そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱) 作:夜月工房
さて、ヘスティアも立ち直ったしアタシは迷宮原産植物の様子を見に行こう。なんて思ってたらヘスティアに声をかけられた。
「それでラジルカくん。このベル君たちの【ステイタス】なんだけど……」
「機密事項だから本人と主神だけの秘密にしとけよ?」
「え、そうなのかい?」
「いやまァ、
「あぁ……確かにそれっぽいね」
驚きと共にピンと立つツインテール。そしてがっくり落ちる肩と一緒にふにゃるツインテール。うーむ相変わらず見ていて飽きない。猫の尻尾みてぇだ。
「そういや、確かクソジジ……ゼウスはギルドに報告していたはずだな」
「ヘラもだ。一部の神はギルドに情報を集めているようだな。おそらくは【ランクアップ】や発展アビリティの発現といった眷族の成長について条件等を探る目的だろう」
「へぇ、ならボクらもそうした方がいいのかい?」
「止めとけ止めとけ。ウラノスは管理ゆるゆるだし職員の口は軽めだぞ。ついでに有用なレアスキルなンぞ持ってるの知られたらギルド長の私欲を満たすために利用……はされねェか。オラリオの価値を高めるためにはされそうだが」
ゼウスとヘラはギルドに情報流してたのか。あの爺さんそんな事は言ってなかったんだが。今度会ったら顔面に胡椒爆弾だな。
しかし確かに、本来なら攻略サイト的なデータベースがないと進展がなくて
でも姉御はメタ張られて負けたらしいから情報漏洩した可能性はあるよな。どっかの小惑星に比べたら規模が小さいとは言えオラリオが無くなるかどうかの瀬戸際だったし、使わざるを得なかったのかしらん。例外を許したら集られるぞ中立勢力さんよ。
その意味じゃロキとフレイヤはギルドにどこまで協力してるんだろうか。北欧系列だから
「うへぇ……何やってんだよウラノス。でも、そのギルド長君に利用されないってのは?」
「そりゃ単純に弱味を握ってっからだな。汚職なンざするもンじゃねェぞ? それとアタシの機嫌を損ねそうな真似には慎重になるはずだ。アタシからの税収がなくなったら予算の振り分けで何人か死ぬぞ」
「死ぬの!?」
「どこの分野でも予算はほしいだろうからな。予算と言えば、ぶっちゃけ借金を心配の欠片すらなく活動できてる派閥ってめっちゃ少ねェからな。探索系は特に。武器や回復薬は高ぇし、食事代だって馬鹿にならねェ。その辺ケチって下手に怪我だ病気だってなったらそこで収入途切れて干からびるしな」
なんだかんだ大抗争でボロボロになった街の復興は
その甲斐あってと言うべきか、横領常習犯ではあるが敏腕経営者でもあるギルド長が金ヅル見つけたんでオラリオの街はモリモリ復興が進んだが……横領常習犯だからこそ懐に収めてしまった分もあるわけで。
ベルの村から出稼ぎに来たアタシが搾りカスみたいになってる
その場に最強派閥として労働・金銭の両方で復興支援の立役者やってた【ロキ・ファミリア】の
でもここでギルドの信用失墜したら内乱になるからって理由を付けて、貸し一つって事で話を終わらせた。まぁアタシの持つ札がバレたんである意味では痛み分けとも言える。少しして復興に貢献したから名誉を称えて派閥の等級上げとくね(^^)vとかやられたときはキレかけた。
探索系【ファミリア】の経営を考えると、支出に対して収入が小さい序盤をしのぐのがある意味では一番辛い。が、一般的な冒険者たちは物理的な容量という持ち込み制限があるんで、中盤も後半も決して楽にはならないのがダンジョンである。装備のグレードも上がって支出がやべー額になるしな。ゲームみたいに無限耐久ってわけでもないし。
一応、物資の不足を解決しているのがリヴィラの街なわけだが……当然物資に限りはあるし、相場はお高いし、そもそも18階層なんぞ半日あれば到達できる序盤でしかない。そこで調達したとしても深層まで行って帰って来るまでに必要な人員、食料、武器……うっ、頭が。持ち帰れるリターンも有限だし、異常事態の常態化とかいう
「おいおい、脅かさないでくれよ。そんな事を言われたらボクでもいいって望んでくれた可愛い
