そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱)   作:夜月工房

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166.見学しました。ジャガ丸くん新味下さい。

「狙い通りっちゃー狙い通りなんだが、見事に【ランクアップ】してたな」

 

オッサンと姉御と合流して昼食(べんとう)なう。

午前中の二試合に関して話題にしてみたが、やはり熟練者(ベテラン)の感想を聞くのはためになるな。【猛者(おうじゃ)】の解説とはまた別の視点だし、リヴェリア戦に関して後衛視点での解説を姉御にしてもらったのが大きな収穫かね。魔道具(マジックアイテム)をどこまで信じられるかって話からアタシの評価に移ってむず痒い思いもしたが。

で、話題は改めて【ナイト・オブ・ナイト】について。午後の相手はこの二人だからな。最近は格上相手も模擬戦で、レパートリーの少なさから互いに戦い慣れた相手になってて微妙に不満だったろうし。

 

「何、ちょうどいい。目的はあくまで【経験値(エクセリア)】なのだからな」

「同感だ。食い応えが増すのは望むところだ」

「まー全力でやり合って勝てば最良、負けても再挑戦で雪辱を果たせば上位の【経験値(エクセリア)】に多少の補正はかかるだろうしな。奇しくも【九魔姫(ナイン・ヘル)】が魔力壁の効果を検証してくれたンだ、会場の被害は考えず思い切りやっちまってくれ」

 

うむ、闘志は全く衰えてないし都合が良いと割りきってくれるのは予想通りではあるが、それでも気持ちが重くならずに済むんで非常に助かる。

つーかあの魔道具(マジックアイテム)は祭壇型の対策に渡したやつだから、精々がLv.6相当の木の根や魔法を防ぐ目的だったんだがな。あれでLv.8の攻撃をそこそこ防げたって事は出力の桁が違うエイジャの魔力壁は最早オーラなバトラーのバリア並になってるんじゃなかろうか……強化種って聖なる戦士のハイパーな状態に近かったりしないよな?

 

 

で、午後になってオッサンの出番。戦闘前会話……というか舌戦に近い応酬があった後にぶつかり合ったんだが、まー技術のあるパワータイプって怖いよねって感じ。

しかも【ナイト・オブ・ナイト】の方は本人も無自覚だった積もり積もってた疲労が解消されてるし、午前中のでズレも修正できたっぽいしで絶好調。装備とおそらくは場数の差はあるにせよ、それにしっかり食らいついてるオッサンもヤバいんだわ。

あ、ベヒ大剣の衝撃上乗せは初見で痛打を与えたけど、以降は武器をぶつけ合わずに斬撃をいなされてるんで衝撃が貯まらず不発っぽい。なお鎧で二度目の初見殺しが発動した模様。

でもまぁその後は互いに決め手がないままなんでタイムアップ。判定を出した場合は装備による初見殺しでクリーンヒット二回以外のオッサンよりかは、それで仕留めきれずそれ以外を優勢取ってた【ナイト・オブ・ナイト】の判定(ポイント)勝ちかね。昨日……いや、今日の朝一までならオッサンが勝ってたかな。

 

戦闘時間が長いとスロー映像は更に長いわけで、次の出番までの休憩時間を丸々使ってた。火炎魔法君とガネーシャがトイレ休憩を希望してたらロキ派の三幹部が解説を変わってくれてたんで、後で褒美をくれてやるべきか。

リヴェリアが使用限界一杯まで使って故障した線が濃厚な魔道具(マジックアイテム)の修理でいいかね。

 

 

そんで二日目最後の試合は姉御である。ザルドの面影を残す少年(ほんにん)の次はアルフィアの以下略(ほんにん)なのだから、地味に【ナイト・オブ・ナイト】が精神的な疲れを感じてそうなのは気のせいだろうか。

こちらも戦闘前会話が発生したが、どうやら騎士様らしくもない地雷を踏んでしまったご様子。母親(ほんにん)に関してだろうと女性の前で年齢を話題にしてはならない(戒め)。

