そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
大抗争が終わってから四年が過ぎ、割と原作開始までに
この日はLv.5への【ランクアップ】を済ませたばかりで、ズレの修正を目的に浅い層で動作確認をするだけにしておく予定だった。
「誰かいるぞ!?」
「くそっ、あんたも逃げろ!
そこへ現れたのが
で、ソイツらは何とも親切な事に、黙ってこちらへ
これはオラリオの冒険者としては珍しい部類であり、だからこそ恩を返す目的で助けるつもりにもなった。
「おい!? 逆だ、逆! そっちはモンスターがいる方だっての!」
「安心しろ、こちとらLv.5だ」
「Lv.5ォ!?」
モンスターが追ってきてるらしい方へ歩みを進めれば、それを引き止める言葉。なんならわざわざ自分たちの逃げる足を止めてすらいた。冒険者向いてねぇな。
「おっ、おい、そ、そそそそそいつ【
「げぇ〜っ! て事は……ぐわっ!?」
「しばらく大人しくしてろ。ついでに怪我人は治しといた」
仲間がこちらの正体を看破したところで、麻痺毒の塗ってある針と
ダンジョンの悪意ってやつは、いっそ不自然なほどに人間を良く理解している。迎え撃つのを躊躇する
それらを回避するのに一番確率が高い方法は、まぁ、そもそもダンジョンに潜らない事だろうから除外するとして。現実的な意見としては、多少の被弾を覚悟で駆け抜けてしまう事が挙げられるだろう。ダンジョンの悪意は、階層を跨ぐと体感できる程度に薄れる事が知られている。
しかしながら、稀に逃げた先でも悪意が迎える場合が確認されている。なので階段や坂道の途中で立て直す方法を各派閥の知恵として受け継がせている場合が多い。
階層を移動するモンスターは珍しく、特に浅い階層から深い階層へ移動するモンスターはほとんどいないため、注意するべき方向を絞れる。これだけで心理的に余裕が出て十全なパフォーマンスを発揮できるし、仮に戦闘が避けられない場合でも高所という位置的優位が取れるからだ。
階段の場合は蹴落としやれば後続を巻き込みながら転がり落ちていくので、魔石狙いで【
まぁ、今回の場合は適正帯より
「なんだあれ……」
「あれがLv.5……第一級冒険者なのか」
「いやお前ら正気に戻れー。これは【
麻痺して倒れてる割に元気だが、それは麻痺毒の性質がそうだからと言うより他ない。
さておき、現に辿り着いたモンスターは片端からダマ鞭の餌食になっている。一応は獲物の横取りなわけだし、治療費の支払いとかの話し合いにも使えるんで、魔石は狙わず解体していく方向で葬った。
「うぇぇ、えぐい」
「吐きそうなんだが……」
「吐いたら死ぬぞ、割とマジに」
「うぅ、ついてねぇ」
まぁ、一箇所に集めた冒険者を狙われるのは不本意だし、魔石を砕く事なく確実に仕留めるために……との配慮から首刎ね職人と化してるんで、ビジュアルも臭いも酷い事になってるわけだが。
でも一般冒険者の戦闘も似たもんよな。つーか免疫強化されて衛生面の問題対策されてんだからわざわざ返り血避けるとか体力の無駄遣いだろ馬鹿じゃねぇの。実力ありますムーブで効率下げて何してぇんだ。いやまぁモチベ維持は大事なんでどうぞご勝手にとは思うが。
とりま結果的にいつもの
「多いな……?」
それにしても、葬っても葬っても追手のモンスターが途切れない。既に三十を超えているのだが。
しかもこちらで殺戮ショーが行われているのが予想外だと言わんばかりの反応をする者もいて、それでも気にせず突っ込んでくる。
「多分、強化種だ」
「共食いしてたんだよ」
「ほォ?」
ここで保護している冒険者から貴重な情報が。同士討ちでなく共食いな辺り、一方的に屠れるヤバい強化具合か?
