そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
やる事は簡単。モンスターの集ってる各拠点から離れたポイントを確保。そしてそこから拠点周辺に向かって爆弾をぶん投げる。以上。
実際は本命である起爆まで回数制の爆弾を、別の爆弾で方向修正しつつ加速させる手法で着弾させる。これって扱い的には多段式ロケットになるんかね?
「その前に、遅くなったけど一応警鐘鳴らしておくか……じゃ、よろしく頼む」
お使いが終わったら自由裁量でモンスターを狩っていいと命令してあるので、防衛にもそれなりに貢献してくれると思われ。なお、アタシは正規の
「そンじゃ一発目、景気良く行くぞー」
最初に狙うのは南部。さっきの挟撃で東側に雷が落ちてたから、【フレイヤ・ファミリア】の幹部が分散されてる可能性あるんよね。しかもオッサンの氷を砕いた部分も南。普通に考えれば真っ直ぐ最短を進んできただろうから、つまり初期配置の戦力が蹴散らされてる可能性大。
さすがのフィンもオッサンの位置までは予測してなかったろうから、予備の戦力だっていないだろう。要はここだけ戦力が不足してると見る方が良さげなんだよなぁ。実情は知らんけど。
「ポイっとな」
爆弾を投げたら次の目的地に向けて即移動。発射地点を割り出されて襲撃されるなんてゴメンだしな。おそらく高い場所に立って街全体を眺めているであろう【
で、手元を離れた十二個の爆弾はそれぞれの軌道修正用爆弾に導かれ、攻めあぐねいているモンスターの群れに向かって突っ込む。そして上空で起爆した。
これは道に穴開けたらまずいよなって配慮であり、失敗したわけではない。念のため。誰に向かっての言い訳なんだろうな?
――ネキ、成果が見たいっす、成果!
――しょうがないにゃあ……
エイジャの
つーか、すっかり忘れてたけど
「【
「おォ? 思わぬ大物が釣れたな」
いやいや、Lv.6の聴覚がまさかの声を拾いましたよ、っと。せっかくだから声した付近にプレゼント贈ろうか。地面に降りて走りながらの打ち上げ花火ならぬ手投げ花火。ただし加速用爆弾の後押しを受けて運ばれる先――爆発する予定の高度は上空300
――どちらさまですか?
――【
――ネキと僕が出会うきっかけを作ったやつっす
――なるほど、お姉ちゃんの記憶にある恋のキューピッドというやつですか
――んもーリリちゃんはすーぐそういう僕の喜ぶような事さらっと言うー
――やるじゃない
ラピスのそれはニコッって付く方が思い浮かぶんだよなぁ。つーかAC縛りはいつまで続けんだこいつ。
そんな戦場の空気に似つかわしくない――倉庫内だから仕方ない部分もあるが――和気あいあいとした会話の最中、オラリオの上空に一瞬で燃え尽きる花が何輪も咲く。
周囲からしたら全くの意味不明だろうが、まぁ陽動だかんね。本命は上空約一万
自分で作っといてなんだが、生まれてきた意味が特攻ってのは中々に後ろめたさがヤバい。浪漫とか言ってらんない。故に花火は陽動を兼ねつつも鎮魂の意味を持ち、散り行く者への献花を兼ねる。いやまぁ
普通に戦略兵器な気もするが、対黒竜を見据えればこれくらいスピードないと避けられそうだししゃーない。火力に至っては今回使うのじゃ全然足りないはずだし。今も地上まで伝わって地面を揺れてるのってダンジョン18階層で推定Lv.6の黒モンスターとかLv.7の姉御が起こしてるんでしょ。アタシのミノ集団吹き飛ばした12階層の
――綺麗……
――風流っすねぇ
――ミサイルカーニバルです、派手に行きましょう
倉庫の面々と同様に周囲の多くが曇り空の下で輝く花火に目を奪われていると思われる中、叫び声を発するというかハッスルしちゃった大ガバ【
爆発物への恐怖を薄れさせる名目で仕込んであった、爆発音を掻き消すほどの
まー仮にもLv.5なんだし、恐らく【
「さて、思わず煽っちまった。
――声、大っきかったですもんね
「それな」
被害が出た場所から近い場所にいる事くらい気づくだろうに、叫んでここにいますよアピールはあまりにも迂闊なんだよなぁ。感情を制御できないとこうなるよって教科書に載せていいくらいの失態だわ。
まぁ爆弾使うって情報はあっても
その後しばらくは一進一退、ややオラリオの優勢で盤面は進んでいた。頭がお休みしてても手足は頑張っているらしい。南はアタシの介入で割と余裕が出ていた感はあるが、元の作戦通りなのか、それともやはり都外の富豪でもいたのか、別の場所への援軍に向かうような動きはなかった。
そんな中、アタシは建物の屋根に上ってオッサンの敗北を今か今かと待っていた。姉御はちゃんと粘ってるだろうか。地面の振動は大きさが変わらなくなった。おそらくは戦闘が始まっているのだろう。
「うーむ、オッサン体ボロボロなはずなんだけどな」
――普通に競り勝つどころか無傷ですね
――伝説、伊達ではなかったか……
――なんか会話してるっすね。めっちゃ余裕に見えるっす
「いやー、持久力はお察しだから立ってるだけでもガリガリ削れてるはずだぞ。何なら座ったり横になったりしても回復するかどうか。悠長に会話するのはいいンだが、咳き込んだり血を吐いたりしそうで怖ェわ」
はい、珍しく武装らしい武装をしていたオッタルでしたが、打ち負けずに真正面からぶつかり合い、たまに惜しいところまで行ったりもしました。ですが最終的には有効打なしで判定負けです。倒れてはいねぇからこっから覚醒みたいなの起きるんかね。
「おっ」
――立った!
――オッタルがおっ立っ……今のなしっす!
――逃がすわけねえだろ! テメエだけは!
――アッーっす!!
惜しいやつを亡くした。
さておき、【
オッタルの再起を受けて、各地から雄叫びが起こる。そうして形勢がオラリオ側に傾こうとしたタイミングで、今度は
各地を攻めていたモンスターが一転、
各拠点への攻勢は緩くなったように思えたが、そうは問屋が卸さなかった。
後続は基本的に