そっちがリリカルならこっちはラジカルだ!(錯乱)   作:夜月工房

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ベルに関しては片方のスキルを封印した方が良いぞってくらいか。訓練がてら地上のモンスターと戦って生物を殺す感覚は味わってるからダンジョン内で動きが止まることはないだろうし、模擬戦ではあるけど人形兵(ゴーレム)使って色んなシチュエーションで連続戦闘させてきたし、戦闘面の不安はないはず。

 

「一応、ダンジョンでのノウハウは村で教えた通りだが、アタシの知らねェタイミングでサイレント修正する事があってもおかしかねェんだよなァ」

「そうなんですか?」

「未発見領域なんてのがあるしな。生活のためにダンジョン潜ってる連中は探究心持ってねェから地図作成(マッピング)も進まねェのよ……あァ、後で上層、12階層までの書いて渡すわ。去年のデータだけど」

 

ダンジョンが生きているなら、中には変わる部分だってあるだろう。37階層の闘技場(コロシアム)なんかは何十年前だったかに突然現れたらしいし。

未発見領域だってそのタイプっぽいのよな。大半はよくわからん仕掛け(ギミック)で秘匿されてるんで誰からも認識されずにひっそり存在してるが、中には壁一枚で隔ててあるだけのような、ちょっとした偶然が重なると見つかる場所もあったりもする。アタシが見つけた未発見領域は鉱脈だったり薬草だったり稀少種(レア・モンスター)だったりに出会うちょっとしたイベント部屋みてぇなのが大半だったな。そんでその場を去ると次回以降はモンスターの生まれないちょっとした安全地帯になってたり、そもそも消えてたりする。逆にある日ひょっこり復活してる事も。謎よな。

なんならアタシの異常な遭遇率(エンカウント)だってダンジョンの側で異物認定されてる可能性はあるわけだし。姉御回収のときもやけに協力的というか落ちた先に縦穴開いてたし。実はアタシより未来、原作完結だとか設定資料集だとかの発売まで生きてて知識持ってるオタク転生者だったりしねぇもんかなダンジョン。

 

「まァ、まずは『神の恩恵(ファルナ)』の効果を実感するところからだな。本当ならダンジョンのモンスターが地上のとどう違うかも確認した方が良かったかもだが、ダンジョンのゴブリンやコボルトは地上のルー・ガルーより弱ェしな。ただ地上と違って壁や天井から生まれて来るから戦闘中も探索中も不意討ちおかわりに注意しろよって程度だ。慣れるまでは浅い層だけでな」

「はい、わかりました」

「一人じゃねェから滅多な事はねェと思うがな。ンじゃガルドとアスピナは……アドバイス不要な気がするンだが?」

 

普通にベテランなんだよな。自分で予想してほしい。あー、でもLv.1の頃なんてもう忘れてたりするか? なんかノリで初回なのにリヴィラの街まで日帰り旅行とかしそうな感じがする。そして途中でミノの咆哮を忘れてて痛い目を見る。

この辺の事情はヘスティアにどこまで隠し通せるか微妙なところはあるけど、何を隠そう誤魔化すのも嘘吐くのも苦手なんよねこの女神。追い詰められて黙るんじゃなく言い訳しようとしてポロっと漏らしそう。

 

「気にするな、言え」

「採点してやると言っている。やれ」

「めちゃくちゃ偉そうなんだけど……」

「事情があってお姉ちゃんはあの二人には頭が上がらないんです」

「そうなのかい? 中々に複雑な事情がありそうだね。ボクも気をつけないと」

 

リリのフォローが目に染みるじぇ……全くヘスティアに怪しまれるとか相当だぞ。表向き年下なはずの暴君共には困ったもんだ。

 

「あい、あい。えーと、どん、な……」

 

そんじゃ見ますか……うむ、しっかりLv.1だな。肉体に刻まれる辺り専用装備感あるよな『神の恩恵(ファルナ)』って。そりゃ、乗り換えなんぞ想定してるはずもないんだが……た、試してみたい。『異端児(ゼノス)』を人間型の素体に移すとか、そこから空いた体に人間の魂とか。デメリットさえなければやってただろうなぁ。

そんでお二人さんの【ステイタス】はというと、基本アビリティは信頼と実績のI0だ。が、どう見てもレアな『スキル』が発現している。姉御には『魔法』も。

 

まずはオッサン。例の食えば食うほど強くなるスキル『神饌恩寵(デウス・アムブロシア)』が発現済。適応力の弱めなグルメ細胞かな? 消化器官も強くなるらしいし体格も良くなるわけだわな。

これ系の対象を選べる場合は、アタシが普段から疑ってる初見ボーナスとか連続で同種を食った場合のボーナスまたは減衰みたいな【経験値(エクセリア)】の、というかゲームあるあるな理論が使い回されてないか要検証な部分はあるな。格上過ぎると体が耐えきれずに自滅するらしいからそこも注意か。いうてLv.7でベヒーモスは食えたんでしょ、いけるいける。

でもそれ逆に食ったオッサンはその場で体が弾け飛んで死んでないから、ベヒーモスの潜在能力(ポテンシャル)がLv.10相当あったかなかったか程度って証明なんだよな。上昇補正(バフ)特盛にしても階位昇華(レベルブースト)には届かんだろうし、世界観的に考えて。階位(レベル)が二つ違えば完全に別世界だし、ベヒは推定Lv.9か? でもそれだと団長が食らいつけそうだし……まぁいいか、戦う機会なんざねぇんだし。

他のスキルや魔法は未継承。Lv.5に下がったアタシがLv.7のオッサンに魔法使ったから引き継ぎできなかったとかなんかね。その意味じゃ姉御も同じだったみたいだし。

 

