そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
「避難民に紛れ込む可能性はこちらでも認識していた。その関係でダンジョンへの立ち入りも監視を厳重にしていたが……そもそも開始前からダンジョン内部に潜んでいた可能性、か」
「そりゃ、なァ。アタシたちが初めて会ったタイミングってのはアレだろ?
「うん。すごく……嫌な感じだった」
「それに呼応するかのように
「アタシが地上に出て少ししたら例の一斉送還が起きたからな。地上で『
打ち上げ花火に合わせて愛の告白しても相手には聞こえない理論って言おうとしたけど、政略結婚になりそうな王女と精神年齢お子さまな朴念仁が相手なんで止めといた。恋愛とか地雷っぽいもんな、身分高いと。
それはさておき、材料自体は揃ってるんだし、当事者である二人なら自力で到達できても不思議はない手段なんだよな、漆黒のモンスターをダンジョン上らせてけしかけてくる可能性。
むしろリヴェリアなら予想してしかるべきなんだけど、個人でも組織でも完全に敗北した後だしアイズの参戦まで加わって精神的に参ってる中じゃ難しいか。
まぁこれは
もしも生まれたのが黒い
ちなみにこの召喚に関する情報は機密度が高い案件ではあるんだが、知られざる野生の格上狩り常習Lv.6とかいうバグみてぇな存在が見つかったせいで渋々伝える事にしたらしい。まぁアタシが「抗争? 興味ないね」とか言ってダンジョン潜ったら遭遇、討伐または撃退しちゃう可能性あるからね。そりゃ教えた上で止めるように言うわ。
いやね、確かにアンフィス・バエナは遭遇が偶発的な事故だったし、たまたま炎吐く首へ爆弾を収納ケースごと投げてたり、モフってた
でもウダイオスは確実に倒せる確信を持って挑んだんだから、狂人を見るような目はちょっと止めてほしかったというか、ベリー心外。あんな
そもそも37階層とはいえ深層にソロで向かう時点でおかしいとか言ってたけど、そんな話は誰からも聞いた事ないです。44階層まで行ってるからヨシ! って言ったら姉御の拳骨降ってきた。愛が痛いぜ。
しかし37階層で神威出して黒いモンスター生んだところで、黒ウダイオスが生えてその場から動けず終了じゃねーのって感じなんだが。ちゃんと違う種類が生まれるの確認したんかね? 黒ウダイオスとか階層全体を把握した上で全域から
「召喚が成功してたとしても、今から討伐チーム組んで向かわせてると守備に穴ができっからな。それだったら我慢できるところまで引き付けて、分けたとしても総力戦に対応できるよう敵の戦力を削っておいた方がいいと思うぞ」
「だろうな。だが、敵が出し渋りして余力を残す場合はどうしようもないぞ」
現状でも厳しいんだし、深層生まれの推定階層主相当を討伐できそうな戦力が抜けるのはなぁ。その情報が向こうに伝わった時点で攻勢に回られて、そのまま押し込まれる形でゲームオーバーだろう。
リヴェリアは最終決戦まで温存される可能性に頭を悩ませてるが、確かに怖い部分ではある。いつでも襲撃できるって札をちらつかせるだけで討伐隊は組めなくなるし、かといってタイミング合わせて挟撃されたら総力でも負けるだろうし。こっちから攻勢に出るにも敵拠点の位置が不明だしな。
拠点……特に地下水路の情報はさすがにこの段階じゃ渡せねーわ。
「あー、多分だが向こうはこっちが気づいてねェと思ってっし、気づかせねェように逐次投入してくンぞ」
「それはどういう……あぁ、向こうはアイズ以外の目撃者がいると思っていないのか」
「そういう事。だから考えを巡らせる暇を与えないよう、小まめに襲撃して場を乱し続けるはずだ……拠点を探させない意味もあるだろうしな」
人間、パフォーマンスを維持するためにも睡眠は不可欠だからなぁ。こうなると交代制で動かせるほど従順な戦力を潤沢に持ってないのが痛い。まぁ日頃の行いなんだが。
つーか、ウダイオスじゃねーけど位置が固定されてる対象なんて大火力の砲撃持ちには手軽な獲物でしかないんだが、その辺の対策してる拠点って割と少ないよな。それこそリヴェリアとまでいかなくても最上位
「ふむ、ダンジョンからの脅威については確かに伝えよう。アイズの時にも報告はしたが、軽くしか伝えていなかったからな。あるいはロキがヒントを出しているかも知れんが……」
「まー、偵察くらいならしてもいいだろうがな。それでも察した事を気取られっと多分色々面倒な事になるぞ」
むしろ偵察を一切しないとワンチャン砲撃で吹き飛ぶしな。アタシ個人でも何が生まれたかは見てきた方が良いな。種類によっては各階層に罠張って妨害も視野に入れておかな。
「わかっている……アイズ、一旦
「……ぷしゅー」
おぉ、アイズよ
「さてはこいつ、考える事を戦闘以外で実践してねェな?」
「……面目次第もない」
「いや、別によその
「これは……
「お守りだ。気休め程度だがな」
渡したのはデフォルメされたアイズの見た目をした10
表向きはちょっとした挑発と幻惑の効果を持ってるんで、勝手に切り込み役やりそうなお転婆娘の身を守るのに多少は役立つと思う。
内部には本命の
一応、素材の合計金額だけでもお値段は九桁ヴァリス。裏ルートで購入する場合だから割増ではあるけど、技術料込みならトントンなんでねーかな。知らんけど。
「本当なら親子揃った感じにしたかったんだが……信者連中が面倒そうだから断念したわ。すまんな」
「あぁ……うん。いや、気にしないでくれ。アイズには後ほど改めて伝えておこう。私からも感謝を述べさせてくれ(なんだ、このぬいぐるみ……妙に気になる……め、目が離せん)」
挑発と幻惑の効果は素材由来だから
まぁ、そんな感じでアイズたちとは別れた。とっくに昼を回ってるし、今日はもう戻って飯とか