた冬空に浮かぶ
なお、本人はとっくの昔に地面に落下して地面から下半身を生やしていた事を追記しておく。