そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱)   作:夜月工房

94 / 202
94.始まりました。予知能力下さい。

はい、あれから七年が経過したので原作入りまーす。

村での生活? カットだカット。倉庫内の魔石や資材を使った魔石製品の数々で村をそこそこ発展させたくらいで、基本は畑仕事と森の恵み川の恵みの採集だったからな。近くに鉄や銅の採れる洞窟を複数見つけたりもしたけど誤差だ。逆に火山が噴火しないか心配してたわ。予知能力欲しい数年だった。いやまぁ原作に噴火情報とかなかったはずだけどさ。

あ、温泉は掘り当てたぞ。【異界信仰(ヴェルト・グラオブ)】様様ってやつよ。なんか様々だとさまざまって読んじゃうよね。そして女湯を覗こうとして防衛装置に吹き飛ばされるゼウス。女湯って言っても基本は村のお姉さん奥さんが目当てよ? リリも姉御も順調に育ってたから後半は守備範囲内になったっぽいけど。アタシ? 聞くな。

 

後は訓練な。

元からモンスター被害への対策に結成されてた自衛団も一緒に鍛えてみたが、まぁ『神の恩恵(ファルナ)』なんてなくても良い武器と連携ができればLv.2相当を狩れるくらいには強くなるんだなって。

空気にプロテイン含まれてる世界ではないが、筋肉は裏切らない世界でもあったようだ。ぶっちゃけ都市外の派閥にならそこそこ対抗できそう。

そして鍛えても鍛えても筋肉がつきにくい体質らしく細っこいままのベルが姫扱いされていた。リリと百合がどうこうって話もあった。闇が深いぞこの村。実は住民全員大神級で神威を抑えてるとか言われても納得できる程度には濃い連中だった。筋肉(マッスル)の関係で不変じゃねぇのは確認できちゃいたが。むしろベルが……いや、なんでもない。背は伸びてるし。

ゼウスの下には定期報告とやらでヘルメッポ……じゃなかった、ヘルメスが来るんだが、ベルを含めアタシたちが遭遇する事はなかった。ゼウスには情報提供規制を依頼してたんで、ベル以外に関しては存在を仄めかす事すらしなかったはずだ。

 

あと、ゼウスの死亡報告(ぎそう)からベルが決心するまでの間にヘラの襲来があったんだが、アルフィアと涙の再会してた。嬉しさだけじゃなく痛みが関与してた気もするが、まぁその辺の細かい部分は家族の問題なんで……。

アルフィアから奇跡が重なって今があり、未だに黒竜討伐を諦めていない事を聞いたヘラは、ゼウスの追っかけとは別口で滅びまでの期間を延ばす対策を取っている事を教えていた。多分原作でも近い事はやってるんだろうけど、死んだと思った子が姿を変えて生き延びて頑張ってる様子を見て原作以上に張り切りそうだな。

なおベルを見ての感想は、母の面影が強いものの父らしき要素(瞳の色)が嫌でも目に入るので感情制御に苦労する。本人に責はないしアルフィアの残った肉親なので見逃す、との事。うん、ヘラだなぁ。でも大人なヘラだ。

 

 

 

そして村人に惜しまれながらも景気よく見送られ、ベルと愉快な仲間たちは世界の中心――『迷宮都市(オラリオ)』へと旅立ったのである!

 

 

 

そして着いたのである!

道中で【アルテミス・ファミリア】と遭遇して一緒に山賊という名の闇派閥(イヴィルス)残党を壊滅させる一幕もあったが、ベルが女神から妙に気に入られてた。ヘスティアの話だと恋愛アンチじゃなかったかこの女神。ベルって恋に恋するタイプに特効でも持ってんだろうか。

派閥に誘われてたりもしたが、ベルは自分の意思で英雄になると宣言し申し出を断っていた。そして兄貴分と姉貴分(いもうと)から揉みくちゃにされて嬉しそうにしていた。

 

ちなみにアタシは普通に何度も行き来してたんで、普通に順番飛ばして普通に顔パスして普通に御一行様扱いで普通にオラリオ入りした。

真面目な【ガネーシャ・ファミリア】の面々からは当然いい顔されないが、ギルドから入出都市自由許可証なるフリーパスを発行されてるんで止められもしない。表向きの理由が工芸品の素材確保と交易の交渉で、実際に納税額が納税額だからね。ついでにガネーシャとは『異端児(ゼノス)』関連で協力体制にある。