「「「痛っ!?」」」
てなわけで、情報料代わりに解毒薬を注入する針を刺して麻痺を解除しておく。
「護りきれる保証がねェから退避しとけ。怪我も治したし、普段通りのダンジョンなら帰還できンだろ」
「お、おう?」
「恩に着る。借りはいつか返す」
「気にすンな。生きて戻る事だけ考えとけ」
そのまま帰還を促せば、一部は戸惑っているものの、一部は律儀に恩返しを宣言している。もしやアレか、コイツら前世は鶴とか地蔵とかか。
『ブロロロロ……』
「マンモス・フールか」
なんて益体もない事を考えていたら、恐らくは冒険者の言っていた強化種が姿を現した。冒険者はとっくに退避済なんで、安心して待ち受けてたんだが……改めて見ると大型級の迫力とはすごいもんだと感心するわ。
「でっか……」
通常種でさえ肩高が六〜七
「つーか草食じゃねェのか。いやまァ魔石食う時点でアレだが」
自信に満ち溢れた様子で階層を揺るがしながら歩いてくるマンモス・フールの強化種は、通りがけにこちらが処理したモンスターをまとめて長い鼻で巻き取り、そのまま口へと運んだ。その瞳には知性を感じるが、それと同等以上の怒りか何かを宿しているようにも見えた。
「リドっちやグロスとは知り合いか? 退くなら見逃すぞ?」
『………………』
念のために声をかければ、ぴくりと反応があった。どうやら『
マンモス・フールは二、三歩下がったが、前脚で地面を掻くような動きをしてから上体を軽く沈めた。理由も心中も不明だが、どうやらやる気らしい。
あるいは人間排斥過激派だろうかとも思いながら、どう無力化するか考えながら相手が動くのを待つ。情報がどこから漏れるか分からないのが世の中だ、殺してしまい『
「……チッ!」
いざ動いた時、マンモス・フールは砲弾の如き勢いで飛び出してきた。巨体由来のゆっくり動いて見える速さではなく、純粋な瞬発力による高速移動。
Lv.5であっても全力でその場から飛び退かなければ撥ね飛ばされていたであろう速度は、そのまま勢いを殺す事なく壁に激突し、その圧倒的な質量も相まって驚異的な破壊力を披露してくれた。具体的に被害状況を述べれば、ダンジョンの壁にギャグ漫画のような体の形に沿う型の深い穴を作り出していた。恐らくはオワタ式の開幕だ。
【ステイタス】により『力』や『耐久』を上げてくれる『
これが【
「つーか少しは躊躇えよ……」
リド達の話を信じるならば、理知を得てもモンスターである事からは逃れられない『
余談だが、仮にダンジョンを100階までとした上で人体になぞらえた場合、連中の58階から52階層を狙う砲撃はやや短足気味な女性の股下から臍の下辺りまでを貫いている事になる。とんでもないセクハラだ。ここで擬人化ダンジョンの身長を成人済日本人女性の平均より少し高めの160cmとした場合、砲撃の届く6階層分――6%は9.6cmである。長さ的にもそれっぽいし、もうここまで一致したら狙っているとしか思えない。アイツの異名は直結厨でいいんじゃなかろうか。まざーふ◯っかー!
なんて思考を逸らしていたら、穴の中からマンモス・フールが姿を現す……おっかなびっくりなのか、小さな歩幅で小刻みにバックして出てきたんだが。微妙に緊張感に欠けるぞ、と。どうしてくれるんだ。
こちらに振り向いた当の強化種も微妙に恥ずかしそうなのは気のせいだろうか。両前脚を振り上げて叩きつけるように振り下ろすパワー系モンスターあるあるな動作も、気恥ずかしさを振り払うための誤魔化しにしか見えない。でも衝撃波で前髪が乱れて地味にイラつくので減点です。
つーかアタシの戦闘はどうしてこう、どこかしら真剣味が欠けるのか。もうこの時点でやる気は底辺に近かった。
とはいえ、向こうは逆ギレに近い感じなのか、むしろやる気をみなぎらせていた。非常にやりづらい。
『ブロッ!!』
実力は既に、見切ったのだから。
「それはもう見た」
『……ッ!?』
強化種は張り切って突進を繰り出すも、何の工夫も感じられない焼き直しにすぎなかった。初見ですら避けられたものを、どうして当てられると思ったのか。
すれ違いざまに強酸入りのビンを進路上に放り投げておいたので、マンモス・フールはビンを割り顔面に酸を浴びる事となった。
悲鳴を上げなかった事は褒めるべきか。あるいは効いていない可能性もあるが。そんな事を考えながら様子を見ていると、後ろ脚で地面を抉るようにして蹴り、瓦礫を飛ばしてきた。
「散弾ではなぁ!」
面制圧の攻撃で避けにくくはあるが、突進という質量攻撃とは違って瓦礫は受け流せる程度の重さしかない。強度的にも
「さて、次は何を見せてくれンだ? 牙でも射出してみるか?」
言外に勝ち目はないぞと告げてみるも、マンモス・フールの強化種は闘志を衰えさせない。
いやまぁ挑発じみた物言いになったのは否定しないが、恐らくは基本にして奥義な突進が通じない時点であちらの勝ち目は非常に薄い。
一体何がそうさせるのか、アタシは首を傾げた。マンモス・フール関連の思い出と言えば、一昔前に生きたまま背中を焼いて肉食ったくらいだ……我ながら随分と狂った行動だったと反省するエピソードだが、まさかあの個体が強い感情を抱いて『
