そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
はー、石造りの小さい部屋にいて? すぐ隣にウーズがいたけど動かずでろーんと溶けた感じで? 部屋の中には魔石やドロップアイテムの他に金属や水晶、皮袋なんかが宙を漂ってる、と。しかも外には18階層みたいな木々や水源があって? 見たことのあったりなかったりなミニチュアサイズの生き物がいる、と。
【
つーか、アタシは知らずにそんな場所に爆弾とか食い
なんとなく白い部屋とか宇宙っぽい見た目の不思議空間を想像してたんだが、そっかー、自然豊かな空間かー。
その割に最初の部屋は不思議な仕切りで守られてて、エイジャやウーズは挙動的に重力下だけどアイテム達は無重力っぽく浮いて動いてぶつかってるけど衝撃は軽くて傷つくことはなさそう、と。
うん、不思議空間には違いないな。よぐわがんね。
――とりあえず危険はなさそうってことでいいのか?
――多分そうっす。外の生き物は最初にいた部屋に入ってこれないみたいで弾かれてたっす
――ふむ、じゃあまずは最初の部屋を軽く調べてくれ。外に出て襲われるのも馬鹿馬鹿しいし。もし出るなら魔力壁を展開しながら手足を差し出して攻撃を防げるか試すんだぞ
――りょーかいっす。しかしどこなんすかね、ここ。なんでか僕のにおいも残ってるっす
――あー、それ多分だけど、今まで気絶してるから気づかなかっただけで毎回そこに送られてたンだと思うぞ
――うぇぇ!? まじっすか!? ……じゃなかった! まじっすか!?
――多分なー
最後これ思わず声に出して叫んだんだな。声に出そうが出すまいが意識してるなら念話に乗ってるんだが、声に出した部分は念話乗らないと思って改めて念話する意識を強く持ってやり直したと思われ。何度か同じ失敗してるんだがまだ慣れない感じか。
しかし倉庫の時流は1/50倍速なんだが、普通にタイムラグもなく会話できてるな。第六部のラストに近い状況なんだろうか。知れは知るほど謎が深まるな。考えるな、感じろって事か。
しかしまぁ、こうなると気絶してるままの方が幸せだったかもしれんね。
心は繋がってるから平気だなんて表向きの強がりよりも、離れて一緒にいられないのは淋しいって本音のがデカいし。
かといって契約解除はなぁ……落ち込む未来が見える。
こうなるとせめて遊べる相手を用意するくらいはしてやりたくなるわけで。
つまりウーズとの主従契約を強行するのが早道なんじゃねって話。耐えきれるか微妙な部分は魔石をもっと食わせて強化種としての
幸いにも現在地は20階層の
エイジャにもやらせてみたけど問題なく魔石は消化されていく。微妙に楽しいので夢中になっていたら、ウーズがぷるぷる震え始めた。どうやら意識を取り戻したらしい。
『な、なんじゃこりゃー、だそうっす』
「それは直訳なのか意訳なのか」
『ネタに走ったのは確かっすけど、言葉遣いは流暢になってるっす』
『……(ぷるぷる)』
「ほーん、強化種になった影響なのかね。食った栄養が知能に行った的な」
『……(でろーん)』
『よくわからない、って言ってるっす』
「まー、世の中なンざわからン事だらけさ。気にするほどじゃねェ」
モンスターの生態って野蛮人から野が取れて集団になった蛮族な冒険者たちの殺し合いから得られた知識がほとんどだからなー。
その意味じゃ『
有効活用って部分に関しても、どうしてそれをしようと思ったのか、ってのは人間あるあるなんだがな。ナマコやホヤを食ったり、野蚕から絹やら真綿やら取ったり。
じゃあモンスターにはどうなのか。
あと使い捨ての道具って認識らしいから全体的に忌避感というか排斥欲とか呼んだ方が近そうなものがあるよね。
云千年の敵対してきた積み重ねと言われればそれっぽいけど、そんなん地球の人類史を見れば余りにも脆い価値観なわけで。単純に大穴たるダンジョンが身近にあるから変わらなかった可能性もあるし、あるいは娯楽の終わりを嫌った神々の誘導もあったかもしれない。
ぶっちゃけ『
つーか、単なる賢い敵じゃなく交渉ができる敵の敵なんだから、そりゃ同盟を視野に入れるのが賢い判断だろ。
モンスターには違いがない? 本能を含めた身体的な構造と学習で形成される精神的な思想を一緒にするとか、いかにも繁殖と恋愛がワンセットになった人間らしい判断基準ですねキッショ。
そんなんどう見ても人間のが理知持ってねぇじゃん。理性と知恵だぞ。理性ってわかるか? 感情を横に置いて物事を見て判断する能力だぞ。『
その癖、見た目が人間だと誤認してる内なら普通に接するんだろ。眼球くり抜いた方が穏やかに暮らせるんじゃねーのあいつら。でもそうすると魔力とかで判断し始めて、やっぱりモンスターだって言うんだろうな、どうせ。
ヤバイな、考えれば考えるほどに人類全体の愚かさから支配や滅亡を決行する魔王的な方向が正しく思えてくるぞ。
そう考えたら
話の分かる邪神とかいねーかな。ソーマに神酒の強いやつ作らせて探り入れるのもありか。
まー
賢いが故に騙す可能性を折り込まなきゃないが、そんなん人間同士でも変わらんし、悪辣さだけなら業を積み重ねてきた歴史を持つ人間のが勝つんだわ。教材の有無はでけーのよ。生きるためじゃなく活きるためな時点で贅沢です、敵です、滅ぼしますって畳まれてしまえ。
まぁそんなん言っても結局は見た目の問題なんだよなぁ。定番の変装する
そういや変装……容姿で思った。今更だけどエイジャってなんで喋れるんだろな。いや別に悪い事じゃねーけども。
『
カーバンクルは人の文字が入るタイプではないし、本来なら喋れないタイプだと思うんよ。リリも会話してたからアタシ限定で聞こえるもんではないし。秘晶の魔法的な効果とかか? 別の
まぁこんな事を考えながらも、その間ウーズに魔石を与え続けた。
『……(ぷるぷる)』
「どうしてこうなった……」
『眩しいっす』
青系統ではあるが薄めの、水色や空色をしたウーズだったが、魔石を与え続けていたらある瞬間に急に発光した。
うおっまぶしっとか目が、目が~とかふざけ半分で反応してたら、いつの間にかウーズの色が鈍色ってーの? とりあえず灰系統の色になってた。質感的にも硬そうで滑らかで光沢を放ってて、要はメタルな感じのスライムだよね。
これだけだと転生者的には歩く【
エイジャといい、このウーズといい、アタシの周りはバグらないと気が済まないんだろうか。呪われてんのか? 極東出身の神々にでもお祓いでも頼んでみるかな。それかその辺の邪神を脅して全知を書き写したもんをもらうか。『