戦姫絶唱シンフォギア〜巨人と少女のデュオ〜   作:エドアルド

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最近ウルトラマンブレーザーをみてウルトラマン熱が再発。
というわけでウルトラマンで書いてみましたよろしくお願いします。


プロローグ

 

雨が降りしきる街の中、その少し外れの廃墟の中で焚き火が周辺を照らしている。

焚き火の前には全身を水に濡らしながら座り込む少女がいた。

 

その少女、立花 響は焚き火に当たりながらじっと目を閉じていた。

 

「少し寒いけど大丈夫、焚き火があるから」

『…………』

「心配性だね」

『…………』

 

響は廃墟で一人にも関わらずまるで誰かと話しているかのように言葉を発している。

 

そんな響の手首にはまるで宇宙そのもののような美しい色彩を放つ結晶で出来たブレスレットが嵌められており、響はそのブレスレットを大事そうに撫でる。

そのブレスレットが少し光り輝くと、響の全身を濡らしていた雨水はまるで最初から無かったかのように消え、焚き火の熱とは別の暖かな温もりが響を包む。

 

「別に良かったのに」

『…………』

「でも、ありがとう」

『…………』

 

響はそのまま廃墟の壁に背中を預けながら一人で喋りながら眠りについた。

そんな響を静かに見守るブレスレットと同じ輝きの人型がいたが響の目覚めが近付くとその姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立花 響は何処にでもいる女の子だった。友達をもち学校に通い、親と仲良く過ごしお菓子を食べ、毎日を楽しく過ごしていた。

そんな響の当たり前が崩れたのは中学生の時。

 

風鳴翼と天羽奏の二人によって結成された音楽ユニット、ツヴァイウィング。そのライブ。

観客、関係者あわせて10万を超える人間が集まり行われたそのライブには響も参加していた。

 

ツヴァイウィングの歌唱により盛り上がる会場、響もペンライトを手に歓声をあげていた。そんな時、災害は現れた。

 

突然の爆発と共にカラフルなまるでマスコットのような外見をした存在が現れた。それは気の抜けるような特徴的な足音と共に近くにいた人に抱き着くとその人ごと自分を炭素に変えた。

その姿とは裏腹に人を殺したのだ。

 

その存在の名前はノイズ。国連総会にて人類共通の脅威とされ、人類を脅かす認定特異災害。 空間からにじみ出るように突如発生し、人間のみを大群で襲撃、触れた人間を自分もろとも炭素の塊に転換させ、発生から一定時間が経過すると自ら炭素化して自壊する特性を持つ。

 

そんな災害がライブ会場を突如として襲った。人々はパニックに陥り我先にと逃げ出した。

 

そんな中で響は状況を上手く呑み込めず固まっていた。そんな響がいる観客席はノイズによる襲撃で限界を迎え、崩れる。

動けずにいた響は崩壊に巻き込まれ、会場の一番下の地面に放り出される。

 

そこはノイズが蔓延る場所だった。そして崩壊した際に響があげた悲鳴を聞いたノイズ達は響へと向かう。

その事に響は顔を青くして恐怖に固まる。今、響を容易く殺せる存在が響に向かって来ているのだから。

 

だが響の前に立ちはだかるように現れた人物。ツヴァイウィングの天羽奏によりノイズは炭素に変えられた。

本来ならノイズに攻撃は効果が無い。全てノイズを透過してしまうのだ。

しかし、その条理を奏は捻じ曲げていた。その身を不思議なものに身を包みながら。

 

「走れ!」

 

響は天羽奏の言葉にハッとしてノイズが倒された事や今の奏の状態に疑問を抱く事無く走り出す。生き残る為に。

 

しかし、響の歩みは止まる、いや、止められた。心臓に突き刺さる何かの破片に。

それは奏の身に纏っているものの破片だった。ノイズの攻撃によりボロボロになったそれは砕け飛び散り響の胸に突き刺さった。

 

血を流し壁にもたれ掛かる響に奏は急いで駆け出す。

 

「おい!!大丈夫か!!生きるのを諦めるな!!」

 

奏の呼び掛けに響はうっすらと目を開ける。その事に安堵した奏は響を優しく横たえる。

そしてノイズに向かって歩いていく。

 

「あたし、一度胸を空っぽにして歌いたかったんだ」

 

そう言う奏の顔には決意が表れていた。命を賭ける決意が。

 

「奏!!ダメぇ!!」

 

そんな奏を静止しようとするのはツヴァイウィングの相方である風鳴翼。しかし、翼の声は聞き届けられる事無く奏は歌う。命を燃やす歌を――

 

しかし、それは止まる。突如として現れた眩い光がノイズ達を消し飛ばしたのだ。

 

「何だ!?」

 

驚く奏をよそにその光、いや、人型の宇宙とでも言うべき色彩を放つそれは次々と腕から放つ光線や光輪でノイズ達を塵一つ残さず消していく。

人型の宇宙は完全にノイズを消し去るとまるで空気に溶けていくようにその姿を消した。

 

「あれは、もしかして……」

 

