感想、コメントなど3件、本当にありがとうございます!
今回もかなり短めですが、それでも楽しんでいただければと思います。
それでは、本編をどうぞ!
――『天地創造の神槍(グングニル)』――
最強の壁、オーディンの能力であり、総てを打ち抜く矛となる最強の力。
今まで、この力を持て余していた彼は、ある一点に気がついた。
「あぁ、そもそもこの能力、『第三夜「Goetterdaemmerung(神々の黄昏)」』を使いこなせないだけで、実質それ以外の能力は問題なく使えるんだよな。魔力量の問題を除けば」
そう。この能力は大きく分けて四つの要素で構成されている。『永遠』、『空間』、『概念』、そして『力』。第三夜「Goetterdaemmerung(神々の黄昏)」はまさに、その『力』の部位に当たる能力だ。『力』を無尽蔵に生み出す。それが彼の許容量(キャパシティ)を超えてしまったことで、扱いきれないものとなった。
しかし、そこにある疑問が発生する。
「そういえば、そもそも『召喚せし者(マホウツカイ)』に、許容量(キャパシティ)なんて存在するの?」
それは非常に純粋な疑問だった。そしてその答えを、彼は否とした。
「いや、許容量なんて存在したら、究極魔法なんてものは最初から不可能だ」
『究極魔法』は、マホウの限界を超える魔力を以てオーバーロードさせることにより、その上をゆく高次元の事象を引き起こすものだ。オーバーロードさせるとは、すなわち限界突破という意味である。彼の捉える意味で許容量を突破するのであれば、そもそも究極魔法を発現指せる前にマホウが壊れ、死んでしまう。
「……いや、もしかしてマホウの許容量と素体の許容量は別物? オーバーロードさせるのは、あくまでマホウ。マホウはオーバーロードさせても壊れない。マホウがあれば、『召喚せし者(マホウツカイ)』は死なない……」
その仮説は筋が通った。しかし、だからこそ分からないことがある。
「どうして、オーディンは『第三夜「Goetterdaemmerung(神々の黄昏)」』で生み出される無限の魔力で、マホウをオーバーロードさせない?」
もし今の仮説通りであれば、そもそもオーディンは能力的に無限の魔力を得ることが可能である。それによって究極魔法を発現させることが出来るのであれば、そもそもオーディンはあの戦争を引き起こすことなんてしなくてよかった。
「……いや、待て。もしかして、『究極魔法』っていうのは、そもそもマホウをオーバーロードさせることが発現の条件、ってわけじゃない可能性は……」
十分に有り得る。そもそも、オーディンは本来、あの十二人を殺せば、勝者になれば、潜在魔力量の増加により、究極魔法を得る筈だった。だが、オーディンは究極魔法を会得することは出来なかった。発現させることが出来なかった。
ならばそもそも、謎の多い『究極魔法』の発動条件から見直す必要がある。オーディンが勘違いし、更に既存の方法ではない何か。
「……あれ? そう言えば、何で僕は他者のマホウを『一つの集合体』として扱えている?」
模倣だから? 完全なるコピーだから?
