そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「と、いうわけでこいつが元ネタのカーバンクルだ」
『よろしくっす!』
「あ、はい。リリと申します。よろしくお願いします」
倉庫から取り出されたというか放り出された『
そこで、カーバンクルが意識を取り戻すまでの間に出会いから今までの概略を伝えると、リリは表情をころころ変えながら感心したり驚いたりした後で最終的には拗ねたような態度で後頭部をぐりぐりと押し付けながらうーうー唸っていた。可愛い。
そして今、ようやっと意識を取り出したカーバンクルを紹介したわけだ。喋るモンスターの存在についても予めリリと二人だけの秘密だと教えたら嬉しそうに誰にも漏らしませんと同意してくれたのでめっちゃハッピー。
『御丁寧にどうもっす! 僕は……名前はまだないっす!』
「お姉ちゃん?」
おっと気づいてしまわれましたか。だが仕方ない事なのだよ。
「リリ、知ってるだろう? アタシのネーミングセンスは……」
「アッ、ハイ」
『めっちゃ納得したっていうかいっそ諦めたって感じっすね……』
「ちなみに候補は「お姉ちゃん」……そーいうこったから、リリに考えてもらいたいなーって、な?」
いやー、考えても考えても結局これだ! って名前が浮かばなかったからな。この場合の何が悲しいって、名付けのセンスは最悪だけどそれを最悪だって認識できちゃうセンスを持ってるところよな。自分の毒で死ぬタイプの有毒生物みてぇだな。無難に流用するのもしっくりこなくてどうにも手詰まりになってたんだわ。
そこでリリへのお願いになるのか報酬になるのかわからんけど命名権をポーイ。カーバンクルとしても変な名前で呼ばれずに済むならそれに越した事はないっしょ。仮の名前? なるほど、それはいい考えだ。だが少しだけ遅かったな。
「そういうことでしたら……」
『ワクワク』
「うーん……」
『ドキドキ』
「希望とかはないのですか?」
『ありゃーっす』
悩むリリ、待つカーバンクル。問いかけるリリ、すっ転ぶカーバンクル。うーん可愛い。これぞ正しく正義。【アストレア・ファミリア】の面々は見習って、どうぞ。でもあいつらはあいつらで百合百合してるところあるから別の形の正義ではあるのかもしれん。
「ごめんな、リリ。希望を聞く下りはもうやったんだ」
「なるほど」
『姉妹っすねー』
「自慢の妹です」
「自慢のお姉ちゃんです!」
「「いえーい」」
『ホントに仲良いっねー。そんな二人を引き離すとか許せないっす!』
「それな」
「いつかぎゃふんと言わせてやります。フンス!」
こんな感じでぐだぐだしてたら夜も更けたので、結局カーバンクルの名前は決まらないまま就寝する事になった。聞くところによると最近のリリは一人で眠っていたらしく、抱き枕とかぬいぐるみとかをねだるわけにもいかず淋しい思いをしていたらしい。アタシに頼めば普通に作るのに。工芸乗せた一級品を部屋いっぱい埋め尽くす勢いで作って送るのに。とりま今回メカーバンクル預けたからそれで我慢してもろて。
しかし、なんだ、邪神を
だがそれもアタシの咎であり責でもあるので、今は下らない計画とか後回しにしてお互いに抱き締め合って眠る事を優先する。パジャマ越しの体温と、心音と呼吸、匂いも、全部が安心する要素になるって凄くね? リリの万能性を再確認できたので、以後この日を祝日に制定しまスヤァ…。
「……カーバンクル、燃える石、赤い石……エイ、ジャ?」
何やら物騒な寝言が聞こえた気もするが、きっと夢でも見たんだな。アタシは何も聞かなかった。
『……というわけで今日から僕の名前はエイジャっす!』
「わー(パチパチ」
夢だ(と思いたかった)けどー夢じゃなかったー! まぁ、本人(?)も気に入ったみたいだし、リリのドヤ顔が最高に可愛いのでヨシ! 今日も祝日に制定します。連休だぜひゃっほい。
とりあえずリリにはさりげなくネタ振りしたけど乗ってこなかったから、実は転生者で記憶を取り戻したとか乗っ取られてしまったとかではなさそう。どっちに転んでもリリがリリである限り信仰を捨てる気はないが。
仮にリリじゃなくなってしまったのなら、気合入れて来世に期待する羽目になるからな。そんときゃオラリオ丸ごと捧げるくらいはしないと釣り合わないし、リリの格的に考えて。つーかせっかく再会したのに別人に乗っ取られたら普通にキレるわ。
なんて事を考えてるアタシ自身が前世を思い出した以前の記憶も実感もあるけど言葉遣いとか考え方は前世の影響が強いから現象としてはほぼ乗っ取りなのがなぁ。でもそれがなきゃ多分サポーター初年度でモンスターに怯えたり余計な動きしてあっさり死んで、リリとは会えず仕舞いだっただろうからな。そしたら恐らくは原作リリと同じ境遇になってたわけで……とはいえ
「とりあえず飯は足りたか?」
『十分っす。リリちゃんも、今度また一緒にご飯食べるっす!』
「はい、エイジャちゃんもお元気で」
「それじゃいくぞー。【呑め】」
「わぁ、本当に消えました」
「これも秘密な。アタシとリリと、あとエイジャの」
「わかりました!」
こうして多少時間が延びた以外は大きな問題を起こさずに面会が済んだ。メカーバンクルが迎えに来た邪神に向かって盛大に痴漢扱いした気もするけど問題を起こさずに面会が済んだ。
別れは辛いが、人質ありきな境遇ではあるからなー。リリに倉庫に入ってもらって脱走が最有力候補か。早朝にリリはまだ寝てるから勝手に連れてけって言い残してダンジョンへ向かう感じ。もちろん寝所はトラップ仕掛けて麻痺させてから毒矢でハリネズミにするとかの静かなやつで足止め。いい加減【
なお、お別れ前に大量のアクセサリーを渡しておいた。髪飾りやイヤリング、ネックレスに指輪、ブレスレットにアンクレット、ネックレスに擬態している新生ブリューナクくんもやる気十分だ。これだけのアクセサリーを全部乗せってゴテゴテして見えそうだけど、単純に神聖さが上がったわ。これは信仰集まるな(確信)。あと指輪を何故か左手の薬指に嵌めるよう言われたんだが、意味わかってるんだろうか。
いやまぁ個人的に同性だろうが血縁だろうが精神的な関係なら問題は何もないんだがな。少なくともメイ・オーな木原さんちのマサキくんよりはずっとマシだが。最終鬼畜全部
とりあえず面会申請が却下される可能性はほぼ消えたはずだし、今後はスパイ活動に精を出すか。そのためには『
つーか内側から
話がそれた。
まずはともあれダンジョンなんだが、思えば【アストレア・ファミリア】とかち合う可能性があるんだよな。リヴィラの街で情報収集しつつ中層の
代わりに【ゴブニュ・ファミリア】に卸しておけばいいか。だがそのためには強化種のドロップアイテムも集めておかないとあいつら露骨にがっかりするからな。主神ですらよ? あの厳めしい職人が眉を下げる姿は意味も無く申し訳なさがですね。つーか深層の通常種よりも中層の強化種のドロップアイテムの方が喜ばれるんだよな。変態技術者って感じで好ましくはあるんだが。
まぁそんな感じでリヴィラの街に到着したんだが……めっちゃ輝夜とライラがいたよね。全力で下に逃げたわ。しばらく張られる可能性あるから期せずしてリヴィラの街使えない縛りが発生。この怒り、誰にぶつける?