そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
さて、普通なら【ランクアップ】後の【ステイタス】なんてのはI0オンリーなので見ても詰まらないもんなはずだが、何故か『発展アビリティ』だけじゃなく『魔法』まで生えてきた。というわけで改めてご覧頂こう。これがアタシ本体のぬね顔だ!
ラジルカ・アーデ
Lv.3
力:I0 耐久:I0 器用:I0 敏捷:I0 魔力:I0
工芸:H 道具士:I
《魔法》
【
・空間魔法。
・別次元への干渉及び使用権。
・条件はLv.に依存する。
・詠唱式【呑め】
・第二詠唱式【吐け】
物欲の果て、ついに生えてきた空間収納術である。名前に倉庫ってあるからアイテムボックス的なもので間違いないはず。でも干渉及び使用権って誰に対して主張してるん? 怖いんだけど。ドラッヒェンってドラッヘの親戚だよねきっと。何これ竜に飲み込ませたり吐かせたりするの? アタシの人生のどこに竜が関わる要素あるんだよ。
条件が何を指すのか不明な辺りにも『
つーか『スキル』も『魔法』もLv.に依存する内容がちょくちょくあって早期の成長を促してる感があるのはなんでだ? アタシの願望か、他者の意思か。考えても無駄だな、保留。
ぶっちゃけ生えて嬉しい気持ちと、こんな簡単に生えていいのかといういたたまれなさと、何より空間系の魔法が存在して強く願って生えるならリリを救出するためのレスキューの杖みたいな魔法を生やせていないのは不義なのではという責任感と後悔と自己嫌悪で心中はぐっちゃぐちゃなんだな、これが。シスコンの名折れなんよ。
とかなんとか考えながら【ステイタス】の書かれた羊皮紙を丸めて懐にしまっていたら、ソーマから相談に乗ってくれと言われた。快く受けたともさ。
「最近になって子供らに神酒の試作品が振る舞われたらしいのだが」
「あぁ、団長の方策。それ目的で入ってきた連中が騒いでましたからねェ。ってどうかしました?」
アタシもめっちゃ絡んでる話だから白々しい事この上ねぇんだが、原作同様に眷族ちゃんのファン辞めますムーブかな。
「簡単に酔って……溺れてしまった」
「そりゃ、神をも酔わせる酒ですし。
「そう……なのか?」
「そうなの。まァ、それでも譲れないものを持ってるならそれのために正気を保ちますって。それに直面する機会がなきゃラリったままでしょうけど」
この辺の責任がソーマにあるかないかで言えば、まぁ人間をそこまで積極的に知ろうとはしなかった部分をピックアップして『ある』かな、と思う。無知は罪って感じ。
ただ、神酒を人間に飲ませる行為が初めてで、初体験が目を覆うような失敗だとトラウマ気味になるのはしゃーない。自棄っぽくなるのもしゃーない。
でも原作リリの悲しい【ステイタス】ですら気合と根性で耐えきったんだから、呑まれた連中は本気になれるものを見付けられなかった負け犬として全力で恥じていい。それができない連中だから呑まれたわけだが。
「そう、か……」
「ソーマ様は酒以外の事となると割と……あー、アレなんですから、気を落としたり連中を完全に見限ったりは早ェかな」
「ふむ」
「酒である以上、酔うのは目的の一つでしょ。でもって酔うってのは早い話、感覚が麻痺して普段してる我慢の蓋を外してる状態だ。解放感があってさぞ気持ちが良いンだろうが……だが結局は酔いを、酒を理由にしなきゃその蓋どかす勇気を持てねェ連中でしかねーのよ」
「それは……」
「普段から本当の意味で好き勝手やってたら酔っ払ったってあんま変わンねーぜ? だから普段あれだけクズい三下ムーブしかしてねェ雑魚だけどアレでも我慢できてたンだね偉いぞって褒めながら見下すぐれーでいいンよソーマ様は」
「確かに、神は酔ってもあまり変わらないな……子供らにはどう接したらいいものか」
「あー、酒造りの資金集めが出発点なンだし、報酬として飲ませる分には別にいいンでね? 賭け事と同じで死なねェ程度に楽しむなら問題になンざならねェんだから、後は自己責任だろ。いい歳したオッサン共だし」
「ふむ……?」
「神酒に出会わなきゃ神酒飲んで感じる幸せを知る事ァできねェ。呑まれるだけのそれを知った時点である意味そいつはもう十分なンだ。そいつはそこで生まれてきた意味を――生きて来た分の苦労が報われちまったのさ。だからアンタは負い目になンぞ思わンで進み続けりゃいい」
「アーデ……お前というやつは……」
なんでアタシは神を諭すというか説教かましてんだろうか。趣味神だからだな。まぁ、
「そうそう、商業系【ファミリア】と契約結んで毎月売上の一部が入って来るようになったから多分酒造りに使える額増やせるぞ」
「詳しく」
「複数の商会――交易特化な
「お前……貴方が神か」
「神はテメーだよボケ」
思わず辛うじてそれっぽく付けてた敬語が旅に出た瞬間だった。
まー職人系に直接持ってくと秘伝にしちゃって相乗効果が期待できないからな。商会連中は感情だけで動くなんてまずないから金のために割かし理性的な判断で動く。その上で相性だとか立場だとかがあるから争い――蹴落とし合いが間違いなく起きる。
まぁそんなのとは無関係に職人は作って卸す。作品は売れる。【ソーマ・ファミリア】は潤う。良い事尽くめだ。何なら作品が輸送中に破壊されて追加発注なんて事も……職人と商会の取引増えても意味ねーけど。
懐が痛むとか信用に傷が付くとか考えて和睦に繋がる可能もあれば殲滅に動くこともある。派手に騒ぐとアタシに辿り着いた
「まー、どれくらいの額になるかは未知数だし、釘は刺すけど団長の横領もあるだろうから、派手な散財はよして下さいよ?」
「無理」
「ですよねー。まぁ【デメテル・ファミリア】との取引は軌道に乗っかったし、しばらくは試行錯誤を楽しんで下せーな」
「あぁ。任せろ」
微かに笑うソーマに闇堕ち回避できたような気分になったが、実際は何もない薄っぺら共だから酒に酔うのは仕方ないって結論を受け入れて一般眷族に期待しなくなるだけなんよな。
前の【ランクアップ】報酬じゃなくなった事で歪な向上心すら捨て去って堕落するだけになった眷族達には見向きもしなくなるだろう。
もっとも、ソーマとしても酒造りに関わる時間が増えてwin-winなのかもしれんが。
ソーマとの会話を終えた後はそのまま
そうして【ソーマ・ファミリア】での用事を済ませてダンジョンへ向かう道すがら、何かと世話の焼ける
ここはやはりデメテルやミアハみたいな繋がりを作った神々に不定期な様子見を頼んでおくのが王道か。
他に誰か……律儀に【ランクアップ】報酬としてくれた神酒を持ってロキを懐柔しに行くのも……いや、ダメだな。アレはたかりに来るだけだ。本拠襲撃のとき真っ先に神酒の在庫と今後の生産について確認取りに来たアホだし。
ガネーシャは同郷だし面倒見もいいが、群衆の主に面倒を持ち込むのは心境的にはばかれる。ついでに眷族が絡んで来そうだから避けたい気持ちしかない。
今の時期なら
あー、そういや
けど頭の片隅に入れておこう。オリヴァスには死闘だとか信念だとか見せ場だとかの一切ない、日常の一頁どころか一文に過ぎない
なんか久々に心がささくれ立った一日だったが、リヴィラの街に到着したら