 

と、いうわけで始まった試合だが、騎士が気力50姉御が気力150みたいな事になってたんで、イベント戦闘の如く【ナイト・オブ・ナイト】がボコボコにされて終わった。

なんかね、姉御の魔法が出力高すぎて音を越えて衝撃波になってんのよ。全周囲から絶え間なく爆発が襲って来んの。気合入れて突っ切ろうとするじゃん? 足元から爆発が起きて浮かされて、後は好きに料理されるしかなくなるんよ。アタシはそうなったし、今回の【ナイト・オブ・ナイト】もそうなった。軽装の小人族(パルゥム)だろうと長身の鎧装備ヒューマンだろうと質量は高が知れてるからね、仕方ないね。

Lv.8ともなれば空気を足場にってのも実現可能かもしれんけど、そもそもそれをするための勢いがね、バネを溜める屈伸をまずさせてもらえんのよ。アタシらみたいにスリケンの要領で魔力を使って足場を形成できてりゃ足首だけで離脱できる速度を生み出せたりしたのかもしれんが、そうはならなかった。

まー途中からどこぞの世紀末ゲーのバスケみたいなスピードで上下に行ったり来たりしてて、見てて笑えたし気の毒でもあったわ。あと解説までスロー映像じゃないリアルタイムな状況に注目してて、上に落ちてるって表現してたのを聞いて吹いた。

 

そんなこんなで二日目が終了。全身から白い煙を上げて起き上がれない【ナイト・オブ・ナイト】に高級回復薬(ハイ・ポーション)を浴びせながら解散を告げてたら、心配したらしい【鬼委員長(キラーメガネ)】の非公式二つ名を持つ眼鏡がレフィーヤを伴ってやって来たので即離脱。

さすがにレフィーヤの立場は不動のものになったし、友人(アリサ)単品の状況でないと土下座やへりくだるムーブの効果は薄いんでな。レフィーヤの威を借る小者扱いされては困るのだ……いやまぁ実際は全く困らんが。レフィーヤほどの末っ子気質を感じないから玩具にしても大して楽しくないっていうか、ね?

 

しかし二日目午後が激戦すぎてハードル爆上がりした感はあるな。三日目の面子は是非とも観客をがっかりさせないよう健闘してほしいもんだ。格上相手なんだし負けて当然ってなってる下馬評を覆してほしい……アタシの賭け金的な意味でも!

 

ちなみに賭けだが、今朝になって【ナイト・オブ・ナイト】が【ランクアップ】してたのが大番狂わせだってんで絶望感が漂ってるらしい。胴元は笑いが止まらんらしいが。

そんな中で姉御が華麗に勝ちを収めたのは希望になったらしいが……肝心の倍率はそこそこ。オラリオの面々はヘスティア派に相当の期待を寄せているらしく、【猛者(おうじゃ)】を除けばベル、姉御、オッサンの順で倍率が低かった。ちな、アタシとリリに関しては勝ち負けに拘らず相手をおちょくって終わるだろうって予想だったらしくて、そこそこ倍率が高かったそうな。表面的な解像度が高くて何より。

 

 

「それじゃひとまず引き分けと勝利を祝って乾杯ー」

「「「かんぱーい」」」

 

こんな事を言ってるが、基本的にはいつもの夕食である。敗北の場合は祝うんじゃなく労うって内容に変わるだけだし。

ただ、昨日の時点で【ナイト・オブ・ナイト】を酔わせた酒について追及されたものの、試合があるだろってお預けされてた二名に日本酒を振る舞う点では違うか。他の面子は昨日の時点で飲んだし。

 

「これだよ、これ。いやー待ち遠しかった」

「すっきりしていて飲みやすいな」

「おいおい、あンまり飲みすぎンなよ?」

「そう思うならまずはお酒を追加で出さなければ良いのでは?」

「ふっ……愛しいリリは賢いな」

「ラジルカくんってちょくちょく信じられないくらいアホになるよね」

 

いやだって、気に入ってもらえるのはシンプルに嬉しくならん? ついついおかわりもいいぞって言ってやりたくなるやん? これより二日酔い訓練を実施する!