姉御は『才禍代償(プチ・ブレッシング)』。元はギア・ブレッシングって読みで基本アビリティが限界突破する代わりに交戦時は各種状態異常や基本アビリティの低下が発生するものだったらしいが……むしろそれどうやって【経験値(エクセリア)】獲得したんだ。交戦にならない狙撃で確殺した? もしそうなら隠形生える条件満たしてそうだけど。

プチになった事でデメリットが大きく減って、交戦中の体力と精神力の減少……スリップダメージで済んでるらしい。いや普通に致命的だろそれ。減りは遅いし行動不能にならないから断然マシ? で、あるか。姉御のメンタルが最初から限界突破してるんだわ。そこが一番強い。

つーか確認のためだからってアタシにチョップを繰り出し続けるのは止めるんだ。忍殺の思い出せるエピソードンを書き起こしたばっかりにアタシの周りにヘッズ化したのが出てきたからな。一番の重症患者はアーニャだったりするんだが。あいつだけニンジャになりかけてるんだよなぁ……この七年でこっそりLv.6になってるし。ミアさんまで子供にナメられるわけにはいかないんだよってLv.7になったし。抜けた穴埋めにアタシがウェイトレスやる羽目になったし。その後もちょくちょく給仕に料理に買い物にとコキ使われるようになっちまったのはなんでなんだ。

姉御の話に戻ろうか。こちらもスキル全てが継承されたわけではなく、同じく魔法も【福音(ゴスペル)】でお馴染み【サタナス・ヴェーリオン】は発現済だったが、他に持ってた魔法無効化する魔法と大技的な魔法が失なわれてるらしい。模擬戦でボコられた身としては十分に思えてしまうんだがなぁ。

 

まぁ、ここまではいいんだ。で、な? そんな二人には共通する『スキル』が発現していまして、はい。

 

《スキル》

迎逝想起(メメント・モリ)

・早熟する。

・過去を迎えるまで効果持続。

・『幸運』『強運』『豪運』を得る。

 

 

ここだけの話、目が滑って早熟が早逝に見えて焦ったのは内緒だ。

スキル名からすると【終憶(まほう)】が原因なんだろうけど……いやいや、なにこれ怖っ。この際だし早熟はまだいいんだ。ベルと足並みそろうから。代わりにリリをどうするかって課題が出てきちまったが、そこはどうにかする(強い意志)。過去を迎えるってのは転生前のLv.7まではサクサク上がる感じかね? もしくは過去の行動をなぞらないと効果が発揮されないとかある? ベヒーモスの肉なんぞどこで手に入るんだ。でも毒物を無効化した料理って浪漫あるよね。つーか単純な毒物としても気になるし。肉片培養してベヒーモスはベヒーモスでもSF編みたいなの作ろうぜ!

まぁ、現実逃避は止めようか。最後の部分がさぁ……幸運の時点で加護に近いみたいなチートの気配濃厚なのに。強運と豪運is何。ポケモンの特性みたいに急所に当たりやすくなるとか、賭博(ギャンブル)が強くなるとかか? 戦闘描写でしょっちゅう出て来る『技と駆け引き』に補正って考えたらヤバくね? 因果が仕事を放り出して遊び始めてんじゃん。いやまぁ詳細はわからんが。幸運と並んでる以上は発展アビリティなんだろうけど、発現条件なんだよ。サンラクの真似事でもしろってか? クロスオーバー先としては割と相性良さそうだよな、破壊規模的には。なお向こうのバハムート。それ以前に戦術機。懐かしいなー完結したんだろうか。一大叙事詩に別ゲーまで入るから普通に考えたら十年単位だよな。ダンまちだって完結してなかったし。まぁこの世界ダンジョンアタックのハクスラとしては拡張性が低くて進みも遅いからサンラク来ても割とすぐ飽きるかもだが。いや待て、どのゲームのアカウントで来るかにもよるのか。ロボゲーで来る可能性だってあるわけだし。サイズ的にダンジョン入れなくて恩恵もらって生身で冒険者するんですねわかります。ボス戦では広いからロボ召喚するんだ、きっと。徒歩でダンジョンはなー広すぎ問題がなー。アタシでも倉庫とは別の空間魔法で瞬間移動(ファストトラベル)をツモらなきゃどーにもならん。

 

「なンつーか、すまん」

「ラジルカくんが謝った!?」

「割と頻繁に謝ってますよ。ね、リリ」

「はい。それはもう、事あるごとに」

「えぇ……それはそれでどうなんだい」

 

まぁ、なんだ。みんなLv.1スタートではあるが……うん、階位(レベル)詐欺と言われても仕方のない連中が爆誕した。オラリオよ、震撼するがいい。

多分5階層のはぐれミノとか惨殺されっから。格上の狩り方実践編とかでベルがソロで足を奪って目を奪って背後からグサーってすっから。ベルもボロボロになるとは思うけど、逆に脳を焼かれて『異端児(ゼノス)』になる可能性まであるぞきっと。オッタルの出番消えちゃった……大一番見逃したフレイヤというかシルにネチネチ言われそうで嫌だから撮影用の魔道具身に着けてもらおう。こう、反省会用とか言って。実際に使えると便利だし。

なんなら保護者二人が追ってきたアイズとベートに喧嘩売りそう。さすがに負けるだろうけど、命の危険なく経験値を稼げるって喜んで挑発する未来が見えるんだ。しかもその数日後に豊饒の女主人でしょ? 第二ラウンド始まるやん。ちょっとバイトの予約入れて来るわ。

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