そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「来たか!」
「待っていたぞ!」
「「さあ、ドロップアイテムを見せるが良い!!」」
「邪魔だ散れ」
「「あぁんご無体ィー!」」
入口で特に重要でもなんでもないモブ団員から謎の歓迎を受けたが、構わず蹴散らして入店。そのままカウンターに向かう。
「ごめんなさいね、うちの馬鹿共が」
「どうせ殴るンならもうちょい耐久が欲しいもンだなァ。盾でも持たせとけば?」
「あんたも大概だねぇ……さて、今日の用件を言っとくれ!」
受付のお姉さんに言われるがまま、普段より二回りほど大きなバックパックからドロップアイテムを並べていく。お姉さんの目がしいたけになってるが、まぁ今更だ。数も種類も少ない深層の素材に入る頃には他の団員も集まって来てワイワイガヤガヤ。展覧会じゃねぇんだぞ。展示会ではあるが。
「騒がしいぞお前達! いったい何を……お前か、【
「どもっす。けどそこで納得した風にならねェでちゃんと注意はしてくれ」
「それは無理があるな。俺も楽しみに待っていたのだ」
「さいで」
奥からやって来たゴブニュが一喝する流れだったんだが、アタシを視認した瞬間になるほどなって顔して中断しやがった。楽しみにしていたと言われれば悪い気もしないが、締めるところは締めて欲しいと思うのは間違ってるだろうか。少なくともダンジョンに出会いを求めるよりはずっと間違ってないはずだ。
関係ないけど原作がファミリア・ミィスの名前でデビューしてたら略称は何になってたんだろうな。ファミミス? 更に縮めてファミミ? ファミ美ちゃんとして擬人化待ったなしだな。お前ゲームの女主人公のデフォルト名とかになってそうだよなとか言われて人が変わるくらいキレそう。
「この鱗は……アンフィス・バエナか。よく手に入ったな」
「まァ、運が良かったもンで」
「ふむ、竜皮とでも言おうか。恐らく前例の無い素材なはずだ。本来ならギルドに報告する必要があるかもしれんが……」
「ぶっちゃけめんどい」
「だろうな。ゴライアスの骨は目撃者が多過ぎて仕方なく、か?」
「そりゃ、まァ。自分の中の身長よりデカくて太い骨とかどう隠せと」
「道理だな。それでは早速査定に入るが問題ないな?」
「うっす、よろしく頼ンます」
まーゴブニュと会話してる最中から団員が勝手に金額決めて羊皮紙に書き込んでるんだけどな。主神にバレて叱られろ。
査定が終わるまで団員と軽く雑談したり、売れ残っている武器を見たりしてたら、なんかスリンガー真似たっぽい小型のクロスボウとか長巻きっぽいのが置かれてた。尋ねたらダンジョンに向かうアタシが持ってるのを見てインスピレーションを受けたとか。
でも長巻は作ったやつがLv.1で鍜冶アビなかった上に刀を作った経験もないっぽくてデキは今一つ。スキル便りの鑑定モドキでも不純物を取り除き切れてねーから玉鋼になってねーし、反りもほとんどないから単なる片刃の剣でしかないんだよなぁ。これはこれで七星剣みたいだし技術的には何かしらの価値はありそうだが。知らんけど。
「買取額の算出、終わったわよー」
受付のお姉さんに呼ばれて向かうと、まぁ八桁ヴァリスと小遣いと呼ぶには多目の金額。内訳を見るとバエナの皮がトップ、次点深層。そして中層強化種と続く。桁が変わる深層パネェ。ソロで行きたいとは思わねぇけど。
「次は深層の強化種を頼むぞ!」
「勘弁してくれ。Lv.2になって半年なんだ、少なくとも五年単位で気長に待てや」
「それでも十分に早いぞー!」
「今度うちの新人連れてって鍛えてくれよー」
「アタシに任せたら