ちなみにベルは自制できる子なので、普通に明日の夕食時も次の日の試合に持ち越さない範囲で飲むだろう。うちのベルは呑兵衛なんだわ……笊だけど。

なんか英雄は酒のやらかしをするものって認識があるらしいんよね。こればっかりは祖父(ゼウス)も首を傾げてた。アタシらも真相はわかってない。まぁ、性格的に他人へ迷惑をかけるのは不本意って飲む量をセーブするおかげで一向にやらかしは起こさないからヨシ!

 

 

一夜明け、三日目。対戦相手はロキ派の若手集団とガレスと白、黒エルフの四試合……言っちゃなんだが【ナイト・オブ・ナイト】の全勝だから見なくて良くね、って思ったけどまぁ、アイズの評価はしてやらんと落ち込みが酷くなりそうだしな。第一試合だけ見たらエイジャと遊ぶべ。

そんでまー試合結果は順当に【ナイト・オブ・ナイト】の勝利で、試合内容も【ナイト・オブ・ナイト】からの指導になってた。そりゃあね、連携の面で見れば小人四兄弟って上位互換を相手にした後だし、連携の拙さを補う個々の強さで見てもLv.6だと大きな差はないし、模擬戦として得るものがちょっと少ない。かといって瞬殺ってわけにもいかんし。したら教師筆頭としては教導に走るのも仕方ないよね。

まーそれに気づいた【怒蛇(ヨルムンガンド)】がキレて能力上げてたけど、さすがに階位(レベル)二つ分の差は到底埋められないし、怒った分だけ連携崩れるし攻撃は単調になるしで勝ち目を作れずに消耗していった。指揮官というか隊長やれる頭脳はあるんだが、短気が台無しにしてるんだよな。

大切断(アマゾン)】はそんなキレ姉にも綺麗に合わせてたけど、超硬金属(アダマンタイト)製の重量武器による力任せな一撃はぶっちゃけオッサンの下位互換なんよ。完璧に受け流されて味方を巻き込みそうになってた。あとは底力的なスキルも模擬戦だと効果を発揮しきれなかったんで不完全燃焼っぽかったな。

凶狼(ヴァナルガンド)】はアイズの魔法をもらったりもして速度で攻めてたけど、これも初日に戦った戦車猫の下位互換に近くて丁寧に捌かれちゃってたな。つーか蹴り主体って(キック)(パンチ)の三倍的な話からすると優れてそうだけど、重心とかの問題で二足歩行生物が対人でするのは推奨できない気がする。あとは指揮できる能力はあるけど他の面子がアマゾネス姉妹とアイズだからほぼ活かせんかったのは残念だったか。

そして問題のアイズ。付与魔法(エンチャント)からの隙を狙って突き主体と慣れない連携を頑張ってた感はあったんだが……こっちも速度で勝負なタイプだったんで格上相手じゃあっさり捌かれちゃってた。相変わらず魔法は風だろうと問題なく斬られるし、武器の不壊属性(デュランダル)を見抜かれて思い切り弾かれた事で《デスペレート》を手放しちゃったりしててへこんでた。領域(フィールド)を区切ってる魔力壁を蹴って放った風を纏っての突撃(リル・ラファーガ)も、普通に魔法斬られて軌道を逸らされて自爆に終わったし……非常に心苦しいが、良いところ探しは困難だったわ。

とりあえずアイズにはジャガ丸くんでも奢ってやるべきだろうか。学区の出店がワールワイドな味を提供してるらしいが、ヘスティアの協力してる本家の方が無難だよな。カレー味とか肉じゃが味とか異国情緒あふれる味付けを試作して売ってもらってるはず。

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