「これ以上は看過できねェ領域だぞ。まだやるなら殺すしかなくなるンだが、仲間を巻き込む覚悟はあンのか?」
それよりも問題は、このままだと存在が周知されて討伐隊を結成されてしまう可能性が高い事だ。目撃者を逃がした
何せコイツは、S999まで基本アビリティを上げきってから【ランクアップ】してきたLv.5のアタシでも冷や汗をかける
悪い事にアタシはギルドへの【ランクアップ】報告の義務を果たしていない。公式にはLv.3の
『……ブロロロロ』
「退く気はねェ、か」
返答は、三度取られた前傾姿勢。こうなってしまえば、こちらとしても覚悟を決めるしかなかった。
まぁ、言外に自分の死を利用して仲間を復讐に走らせ人類に滅ぼさせると宣言したようなロクデナシ個体なので、ある意味では好都合と思う事にしよう。遠慮なく頂く事にする。上位の【
なんて軽く言ったんだが、いざ狩るとなったら予想以上に苦戦する羽目になった。
「タフだなァ、オイ!?」
ダマ鞭はディル某とは別な配合で更なる硬さを実現した
揚げ足取りをするなら突進してバックするまでの間や方向転換した直後に停止する瞬間はあったが、こちらの攻撃をいくら浴びせても意に介さず、勢いの落ちぬ突進を愚直に繰り返してきた。動画ならn倍速進行で飛ばす部分だな。
こうなると体力勝負になるわけだが、こちらもそこそこ持久力には自信がある。つまりは戦闘の長期化は避けられず、多数の冒険者には目撃されるし、遠くからリド達一派の『
「いや、普通にうぜェわ。気が散るンだよ
だから、床を破壊して下の階層に移動した。したらフェルズの文句がしっかり聞こえたっていうね。出所は遠かったので、巻き込まれたのはマンモス・フールだけだ。タブンネ。
ちな、突進でダンジョンの壁を破壊しまくってたせいでジャガーノートが出現するのでは……との懸念があったが、不思議と確認できていない。
出現と同時に突進で壁の中に押し込まれ粉砕されたであろうジャガーノートなんてアタシは見てないぞ。本当だぞ。いやまぁ21階層でLv.5が暴れてる
つーか、こうして22階層に移ったし、しばらくしたらまた出てくるんだろうか?
「いうて毛皮も刈られ気味だし地肌は切り傷のない場所のが少ねェし、血塗れなのによくもまァ」
アタシの軽口に対して、勢い良く吐き出された鼻息で応え突進してくるマンモス・フール。そのタフネスには呆れるばかりだ。しかし途中から突進以外の攻撃方法を全く見せない辺りがマジでフールなのか、あるいは奇手のための長い前振りなのか、コレガワカラナイ。
突進がてらちょいと揺れて長い鼻を振り回すだけでも不規則な動きで相手を撥ねる率は上がりそうなもんだが、何故かそれをしない。突進時に丸めてるのは空気抵抗の関係か? なら仕方ないか。
「だがこっちは無傷だぞ? 体力にもまだまだ余裕がある。そっちで失血死のが先だってのは予想してンじゃねェのか?」
煽った所で効果はなく、返答はやはり突進。何度も繰り返したように避ける行動を取る。
「は?」
本来なら何の問題なく、余裕すら持って避けられるはずだった突進。しかし、ここでまさかの
マンモス・フールの流し続けた血が、動き続けて発汗した分だけ粘性を微妙に増した血液が、ちょうど地面を構成する枝を濡らしていた事による摩擦の軽減。
そんな原因を気にしたせいで余計に反応が遅れ、半端な勢いで空中に投げ出された所へ勢い良く巨体が迫りくる。せめてもの足掻きにと体を捻って受け流そうと試みて。
「〜〜〜ッ!?」
目まぐるしく変わる光景、あるいは音すら置き去りにしたのか、何も聞こえてこない。
どれだけの時間が経ったのかは不明だが、恐らくは一瞬だったのだろう。気が付けば、視界の中に足を滑らせた跡が未だに光を反射して乾いていないアピールをしているのが見える。どうやらアタシは
不幸中の幸いなのは、あくまでも突進はアタシの左側の肘から先と爪先を掠った程度だった事だ。それでもとっさに体を捻ってなかったら、そのまま牙に引っかけられて壁の染みになってたかもしれんね。
まー腕に関しちゃ原型を保っているとは言い難いし、どっちも完全に感覚がないが、少なくとも足の方は動かせはする。それでも避けるには弱爆弾で強制移動……爆発までのタイミングが間に合うか微妙か。
というか、むしろ患部から離れた場所ほど強く痛みを訴えるザマで、しかしどちらかと言えば情けなさに涙しそうだった。足場にした突き出た枝が不安定だったとはいえ、自分のつけた傷から流れ落ちたり振り撒かれたりした血液に足を取られて被弾とか、頭が悪すぎる。仮に21階層で衆目に晒されてたらそのまま逃走、ダンジョン深層に引きこもるのも辞さなかった。
実力は既に、見切ったのだから(キリッ)じゃねーのよ。思っクソ被弾しとるやんけ。しかも【ランクアップ】後のズレが〜とか言い訳してぇけどとっくにフィッティング終わってるもんなー。誰にも知られずに済んで良かった。マジ良かった……!
