そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
ハロウィン、それは仮装した子供集団がトリトリ言いながらお菓子を求め練り歩くイベントである。嘘。
「いやまァなンかそれなりに歴史のあるイベントとして広く知られてるわけだが」
「単なる収穫祭と見せかけて地域ごとに謎の踊りや掛け声を合わせた奇祭として成立してますもんね」
「ゾンビやら吸血鬼やらで
この時期は女神祭があるから大騒ぎする機会はあるはずなんだが、どうしてか
そう考えると、先月オラリオで開いたバニー限定のコスプレ祭は割と低い確率が通ったんだろうか。半分くらいは男共の助平心に助けられたんだろうって予想はできるがな。むしろ女側の助平心やら死なば諸共精神やらで一部男性もバニー姿だったわけだし。線が細い男神の脚線美に敗北感を味わった女性は多かったそうな。なんならパッドで盛った胸にすら打ちひしがれてたとか。色々と度し難いぞオラリオ。
そういや助平心で思い出したが、アタシの知らん場所でバニーダンスとか言って元気良くぴょんぴょん跳ね回る軽快な踊りが爆誕してたらしいんよね。バニーコスで跳ね回ってポロリを狙った男神連中が考え出したらしくて、風紀を乱すとガネーシャ派に引っ捕らえられたとか、その前にエルフ達から私刑に遭ったとか、そんな報告が上がってきてたのは記憶に新しい。
「お姉ちゃんは女神祭に配慮して今まで介入してませんでしたよね?」
「まーな。ついでに今後もそうだろうさ」
何しろ女神祭の食べ放題プランで食いすぎた連中が
その意味じゃ、十五夜はタイミングが女神祭どころか
「あれ、では今回は?」
「
なお納品は半分くらいが
ちな、実際にそんな台詞を吐こうもんなら妄想力高めな
「なるほど……つまりデートですね?」
「おン?」
言ってるそばから事故が起きた件。
「と、いうわけでデート当日ですよお姉ちゃん!」
「アタシの記憶が確かならジューンブライドをキメて一妻多妻とかいう意味不明な関係なはずなンだが」
しかも正妻が実妹という事実が全周を囲ってどう目を逸らせばいいのかわからん状況っていうね。
なお正妻の決め手になった理由が『同じ派閥だから』な部分にはオラリオ味を感じなくもなかったりする。繁殖には関係せずとも最初から同じ親の
「チッチッチッ、男女が待ち合わせして一緒の時間を過ごすなら、それはいつだってデートなのニャ」
「男いねーよ」
とはいえ実際問題、気が付いたら外堀が埋まってたというか不意打ちで
流石にダンジョン潜るのをデートとは言いたかねーし、人生に彩りをって考えたらデートの一つや二つは付き合ってやるかって気分にもなるよね。なるもんだろうか。うーむ、よぐわがんね。
女神祭は例の如くシルとしてベルとのデートをしたいからってヘルンに
「先生、あれ買って」
なんて過去を振り返ってたら袖を引っ張られた。
思うんだが、出会った当初から実はアイズの方が背は高いし途中から気軽に人を犬猫みてぇに担ぎ上げるのに、頼み事するときだけ袖を引っ張ってくるのはなんでなんだ。
そんでアイズの言う『あれ』を確認すれば、そこには案の定と言うべきか安定のジャガ丸くんの屋台。そしてデカデカとのぼりに書かれて宣伝されている期間限定パンプキーン味の文字。いやそれ単なるかぼちゃコロッケじゃん、挽肉は入ってないタイプの。しかも女神祭で期間限定のパンプキン味やってたよな。パンプキーンとパンプキンって何が違うんだ。全然わからない、アタシ達は雰囲気で名を決めている。
「……まァ、大きく外れる事はねェか。おばちゃん、五つくれ」
「あいよー。だけどいいのかい? 五つじゃいつものお嬢ちゃんだけで食い尽くしちまうよ?」
振り向けば、真剣な表情で力強く頷きを返すアイズ。シリアスの無駄遣いが酷ぇ。
「……もう五つ追加で」
「まいどあり」
そんなわけでアイズに半ダース、その他に一個ずつで分け合った。どうせなら家族サービスで恋人がやるような食べさせ合いをするもありなのでは、なんて思ったものの、複数人相手にするのは絵面が間抜けすぎると思い直したよね。
「お姉ちゃん、リリのジャガ丸くんを一口あげるのでお姉ちゃんのジャガ丸くんを一口下さい!」
「あざとすぎるぞ愛しいリリ」
却下した直後に向こうから切り出してきやがったよ。しかも弾けんばかりに鮮度抜群で瑞々しい笑みを浮かべながら。うーん、守りたい、この笑顔。
それはそれとして同じ味なんだよなぁ。せめてプレーンなジャガ丸くんも買っておけば不自然さは少なくなってたように思うんだが。
「し、仕方ねーニャ。ミャーのも一口やるから代わりにおミャーのを一口寄越すニャ」
「ホラ見ろアホが釣れたじゃねェか」
「はわわわ……そのように大胆な行為が!? いえ、ですがよくよく考えれば私達は既にあれ以上の事をした仲……はふん」
「この往来で気絶すンなよー」
アーニャが便乗し、春姫が妄想を膨らませて意識を飛ばしかける。いつもの流れではあるが、同じ味の食い物をシェアとか狂気の沙汰でしかない行為を当たり前に受け入れてるコイツらの頭は大丈夫なんだろうか。アイズを見ろ、黙々と自分のジャガ丸くんを貪ってるぞ。しかも既に最後の一個を半分以上。
――ネキは今日もモテモテっすね!
