そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「なァ、愛しいリリ。機嫌を直してくれよ」
「つーん」
「アタシだってリリとずっと一緒にいたい。片時だって離れたくない。生活のためにダンジョン潜ってソーマに預けてたようなやつが言えた義理じゃねェのはわかるがよ」
「つんつーん」
ご覧下さい。口で言ってる辺りどうやっても怒っているから補償はよと伝えたい気持ちが溢れております。
「アタシがガキのお守りをすンのは仕事だ。けどリリに会いにくるのはリリの事が大好きだからだ、愛してるからだ」
『からだからだって、体目当てみたいに聞こえるっす』
――戦場だ。覚悟はできている///
――お前らちょっと黙ってろ
「……つーん」
つーんの勢いが少し弱まったな。ここはもう一押しか……まさかエイジャの体目当て発言で変な気持ちになったとかじゃねぇよな? しまっちゃうお姉さんになるぞコラ。
「あー、愛しいリリ? 今どんな事がしたいとかはあるか?」
「……リリも、お姉ちゃんと一緒に……ダンジョンに行きたいです」
「ダンジョンか……まぁ外出願みたいなもん提出しとけばできなくもなさそうだな」
「本当ですか!?」
まぁ、アタシとしても知らない内にリリがダンジョンに潜っててアタシ以外の相手が同行してたとか聞かされたら腹立つし悲しいしで情緒ぐちゃぐちゃになるな。NTR報告じゃんそんなの。アタシがそれやらかしてて報告してたとか罪悪感が半端ねぇ。
それを少しでも解消できるならダンジョン探索の一度や二度はなんて事ない。そもそも上層どころか中層でも階層主以外ならメカーバンクルの魔力壁抜ける相手いねぇし。あー、19階層の焼き鳥は環境的に大火事から酸欠の可能性あるし、危険がないわけじゃないな。
「連中次第だなァ。とりあえず書類作って出しに行くか」
「はい!」
何よりリリの初めての相手はアタシだって声高に主張できるのは大きいからな。煩悩塗れ多いに結構。姉たる者の面目躍如、誉れである。
「却下で」
「なん……だと……」
「えぇーどうしてですかカーマ様!?」
邪神に外出願いを提出したら秒で突き返されたんだが。予想を裏切られて困惑するアタシ。不満を隠さず理由を問うリリ。つーかリリはこいつの名前知ってたのか。
しかしカーマか。なんでまた
でもそれってつまり完全な
まぁあの辺は異教徒かつ異邦人でしかない連中の聞きかじり知識やミリしら感覚で書かれた二次創作みたいなオリ設定のオンパレードだから、ぶっちゃけ正確さの正の字のT部分まであるかないか程度なんよな。その意味じゃ斬鉄剣持ったおでんとか竜の王様扱いなバハムートも変わんないわけで、そうすると原作厨するのも馬鹿らしく思えてくるから不思議だ。
それはそれとして知識マウント取りたい気持ちはいつだって心の中で燃えてるんだが。でもマウントのために低評価するのはないな。個人的に低かろうと評価する時点で手間を費やす価値を認めてる以上は期待を伴って発破をかけるツンデレ行為だと思ってっし。なお評論家。自覚してても直す気がない世間様とのズレを考えると低評価はなぁ……する気にならねぇわ。評価をアテにして見物に来る人を遠ざける営業妨害にもなるし、コスパが悪いどころか赤字にしかならん。ついでに好き嫌いで評価するのは感情を制御できない未熟さと他人に責任を押し付ける醜さを前面どころか全面に押し出す愚行だと思ってるから、そんな自発的に駄目人間街道を転がり落ちるような真似は金積まれてもしたくない。金積まれて高評価も誇大広告の詐欺だから基本やらねぇがな。
まぁこの世界じゃ評価システムの使いどころが難しいんだが。羊皮紙とかいう大量生産の難しい高級媒体使ってる技術水準のせいで娼館レビューとかも数を用意できんし。いや娼館である必要はないけどな。つーか他の候補も酒場なんかは派閥が経営してるのも多いから普通に報復が怖い。告知としてはギルド本部の掲示板に貼るくらいか? その意味じゃスマホゲーで漫画イベントあるとか聞いた時は狂気の沙汰だと思ったわ。パラレル時空で
暖炉やかまどが現役だから薪の需要があって紙を作るのも割と難しいっていうね。いやまぁダンジョンから草木を集めて加工用の
とりま、原典との差異は誤差で済ます方が気楽なのは確かよな。この世界だってミノタウロスやハーピィが無限に沸いてくるし、性転換してる神もいるし、神の娘が人間として眷族やってたりするんだし。ファンタジー金属もごった煮されて独自の格付けされてるし。
前世で調べたら某神様のナイフにも使われてるミスなリルなんて歴史めっちゃ浅くて噴き出した勢いで鼻水まで出たし、
で、話を戻すが、なんでダンジョン探索の審議拒否されたん?
「いや、普通に考えて人質を危険に晒せるわけないじゃん」
「ごもっともすぎる……ッ!」
「それならせめて『
「それも無理ー。【
「な ぜ だ!」
「そんな……」
ああ言えばこう言う邪神を突破する事は難しそうだった。このままでは愛するリリの願い一つ叶えられない姉の恥晒しになってしまう。拐われた時点で恥晒してるから恥の上塗りにランクアップだな。ダメじゃん。
何か……何かないか。要はアイズへの対抗心を鎮めるために同系統の特別扱いをすればいいわけで……うん?
「なァ、愛しいリリ。戦闘訓練するか?」
「戦闘訓練、ですか?」
「えっ、ちょ……」
「
「……! やります、やらせて下さい!」
それともモンスター殺さないと【
「よし、じゃあ戻るか。最初は地味だが座学と、並行してできる呼吸法から。自主練できるようメカーバンクルにマニュアル落としとくからな」
「よくわかりませんがわかりました! リリも頑張ってお姉ちゃんみたいに強くなりましゅ!」
噛んだ。可愛い。照れ隠しに抱きついてきて顔を埋めながら額をぐりぐり擦りつけてくるんじゃありません。鼻から忠誠心が漏れてしまいます。性別が女な上に成熟前から体の成長止まっててホント良かったわ。危うく
「ちょちょちょ、ちょーっと待ったー!」
「邪魔」
「あふん」
邪神が止めようとしてきたけど、とりあえず地面に転がしてから護衛さんにふわっと蹴り飛ばしておく。姉妹の楽しい楽しいダンジョンデートを妨害された以上は用済みなんだし、妨害で一仕事したんだから後はもう店じまいしてろや。