そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「いやー、なんて言うか、綺麗ですねぇ。ガネーシャ様」
「俺がガネーシャだ!」
リリが前衛として【ナイト・オブ・ナイト】をその場に縫いつけている後ろから、アタシはひたすら色んな種類の花火やら魔剣やら爆弾やらを投げつける。後はギミックと化したダマ鞭で足元を狙ったり。
それらは光と煙による綺麗な光景を作り上げており――下手をすれば本命である【ナイト・オブ・ナイト】の戦闘よりも――観客の目を楽しませているが、現場には視界を妨げない程度のうっすらとした煙が漂っていた。
煙というのは微粒子の集合体で、組成によっては毒にも薬にもなる……が、肺機能の回復は困難だとされる人体の構造を考えれば、健康に生きたいなら避けるべき事象であろう。だがそんな問題も耐異常で弾き、
【ナイト・オブ・ナイト】はダンジョン通いしてた可能性が高いし、耐異常も高い次元にあると見ていいだろう。仮に取ってなくても
で、今回の煙はどんなもんかと言われれば、まぁ気分を高揚させる効能を持つ。
気分を高揚させるってのは見方を変えれば疲労を誤魔化して無理させてるって事で、疲れた体を無理矢理動かしてる分だけ普段以上に疲れが溜まりやすい。
ついでに言えばダマ鞭の形態変化を利用して、十年以上かけてようやく
【ナイト・オブ・ナイト】も学区の教師筆頭だけあって頭は回るんだろうが、さすがに栄養ドリンクやエナドリのように栄養も吸収したわけでもないのに頑張れてしまう経験はなかったんでねーかな。しかもそこへ煙で香りを隠されたアルコールによる判断力の低下まで重なって……ピーク期はリリも防戦一方というか紙一重の連続で相当に押されていたが、途中からは逆に押し返し始めた。リリはスキルの影響で精神汚染の異常を無効化するんで、酔っ払えなくなってるのも大きい。
実況解説がスロー映像から攻防逆転に気づく頃には実際の戦闘も終了しており、そこにはふやけた笑顔の赤ら顔で抜き身のままな愛剣を掻き抱きながら体を丸めて
とりあえず様々な角度から写真を取り、危ないから大長剣の代わりに酒瓶を抱いて眠る一層駄目な大人モードに変えてからの撮影もしておいた。後で学区に売りつけるんだ。
これにて初日は終了なんだが、主役である【ナイト・オブ・ナイト】が意識をなくしている状況はちょっぴり都合が悪かったかもしれん。とりあえず威厳は死んだんでねーかな。普段とのギャップでファンは増えたっぽいが。まー群れに君臨する雄ライオンが野生を失った
つーか起こすのは忍びないんだが、控え室と医務室のどっちに運んだらいいかな、コイツ。 アルコールで脳を麻痺させてると疲れも取れないだろうし、運んで寝かせたら【
なお、迷った挙げ句に選んだ医務室から帰る途中でレフィーヤと友人らしいアリサとかいう眼鏡にめっちゃ詰め寄られた。
当然ながらレフィーヤがいる以上アタシは通路の端に寄って土下座しており、そんなアタシの態度を気にせず言いたい事を言っている眼鏡と、眼鏡の剣幕に押されて土下座を止めさせるタイミングを失い見ているだけなレフィーヤという構図ができあがっていた。そしてそれを見た冒険者や神から【ナイト・オブ・ナイト】を姉妹タッグとはいえ下した【
学区時代の【
学区を裏から支配しているとか、陰では指一本で倒した【ナイト・オブ・ナイト】を従えているとか、当時の【
ちな、当の【ナイト・オブ・ナイト】からは次の日の会ったタイミングでお礼を言われた。目を覚ましたらめっちゃ体が軽くなってたらしい。まー【
えーと、対戦する皆さんの健闘を祈ります!
そんなわけで二日目。今日の予定は午前がリヴェリアと小人四兄弟で、午後はオッサンと姉御だ。そう考えるとオッサンと姉御の対戦に【ランクアップ】が間に合ったのは都合が良かったな。アタシとリリも同格相手でいい感じに【
つーか、昨日の今日でズレの修正しきれてないだろうに、戦闘させていいんだろうか。しかも初手ハイエルフやぞ。今更だけど純後衛でタイマンって何を考えてるんだリヴェリア。今からでも前衛つけないか? 具体的にはアイズと親子タッグ組んでいいのよ?
まぁ、そんな話を出す機会がなかったんですが。試合終了の段階で一日目終わり解散って告げちゃった上でアタシが説教されてたから、打ち合わせみたいなのしないまま実際に解散しちゃったんよね。アタシ主催というか実行委員会的なものがなかったのもまずかった。
今朝の段階でもいいからロキに確認を取っておけば違ったかもしれんが、困った事に気づいたのが直前だったしなぁ。第一試合の組み合わせ発表時にやっべってなったよね。実況解説司会までこなす火炎魔法君はプロ根性か気づかなかったのかわからんが普通にテンション高く読み上げただけだったし。
で、結果は順当に【ナイト・オブ・ナイト】が勝ったともさ。まぁ
続く小人四兄弟は
以前から四人揃えばどの第一級冒険者にも勝るって凄いんだが情けないんだかよくわからん評価をされてた無限の連携を武器にしている彼らは、単純にLv.6になった事で動きが良くなった。
それはつまり連携の隙も減れば回転も速まるわけで、今回はいっそ見えたら気持ち悪いって感想を抱けてしまいそうな、滑らかで繋ぎ目のない連撃を披露していた。最早チェーンソーか何かみたいだったわ。
しかもこの連携、一撃が永遠に続くんじゃなく一撃二撃二撃とか一撃三撃一撃とかの組み合わせでも成立するようになってるんよね。今回は二撃が
最終的には【ナイト・オブ・ナイト】が武器を弾かれたと思ったら、続く三撃に対して両手で二つの武器を掴んで振り回しつつ残り一つを鎧で受けつつ体を回転させて流し、続く一つを蹴り上げて凌いだ。で、連携の崩れた相手を各個撃破。まぁ体の小さな
っていうのを何故か隣に立ってた【
更にその隣にいたフレイヤも解説を聞いてはいたが、戦闘の詳細がわからんでも魂の輝く様を見て楽しめるんでリアルタイムに満足してたよね。連携崩れたタイミングで曇るんじゃなく新しい課題でも見つけたのか強く輝いたらしくて、その辺りを評価してた。
なお、自分以外が褒められて【