――冷静に考えれば、断じて有り得ない。
何故ならば、それは一つの集合体ではなく、もとは別々のものだった。それを無理やりひとつにカテゴライズするなんて、有り得ない。それはマホウの『5.ゆえにマホウは、一人につき一種類まで。』というルールに接触する。
「だけど……いや、待て。待て。待て!? 僕はまだ存在しているオーディンのマホウを完全に扱うことが出来ない。だけど、他の死んでしまったヤツのマホウであれば、完全に扱える。えっ、いや、まさかオーディンのマホウだけは、完全なる別物、集合体とされていないコピーか!?」
すぐさま『ニーベルングの指環』の反応を確かめる。しかし、それだけは、そのマホウだけは、他とのマホウの繋がり、連帯感というものが感じられない。
――即ち、能力で生み出したに過ぎない100%の紛い物。
「確か、コードネームが振られていたはずだ! オーディンは『ミッシングNO.1』で、ロキは『ミッシングNO.13』だ。今僕が使えるマホウのもとの所持者のなかで、最初にマホウを発現させたのはオーディン。一番最後がロキ。番号の振り方は発現させた順番か。……他のやつの番号は知らないが、数はピッタリだ。間には、他の人のマホウのコードネームが入る。直接見ていない相手のマホウも、復元出来ている。でも、それは全員死んだ人のマホウだ。あれ、でもオーディンだけは、確かにこの目ではっきりと見て、対峙して……その時に、あのマホウを得て……。だとすれば、まさか、まさか……!?」
死んだ者のマホウを得る。言い換えれば、所持者の居なくなったマホウを使えるようになる。未だ所持者のいるマホウは、完全には扱えない。コードネームの繋がり。自分のマホウの『マホウを復元する能力』の発動条件。
それらを統合して、全てのピースが確かに、現実に、繋がった。
「……オーディン、お前が僕を殺せば、究極魔法に至っていた。いや、僕でなければダメだったんだ」
彼の左目が淡く白銀色に輝いた。
「同様に、僕が究極魔法に至るには、お前を殺さなきゃダメだ。いや、もしかしたら……お前が死ななきゃ、究極魔法は完成しないのかもしれない」
それは深く、深く自分のマホウを理解しようとしたが故にわかった歪みであり、真実。
「――『魔術兵装(ゲート・オープン)』――ッ!」
同時に展開される、14のマホウ。
――『雷光を打ち砕くもの(イルアン・グライベル)』(パイルバンカーガントレット)――
――『スウァフルラーメ』(西洋剣)――
――『うたまる&アルキメデス』(二丁拳銃)――
――『グリモワール』(遠隔操作式小型魔導砲)――
――『ストリームフィールド』(666本のナイフ)――
――『ミスティルテイン』(遠隔操作型トランプ)――
――『きらきらメモリーズ』(メガネ)――
――『ギャラルホルン』(携帯電話)――
――『スイート・ホーム』(鳥籠)――
――『エッケザックス』(バトルアックス)――
――『ストリングロード』(ウェディンググローブ)――
――『夜桜』(人型戦略破壊魔術兵器)――
――『失われた神眼(オーディンのまなこ)』(左目)――
――『偽・ニーベルングの指環』(マリッジリング)――
「ケジメをつけよう。オーディン」
向かう先は、弱肉強食の世界。起き上がるは、戦場の跡。
彼は起き上がり、聖王、覇王、そしてもうひとりに、こう言った。
「ごめん。ちょっと、行ってくるよ。十六年前から続く、因縁に終止符を打つために。大丈夫、もう僕は、ひとりじゃない」
『スウァフルラーメ』で空間そのものを断ち切り、その舞台へと足を踏み入れる。
「……ん? あぁ、わかったよ。僕が負ければ、どのみちこの先には破滅しかない。三人とも、一緒に行こう。……って、何で爺さんまで? あぁ、あぁ、わかったよ。ほら、能力で傷は元通りだ。まったく……は、勝算? もちろんあるよ。自殺しに行くわけじゃない。僕には皆が付いている。なら、僕はみんなの力を借りるだけだ。そう、みんなの力を……ね」
そうして、五人の英傑は『終わりの大地(ヴァルハラ)』に足をつける。目標は、ただ目の前で静かに、洗練された気迫を纏って待っていた、オーディン……否、芳乃創世その人である。
「来たよ、創世。終わらせよう、このふざけた負の連鎖を」
これは、負の連鎖を断ち切るための、最後の戦い。
それが一体、どのような結末を迎えるのか……それは、神でさえも分からない。
ただし、これだけは確実に言える。
この戦いの勝者こそが、最強の『召喚せし者(マホウツカイ)』……人類である、と。
人智を超えた戦いは今まさに、始まろうとしているのだった。
――To be continued.
感想、コメント、批判、評価、その他もろもろ、お待ちしております((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
次はいよいよ、オーディンとの決戦です!