一部の並んでいる連中が文句を言ってたが、近くの商人に咎められる。なんだかんだ個人で工芸品の巨匠みてぇな扱いされてるし、襲撃犯を返り討ちにされて晒し者にしてたら実力者扱いされてるし、証拠はないが闇派閥(イヴィルス)と裏で繋がってる疑惑がある要注意人物でもあるし、とにかく顔は売れてるっていうね。そのせいで【ガネーシャ・ファミリア】の団長以下――主神以外からは睨まれてるけどな! この辺は『異端児(ゼノス)』の協力うんぬんも通じない。なぁなぁで済ませないのは好ましいんで放置してるが特に不都合はないし。なお肝心の主神はかつての汚職眷族による冤罪事件を負い目に感じて全面的に信用するようにしているとの事。神意万歳。

まぁ、ここでもベルと小粋な会話をするはずだった……名前忘れたわ。リヴィラの街でレヴィスにハニトラ食らって死んだやつ。まぁイベントってほどイベントじゃねぇからいいや。

 

で、とりあえずギルドに向かってもらい、アタシが発注した各派閥に対する抜き打ち調査の体で発注された冒険者依頼(クエスト)を受注してもらう。こうして恩恵持たないブラザーズことベルと元最強二人(きょうりょくしゃ)の一般人トリオをオラリオの街に解き放った。

まぁ、運命力の試験ってやつだ。一応、受け入れてくれる良さげな派閥があっても顔売りがてら一通り回るからって後でって全部断るようには言っておいた。

そんでアタシとリリは【ソーマ・ファミリア】なんで一旦待機……とか言いつつリリを倉庫に送って尾行。問題が発生した際の説明・調停役だかんね。

 

 

 

――雑魚が。死にくされ

――どーどー、っす

――あの方々は『神の恩恵(ファルナ)』について概要を把握しているのでしょうか

――まァ、擁護するとしたらパッと見が気弱そうで荒事に向かない感じはあるからなぁ。改宗までの一年ルールがあっから気軽な仮加入もできねェし

 

【悲報】ベル一行、安定の門前払いだった【予定調和】

 

――その点で言うとゴブニュ様は誠実でしたね。オラリオの鍛冶師ってダンジョン潜りますけど

――それな。メイン探索一人いれば素材確保楽になるのに

――ネキが持って来るから問題ないと思ってるっすよ、きっと

――アーアーキコエナ-イ

 

一応、何件かは受け入れてもいいって打診はあったんだが……ザルドだけならってパターンだったり、アルフィアに色目使ってたり、貧乏だから無理だったり……まぁ事前の指示通りにまずは見て回るってスルーしてきた。

でもって去ってった直後にアタシが出て来てギルドからの依頼文を見せながら協力ありがとうって小銭を渡しておいた。一部の派閥は顔を真っ青にしてたが何故だろうな?

 

 

「何の成果も!! 得られませんでした!!」

 

夕方の中央広場(セントラルパーク)に、ベルの悲痛な叫びが響き渡る。なんだなんだと道行く人々が足を止めるも、冒険者の大半はアタシの姿を確認するやいなや足早に去って行く。

何でかって? 一部の上澄みを除いた連中は大概アタシに怪物進呈(パスパレード)した経験持ってるからな! 実際はアタシの側に原因あると思うんで申し訳なさを覚えなくもないんだが、最初から敵のが多いのは判明してるんだし単体攻撃中心で組み立ててる方にも問題はあるっしょ。少しは範囲または全体攻撃覚えたらそれ連発するだけのクソゲーになるJRPG群を見習って欲しい。

まぁ抗争から三年くらい経過した辺りからは他の冒険者にも経験を積ませてやろうと思い至ったんで、進呈されたら冒険者たちの背中に向かって麻痺投げナイフで報復するようにしてるんよね。モンスター被害からは助けてもらったが、モンスターの群れを前に動けない恐怖で気が狂いそうだった……と体験した面々からは概ね好評だったので今後も続けます。

おかげで一部の心ない(リヴィラの街の)連中からは童貞食い(ヴァージンキラー)だの穴掘り(バックアタッカー)だのって不名誉な称号で呼ばれるし、対抗心を燃やしたイシュタルんちの【男殺し(ヒキガエル)】に襲われたから返り討ちにしてリヴィラの街の片隅に壁尻として設置する事件も起きた。全く人気は出なかったらしいが。