唖然と呟く奏はノイズがいなくなり命を拾った事で緊張の糸が切れたのか気を失い倒れる。

 

「奏!?」

 

そんな奏に翼は駆け寄り気絶しているだけだと気付くと安堵した。

 

少し離れた場所で倒れている響はいつの間にか血が止まり傷が少しだけ小さくなっていた。そんな響の手首では響が小さい頃から愛用しているブレスレットが少しだけ光り輝いており次第にその輝きは失せていった。

 

これが響の普通の生活が終わった日であった。

 

響はその後一命を取り留め医者が驚愕するスピードで傷を癒しリハビリを経て退院した。そんな響に待っていたのは世間からの悪意だった。

 

あのライブ会場の惨劇で死んだ人間の三分の一はノイズでは無く、残りは逃走中の将棋倒しによる圧死や避難路の確保を争った末の暴行による傷害致死であることが週刊誌によって世間に広められる事となり、生存者に向けられたバッシングがはじまった。それはこの事件に関係もなければ興味もない人間までも巻き込んだ。

 

事実、人を殺してしまった者達はいたのだろう。しかし、人を殺したわけでも無いただ「生き残った」人達も「生き残った」という理由だけで攻撃された。

 

そして響も。ライブ会場の被害者のひとりに、 響の通っていた中学校の1人の男子生徒がいた。 彼はサッカー部のキャプテンであり、将来を嘱望されていた生徒であったが、 なぜ彼が死んで、取り立てて取り得のない響が生き残ったのかと責め立てる少年のファンを標榜する一人の女子生徒のヒステリックな叫びから始まった攻撃は、 やがて、全校生徒にまで広がっていった。

 

それでも響は小日向未来という親友の支えと家族の支えにより何とか過ごしていた。

しかし、響を支える柱は次々と崩れる事になった。

 

最初は父親が失踪した事だった。響の父親の会社の取引先の社長は、響が生き残った事を知ると、その父親の会社との契約を白紙にした。父親の会社の取引先の社長令嬢もまた、この一件にて命を落としていたのだ。

 

次に起きたのは親友の引越しだった。響を隣で支えていた未来はその存在を目障りに思われ始めたのか少しずつ響と一緒に攻撃を受け始めた。そしてその両親達にも少なからず影響を及ぼし未来の両親は引越しをする事を決めた。我が子を守る為に。

ただ未来は響と再び会う約束をして、響はそんな未来の家の事情に理解を示したのが幸いだった。

 

三つ目に起きたのは響の母と祖母の死だった。

ある日響が学校から帰ると家が燃えていたのだ。その原因は何者かによって火をつけられたことだった。おそらくはライブの生き残りである響を攻撃したかったのだろう。

響の母と祖母は家の中から焼死体として見つかった。

 

それから響は生気を失った顔で町を歩いていた。そんな響はとある橋の上に立っていた。

響は自殺しようとしたのだ。父親は消え、親友とは別れ、母と祖母は自分の巻き添えで殺された。

響の心にあったのは世の中への怒りでも諦めでもなかった。

 

「私が生き残らなければ」そういう思いだった。響が生き残らなければ父親は居なくならなかった、未来が引っ越す事も母と祖母が焼き殺される事も無かったはずだと響は思ったのだ。

 

だからこんな疫病神の私は死んでしまおうと、これ以上誰かが傷つく前に。そして彼女はその身を川に投げ捨てた。だけど生き残った、いや、助けられた。

 

響は水に一切触れることなく球体のバリアに守られた。その事に唖然とした響だが、突然響が昔から愛用しているブレスレットが輝きを放つと何処とも知れぬ白い空間に立っていた。

 

それと同時に響の目の前に宇宙そのもののような輝きを放つ巨人がいた。突然の出来事に響は混乱するがどうでもいいと考えた。どうせ死ぬつもりなのだから。

 

だがその思いは巨人が膝を付き不器用ながらも優しく響を労わるようにその大きな手で撫でた事で霧散する。

その手があまりにも暖かくて優しくて愛に満ち溢れていたから。

 

そして響は薄々感じていたこの存在はブレスレットの中に居たのだと。それならば私がどれだけ疫病神である事を知っている筈なのになぜどうしてという考えが頭を巡る。

 

そんな響の考えを打ち消す様に巨人は響の頭を撫で続け、その頬に流れた涙を拭った。

 

その時声は聞こえない筈なのに確かに響は聞き取った。巨人の心を。

その心を言い表す事は響には出来なかった。あまりにも感情が複雑に絡み合ってしまったから。

 

今まで抱えて来て表に出さなかった世間への怒り憎しみ、家族が死んだ事への悲しみ、隣で支えてくれた親友への感謝、そして昔から私を見守り私に純粋な愛情を向けてくれる巨人を知った事。

ありとあらゆる感情が一度に爆発した事で響は泣きじゃくった。支離滅裂な発言も時にはあった。

 

しかし、それを巨人は静かに聞き響の頭を優しく慈しみながら撫で続けた。

そうしていつか響は泣き疲れ巨人の手のひらの上で眠りに就いた。

 

そしてこれが立花響が運命と出会った日だった。




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