バクシン的模範ハグ?   作:Takovelist

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第1話

「ちょわ!?ト、トレーナーさん、どうされたんですか!?」

 

ハイッ、サクラバクシンオーです!

今はトレーナー室にいます!トレーニングが終わって、疲れた足をきっちりアイシングしストレッチも軽く行った後のタイミングですよ!うんうん、私やっぱり超優秀!身体をきちんと労れるのは才能ですからね!しっかり整えられたパーフェクト学級委員長ボディから放たれる私自慢のスピードは天からの授かり物でもあり、私達の努力が花開いた結果でもあります!

 

そしてこちら、今、私の身にピッタリと密着するようにしていらっしゃるのが私のトレーナーさんです!私のバクシン的長距離制覇の為に、これで確か……、そう、3年と半年ほど御指導をして頂いています!トレーナーさんのお陰で、最近は規模の小さいレースではありますが長距離も走れるようになりました!

 

って、そんなことは今は関係ありません!

大事なのはココ!『トレーナーさんが今、私の身にピッタリと密着していらっしゃる』という所です!

トレーナーさんは、普段私との過度なスキンシップをするような方ではありません。あってせいぜい、とっても頑張ったレースやトレーニング後にとんとん優しく撫でて下さる程度です。ならばこのハ、ハグの意味は何なんでしょう?くぅ~……っ。

 

「い、いけませんよ!こんなことは!こんな破廉恥な行為、模範バクシン的委員長の私と超優秀トレーナーさんがしてしまっては!ふ、風紀が乱れてしまいます!」

 

トレーナーさんはなーんにも言ってくれません。それに、私の肩に顔を乗せていてお顔を拝見することが出来ないので、真意や感情も知りたいのですが……ぐむむ、知ることが出来ません。つらい!

 

「…………あぅぅ…う、動きたい……。」

 

つらい理由はこちらもあります!動きたいのです!私の体はまさに止まることを知らないマグロのよう!カジキでも可です!ノンストップで一直線に真っ直ぐ!クラスメイトが誉めて下さいました!あーんなに美味しいマグロと同等だなんて照れますよねぇ、ドコサヘキサエンなんたらのお陰で頭も良くなって一石二鳥、はなまる学級委員長です!

そんなわけで動きたいのです!ケガをしてでも走りたいほどなのです、体が動いていなければ私はきっと死んでしまうでしょう!というわけで解放していただきましょう!

 

「トレーナーさん、何か仰って下さいよ~……こんなに動かない時間が続いては、その……ムズムズしてしまいます……。ので、動きたぃ……ってちょちょっちょちょわわわ!?ハ……ハハハ、ハグが、強いですトレーナーさん!」

 

ハグが強いという言葉の使い方が模範的かどうかなんて今はまず置いておきましょう、そんなことはとりあえず良いのです!動こうとしたかったのにトレーナーさんの強力なハグで動きを封じられたのが良くないのです!それに、トレーナーさんは本当に何も言って下さいません。うんともすんともです。……まさか怒っていらっしゃる!?だとすれば何に怒っていらっしゃるのでしょう!?……そういえば今日は少しだけタイムが遅かった……?いえしかし……まさか普段から私を優しく御指導してくださるトレーナーさんに限って数秒程度の遅れでそんなことは……となるともしや、トレーナーさん、私と一緒におやすみをなさりたいのでは?ふふふ、そう考えるとトレーナーさんが可愛く思えますね?真意は不明ですが、もし私をハグすることで安心していらっしゃるのなら……嫌な気はしませんねぇ……むしろちょっと嬉しいです。ここは一つ、そんな優しいトレーナーさんに日頃の感謝も込めて最大限のバクシン的感謝をプレゼントです!

 

「嫌だったら仰って下さいね!バクシン的感謝のハグです!これはありがとうの気持ちなのでバクシン破廉恥カウンター的にはノーカウントです!」

 

トレーナーさんは私の体の上の方に腕を置いていらっしゃいます、ならば私は脇の下に腕を通してしっかりと抱き寄せます。うーん模範的!トレセン学園ハグフォーム選手権で堂々の1位が取れそうですね!まあ私学級委員長ですし、余裕ですね!

