そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
いっけなーい遅刻遅刻。アタシ、ラジルカ・アーデ。私立と見せかけて市立なオラリオ小学校に通う11歳。あるときちょっとした事件に巻き込まれちゃって、その中で出会ったカーバンクルのエイジャに頼まれてダンジョンで暴れるモンスター達をやっつけるため魔法少女になったんだけど、モンスターが暴れる時間には朝も夜もないからもー大変。おかげで今朝は目覚まし時計が鳴ったのを無意識にぶっ壊して二度寝キメちゃった☆」
『ネキが壊れたっす!?』
「ハッ!? あ、アタシは今何を!?」
『あ、戻った』
「大丈夫だ……アタシは正気に戻った!」
『すげー不安しかないっす……』
いやぁ、失敗失敗。主従契約は無事成功した。というか余りにも何事もなかったので気が抜けたんだわ。
でもそれはアタシだけの話で、エイジャの側はそうではなかった。
魂が繋がる影響でアタシの記憶や感情がエイジャに流れ込んだみてーで、それに混乱しつつも興奮したエイジャがな、その、
いや
つまりはめっちゃ恥ずかしかった。現実逃避する程度には。
ちなみに逆方向の影響はほんの少ししかなかった……そのほんの少しがアタシへの好意と感謝で埋め尽くされてて嬉し恥ずかしなわけだが。この辺りは水が低い方に流れるというか海に繋がる川というか、そんな感じだと予想できる。
「まァ、今のところはデカい問題とも言えねェ影響しか確認できてねェから様子見だな。何か気づいたら教えてくれ」
『了解っす!』
主従契約と現実逃避でそれなりに時間は潰れただろう。エイジャを
――しかし便利っすね、
「声出てンぞ未熟者」
『おぉう、無意識だったっす』
帰り道、主従契約の特典である念話を試してみたのだが、声に出さない会話というのは中々に厄介だった。
というのも、魂の繋がりを利用してるせいで念話中は考えている内容がそのまま独り言を呟いてる感じになる。アタシの場合は思考の並列化をしているので背景の音がめっちゃうるさい電話みたいになってるらしい。会話にはなっているのでカクテルパーティ効果か何かでメインの言葉を拾えてはいるのだろうが、背景の方で褒美に甘味を与えるか考えてたりするとそっちに反応する。
口には出さないけど言語化している部分が聞き取れる声として伝わる形式なので、直感や閃きのような
――それで、さっきの子とも契約するんすか?
――そりゃーな、それが本命だ
――なるほどー(でも一番は僕っすもんねー! ふんふーん♪)
こんな感じに本人(?)は声に出してるつもりのない部分も聞こえるんよね。大抵はしまいこんでるつもりの本音だったりするから調整がガバガバで感情がダイレクトに反映された小声だったりクソデカ声だったりする。
つい反応しそうになるが、見て見ぬ振り……聞こえないふりか? ここはそっとしておく優しさが汎用性高いか。そんな感じ。
で、新しい『
――こねェな
――留守っすかね?
――どーだろなァ。アタシらとは別口でお仲間を見つけたのかもしンねーし
待てども待てども便りはなし。いやまぁ前触れもなく直に来るんだが。
暇だからエイジャをリュックから放流して、アタシはアタシで
なんだかんだ目的地までの道中では、未だに
つーかアタシ上級冒険者になったんだけど知名度なかったりするん? リヴィラの街だと完全に会話のできる歩く爆弾みたいな扱いなんだけどなぁ。
街の雰囲気に合わせてるだけで内心じゃ見下してる感じだろうか。テメーら街で見た面だってわかってんだぞこっちは。酒場で奢りにしてやった恩も忘れたか畜生共が。そうか今度からあいつらは除くって店主に伝えればいいのか。
こっちが格上になったので現行犯をデコイにする必要もなくなったのも悪いのかね。普通に助けてるだけだし。礼なり謝罪なりの言葉一つもない時点で敵認定だが。
それ以前にまず追い込まれるなよって話なんだよ。何年上級冒険者やってて敗走してんだ連中。いやまぁアタシだって今でもちょくちょく敗走するんだが。ホラ、生理現象とかさ。タイミングってあるやん?
モンスター相手に羞恥心とか馬鹿じゃねーのとか、モンスターの返り血なんて汚物の極みを浴びてんのに自分の排泄物くらい気にするなよとかって意見はごもっともすぎるんだが、後始末を考えるとどうしてもね。アタシがソロやってる理由の一つでもあるからなー。根は深いぞ。
親父からそれ系の失敗はあるものとして認識しとけって教わったけど、それでも本人は撥水性の高いマントとか返り血の対策してたし。アタシの場合は【
ちなみに調合と神秘全開にしたら植物由来の吸水ポリマーを作れたので、そのまま紙オムツを作れる。携帯用トイレも作れる。
――なら、今の内にさっきの子の名前だけでも決めておいたらどうっすか?
――残念ながらアタシにネーミングセンスを期待すンのは無駄だ
――ちなみに、候補を挙げるとしたら?
――うーむ、そうだな……げろしゃぶ、とかは『ありえないっす!?』ですよねー。
そんな会話を続けながら、時折やって来るモンスターを始末していのたが、ただ駄弁るだけというのも刺激が足りず、さりとてダンジョン内ではまったり過ごす事も叶わず。
次第に飽きてきた……というかやってみたい事について話し合っていたら待機状態に対する不満が出て来たので気分転換の必要が出て来たので、ウーズを取り出して稼いだ魔石を食わせる。
移動速度からするに、このウーズは生まれたてなのだろう。でなかったら周辺をさまようモンスターに殺されていたはずだし。
そう考えると、主従契約による情報の流出は劇薬になりかねない。理解できる知能や受け止める容量があるかも不明だし。いや、逆に考えてみるのはどうだろう。覚えておられない内に済ませておいた方が? でもパンクして魔石割れるとか起きそうで怖いからやっぱりためらうわ。
「よし、日を改めるか」
『了解っす。帰りに
「あいよー。それじゃ二人とも送るぞー【呑め】」
さて、それじゃリクエストを叶えるために18階層へ――
――ネキー! 何か知らない場所に飛ばされたっすー!?
……なんて?