そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
近く酷い目に遭う未来が確定したが、アタシは無事に【ソーマ・ファミリア】の本拠へと帰還した。
「お姉ちゃん!」
「リリ!」
「「ひしっ!」」
汚れは
「スンスン……知らない牝の臭い」
「どこで覚えたよ、そンな台詞」
「ソーマ様に会いに来た神様の下さった本に」
「そうか……アタシにやるのはいいけど、使いどころを間違えないようにな」
「はい! リリはしっかり学んでお姉ちゃんのお役に立つのです! フンス!」
昨日の今日で愛しいリリが愉快な性格になってるんだけど何があった。とりあずソーマに犯神の正体を聞き出したら制裁を加えておこう。そしてまさかとは思うが【
「それで、ごめんな、リリ。黙ってダンジョンに行って」
「謝らなくてもいいんですよ。お姉ちゃんは必要だからやったんでしょう? リリはお姉ちゃんの重荷にはなりたくありません。」
「重荷に思うわけないさ。リリがいるからアタシは頑張れる」
はー癒されるー。こんな健気な妹を持てたアタシなら発展アビリティに幸運あっても不思議と思わねーむしろ当然……そうだった、【ステイタス】の確認。
「よっしゃリリ、アタシはソーマ様に用事あるから向かうが一緒に行くか?」
「はい、リリもご一緒します」
「おう、じゃあ手繋ごうなー」
と、いうわけで
「……終わったぞ」
畑仕事を手伝った後で【ステイタス】の更新をしてもらった。体を起こして内容を書き写した羊皮紙を受け取りながら、本題について尋ねる。
「あざます。ンで、【ランクアップ】の方はどうなりました?」
「あぁ、しっかりと条件を満たしていた。おめでとう、アーデ」
「凄いですお姉ちゃん!」
「うす、ありがとうございます。リリもあンがとな」
目的は達成した。後は一応、基本アビリティの貯蓄を視野に入れるか実際の数値と伸びを見て決めるとしますか。
「早速【ランクアップ】もしておくか?」
「ちょっと【ステイタス】確認してから決めます……」
ラジルカ・アーデ
Lv.1
力:G209→E420 耐久:E467→C651 器用:B709→B794 敏捷:E415→C629 魔力:B703→B727
《スキル》
【
・ものづくり時に一時的な【ステイタス】への高補正。製造工程の一部自動、簡略化。
・作製物への命名権。名前により効能変化。
うーむ、微妙と言えば微妙か。ネームドじゃなくモブとして見れば上々なんだろうけど。
成長限界に達した感じはしないんだが、今更の話だがそもそも【
【
新しく生えたスキル? アタシには何も見えねーな。知らん知らん。つーかこれ【
「うん、ソーマ様、【ランクアップ】もお願いします」
「かしこま」
とりあえず女は度胸、何だって試してみるのさ。しかし、なんだな。こういう反応を見るに、ソーマもやっぱ神なんだなって。
ラジルカ・アーデ
Lv.2
力:I0 耐久:I0 器用:I0 敏捷:I0 魔力:I0
工芸:I
こうしてアタシは【ランクアップ】を果たした。この判断が吉と出るか凶と出るかは未来のアタシが判断するだろうさ。
選んだ発展アビリティの『工芸』は詳細不明――少なくともソーマは知らないらしいが、恐らくは鍛冶や調合、彫金に神秘といった系列――美術的な価値を持つ品物を作る際に役立つのではないかと言っていた。金の成る木ってやつだな。【
でもこの場合は戦闘に役立つ効果を付与なんだろうなぁ。工芸品……壺……背中、トド、倉庫……やべぇな夢が広がりまくりじゃねぇか。トドは投げて割って中身を倒す方を優先で。
他にも狩人やら対異常やらの定番が候補にあったが、一度勝った相手に
しかしそうなるとどうして発現できたのか、なんだが、思えばポーション一つ取っても試験管は割れにくい石英ガラス製。しかも他のハイポやエリクサーモドキと間違わないよう薬品名の略称を色ガラスの模様で書いてた。ダマスカス鋼なんかも特徴的な木目調の紋様入ってて工芸品としても通用する。知らず戦闘用に作ってきた品々が熟練の技術を要する美術品としての側面を持っていたわけだ。
まぁ、単純な工芸品の場合はスキルの恩恵に預かれないとかだと製造するための設備や技術が必要になって宝の持ち腐れになりそうなんだが。【
で、ギルドに対する報告義務があるからギルドのお姉さんに伝えたら、これまでの歩みをまとめる系のお仕事が追加された。思い出しながら書いて提出したんだが、目を通したお姉さんには物凄い怪訝な顔をされた。
まぁ自分から頼んだ
つーか普段の内容的にも
「それじゃ、今後ともよろしく」
「えぇ、多少は落ち着いて下さるとこちらとしても助かるのですが」
「それができたら冒険者やってねーッスわ」
背を向けて手を振りながらその場を去る。一度はやってみたかったムーブである。惜しむらくはパルゥムなので背伸びしてる子供感が半端ないところか。