そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「さて、明後日の夕方からオラリオは
「明後日……あァ、前に言ってた五日後ってやつか?」
唐突にオッサンが情報を寄越してくる。拠点の数をどこまで把握してるかにもよるが、一斉となれば実質総力戦なんだろうか。足並みの揃わなさに定評のある各派閥にできるのか気になったが、問題はそこじゃない。
アタシが
つまり【
そう考えるとアーニャLv.4なの十分すごくね?
話を戻そう、美神眷族幹部勢の戦力な。メカーバンクルの守りを抜けるとしたら
いや待て。ギルド主催の会議で音頭取るなら必然的に二大派閥だが、【フレイヤ・ファミリア】には作戦考えるとか無理だろ。団長
腹黒くて知恵者なフィンなら
今は……えーと、七年前か。とりあえず間違いなく原作時点より弱い連中が攻略できる感じではないけど、
「あぁ、なんでもギルドに忍ばせていた
「嘘くせェ……どこのアホが準備に五日もかけンだよ、相手にバレバレじゃねェか。大方
ギルドってオラリオ内の派閥争いだのに対しては中立だし、職員は『
それにアタシの担当してた受付のお姉さんみたいな疑惑持ちがいるような組織でもあるし。そうでなくとも家族を人質にすれば一発だろ、ただでさえ身体能力は一般人なんだから。
そんなわけで敵を欺くために味方も欺くのが普通だ。アタシなら会議そのものは団長のみ、会議室の周りに副団長置いて警護させた上で口頭でそれらしく話し合いしつつ本命は筆談かな。あぁ、トリュフ探しの上手そうなギルド長もいたか。あいつはあいつで座にしがみつくために必死だから裏切りなんて考えねぇだろうな。
「ふむ、確かに何年も足踏みするような連中なら、臆病さからくる周到さを持っていても不思議はないか」
「普通なら通達して準備してで一日、休息と微調整に一日、そンで三日目に仕掛けるがな」
「と、なると今頃地上では囮の拠点が襲撃されている可能性もあるな」
「……大丈夫なのか?」
奇襲されている可能性に辿り着いても冷静にしてるって事は、更に別の大本命があるって事か。どっか満足気なのはアタシの疑問を予め想定してた? さすがに突っ込んだところで出てくるのは蛇くらいだろうし、軽く一当てして解散かね。手伝えとか言われても困る。
「さて、な……少々喋りすぎた。忘れろ」
「あい、あい。アタシはアタシで計画を知らされてねェ事になってンだ。下手な動きして連中を刺激する気はねェよ」
「ではこのままここで解散して構わんな?」
「了解。改めて特訓してもらって感謝するわ。お代にしちゃ粗末だがこれ、簡単な
「ほぅ、なるほどな」
「ふん、
そんなわけで地獄のような三日間は終わりを告げた。一応、二人が奇襲の有無を確認するって体で現地解散になったが、アタシとしてはまずリリの確保か。ドンパチが起きてる最中だろうと前日やら前々日やらだろうと、ドタバタしてるのは一緒だろうし多少はやりやすいはず。骨伝導タイプの通話用品もあるから訪問予定の連絡だけ入れておくか? リリの演技力は疑ってねェが、にじみ出る空気ってのはあるからなぁ。浮き足立ってても邪神連中は鋭いから止めとくか。こっちも奇襲と行こう。
しかし、なんだ。こうなると報連相のなってねぇ邪神連中には意趣返しの一つ二つやりたいよなぁ。とはいえ
そんなこんなで
今回は姿隠しと隠形のみ。嗅覚対策の神酒使った
代わりの獣人対策は……
はい、思った以上にサクサク進めて現在はリリの背後に立っています。私ラジルカさん、今あなたの後ろにもいるの。全部で三人いるから頑張って見つけてね。どんとうぉーりー。
しかし大きな作戦の前だろうと予定通りにレッスンしてるのは予想外だったわ。邪神達の肝太いな? 今ちょうど夕飯休憩に入ったけど。
「愛しいリリ、そのまま聞いててくれ」
「!?」
おぉう、喉に詰まらせていらっしゃる。タイミング間違えちゃったぜ。周囲の注目も集まってるぅ。リリに集中する分だけアタシは目立たなくなるんだが。
「あー、すまん。後からお詫びはたくさんするから許してくれ。それでな? ちょっくら脱走の目処が立ったから逃げようぜ」
「……(もっきゅもっきゅ)」
「賛成するなら机を二回叩いて、反対なら五回叩いてくれ」
「……(トン、トン)」
ちょうどさっきので食べ終わったリリは、いかにも考え事をしている風を装って机を指先で叩く。微妙に頬が赤いので照れ隠しに誤魔化してるようにも映ったんでねーかな。うちの妹可愛い。
「よし、今からちょっとした魔法使うから抵抗しないで受け入れてな」
「(トントン)」
「良い子だ……【呑め】」
――無事に一名様ご案内っす!
――アビスへようこそ
――え、リリ意識あんの?
――ないっす!
――データ照合を開始……旧式のACのようです
――ラピス後で説教な
【
仮に契約するとしても、せめてアタシの口から直接秘密を打ち明けてからにせんと。繋がった魂から一部だけ情報が流れ込んだせいで原作の登場人物だから大切にしてたとか誤解されたらアタシは全身から幻光虫が抜けて死体も残さず消えるぞ。
さて、とりまリリの奪還に成功したのでそのまま脱走。こんなにもすんなり進むならもっと早くにやれば良かったな。普段はもっと警戒が厳重なのかもしらんけど。
つーか騒ぎ立てる邪神の嘆きというか命の心配はなんなんだ。虚空に向かって命乞いすんなや。誰が火薬を司る職人の守り神だ。笑える光景ではあるが笑えねぇなぁ……。