そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
地下水路の……多分こっちも外れの道だな。そんなところに一人で座り込む
「だいぶ参ってンな?」
「……まぁ、そうだな。俺が思っていた以上に今までの失望は浅かったらしい」
「ほォ、てことは深まっちまったか」
「深まりもしよう。知らん顔が増えて、そのどいつもが脆すぎた。ようやく知った顔に会ったと思えば……あの糞ガキ、現状のぬるま湯に浸かりきってすっかり腑抜けていやがった」
あー、うん。ゼウスとヘラがオラリオ追われて七、八年だもんな。当時の最強と付き合いがあるって考えたら、オッサンの言ってる相手は
で、
あるいは自意識過剰だが、アタシみたいな後進が育ってるのを見た後だから余計に情けなく映った可能性もあるな。いぇーいオッタルくん見てるー? テメーが女神の尻追いかける発情猪やってる間にこっちは最強二人からボコられて無事Lv.6になっちゃいましたー。恩恵もらって十年未満、冒険者生活五年ちょいの小娘に並ばれた気分はどうですかー?
こう数字を意識すると大概やべぇペースだよなアタシも。でも冒険したかって言われると……まぁガチで結果求める系運動部の体罰あり泊まり込み合宿くらいにはハードな日々だったのかな。それを可能とした【
「ンだよ、自分を棚上げして言うがこの街に雑魚しかいねェって嘆くだけじゃなく、年取った自覚で凹ンでやがったのか。心配して損したわ」
「おい、ちょっと待て。誰が年寄りだ!?」
「気落ちしてるだけじゃなく寝ぼけてもいンのか?
「ぐはぁ!?」
軽くおちょくってみたら予想外に予想以上のダメージ受けてやがる。この分だと、あるんだろうなぁ……自覚。肩か? 腰か? 意外と眼だったりしてな。
つーか気落ちしてるのにこんな場所まで湿っぽいのは頂けねぇな。オッサンなら秘密兵器扱いで計画も聞かされてそうだし情報源としても上等だろ。
「とりあえずこンな湿気たトコいっから余計に凹むンだろ。地上行くぞ。
「む……なら少し待て。持ち出す物がある」
「あいよ。言うてアタシ道に迷ってここまで来たからな。後ろついていくから地上までの案内頼むわ」
「いいだろう……なるほど、
「地上出たらオッサンにも使ってもらうかンな。教会の迎撃装置を
連れ出し成功、かな。持ち出す物ってなんだろ。格好は戦闘モードだし、食い物? あるいは薬か、その材料ってとこか。
「……待て、教会の……何て言った?」
「あァ? 迎撃装置だよ。色んな罠」
「あー、アルフィアが教会に向かっている可能性が高いんだが」
「何だ、そンな事か。とっくに素通りできる
「そ、そうか。ならいい……いいんだ」
あからさまに安心しているのだ! いやまぁ気持ちは分かるが。オッサンが
ただ、特訓前のやり取りでアタシの土地ごと買った教会に思い入れあるのはわかってたわけで、ちゃんと
で、こんな所からはとっととおさらばするに限るんで移動開始。
ちな、オッサンの持ち出す物は、なんていうか……草。笑ってるわけじゃなく、薬草だったんよ。オッサンの体を蝕むベヒーモスの毒に対抗するための薬になるやつ。残念ながら完治させる事はできない程度でしかないが。つーか、常人には普通に毒でしかなくね?
毒に対抗する毒かー。しかも裏返せない格差のある。やっぱり消そうと思ったらベヒーモスや同格な毒持ちモンスターのドロップアイテムが必要っぽいな。少なくともアタシの手には負えん。
で、教会に到着。うむ、外装は割とボロのままなんよ。でも原型保って存在してる建物ってだけで割と目立つな。それじゃ、あいむほーむ。
「帰ったぞー」
「【
「グワーッ!」
「何で俺まで!?」
不意打ちで魔法はひどいと思います。つーか罠が起動せずに入って来たんだからアタシかアタシの関係者くらいなんだが? 頭の中まで病気回ったんか? おん?
「なんだ、貴様らか」
「一日経ってねぇのに、ご挨拶だな」
「ふん……」
オッサンの失望は嘆きに繋がってたが、姉御のは怒りに繋がった感じかね。めっちゃ機嫌悪いんだが。あ、でもほんのり頬や耳が赤いから照れ隠しっぽい部分もあるか? 童顔なわけじゃねーけど間違いなく美人だし若いからツンデレ需要は天井知らずだぞ、メイビー。
「まァいいや。飯にすンべ。地下の隠し部屋なら簡単な調理もできる」
「ほぅ、料理もするのか」
「あンなもン、手順は調合と変わンねーよ」
「……余り味には期待できそうにないな」
「何でもいい、早く進め」
そんなわけで地下の隠し部屋です。もはや隠れてるとは言いがたい上に各部屋寝具完備の4LDK、おまけに
「大したもんだな。それにこいつらはモンスター……ではないな。これも
「テキトーにその辺のソファーにかけてくれ。アタシは飯作ってくっから……食うと肌荒れとか気絶とかするもんねぇよな? あとメニューに希望は?」
「任せる」
「酒と、あとは肉だ。噛みごたえが欲しい」
「あいよー」
感心する二人に座るよう勧め、調理のためにキッチンへ。まぁ、ダイニングキッチンだから丸見えだけどな。
しかしながら物陰でこっそりリリを倉庫から解放。うむうむ、よく眠っていらっしゃる。正確には気絶らしいから健康にはよろしくないが。
しかし気絶の理由がよくわからんのよな。世界の壁を突破してる扱いで負荷がかかってるならご利用は計画的にってやつだし。主従契約――つまり魂の一部が繋がる事で活動可能になる辺り、地味に前世の情報を叩き込まれてたりするんじゃないよな? 脈絡なく意識を失って、その間に変な夢見た感覚だろうか。後で聞いてみるか。
実験に協力してくれた善意の馬車盗難現行犯人の方は
「すやすや……お姉ちゃん、そんな大きいのは入らないと思います」
どんな夢なのか非常に気になる寝言だが、無理に起こさず料理するか。
ここに置いてるのは穀物や干し肉、酒みたいな長期保存可能なもんばかりだけど、使えるときに使っておかんとなー。野菜や果物は倉庫内から出すけど。肉と魚も一応は冷凍してから倉庫に突っ込んでるからそこそこ在庫はある。
今回は適当に茹で野菜と豚しゃぶでいいか。酒造りしたらそのまま酢も作れたし、ドレッシング開発がはかどるはかどる。いうて種類はまだ少ないが。醤油を、醤油をくれ。【
後は倉庫から調理済の在庫放出しとこう。自分から誘ったら手前、多少は見栄張らんとな。カボチャのポタージュは冷凍したのを湯煎で戻す。ついでにザルド用で厚めのステーキ焼いとくか。酒は……わざわざ頼むんだしドワーフ的な味覚だよな? 最初はウィスキーでいいか。氷とかお湯は適宜出せばいいっしょ。姉御用にカクテル作るか? それとも薬用酒チビチビ舐めさせるのがいいかね。
考えてみたら、今回の抗争でしばらくは物価が上がるだろうって考えたら放出時ではあるんだろうか。使い道……炊き出しとか? でもぶっちゃけ世話になってない一般人を助けても大した得にならんからなぁ。こういう窮地の本性剥き出し
でも何もしないと後で