そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「……オーケー、責任の押し付け合いはここまでだ。起きた以上はどう役立てるか意見出し合おうじゃねーの」
「逃げたな」
「やかましい。とりあえず連中の通るわけねェ言い分を明文化させたわけだが……」
はっきり言って酷いぞ。その証拠に、読んでる
「……こんな事を素面で言うのだから使い捨ての駒にしかできんのだ」
「空気だの正義だのに酔ってるンじゃねェか? つーか家族ってより後援会だからな我らが主神のあり方からすれば」
アタシの素直な感想を皮肉と受け取ったのか、ザニスはつまらなそうに鼻を鳴らす。
「神酒の生み出す利益は莫大だ。しかし
「あー、だからなるたけ
「そこは視点の違いだな。依存する者は絞らねば暴動が起きて、それこそギルドが出張ってくる」
市場に流す量を絞るのはいいが、余りは消費せずに在庫として貯めておくんじゃ駄目なんだろうか。失敗作が手元にあるとソーマの機嫌が悪くなる? 飲まずに捨てたらもっと機嫌が悪くなる? それじゃ内側で処理するしかねーか。料理に使ってもキレるんだろうか。やぶ蛇は避けたいが好奇心には勝てない。今度聞いてみよう。
「ついでに数が出回らないなら依存者は少ない神酒のためならどンなことでもしてくれるようになる、か」
「ふん、悪知恵が働くな
「先に思い付いて実行してるのがいるンだよなぁ……まぁ、方針は分かった。馬鹿共に酒解禁して売価の分補填しろってノルマ上げるのが良さげだが」
「前例を作るのは調子に乗らせるので気に入らないが、良い機会ということにしておくか」
「内側はそれでいいとして、外野を黙らせるのはどーするよ?」
「下手に騒げばギルドが介入してくる。周りが騒いだところで【ファミリア】の得にならんのなら相手にするのも馬鹿らしい」
「賭けの胴元と渡りつけて八百長できねーかな。決着はボードゲームで決まった流れを沿ってアタシが負けるけど譲歩で酒解禁するみてーな」
「ふむ……妥当なところか」
そんな感じで事前にそれらしくアタシが優勢であると噂に流しておき、賭けた比率は3おおよそ7とそこそこ偏った。実際の勝負では台本通りアタシが序盤優勢も
で、一週間くらいしたらギルドからの召集命令が来た。ノコノコ出頭したらあれよあれよと個室に詰められ尋問開始。内容としては殺人の疑いだ。なんでさ。
どうやら殺されたのは【ソーマ・ファミリア】のモブらしくて、アタシを持ち上げてた馬鹿の一人だったらしい。アタシが鎮圧した後から姿が見えなくなってて、仲間が捜索願いを出した結果、動いた【ガネーシャ・ファミリア】が既に殺されていたそいつを見つけたらしい。
「それで、一昨日の夜はどこにいた?」
これはザニスが罪を被せに来たか? 茶番感が半端ねぇ。
「本拠で妹と過ごしてたよ」
「身内は庇うから証拠にならんぞ」
「そんな事言い始めたら【ファミリア】全体丸ごと身内だろうが。都合良く第三者がいる方が不自然だと思うンだが?」
「ではアリバイはないと言うことだな」
言質を取ったとばかりに満足気な表情で頷く男だが、果たして対価は何を貰ったんだろうか。
「疑惑を晴らせないならしばらく牢屋に入ってもらう。そういう規則――」
「なァ」
「何だ? 言っとくが賄賂は通じ」
「神連れて来いよ無能」
「なっ、む、無能だと!?」
「無能以外の何だってンだ。嘘かどうか神に聞けば一発なのに何でテメーみてェなむっっっっっさいオッサンとサシで質疑応答せにゃならンのよ。せめて顔だけでも良い
「貴様! 犯罪者の分際で俺を愚弄するか!」
「連中なんだかんだで頭の側は全知のままなんだから上級冒険者の名前や噂話なんざ暗記してンぞ。一年ちょっとで【ランクアップ】した十歳なんぞ機会があるなら会いたいってやつは佃煮にするだけいるっつの。分かるか? 十歳に考え付く方法を取れなかったテメーなンぞは無能以外に呼べねーわけ」
自称【ガネーシャ・ファミリア】は顔を真っ赤にして血管を浮き出させるが、その変化は前世の茹でダコを思わせるだけだった。
「誰にいくらもらって協力したのかは知ンねーがよ。どうせそのエンブレムもシールタトゥーか何かだろ?」
「な、な……」
「まァ、なンだ。続きは神の前でやろうか。テメーの騙る
今度は血の気を引かせて真っ青だ。一々忙しいやつだな。色変わるのはまんまタコ。髪の状態には触れないでやるのが優しさだろうからあえて描写は省くが、アタシはそいつの頭皮に吸盤をくっ付けて引き摺りながら巨大ガネーシャ像を目指す。今日も【
その後、ガネーシャ立ち会いの下で改めて――今度はオッサンの尋問をしたわけだが、当然のように正体不明な相手からの依頼だったんで黒幕に辿り着く証拠は得られなかった。
面白いのは、そいつが実際に【ガネーシャ・ファミリア】の団員だった事か。いや笑えねーが。
賭け事で借金があるらしく、それの帳消しをちらつかせられての犯行だったようだが、違法な地下賭博なので追えないという。じゃあ何だって依頼人が帳消しにできる権利を持ってるってわかったンだとツッコミ入れたら愕然としていたので、余りにも無能過ぎて怒りを通り越して涙が出そうになった……シャクティが。忙しそうだもんなぁ、身内の不祥事まで発覚してストレスヤバそう。
つーか違法地下賭博とか運営組織に
結局、今回の不祥事は【ガネーシャ・ファミリア】の評判が落ちたら治安が更にヤバくなるんで揉み消す事を提案したんだが、ガネーシャはギルドに報告すると言って譲らなかった。声がデカいせいで本拠の外まで響いて知れ渡ったんじゃねーかなこれ。なもんで、アタシは謝罪だけもらってとっとと逃げてきた。冒険者狩りの疑いは晴れたが事実として遺品提出率は不動の一位だったから、予備軍として注目されてるみたいで、その、シャクティの目がピンク色の名探偵うさぎだったからな。ペンギンの方でなくて良かったと安心しておくべきなんだろうか。
あとシャクティの妹とかいうアーディと少し話したんだが、めっちゃ明るくて良い子だった。眩しい。こいつ原作にいねーで変な自称妹がいたってことは、死んでるんだよな。マジで? いやまぁそんなん言ったら正義の眷族丸ごともなんだが。うーん、でかい襲撃までの時期が読めねーのとリリ最優先だから単純に手が足りないんだよなぁ。フェルズの真似して
で、帰って来たら本拠が襲撃されてた。リリは誘拐されてた。新生ブリューナクが残骸になってたから
しかし、どこからどこまでが計画なんだか。とりあえず殺されたんでないならその内に
冷静さを保とうとする部分までしか冷静になれていない自覚を持ちながら、ソーマの機嫌が悪くなってないよう祈りつつアタシは酒蔵へと向かった。多分だけど、襲撃ついでに酒盗もうと侵入したやつ相手に神威出してブチキレたんでねーかな。
あぁ、それにしたって、
確認したら総お気に入り数が50になってて小躍りしてました。キリが良い。
チラ裏のあんまり整合性考えない手癖の垂れ流しですが、今後もお付き合い頂ければ幸い。