 

「……嫌じゃない、ありがとう」

 

おやトレーナーさん、ちゃんと喋れたんですね?あんまりにも無言なのでもしやトレーナーさんが人魚になってしまったのではと考えていた程です!……むむ?トレーナーさんが人魚になってしまっても、人魚が声を失うのは人間になるため……おやおや?わかりませんが人間のままでよかったとしましょう、よし!

トレーナーさんは私のハグに喜んでいらっしゃるようですし、問題ありませんね!

 

「バクシンオー。」

 

「?なんでしょうか?」

 

「何で、ハグ返してくれたんだ?」

 

ふむ、簡単な質問ですね?私が短距離走で1位を取る確率を求めるくらい簡単です!なんたって絶対的ですから!

 

「先ほど申し上げた通りです!トレーナーさんへの感謝のハグです!ありがとうの意味でのハグですよ!」

 

「そっか、ありがとう。」

 

感謝感激雨あられ!トレーナーさんには感謝してもしきれません!その思いを込めました、桜餅作りと一緒だと思います、きっと!

と、そうだ、せっかくですし訊いておかなければ!

 

「トレーナーさんは、どうしてハグをしてくださったんですか?教えて下さい!」

 

「……あー。」

 

「むむ?もしやトレーナーさん、黙りですか?私に言わせて置いてそれはちょっと感心しませんね?さあさあどうぞ!如何なる理由でも、私は貴方の考えを正しいと信じておりますから!えぇ!」

 

「えっと……最初はさ、君が急にこういう事されたら、どういう顔するのかなって。そう思ってやってみたんだ。ドキドキしてくれるのかな?意外と静かなのかな、とか素っ気ないのかな、とか考えて。案外素直にドキドキワナワナしてくれてて、ちょっと嬉しかった。」

 

つまり、トレーナーさんは私に意地悪を?

でも、やっぱり嫌な気はしませんね、とっても嬉しいくらいです。私に興味感心がおありとなれば、それで相手を知ることになります。そして相手を知るというのは、信頼の証を一つ増やすということになります!

 

「その時さ、ドキドキしてる君が、凄く可愛いなあと思って、ついずっと、ハグ続けちゃった。今さらだけど、嫌だったらごめんね。」

 

ふふん、さすが私!母も良く、世界一の美貌サクラの如しと仰って下さいましたもの、この姿に見惚れていただけるなんて……ってあれ?み、見惚れていらしたのですか!?

 

「見惚れてた……。うん、本物のサクラみたいに綺麗で、明るくて、でもたまに、ちょっとだけ切ないような……って、ごめんねこんなトレーナーで。君は感謝とか、ありがとうの気持ちって、邪なこと全然考えて無かったのに……。」

 

ちょ、ちょわ……。

 

「トレーナーさん、その……。あの、なんといいますか……、

このまま、ハグを続けても構いませんか?」

 

「え、あ、うん。いいよ。」

 

「顔を、トレーナーさんのお胸に置いても?」

 

「うん、いいよ……。君が良ければ。」

 

なんだかとっても熱いです、顔が。

トレーナーさん。

そんなこと言うなんて、ちょっとバクシン的にはルール違反です。私だってトレーナーさんのこと、信頼や尊敬の念は勿論あれど、ハグされて、ドキドキしてしまう位にはやっぱり想っているのです。3年間も一緒にいて、色んな景色を見てきて、温泉にも行って……この場合の模範を考えたときにはもう、多少の恋心などが合って当然だと学びました。なのに、それを邪扱いされては、私はどうしようもありません。ダートがとっても苦手なウマ娘がトレーニング無しで帝王賞に出て最下位になるくらいどうしようもありません!ならばもう隠すまい!ホントは、悪いタイムが出た今日こそ慰めていただきたかったのです。すぐ忘れちゃってましたけどね。でも思い出しました。なのでしていただきます!

超バクシン的、強いハグを!

 

 

「トレーナー、さん……えっへへ……いい匂いですね……ふああ……あ、すみません、ちょっと疲れたみたいで…………。

すー……すー……。tれーな、ぁさん……すー……っ。」

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