そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
……それはとても長く、重く、しかしいざ動き出し加速が乗ればどこまでも速い。そんなマリカーのクッパかドンキーかみたいな感じで正体というか秘密をぶちまけたわけですが。
「なるほど。だからお姉ちゃんは色んな事を知ってるんですね!」
「あるぇ~思ってた反応と違うなァ」
「そうは言いましても……リリのお姉ちゃんに違いはありませんし。リリはお姉ちゃん以外に姉という存在を知りませんから、その、普通?」
「普通」
そんなわけで拍子抜けするくらいあっさりと受け入れられたし、何かが変わるわけでもなかった。
ついでで漏らしたスキルや魔法に関しても、個性的の一言で終わった。妹の物分かりが良すぎる件。
でもエイジャがポロッと主従契約について漏らした際には飛びついて来たよね。具体的には念話ができる部分と、倉庫内で活動できるから
「でも副作用があるかも知れんのよ」
「そうだとしても、お姉ちゃんの足を引っ張らずに済んで、お姉ちゃんと一緒にいられるのと変わらないのはとても魅力的です」
「うーん、今話した隠し事とは別にアタシの醜い部分とか見る羽目になるかも知れンよ? あと単純に前世の姿とか生活を見られるのが恥ずかしいと言いますか、はい」
「大丈夫です。リリにとって大事なのは今のお姉ちゃんですから。前世と性別や性格が変わっていても問題ありません。それに、もしそうだとしたら……えへ」
なんと強固な覚悟……しかしアタシは基本的に情けない人間なので優柔不断さを発揮し足掻こうと思います。
「エイジャ、説得してくれ」
『契約結んだらリリちゃんと倉庫内でも遊べるっすね! 最高っす!』
「
『いやー、教えちゃった僕が止めるのは生殺しすぎて、僕がリリちゃんに嫌われちゃいそうなんで嫌っす』
――足掻くな。運命を受け入れろ
全方位が敵だった。これが『騙して悪いが』ってやつか。おのれエイジャ、狙ったか。
「お姉ちゃん。では逆にリリが前世の記憶を持っていたとしたら、お姉ちゃんは態度を変えましたか?」
「変えませンが!?」
「それが答えですよ」
「アッ、ハイ。負けました」
まぁ魂が繋がるって言っても、別に塗り潰したりするわけじゃないとは思うから大丈夫だと信じたい。
そんなわけでアタシは
まず主従契約って名前が良くないよな。もう少し、こう、他人に説明する際に評判を悪くしない、醜聞にならないような名前をですね。クランの加入契約とかさ。いやまぁ魂が繋がるって時点で本来ならめっとゃ重い事態なんだろうけどさ。
「おぉー、これが前世のお姉ちゃん」
「グワーッ!」
「あっ、忍殺語録ですね! すごいです、今までよくわからなかった独特な言葉遣いの由来がわかるようにッ!」
『これでリリちゃんも真の仲間っすね!』
――歓迎しよう。盛大にな!
「おおお、これが念話ですね!? 頭の中に直接……ファミチキ下さい?」
おぉ、一瞬で染まってしまわれた。元の色が純白または透明だったからこそ侵食が速いと言うべきか。ついでに地頭がいいから余計に適応が速いのかもしれん。
一番の心配は、その、語録は語録でも成人向けコンテンツ由来のアレコレが流れてないかなんだがな、うん。今のところ心配はなさそうだけど、気を抜けるかと言われれば無理の一言に尽きる。
語録自体はRTA動画とかで普通に使われてるからそっち経由で覚えて知らずに使いかねないのが怖いんだよな。一般的な言い回しでしかないのに同性愛者だの淫夢厨だのって扱いされるところは、まぁ同じ系の理不尽たくさんだからな。そう認定してくるやつは間違いなくそっちに染まってるわけだから、少し反応してやれば仲間意識を持つチョロさを利用してやるくらいの意気込みでいればいい。こうして全人類がホモになるんやなって。最初からホモ・サピエンスだからセーフ。って返しが今じゃ通じねぇのは辛いところか。どうでもいいや。
「まァ、リリに嫌われる覚悟もしてたから助かったわ。安心したら気が抜けた」
「全くもう、お姉ちゃんは心配性なんですから……そもそもですよ? お姉ちゃんがいなかったらリリは知識も
「いや、それは……そういえばリリは『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』って作品の知識は?」
「ありますよ? ありますけど、リリにとってはお姉ちゃんがいないお話の時点で無関係なおとぎ話にすぎませんから。未来の知識だって、この通りに進むかわかりませんので使えませんし。フィン様に関しては、お姉ちゃんに対応してもらおうとは、思いますけど……」
「なるほどなァ。言われてみれば、そう考えても不思議はないか」
おおよそ理想的な展開ではあるが、だからこそ現実感が薄い部分があるんだわ。リリから流れてきた感情のおかげでこういう情けない部分を見せても失望される心配がないってのは助かった点だな、マジで。完璧な姉を目指し続けるのは止める気ねぇけどさ。
あとフィン対策はリリにガチめの
「しかしアレだな。リリと契約して倉庫内でも活動できるようになったンなら、留守番せンで倉庫内でエイジャたちに鍛えてもらうのもありか」
『おっ、やるっすか?』
「いいんですか? リリとしては是非ともお願いしたいところですが」
――ようこそ、新たなるレイヴン
本人も乗り気、教導役もやる気満々だな。命がけにはならんだろうが、厳しさはたっぷりなんだろうな。こっちでも特訓メニュー組んだ方がいいか?
