そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
で、こっからはダイジェスト。
まず30階層からは本格的に戦闘が辛くなった。ブラッドサウルスとかそんなん。
仮にもLv.3になった身だが、アビリティ貯金が少なく力の伸びが悪い上にダマスカス鋼の優位性が消えたようなもんだから通常の狩りなら――魔石一点狙いできなかったら大変だったと思う。
他の
【
37階層。深層に下り立った際の重苦しい空気は「逃げろ」「引き返せ」と訴えかけてくるんだが、正直アンフィス・バエナを前にしたあの時に感じた絶望のが強かったので耐えれはした。アタシ以上にビビってる他のサポーター連中がいたからってのもあるんだろうか。とりあえず連中の尻を蹴り上げておいた。
この辺になると今のアタシじゃ一体仕留めるのに全力出して十数撃は必要になるので、戦力にはならない。幹部の邪魔にならないように、少しでも動きやすくなるように妨害メインだ。
サポーター連中の介護するのめっちゃ辛い。一ヶ所に固めてなきゃとてもじゃないが護りきれる気がしない。幸い、素直に従う連中ばかりだったので生き延びたが。
そういえばここに来るまでに
んで、ウダイオス。幹部任せですが何か? 取り巻きの骸骨兵士――多分スパルトイを引き付けるのが精々だった。地面から絶え間なく突き出て来る杭がひたすらウザかった。同士討ち気にしないでバンバン飛び出して来たからな、アレ。
そして44階層。目的の火炎石をドロップするフレイムロックが出現し始める階層だ。まぁ、ちょっとしたダンジョンの悪意で45階層へ落とされたから行きの滞在時間は数十分だったわけだが。
「おーし、てめえら二人一組作れ。んで
44階層に上がる階段まで来ると、ヴァレッタの指示が飛ぶ。それまでに拾った火炎石は六個。最短らしいルートを移動したとはいえ休憩を挟む程度の時間でこれなのに、目標は百個。先は長い。一週間くらいは見ないとダメか。
なんて思ってた時期もありました。
アタシはアタシで44階層から下りてくるモンスターを相手していた。階層を移動するモンスターは群れからはぐれた個体なのか、頻度はそう高くないし一度に現れるのは多くても三体まで。タイマンでもひーこら言うような強敵を三体同時とか拷問に近いが、なんとか捌ける範囲だった。
階層が深くなるとモンスターの知能も上がるのか、魔石を執拗に狙ってると途中で怯えを見せる個体もいた。あるいは『
まぁ、ここに至ってアタシがまだLv.2だと信じるようなやつはいなかった。やりすぎたんだよ、アタシは!
なんかサポーター連中からはLv.4扱いされてるんだよな。ヴァレッタはちゃんとLv.3だと見抜いちゃいるっぽいが、それでも単独行動を命じる辺り
そうして幹部が飽きると
内訳としては向こうが集めた百個とアタシが倉庫にちょろまかせなかった分の八個だ。倉庫内には九個ほど収まっている。
「よーし、集まったから帰るぞ。行きはよいよい帰りは怖い、ってな。変に走ったりして転けて爆発させんじゃねぇぞー」
「アタシは持たなくていいのか?」
「てめえは護衛に参加しろ。守るなんて性に合わねぇ事してストレス溜まってるんだ、少しは楽させろよなー」
「あい、あい」
こうして一人辺り十二、三個の火炎石を丁寧に緩衝材で包んで特製ケースに入れ持ち運ぶサポーター連中を護送する
途中、十八階層で夜営したので
普通の水晶も倉庫に収納した。生えたのを直接は無理だったので、根元から砕いた物を。生えてる分にはダンジョン=生物扱いで抵抗されたから無理って感じかな。果実もやはり樹から直は無理で、もいでから収納だし。
顔の売れてる
「【吐け】」
ボフン、とベッドのシーツに落下して転がるカーバンクル。生物は空中に浮かんで手に取られるのを待ったりはしないらしい。表示通りに気絶中らしいので、シーツを被って防音にしたから頬を突いて起こす。ふわもこー!
『むにゃむにゃ、もう食べられたっす……』
お約束かと思ったら微妙に外して来た。そこはもう食べられないじゃねぇのか。どんな状況なんだよ食べられたって。
『んみゅ? ふぁぁ~良
引いて駄目なら押してみろと言うし、突いて駄目なら引いてみるべきだと思い頬を伸ばしていたら起きたらしい。とりあえずそっと上から手を被せて背中を抑え後頭部を押し付ける。これで大声を出されても大丈夫だろう。
『~!? ~~~!!』
「落ち着け。んで、思い出せ。大声を出したら怖い連中が寄って集って殺しに来るぞ」
『~~~!!』
悲鳴っぽいのが止まったのでそっと手を離してやる。カーバンクルは悲鳴を上げたり逃げ出したりせずに恐る恐る顔を上げ、こちらを確認すると大きくため息を吐きながら体を弛緩させた。おぉ、これぞ正に最新の稀少種たれバンクル誕生の瞬間。【
「まぁまずは食え」
『何すか? これ……甘ーい!!』
「声を抑えろ。死にてぇのか」
『もぎゅもぎゅ。いくらでも入るっす』
「聞けや」
『ふぃー、食った食った。っす』
「とりあえず18階層まで来たんだが、この階層なら比較的安全だぞ。このまま居着くなら放流してもいいんだが、どうするよ?」
『このままついていくっす! こそこそ逃げ回るより一緒にいた方が安全だし、魔石も食わせて貰えてお得っすから』
満足そうに横たわるカーバンクルに今後どうするか尋ねると、迷いなく同行を申し出てきた。それでいいのかモンスター。ニートンクルとかカー無職ルに変異でもする気か? いやまぁ職業ペット業務は癒し給料代わりに飯、寝床ってなるんだけどさ。
まぁ、リリへの土産ができたと思えば……会えるのはいつになるかわからんが。作業場のセキュリティも帰ったらちゃんと見直す予定だし、専用の