そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
フラグっぽかったがゴライアスとは出会わなかった。セーフセーフ。
んでめでたくリヴィラの街に到着。荒っぽいが親しみを感じなくもない歓迎を受けながら、誘導されるがままに酒場へ行ってその場にいる全員に一杯奢る宣言しつつ軽く情報収集。飲み比べや腕相撲が始まった辺りで退出したら宿屋へ凸。
疲れもあるので防犯対策は軽めに済ませて、一日のシメに【
ここの連中は気を許せるわけじゃないが、被害に遭っても冒険者生命に関わる段階になることは滅多にない。最低限の治安維持のためにやらかしを見つかったら私刑が待ってるからな。その私刑も精々がボコボコにされた上で衣類含めて全財産没収された後に吊るされるくらいで済む。致命傷なんだよなぁ。他の作品なら奴隷落ちコースじゃん。
なのでそれくらいまでなら迎撃も許されてるわけで、リリが誘拐されて
もちろん賭けの対象にもなってたな。誰が吊るされるかもそうだし、特にシメられたわけでもない連中まで罠を潜り抜けたらどーだとかで挑戦しては吊るされてたわけだ。胴元らしい
その辺、等級の高い冒険者や派閥なんかは品行方正を求められている事もあってノリが悪い。とても悪い。おかげでリヴィラの街にいるような面子からはお高く止まってるって言われるわけだ。内心じゃ混ざって馬鹿やりたいやつもいるだろうに、不憫よのぅ。
アタシは問題行動多数派閥の新人上級冒険者だからその辺はゆるゆるで気にしない。そもそも眷族に仲間いねー上にそいつらと比べたら品行方正だし。あぁ、今はリリも『
つーかアタシの所属派閥って余り知られてないんよね。爆弾使うソロパルゥムって個人情報が一人歩きしてる。冒険者吊るしとか身ぐるみ剥がしとかシスコンとかって情報も流れてるけど、派閥には掠らない内容だからなぁ。
で、一夜明けたが、さすがノリと勢いで生きてる連中だ。お約束を
「アタシは弁償する気ねーぞ」
侵入者がいたのは確定らしく、アタシが新しく作り出された槍や爆弾を抱いて丸まってた安物のベッドを除いて、周囲は宿屋ごと吹き飛んでた。犯人っぽいのと何でか宿屋の主人まで吊るされてるのがウケる。手引きでもしたんかな?
まぁ、天井も壁も内側から押し倒されてた感じだし、迎撃トラップの威力ちょっと間違えたっぽいからそこは反省な。でも天井まで綺麗に剥がされて誰も下敷きにならない位置で横になってるとか芸術点高くね?
とりあえず宿屋の主人を叩き起こしてアタシが狩りして帰ってくるまでに直しとけって言い聞かせておいた。一夜にして宿屋というでかめな財産を失った主人がそれはもう嘆き悲しんでたからって、慰謝料としてまだ吊るされたままの侵入者っぽいのから剥いだっぽい財産をくれてやったアタシは偉いと思います。パッと見た感じ地上価格で3000ヴァリス相当。そろそろ積み上がった徳が月に届くんじゃねーかな。これには心の中のリリもにっこり……はぁ、本物に会いたい。ちくしょういつか
「で、こうなるのかよ」
リヴィラの街を出て17階層に来たら、ちょうどゴライアスが生えてきた。何でかまたアタシが16階層に向かうのを阻止するみてぇに。ダンジョンの意思が
このまま引き返してもいいし、出現時に大きめの揺れが起きたからその内にリヴィラの街から討伐隊が来るとは思うんだが、同時にリリを取り戻すためにアタシは力を求め続けなければならないわけで。
「そンなわけで上位の【
『オオオオオオオオオッ!!』
勇んで駆け出したアタシは――ゴライアスの咆哮で吹っ飛ばされた。黒ゴライアスじゃないから魔力込めた衝撃波ではなかったけど、単純に体重の軽いアタシを吹き飛ばす風を起こす肺活量だって話だ。でも要は吐き出された息を浴びてるって考えると、なんか、こう、
改めて殺意をみなぎらせ、真正面を避けるよう斜めに駆け出す。とはいえ、ぶっちゃけ至近距離から爆弾以外の勝ち筋がないんよな。スリンガーも身バレ防止に置いてきたせいで今頃はこの世から消えちまってるだろうし。
幸か不幸か、通常ゴライアスの動きはそこそこ鈍い。体が大きいので速いのは速いが、動き出すまでは緩慢だし、急な軌道の変更もできてない。なので振り下ろすというか突き出して来た拳を避けて腕を足場に駆け上るなんてのも割と余裕で、アタシはゴライアスの肩の上にいた。
最初に地面走って近づいたら足踏みというか地団駄? で踏み潰されるところだったが、それ以外は割と危険らしい危険はない。昨夜作った軽い爆発を起こして加速減速に使える弱爆弾を使って移動してるからこその安全性なので、余裕があるわけでもないが。これ最初に作って使った時はゲームのダッシュっぽい挙動ができて感激したもんよ。
当然のように叩き潰そうと、あるいは払い落とそうとする逆の手が迫って来るが、首の側に向かってダッシュ。存在するか不明な頸動脈を狙って首に槍を突き刺しながら鎖骨の上を走って斬り裂いていき、逆の鎖骨から肩へ。間に合わせの槍だが巨人の剛皮を貫き引き裂く事は叶ったらしい。後で名付けしてやらな。
さて、狙うべきは
『オオオアァ!?』
と、ここでガバ発生。耳穴と地面と、投げる種類を間違えてしまい上空では軽めの突風、足元では大爆発。これにはゴライアス君も絶叫。でもってなんか体のバランス崩したのか転んだね。
これ幸いと改めて弱爆弾を斜め下で起爆させて、落下速度を緩めつつ倒れたゴライアスの頭部側へ。ゴライアスは転倒の際に後頭部を強打して意識を失ったのか動きがない。急いで耳の穴に爆弾をありったけ放り投げるという当初の目的をより完璧な形で済ませる事が出来たので、すかさず最後の弱爆弾を使いつつ離脱。見れば遠くからリヴィラ組がこっちを眺めてるんだが、いつからいたんだろうか。管制室ちゃんと援護しろよぉ!
なんて事を考えてる内にゴライアスの耳穴奥深くで無事に起爆したらしく、音と振動が響き渡る。人体と構造が同じならそんな場所で爆発が起きれば鼓膜を突き破って脳内もぐちゃぐちゃにされるわけで、実際に顔の左半分くらいが吹き飛んでいた。控えめに言ってグロい。
見学していたリヴィラ組から歓声のようなものが聞こえてくるので、素のゴライアスに黒ゴライアスのような再生能力はないと見て良さそうだ。アタシとしてもLv.2の身で確かLv.4相当なゴライアスの単独撃破という偉業を達成できたので非常に気分が良い。とりあえず怪我は軽いしとっとと魔石を取り出そうじゃねーの。
「地雷仕掛けてあるから踏むなよー! 通り抜けるなら端歩けー!」
牽制終了、ヨシ! うむ、こっち向かってた奴らが動き止めたな。端に寄らないって事は連中
つーかこれ、ボールス達は今の警告内容を事前に思い付いてたから警戒して遠巻きに見るしかなかったのでは? アタシが物資的な意味で貧乏一歩手前なの知らねーもんな連中。つまり独占禁止法で罰金じゃねーけど酒場で一杯奢るくらいはしねーと駄目かねぇこいつは。