他の懸念事項としては人間同士の抗争って醜い現場を見せる事だけど、
「とりあえず明日だな。今日はもう寝るぞ」
「はい……あの、お姉ちゃん、エイジャちゃんとラピスちゃんは……」
『添い寝希望っす』
――仲良くしましょ
「あー、うん。構わんよ。寝室に追加で結界張っとおけば姉御たちが帰ってきても放置してくれるだろ……念のため、ダイニングにエリクサーモドキ置いて来るわ」
「はい。リリたちはお話して待ってましょう」
『了解っす』
一度寝室を出て、ダイニングのテーブルにエリクサーモドキと軽食、薬用酒を用意してからまた寝室へ戻る。
「……何してンだ?」
「特訓です!」
『連携っす!』
――私は何か……されたようだ……
元より
そんな三者がどうなっているかと言えば、リリがラピスとエイジャをそれぞれ片手に持ち、その上でラピスは槍モードのブリューナクくんに貫かれてる。一応、好意的に解釈すれば槍と盾の扱いなんだろうか。
「遊んでないで早く寝なさい」
「『はーい』」
――レイヴン、協力に感謝する
素直に従う辺り、一発芸だったんだろうなぁ。なんて苦笑しながら就寝。まぁ寝る前に女子トークってわけじゃないけど駄弁り通したわけだが、和やかな空気を堪能できた。
次の日の朝になっても、オッサンと姉御は帰って来なかった。
なんてしんみりした感じで言ってはみたが、戻らないかもしれないって話は聞いてたし、リリたちの特訓も始まるので元気に一日を始めることになった。
朝食後に軽く食休みを挟んだら三者を倉庫に送り、アタシはアタシで隠し部屋の拡張を試みる。どうせならアタシもタイミングが合うなら監督や指導をしたいし。
第三者の茶々はガチャなボーグ連中を除けば入らないとはいえ、アタシの手が届かない上に危険が全くないわけじゃない場所だからなぁ。合体できるマシンボーグとか普通にやべーと思う。ただでさえ地球の科学力じゃ傷一つ付かない的な設定だったしな。いやまぁ効果あったら大半のボーグは踏み潰されて終わるしな。つーか将来的にリリや同格の仲間でダンジョン探索する場合もあるだろうから慣れる必要のある状況ではあるんだが。
とりあえず購入した土地の範囲内を掘り進めた場合にダンジョンまたは
まぁある程度のイメージを決めたら、後は
――ネキー、ダンジョンの同胞から連絡っす
――あァ? 『
――なんかダンジョン内でヤバいモンスターが地上目指してるらしいっす。昨日時点で28階層って言ってたっす
――ほー、そりゃまた貴重な情報だな。そンで『
――その辺は聞いてないっす。ただ、ネキがダンジョンに潜るなら気を付けてほしいって話だったっす
――そりゃありがたい。オッサンが言ってた試練だから放置だけどな。エイジャも対応サンキュー
――どういたしましてっす!
エレボスの計画は順調らしい。話じゃ最後の攻勢に向けて準備するから今日明日は静かって話だったな。