「つーかいい加減倒れろよ。まだ血が足りてるのずっけェだろ。体がでけェのは羨ましいよなァったく畜生が」
こちらは被弾したが、向こうも向こうでこちらが避けそこねたせいで半端な位置にあったダマ鞭が突進の勢いを乗せて深々と突き刺さったらしく、なんと目に突き刺さり後頭部まで貫通していた。偶然って怖ぇ。
それでもマンモス・フールは倒れず、無事な方の瞳は爛々と輝いている。傷口からも心臓の鼓動に合わせてか、ぶしゅぶしゅと血を吹き出しており、普通に考えて致命傷だ。脳も傷付いているだろうに、にも関わらず今この瞬間こそが絶好調と言わんばかりに堂々とした立ち姿。
そんなものを見てしまえば、舌打ちを通り越して溜め息の一つも出るってもんだ。
「こっちは一発軽く事故っただけでこれだ、体力自慢も形無しだよクソが。残り時間は短ェし、次で決めてやる」
宣言に対して呼応するかのように体を沈み込ませる相手を前に、アタシがするのは足元に転がってたダマ鞭の半端な位置に手を触れるだけ。
「【
わざわざ声に出す必要は、普段ならば全くない。
今回は手向けとして相手に何かをしたのだと知らせる意味と、単純にただの一撃でボロボロにされているよわよわまいぼでーが
そんなアタシの一言で、魔力を通されたダマ鞭は狙い通り即座に形状変化を起こした。マンモス・フールを貫通していた部分から無数の棘を作り出す事で脳をズタズタに引き裂き、掻き回す。棘の一部は骨の隙間を通って頭部を彩り、無事だった方の眼窩からも飛び出していた。自分でやっといてなんだが、ドン引きな光景だ。言うまでもなく、マンモス・フール自体は事切れている。
「最後の一撃は、節操がない」
言ってみただけである。結局コイツの正体や死ぬまで止まらなかった理由は不明だし、半ば勝ち逃げされた感というか、負け惜しみに近い感情が湧いてくるのは何故なのか。勝ちは勝ちだとどこぞのマシンガンぶっ放す系忍者みたいな割り切りができれば苦労はねぇんかな。
「……【吐け】」
それはそれとして。割と限界近いんで、これまた魔力制御の観点から成功率を上げるためにきっちり詠唱式を声に出して倉庫から正規品の
その意味じゃ、耐異常を取ってなくて良かったと心底思う。取ってる連中って、手術しなきゃない場合は強制的にタオルとか噛ませて耐える麻酔なしプレイになるんだよな、多分。シグルイみたいな事になりそう。
なんならいっそ切り落としてから【
「リドというかグロス達にはどう説明したもンかねェ」
死体はそのまま引き渡してもいいし、加工してからでもいい。魔石も『
とりま、救助待ちしてる間に腕の治療も済ませておくべ。
「女も度胸、痛くな〜い痛くな〜い……フッ、%※∇♨∀♪○(´;へ T`)☆〜〜〜ッ!?」
麻酔下さいとか言っといて気合受けで済ませたアタシは、多分アホなんだと思う。何かしてないと意識が飛びそうなせいもあったんだが、下手すると痛みで意識を飛ばす本末転倒ムーブになるところだった。『
つーか倉庫内を探せば局部麻酔を精製できそうな草やらキノコやらドロップアイテムやらの素材があっただろうに。確認する余裕すらないが。でも麻酔なし治療のおかげで耐久の上昇に一役買ったと信じてるんで意味はあったはず。セーフセーフ。
まぁ、一足早く到着した『
いやホント、さっきのタイミングで多めに
少なくともアレだな、麻酔は今度から常備しよう。医療用でも麻薬かぁとか言ってる場合じゃねぇわ。後で死ぬか今死ぬかの話なんだし。