――モテる……モテてしまう……
――オイコラ面倒が嫌いな人
――はい(光が逆流しそうな声)
倉庫内からの野次も飛んでくるし、なんつーか、密度が高い。そりゃ思わず溜息も出るって話なんよ。
「先生」
「あァ?」
「食べないなら、ちょうだい?」
「変化球で来たかー」
このあと滅茶苦茶
「「あ」」
街中を練り歩いていたら、デート中の
連れてるのは
まだ誰とも結婚してないが、だからこそ女性陣は独占したい部分もあって自分達だけの時間を欲してるんだそうな。その割にシルとリュー、アーディとティオナ、ヘスティアとアルテミスみてぇにペアが多いわけだが。その意味じゃ【
つーか人数多くて大変よな、ベルも。変なスキル生える程度には苦労してるっぽいし。当時はあんまりに不憫だったから栄養剤の差し入れしたけど、逆効果だったかもしれんって気を揉んだくれぇだかんなぁ。
「ま、そういうこった。じゃあな」
「どういう事!?」
向こうは時間制限ありなんで引き留めるとシルに恨まれそうだし、軽く流してベル達とは別の方向へ歩いていく。
基本的には仮装して街の様子を眺めつつ屋台を冷やかすだけなんだが、まぁ屋台も輪投げの輪がフラフープ並に大きくて標的がどでカボチャ大会にでもエントリーするのかってくらいデカかったり独自色を出そうと頑張ってるんでそれなりに楽しめるんでねーかな。今更だが本家の神がなんで
ちな、今回の仮装はリリがツギハギ系ゾンビでアイズが吸血鬼、アーニャが着物姿な猫又で春姫が実質普段と変わらん恰好な九尾の狐だ。いずれの衣装も例の如く深層素材をふんだんに使った高級品で、このままダンジョンに突っ込んでも問題ない装備品として機能する。獣人二人が単なる着替えで済んでるような気もするが、アーニャは尾を増やす部分にアタシの製作した薬品を使ってるんで見た目以上に覚悟は決まってたりする。なんなら春姫は【ココノエ】を待機状態で保ってるんで滅茶苦茶に高度な技術を用いてると言って良い。自前以外の非実体で揺らめく熱くない炎のような八本は幻想的だ。ガネーシャ派やギルドに叱られないかビクビクしながらの行軍だがな!
「へぶっ!?」
「お? 悪ぃニャ」
「アーニャ様、気を付けてください」
「わーってるニャ、でもこんな長い尻尾してる方が悪いニャ」
「それはリリも同感ですが」
はい、
本来ならここで「怪獣王だと思った? 残念! ゴモたんでした!」とか言うべきかもしれんが、キャラじゃねぇから無理っすわ。そういうのが似合いそうなのは天真爛漫に言ってのけそうな【
前者はベルハーレム入りしてるっぽいが、後者……そもそもアストレア派は男っ気がねぇから割と心配なんよなぁ。本気でリューがベルくらい。ライラは前から【
それこそ眷族だから、強いから平気だろって舐め腐った考え方してる愚民共の相手で疲れてるところをベルみてぇになよっとしてるが優しい男に引っかかるくらいしねぇのかな。しねぇんだろうな。文通とか面倒に思いそうだし、結局は住む世界が違うなら余程じゃねぇと続かんか。
何が怖いって、妥協して性転換薬に走りそうなところなんだよね。輝夜はあれで出産願望持ちだったはずだし、他の面子もこの際だからって手近な相手で済ませるとしたら……アリーゼ枯れるんじゃね? 親近感湧くわぁ。
しかしまぁハロウィンらしさを感じる事件とか起きねぇなぁ。フェルズや『
まーダンジョンの意思にモンスターの見た目や種類を季節イベント用にアレンジできんか聞いたけど、運営がカツカツだから無理らしいし。もっとたくさんの優秀な冒険者がダンジョン内で死んでくれると助かるらしいが、さすがにそんなおふざけのために上級冒険者を謀殺するような真似もできんからなぁ。自然発生する身の程をわきまえない三下の不幸な事故で我慢してもろて。
『ネキっち! 助けてくれ!』
とか思ってたらリドからヘルプが届いた。フェルズから強請った
『見つけましタよ、リド!』
『げぇーっ!?』
『リド、ちゃんと着替えなきゃダメ!』
まぁ、何かが間違って伝わったらしく仮装は人間かつ異性の格好をするものだって『
『リド……諦メロ』
『グロスゥゥゥゥ!?』
ちなみにレイが持っていたリド用の衣装はスケスケで布面積が小さい踊り子っぽい服だった。破壊力が高い。そして疲れ果てた声を出すグロスは既に全身がリボンだらけでフリフリなドレス姿。ヘッドドレスも完備な辺りにこだわりを感じなくもない。
どっちもアタシ製じゃないのは確かなんで、多分ラーニェとかの『
そんで追手のレイはシルクハットとタキシードにモノクルで紳士然とした格好だったが、ウィーネは何故か葵の紋が入った長裃姿だった。ちょんまげのかつらとかどっからアイデア仕入れたんだろうか。
つーかダンジョン内で動きを制限するような恰好はどうなんだ。ウィーネだぞ、めっちゃ
そんな感じで他の『
あと推定フェルズが某
最終的にリドは踊り子装備になり、みんなに笑顔をお届けしていた。オラリオは今日も平和である。