戦姫絶唱シンフォギア〜巨人と少女のデュオ〜   作:エドアルド

2 / 3
覚醒の光

 

響は町を走っていた、親友である未来の手を引いて。響達の後ろから追いかけて来るノイズから逃げる為に。

 

 

 

 

時間は少し遡る。

 

 

響は街中を歩いていた。響は家を失ったあの日から誰かを頼る事も無く廃墟を拠点に生きていた。学校にも行かず、ただ一日を自堕落に過ごしていたが、そんな生活は早々に飽き何かをしようと思い街を歩き始めた。

 

そんな訳で響は街をぶらぶらと歩く事が日課となっていた。そんな時、響の目にはリディアン音楽院の制服を着た生徒達が映り足を止める。

 

「そうか、もう入学式なのか」

『…………』

「大丈夫、貴方がいるから」

 

響は言葉無く語り掛けてくる巨人に言葉を返しながら歩みを再開した。そんな時、一人の少女とすれ違った。白いリボを身に付けた少女と。

 

「……響?」

「……え?」

 

自分を呼ぶ声に響は振り向く。すると目に映ったのは黒髪の少女。それは2年前に別れた親友、小日向未来だった。

 

「未来……」

「響!!」

 

響の零した名前に未来は、自分の親友である響だと言う事を確信して響に抱き着いた。

 

「また会えた!」

「……うん、また会えた」

 

響は少しぎこちなく未来を抱き返す。そして未来の熱をしっかりと感じていた、2年間の会えなかった時間を埋めるかのように。

 

そのまま二人は久しぶりの再会という事もあり、街を一緒に歩き言葉を交わした。そうしていた時だ。あいつらが現れたのは。

 

突如として二人の視界に黒い塵の山が映る。それは炭素だ。

それと同時にサイレンが街に鳴り響く。それはノイズが現れた事を知らせる音。

 

そしてノイズが壁をすり抜けて響と未来、二人の前に現れる。

 

「未来こっち!!」

「あっ、響!?」

 

少々強引ながらも響は未来の腕を引っ張って駆け出す。命を守る為に。

しかしながら街中には溢れかえるようにノイズ達がひしめいており、響と未来の二人は中々逃げ切る事が出来ずに走り続ける。

そんな中、二人の体力は次第に無くなり、遂には響と未来の二人は疲れ果てノイズに囲まれてしまった。

 

「響……私こんな、また、響と会えたのに……」

「……未来、私も未来とまた会えたのに……」

 

二人は死を覚悟した。体力は尽きて周りをノイズを囲まれているのだ。このままいけば確実に二人に待つのは死のみだ。

 

だが響の目は死んでいなかった。彼女を奮い立たせるのはかつて死にかけた時に掛けてもらった一つの言葉、天羽奏の言葉である『生きるのを諦めるな!!』という言葉。そして今も自身の右腕で暖かく見守る巨人の存在。

 

が、それでも状況は変わりはしない。誰かが介入しない限りは。

 

そしてノイズ達は遂に響と未来に襲いかかる。響は咄嗟に未来を庇うように覆い被さる。

 

「響!?」

 

ノイズ達が響に触れるその瞬間、響の着けている右腕のブレスレットが眩く光り輝き、響は白い空間に出る。

 

「ここは」

 

響にとって見慣れた空間。あの巨人と会う時は何時もこの空間なのだ。

だがそこはいつもと違った。

 

宇宙そのもののような輝きを放つ巨人ではなく。別の巨人がいたのだ。全身は銀色だがその銀色には不規則に線が走っている。その線は宇宙のような光り輝く紫色だ、その姿はまるで銀色が紫色の輝きを無理やり封じ込めているようにも見える。

しかし、響はその巨人がいつも出会う巨人だと感じていた。

 

『このような形になってすまない』

「喋った……」

 

響は巨人が喋った事に驚く。

 

『響、君を守る為に私は、君と同化した』

「同化?」

 

巨人が一方的に告げてくる言葉に響は首を傾げる。

 

『響と私がひとつになったという事だ。本来ならこの手は使いたくなかった。私と一つになれば響は人という枠組みを外れてしまう。だが私は響を見捨てる事など出来なかった』

 

いまいち要領を得ない言葉だが、響は自分を助ける為の事だと理解した。

 

『同化した事により私の傷はある程度回復する事が出来た。今ならばかつての力を少しだけ行使する事ができる。そして……』

 

巨人の手から黄色に光り輝く物体が響に渡される。それはひし形のクリスタルだった。

 

「これは……」

『それはケイオスクリスタル。本来なら私の力を行使する為のものなのだが、今回ノイズに対抗する為に響の胸に二年前から埋まっていた対ノイズの兵装…シンフォギア、それをクリスタルとして取り出した。それがあれば君は戦える』

 

その言葉に響は二年前の出来事を理解した。そして奏が自身を救った時のアレなのだろうと。

 

『それを右腕のケイオスブレスレットの窪みに装着してくれ』

「こ、こう?」

 

響は巨人に言われるままにクリスタルをブレスレット中央の窪みにはめ込む。するとブレスレットから声が聞こえてくる。

 

【エクストラクション!ガングニール!】

 

『そしてブレスレットを空に突き上げて叫ぶんだ。私の名を、ウルトラマンケイオスと』

「ウルトラマンケイオス……」

『響、君は戸惑っているかもしれない。だが、今は覚悟を決めるんだ。君自身の為に、君の友の為に』

 

響はケイオスの言葉を聞くと腕を突き上げて叫んだ。覚悟の言葉と共に。

 

「今の状況はよくわかんない。でもこれで未来を、親友を助けられるのなら、躊躇いはしない!」

『私も響を最大限サポートする。存分に暴れてくれ』

「この拳で未来を切り拓く!!ウルトラマンケイオス!!」

 

響の掛け声と共に響の体をプロテクターが包んでいく。宇宙のような輝きを宿すインナーが全身を覆う。その上に銀色のプロテクターが響の鎧として包む。頭はケイオスを模したフルフェイスが覆う。

その姿は正にウルトラマンケイオスとほぼ同じ。違いと言えばケイオスが生物的なのに対して響は機械チックである事ぐらいだ。

 

そして響を包んだプロテクターの余剰エネルギーが響達を襲おうとしたノイズを消し飛ばす。

 

その現象に未来は目を見開く。

 

「……ひ、びき」

 

響は静かにファイティングポーズを取る。

 

「『デュアッ!!』」

 

そしてノイズに向けて駆け出した。

 




今回はまだウルトラマンにはなりません。

解説コーナー
ガングニールクリスタル。ウルトラマンケイオスが響の胸に宿ったガングニールを摘出して作り出したケイオスクリスタル。
響が対ノイズ戦をする時に使う。ガングニールとウルトラマンケイオスの力を合わせて使う為性能的にはデフォルトでイグナイト並。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。