そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
ギルドの用意してくれた部屋、ギルドの用意してくれた人員の前に並べられた顔、顔、顔。グロ耐性って言ってるのに気丈にも同席した担当ちゃんは、ソッコーで口を抑えて室外へ駆け出して行った。まぁそうなるわな。
「コイツらの素性が分かるンなら、そこから裏で結託してる協力者……容疑者含めた連中の存在に辿り着けねェかな、と。似顔絵にして職員に聞き込み入れるのどーよ?」
「むぅ……確かにやる価値はあるか」
そう言ってもらえると助かるわぁ。こっちを見る目は完全に犯罪者兼精神異常者を見る目だけどな!
「本当なら廃教会に向かって欲しいところだが、襲撃者の集団はLv.3の率いる2の群れって感じだったからな。全員弓装備で割としっかり範囲絞って矢の雨降らせて来たからそこそこ厄介だぜ」
「今からでは人を集めている内に逃げられるだろうな。かといって少人数で返り討ちに遭っては元も子もない」
「だよなァ。荷物持った
「そちらは心配ないだろう。一応、本拠に連絡を取っておく」
組織がデカいと動きが鈍くなるのは分かるんだが、この場合のデカい組織はオラリオの街そのものだからなぁ。見回りとかも人数不足でカバーしきれてねぇから待機人員なんてのも貴重な戦力を遊ばせてる扱いにされてるし、そうすると有事の際は戦力不十分で駆けつけられない。負の連鎖って感じだ。
「そっか。アタシは情報吐ききったし、もっかい現場見に行くわ」
「そ、そうか。気を付けてな」
なんでそこで引くかね。手がかり残ってるかもしれんし、忘れものの確認だとか口封じだとかって手がかりの方からノコノコやって来るかもしんねーじゃんよ。捕まえるなんて贅沢言わねーで網張るだけなら一人で十分だっての。
あー、逆にアタシが証拠を隠滅する可能性を警戒してるのか? 確かに推定Lv.3に狙われて無事な
「……仕事早ぇなオイ。最初から移動予定だったンならアタシのタイミングが超絶悪かったって話になるンだが」
期待はしていなかったが、案の定教会部分には証拠になりそうな物は残っていなかった。外の遺体すら油を撒いてから燃やした形跡がある。ふと人骨使った冒涜的な武具とかいうネタが過ったけど見なかった事にする。焼かれた後の骨とか単純に脆そうだし。
「
教会の内部も検分してみたが、床のタイルがひっ剥がされたり、長椅子が引っくり返されてたりと、それっぽい場所は荒らされた跡があった。地下室は鍵が破壊されてたんで予感はしてたが、多分こっちが本命の倉庫だったな。重要な物資を優先で回収していったからか、微妙に漂う生活感がなんとも言えない気持ちにさせてくれる。ここ作業場に改造しようとしてたんだが、先住民の痕跡あると落ち着かないな。
つーか証拠隠滅に建物を燃やしてないのは、考察にあったベルの叔母が生きてたら【アポロン・ファミリア】全員殺されるって話が関係してたりするんだろうか? それとも近くに似たような倉庫なり隠れ家なりがあって、延焼して大火事になられても困るから? 実はまだ回収できてない隠し財産があるって線も残ってるからなぁ。厄介なこった。つーか、今更だけどヘファイストスがヘスティアに与えたのって確保してたんじゃなく、その当時まで売れ残ってて投げ売りだったんかな。考察外してるやん、いやん恥じぃ。
「……
無傷のまま放置されたいかにも怪しいソファーがあったんで、中に何か入ってないか確かめてたら、数万ヴァリスと『よくできました』と書かれた紙が入った布袋を見付けた。誰かに見られてて襲撃される流れかと思って即座に待避したんだが、特に何も起こらなかったのは良かったのか悪かったのか。万一を想定した、おちょくるためだけの工作、手間の割に効果が薄いから、仕込んだのは神かな。
結局、成果らしい成果は出せず悪戯みてーな紙片をギルドに提出して終わった。ヴァリスも組成から偽金だと判ってたから提出した。【
あと似顔絵ができてたんで、ギルドというか憲兵の動きの早さに感心した。三人の顔についても憲兵側で証拠品として一時預かりの上で一定期間後破棄するらしい。衛生管理の観点から今すぐ焼くべきだと思うんだが。冷凍どころか冷蔵すら怪しいやんここの保存技術。お高い魔石製品に冷蔵・冷凍庫あるか? ありそう。あった。アタシも後で作るか。キンキンに冷えてやがるって涙するビールを飲める歳になる前に転生してるしな。
つーかよく考えたらこっちの酒事情そんな知らねぇわ。
できる事もなさそうだし、そのままギルドを後にした。【ガネーシャ・ファミリア】の団員からは参考人みたいな感じで呼び出されるかもって話をされたが、引き留められたり拘留されたりはなかったので一安心。
ついでに
途中、そういえば監視いないんじゃんと気付いて普段は行かない区画まで露店をチェックして回った。欲しい物や珍しい物が買えてホクホクだったが、帰ってから護衛がいないって意味でもあったから割と危険な橋を渡ってたんだなって気づいて肝を冷やしたのは内緒だ。
突然だが、
「おっ、そこにいるのは【
「急にどうしたよ【
「争いは同格でしか起きないとは言いますが、実に滑稽ですわね」
「「黙れ残念美人」」
「あらあら、死に急ぐところまでそっくり。さすがは同格」
「おい止めろ馬鹿!」
「そんなんだから
「
「どのみち本性見抜かれてンだよなァ」
「ギャー! このっ、余計な事言ってんじゃねーぞボケ後輩!?」
「連れねェ事言うなよ
「ンアーッ!?」
「ライラァーッ!? おのれ、よくもライラを!」
容赦なく放たれる居合をぎゃーぎゃー言いながら避けたり受けたりする羽目になったが、要はアタシの二つ名が決められていたわけだ。
アタシは
神のネーミングセンスというか悪ノリ振りは原作で知ってたし、我が事ながらやらかした自覚はあるので
そういやここ最近になって
その話をされたときにソロアタックを心配されたが、言い訳につい奥歯に仕込むタイプの濃縮ポーションの存在をバラしたら芋づる式にポーション類の自作がバレて、定期的な納入をする事になった。なもんで今もこうしてちょくちょく『星屑の庭』には顔を出している。まぁ噂が広まっても調合持ちって話で止まるなら大きな問題にはならんでしょ(慢心)。
何故か模擬戦に発展する事が多いが、
アタシに対する当初の懸念である積極的な冒険者狩りの疑いは【アストレア・ファミリア】の報告書で否定され、アタシの主張である正当防衛が多発する件は【ランクアップ】による知名度の向上で絡むアホを減らせるだろうとの判断だそうな。甘い判断だと思うが、それだけ
「お前も