「うげぇ、変態だ!」
「「「アッハッハッハ!!」」」
無茶振りをしてくる面々に呆れながらも、手を振って店を出る。ドロップアイテムほとんど納得できる値段で捌けたから【ミアハ・ファミリア】はスルー。買い物してギルド本部に寄って金預けてからダンジョンだな。そろそろゴライアスの時期だし。横取り狙うぞー。
「見つけたぞ小娘」
「ちょっとお姉さん達と話しようか?」
「逃げられるとは思わない事ね!」
「……どうしてこうなった」
ギルドから出たら何故か【アストレア・ファミリア】がフルメンバーで待ち構えていた。輝夜は最初から猫被りしてねぇし、どこか剣呑な雰囲気だ。ヒントが解読できなかったか? まさか
「ポーション卸すのはまだ先だろ。足りなくなったか?」
「そうね! この間ちょっと遠征に失敗したから在庫はすっからかんよ! ヴァリスもだから補充も頼めないけど!」
「アリーゼェ……」
「往来で恥を晒すなよ……」
苦し紛れの話題振りに見事な自爆で応えてくれた【
「コントはどうでもいいが、丁度良いから話は本部内で聞こーじゃねェの」
「「あ、待て!」」
見事に声が揃ったな。だが待てと言われて待つ馬鹿がどこにいる。とりあえず悠々とギルド本部に戻ったら、そのままトイレへ早歩き。窓から向かいの建物へジャンプ! 三角飛びの要領で壁を伝い屋根にジャンプ! そしたらダッシュで逃げるよね。伊達にあいつらの知らねー内にLv.3半ばなったわけじゃねーのよ勝ったなガハハ。
つーか心当たりなくても逃げるに決まってんだろあんなん。完全装備で勢揃いとかどう見たって大捕物じゃんよ。あの時点で周囲はアタシを黒だと認識しただろーな。厳重過ぎる。最終的に白や灰だと判明しても、先行した噂だけでアウトなんだわ。ハッキリ言ってクソ迷惑。
地上に下りて小走りに移行。このままダンジョン駆け込んでリヴィラの街……は安直か。なら安定の
「……!?」
首の後ろにビリビリとした痛みを覚えて、反射的に前転する。直後、重い物が通り過ぎる風切り音。正体を確認せずに煙玉を足元に、周囲に、そして敵にそれぞれバラ撒き、メインストリートを煙で埋め尽くしながら近くの路地裏へ駆け込む。そこに置かれた――乱雑に積み重なった箱の陰に隠れてじっとしていると、充満していた煙が勢いよく吹き飛んでいった。隙間から覗くのも視線感じたとかでアウトだよなきっと。ちくしょう誰だよ犯人。
「……ごふっ、逃がしたか」
はい出ました
煙を吹き飛ばしたのは、おそらく武器の一振り。それだけで煙は散らされ、メインストリートに視界が戻ったわけだ。そのまま真っ直ぐ走って逃げてたらあっさり見つかる……というか、飛ぶ斬撃とかで真っ二つだったんじゃなかろうか。むしろ市民は無事か? とりあえずこっそりゆっくり逃げるとするか。
つーかなんでまた仕掛けて来たんだ。
「っつー事があってよー」
「おいおい尾行されてねぇだろうな」
「そんときゃ足止め頼むわ」
「おい誰かコイツ摘まみ出せ!」
こちら
「冗談だよ。隠れた先々で死体偽装して来たし調査に時間かかるっしょ」
「何してんだおめえ」
「小人族連続殺人事件しかも全員身元不明とか噂が立ったらアタシの仕業だなってこっそり笑ってたもれ」
「いやホント何してんだおめえ」
そういうや隠れたつもりでも
ここが潰れても他にも場所はたくさんあるけど、仕方ねぇや移動するか。
「酔っ払った振りしてここ爆破しても怒られねぇよな?」
「帰れ!!」
なんとなーく前世の馬鹿話してた感じに近くて割と嫌いじゃないんだよな。別に
とりあえず豊饒の女主人を探してシル爆破も視野に入れるか。神威なきゃ問題なくやれるっしょ。