「その辺の心構えは神友たちに聞いてくれ。つーかアタシだって【ステイタス】なンざ自分のしか知らねーぞ?」
「まぁまぁ、ボクも含めてみんな君が連れて来たんだぜ。少しくらいは悩みだって共有してもバチは当たらないだろう」
「主神の独断で秘密暴露とか信用ぶっとぶぞ。ゼロスタートから早速マイナスに突っ走るンじゃねーよ」
ぶっちゃけすぎだろこの女神。いやまぁこっちは原作知識で好感度ブーストかかってるし、向こうは労働の喜びと日々の生活を保証してくれた上で眷族まで連れて来た雇用主だし、互いに信用も信頼もある状態ではあるんだが。
甘やかすとそのまま堕落していくから、定期的に尻を蹴り上げる必要はある。それを双方理解しているからこそのウザ絡みじみた寄りかかりと思えば悪い気がしないのも困りものというか。
「なら本人の許可があれば問題ないんだね?」
そう言って、できたばかりの眷族に視線を向ける主神。外部の子供に助言を求める姿に失望するのでは? と思わなくもないが、それくらい割り切ってしまえる公私の区別をつけられるかってーと難しいだろなって感じもある。
「僕は気にしませんけど……むしろ
「隠すような能力ではないしな」
「今回は許そう。貴様の行いが与えた影響の
ホラね? アタシとヘスティアの心が文字の上では一致した瞬間である。アタシは諦め。ヘスティアは自慢。一体どこで差がついたのか。
ちなみに【ステイタス】を確認すると言っても恩恵を授かった直後なんで、見るべきところはスキルと魔法だけだ……通常ならば。
ベル・クラネル
Lv.1
~中略~
《スキル》
【
・伝承超越。
・代償に応じてより効果向上。
【
・早熟する。
・心が折れぬ限り効果持続。
・覚悟の強さにより効果向上。
うん、ベルはスキルが二つ発現済だ。ダンまちの主人公じゃなくこの世界を代表する英雄の卵って感じ?
まずは『英雄
「どうやら【
ガチで命とか魂とか捧げれるやん。ヘスティアが泣くから絶対に使わせられんぞ(フラグ)。
つーか【
でも
「おぉ……なんか凄そうだね」
「鍛冶師に叱られそうなスキルですね……」
「「…………」」
呑気してるヘスティアとベルの横でめっちゃ苦い顔してる二人。多分隠してる部分に気付いてるな。
古代の英雄譚だけでなく、現代――
次に『憧憬
一途じゃなくなってるのは一輪の高嶺の花ではなく古代から現代まで現れては消えていった数多の英雄への憧れからだろう。
憧れは理解から最も遠い感情って名言至言はあるが、あれは自分の抱く憧れの対象が多角的な面を持つ現物だって理解せずに自分に都合のいい理想ってガワを被せようと押し付けがちって一般的な傾向に対する指摘であって、ある意味では誰からも理解されない超越者の寂寥を吐露しているとも言える。そんな慕ってくれるなら本当の自分に気付いて欲しかったって無自覚に寂しいムーブかます藍染隊長概念……いい……。
まぁ蛍と一緒だよな。夜中に綺麗~幻想的~とか言って持ち帰って明るい所で見たらめっちゃ虫で悲鳴上げるみたいな? しかも光ってるの尻やん? や~い虫の尻見てうっとり奴~! 飛び火だけど恋心も大概同じ傾向あるから、みんなは気を付けような!
逆に言えばふわふわした理想に向かって飛躍する必要がなく、成長速度は『
「こっちの【
「ほへー」
初眷族で右も左も分からないっぽいヘスティアが頭から煙を出して惚けてるけど、なんかアタシの関わる面子ってこの鳴き声のやつ多くね? へぇボタンの代わりにプリインストールされるんだろうか。おっ、首を横に振って復帰した。
「今更だけどどっちもレアスキルだよね、これ」
「俺は聞いた事がないな」
「私もない」
「史上初だろうよ。つーかスキルは基本個人用だから被りなンぞ滅多に起きねェだろ。血筋とかじゃあるらしいが、クロッゾとか極東のナンジョウカンジョウみてェなのとか」
「うーん、つまり成長期って事ですか?」
「そ れ だ!」
原作での誤魔化しが本人の口から噛み砕いた内容として出てくんのはなんか、こう、運命力高くていいな。
とりまそこらのネームドと比較してなお成長株には違いないんで