Lv.1でヒキガエル(フリュネ)に勝てるわけないって? いやいや、村と都市を行き来して頻度は落ちたとはいえ、だ。七年あったら多少は戻るよ。ちゃんと今はLv.6ある。

二週目のLv.3時に耐爆とかいうスキルが生えてきたせいで無敵状態の白ボンを疑似再現できるようになって、深層探索も比較的安全になってなぁ。割とサクサク上がったわ。

あるとき深層ですれ違ったオッタルの、よくわからないものを見る目は少しばかり辛かったが。多分バロールソロ討伐RTAのAny%試走のタイミングだったんだろうけど、そんな真似するやつからわけのわからないもの扱いは納得いかんかったわ。

そのときは道中放置されてたドロップアイテムの取得権と引き換えにエリクサーと投げナイフ数本渡してコンテニューさせたんだが、少ししたら軽傷に収めてちゃんと討伐してきた。【経験値(エクセリア)】は惜しいような気もするが、半死バロールとか経験値少なそうじゃない? その割にフラグ共有して初見ボーナスとかもったいない事になりそうだったからスルーできたのはむしろ得なはず。

バロールの情報も教えてもらったし、52階層で砲撃跡から湧いてくるイル・ワイヴァーン相手に荒稼ぎしたから事実上の勝利なんよ。

ちな、オッタルからフレイヤに報告行ったらシル経由で脅されるだろうなって思ったんで、帰還後にギルド本部へLv.5に【ランクアップ】したって報告して、新担当のあごを外す偉業を達成した。以前の担当さんは抗争中に行方不明になったんだとさ。

 

「そうか……よし、そンじゃ本命に行くか」

「……へ?」

「おいおい、ちゃんと説明……してなかったか。悪ィ悪ィ。とりま歩くぞ」

「え、あ、はい」

 

申し訳なさそうに肩を落とし震えていたが呆けた表情に変わったベルを引き連れて、中央広場(セントラルパーク)を去るアタシたち。人だかりがサッと割れ(モーセ)るのは草なんだ。

つーかアレだな。これ完全に野次馬からはベル一行の顔覚えられたし、それ以前にアタシの連れて来た親しい相手って事でギルド本部に行った時点で要注意人物(ブラック)リストに載ったと思う。強く生きて欲しいもんだ。

 

 

そうしてやって来たのは、原作から乖離した姿を見せる教会……と隣の馬鹿デカい倉庫。建築関連の法律が存在しないからって調子に乗ったら気づけば敷地面積のほとんどが建築面積になって、かつて地面に設置してあった罠は撤去されている。代わりに魔力壁や人払いの結界といった防犯機能が充実しているが。

おかげで一帯がゴーストタウンからほとんど復興してないのはご愛敬。土地もアタシが買い占めてるし仕方ないね。地下王国ができあがってるけどそろそろ人造迷宮(クノッソス)と連結できねぇかな。闇派閥(イヴィルス)の残党を一文字変えて残骸にすればいいだけだし、本格的にオラリオ在住ってなるから『異端児(ゼノス)』の台頭と合わせて大々的にやりたいもんだ。

ちなみに怪物祭(モンスターフィリア)は初回からエイジャに出演してもらってて、多彩な芸を披露してる。割と女子供には人気があるらしい。もちろん遊び神連中にも。ガネーシャのあの勢いがあるから取り付く島もない感じで秘密が保たれてるのは助かる……まぁ、都市外のアホな貴族とかが闇ルートでダンジョン産のモンスターを購入しては逃げられるなんてのが多発してるらしいが、知ったこっちゃない。

 

「ただいまー」

「おかえりぃー! 見てくれよラジルカくん、この立派に育った赤漿果(ゴードベリー)……を……」

 

とびきりの笑顔を浮かべ元気のいい挨拶と妙に滑らかな動きで現れたのは、ツインテールと巨乳と胸を強調する謎紐が特徴の小柄な少女。しかしアタシ一人だけだと思っていたのか、団体様で現れたのを視認した瞬間にまるで石化したかのごとく、竹かごを突き出したポーズのまま固まって動かなくなる。

おそらく神の威厳とかそっち系の何かを気にしてるんだろうが、安いメッキはすぐ剥がれるって事を学んでほしい。なんならベルはアタシたちから散々神についての愚痴や扱き下ろしを聞かされてるんで原作よりも敬意とかダウンしてるし、あるいは恋愛ワンチャンあるぞ!

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