そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
まぁオラリオの行く末を憂える老人ムーブはこの辺で止めにしよう。歴史の重みなんて言うくらいだ、アタシの存在一人で動くほど軽くはないっしょ。
てなわけで再び歩き回ってたら、今度はアイズとリヴェリアに出会った。
今回は
あと後々仲間になる元
つーか
ご覧の通り実態は全方位に喧嘩売ってる
「お前は……」
「あ、先生」
「よォ、ダンジョンこもってる間に地上は随分と様変わりしてンな。正直ビビったわ。あとアイズは【ランクアップ】おめでとな」
「あり、がとう?」
「見ての通りだ。状況は最悪に近いぞ」
おや、感情薄くて世間知らずなアイズはまだしも、てっきりリヴェリアならよくもこの状況でそんな態度をって具合にキレると思ったんだが。
「……人同士の争いにこの子を駆り出してしまった。力不足を悔いずにはいられん」
なるほど、善悪の判断も曖昧な箱入り娘に最悪人殺しさせる可能性を与えた自責でそれどころじゃない感じか。
そして力への渇望いいゾ~これ。そのままオッサンと姉御から存分に鍛えてもらうといい。アタシも頑張ってたし! 誰がタカキだ詠唱を止めるんだ。
「最低限の知識は仕込んだはずだが?」
「うん。ちゃんと、できたよ?」
「……膝を砕き肩の腱を断つあれを最低限と言うのか、お前は……」
「加減を考えなくても殺さずに無力化できる方法だからな。現に今回の相手は自爆するんだろ?
「ちゃんと、できたよ?」
「あー、ハイハイ。偉い偉い」
付き添いの依頼を受けてる最中、アイズには人体の構造をある程度でだけど教えといたんよね。体の動かし方とか実際に動く部位を意識させる必要もあるし。
そんで膝砕きうんぬんは、ダンジョンへ行こうとするのを邪魔する
そして相変わらず服の裾をクイクイ引っ張りながら成果をアピールするという誉めろムーブをかましてくるアイズ。どうしてこうなった。とりあえず要望通りに頭をやや乱暴に撫でてやる。つーかアタシより背が高ぇんだから頭こっちに寄越せよな。考える力の鍛練不足やぞ。誉めた直後に説教かますのもアレだし今回は見逃すが。
「そういや知ってるか? この街にゼウスの眷族とヘラの眷族が来てるンだとよ」
偶然の出会いとはいえ、せっかくだから
「あぁ、嫌と言うほど知っている」
「へェ? その顔は……負けたか。むしろ良く生きてたな。聞いた話じゃ最低でもLv.7って事だったが」
「そうだな。鎧袖一触にされた。【
「Lv.5でも歯が立たねェ、か。二つも離れりゃ妥当っちゃ妥当だが……でもそれじゃつまり、怪我人っつーか病み上がりじゃねェか。いいのか?」
気持ちは非常にわかるぞリヴェリアくん! 何せアタシも特訓で模擬戦なのにボコボコにされたからな。本気というか真剣な勝負なら瞬殺されても仕方ないわ。ましてや後衛のリヴェリアじゃ詠唱が間に合うかすら微妙だし。
最強が二人して「奴らなら立ち上がって自分を越えていくはずだ」ってツンデレ本心してて良かったな。アスフィとか現時点じゃLv.3になるかどうかだろうし、空飛ぶサンダル的なアレ使っても瓦礫ぶん投げられたり
「この子を一人で動かすわけにもいかんからな」
「むぅ、子供扱いして……」
ほぅ、ママの顔ですか……そして頬を膨らます辺りはまだまだ子供よの。身長負けてるせいでマウント取ってもすぐに取り返されそうだから口には出さんけど。
「病み上がりなら早めに切り上げろよ。言っちゃなんだが、ダンジョン潜ってモンスター殺して強くなりながら攻略してくのが冒険者だ。同じ人間から街や民を守るなんざ業務範囲外なンだよ。派閥間の抗争って見ても自衛が精々で、民を守るなンつーのは……あー、王族か」
「ふっ……(その発想はなかった)」
「ぶっちゃけ王族なら死なれたら国際問題に発展すっから余計に後ろ控えてろって言いてェところなンだがなァ……」
「うぐぅ! そ、その発想もなかった」
『も』ってなんだ、『も』って。王族の自覚もって話か? 馴染みすぎだろ王女様。すっかり蛮族じゃん。でも民を守る蛮族って字面が狂ってるな。
つーかその発想がないって事は終わってから事後報告すんの? オラリオで大規模な抗争がありましたが当事者として積極的に戦い生き残りましたとか聞かされる親御さんの気持ち考えて? ママ力が足りてねぇよ。そんなんじゃママ友からハブられんぞ。ほら、エイナママさん。従者兼親友だっけ? 一度叱ってもらえよ。
「ねーのかよ。幸い、今晩辺りもう一雨来そうだ。自爆の威力も下がるだろうし攻勢は弱まるンじゃねェか?」
「わかるの……?」
「わからいでか」
「む……フィンの親指のようなものか?」
「親指がなんだか知らねェが、単なる予測だよ。空気が湿ってて風もそこそこあって風上のずっと向こうに黒い雲が見えてンだろが。これで降らねェとか嘘だろ」
ニュータイプ的なオカルト能力と一緒にされてもなぁ。意外と【
「まァ、なンだ。無理だけはしねーこった。守る側ってのはいつ攻められるかって気を張ってなきゃねェ分だけ不利だし……お荷物抱えてるなら余計に、な」
「わかっている。ところで、お前はどう動く?」
「雇い主次第だァな。今ンところ指示は出てねェから街の様子を見て回ってるが……話変わるけど豊穣の女主人の面子ってどうなったか知ってっか?」
まぁ、雇い主なんていないわけだが。強いて言うならリリ?
とりあえず政治色の薄い豊穣の女主人なら接触しても問題ないだろう……このタイミングだと雇い主がフレイヤって疑惑になったりしそうだけど、勘違いされたからって特に問題にはならんな。
「豊穣の、か……確か
「そっか、さんきゅ……そっちはなんで頭押さえて屈んでるんだ?」
「あぁ、酒の過ちを思い出したのだろう」
「……げんこつ、こわい」
「あぁ、そう」
痛いもんな、あれ。脳天から衝撃が走る。でもアイズって酔うと記憶飛ぶんじゃなかったっけ? シラフの時に拳骨もらったんか……好き嫌いとか味なんてどうでもいい系の台詞口走ったりとかしたかな? ありそう。
そして世の中には上がいるんだよ。姐御の拳骨はお叱りじゃなくお怒りがこもってるから全身に響くんだ。指や髪の先みたいな末端までしっかり震えが来るんだぞ。転生上手くいったらベルくんヒロインズには機会あるだろうから震えて待て。
「さて、どうせなら作戦本部に進言でも持ってってくれ。幸か不幸か、ちょっとしたツテがあるから
「ほう……? あぁ、そういえば初対面で言っていたな」
どうやら覚えてくれていたらしい。まぁ『