「語り終えて思ったンだが、学区に警告するンなら乱戦中に欲張って魔石砕かんで倒してたら共食いされて強化種が生まれ一気にピンチのが教材としては正しくね? あとは何かしらの理由で急いでたり不調で見逃したりもあるだろうが」
「気付いてしまわれましたか……」
「そういう事故もあったの?」
「うーむ、アタシにとっちゃ強化種は上位の【
「非常識な……」
強化種を題材にしたエピソードを一つ語ってはみたが、強化種が強い事なんて調べりゃすぐわかるし、魔石を食われないような対応を教える方が得よな。そのための失敗例を再現するのが多分だけど良さげ。
「そういえば、お姉ちゃんは
「あったなァ。それ以前から単なる【ランクアップ】相当以外に変異を起こして特殊能力を得るパターンに当たって、軽く調べてたンだよ」
「へぇ、ギルドかい?」
「いンや。守秘義務があるから詳しく教える気はねェが、間違っても
正解はゴブニュ派だ。ゲーミングウォーシャドウ以来、アタシが定期的に供給してたばっかりに、派閥内で強化種のドロップアイテムで武器を製造するムーブメントが起きちまったらしいからなぁ。
いうて個人向けが多いから、
「そのデータは別途学区に送るべきかもしれんな。都市外でも強化種になったと思われる個体が報告されている」
「ついでだしロキ派の新人に経験積ませながら最新版を作ったらどうだ? アタシはキラーアントとカーバンクルしか調査してねェし」
リヴェリアに提案してみれば、苦そうな表情を浮かべて首と手を振って拒否をした。まぁ、危険ではあるからな。インファント相手に苦戦するLv.1集団が的の小さい速さの上がったLv.1後半を相手にしたら普通に死ねる。
「とりあえず【
「あい、あい。似たエピソードならリヴィラの街で聞いた話があるな。確か――」
そうして語ったエピソードはまさに過ぎた欲で身を滅ぼす典型で、そちらが採用された。撮影の際はスタッフを理解のある身内で固めて、強化種を実際に生み出すんじゃなく『
Q.ヴィーザル・ファミリアってベートが16歳=アストレア・レコードの一年後に半壊して都市外へ流出してるんじゃ?
A.オラリオ入りしたベート12歳の時に冒険者狩りの疑いを持たれてたラジルカの噂を聞いて、柄は悪いが粋な集団だったヴィーザル・ファミリアはダセェ真似をするパルゥムをワカラセるべくラジルカへ話を付けに行きました。結果、ボコされて慎重さを学びつつも見返してやるべく燃え上がった事でなんかこういい具合に強化されて生存してます。なおラジルカはヴィーザル派だと認識しておらず、いつもの武器を狙って来たチンピラだと思っていたので、関節という関節を外す拷問じみた制裁を加えていました。なので古参のヴィーザル派はラジルカを目の前にすると当時を思い出し大人しくなりがちです。
派閥強化の余波で新人も増えており、今回の件で遭遇したのは当時を知らないメンバーで構成されたパーティーでした。が、それはそれとして大抗争後は闇派閥にスパイとして潜入していた名誉回復運動的な噂が広まっていて、しかし闇派閥の中で違和感を持たれない程度に悪辣さを見せて過ごしていたと解釈されているため、危険人物の認識は変わらないまま認知度だけが上がっています。
そしてこの事件を経て懲りずに二度目の喧嘩を売ったと判断され潰される可能性を考慮して、ヴィーザル派はアストレア派の前例を持ち出してオラリオは都市外を見捨ててませんよアピールの第二陣となる事を決めました。ただし第一級に至っていた団長のベートは対黒竜の戦力だとしてオラリオに残るよう言われ、派閥内での話し合いの末に仲間から応援を受けながら送り出される形で最強派閥かつ名声的にマシなロキ派へ改宗する事になりました。