この理不尽な世界に一筋の光を   作:ウサウサギ

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 感想、コメントなど3件、本当にありがとうございます!

 今回もかなり短めですが、それでも楽しんでいただければと思います。

 それでは、本編をどうぞ!


第十七話 決戦の狼煙

 ――『天地創造の神槍(グングニル)』――

 

 最強の壁、オーディンの能力であり、総てを打ち抜く矛となる最強の力。

 

 今まで、この力を持て余していた彼は、ある一点に気がついた。

 

「あぁ、そもそもこの能力、『第三夜「Goetterdaemmerung(神々の黄昏)」』を使いこなせないだけで、実質それ以外の能力は問題なく使えるんだよな。魔力量の問題を除けば」

 

 そう。この能力は大きく分けて四つの要素で構成されている。『永遠』、『空間』、『概念』、そして『力』。第三夜「Goetterdaemmerung(神々の黄昏)」はまさに、その『力』の部位に当たる能力だ。『力』を無尽蔵に生み出す。それが彼の許容量(キャパシティ)を超えてしまったことで、扱いきれないものとなった。

 

 しかし、そこにある疑問が発生する。

 

「そういえば、そもそも『召喚せし者(マホウツカイ)』に、許容量(キャパシティ)なんて存在するの?」

 

 それは非常に純粋な疑問だった。そしてその答えを、彼は否とした。

 

「いや、許容量なんて存在したら、究極魔法なんてものは最初から不可能だ」

 

 『究極魔法』は、マホウの限界を超える魔力を以てオーバーロードさせることにより、その上をゆく高次元の事象を引き起こすものだ。オーバーロードさせるとは、すなわち限界突破という意味である。彼の捉える意味で許容量を突破するのであれば、そもそも究極魔法を発現指せる前にマホウが壊れ、死んでしまう。

 

「……いや、もしかしてマホウの許容量と素体の許容量は別物? オーバーロードさせるのは、あくまでマホウ。マホウはオーバーロードさせても壊れない。マホウがあれば、『召喚せし者(マホウツカイ)』は死なない……」

 

 その仮説は筋が通った。しかし、だからこそ分からないことがある。

 

「どうして、オーディンは『第三夜「Goetterdaemmerung(神々の黄昏)」』で生み出される無限の魔力で、マホウをオーバーロードさせない?」

 

 もし今の仮説通りであれば、そもそもオーディンは能力的に無限の魔力を得ることが可能である。それによって究極魔法を発現させることが出来るのであれば、そもそもオーディンはあの戦争を引き起こすことなんてしなくてよかった。

 

「……いや、待て。もしかして、『究極魔法』っていうのは、そもそもマホウをオーバーロードさせることが発現の条件、ってわけじゃない可能性は……」

 

 十分に有り得る。そもそも、オーディンは本来、あの十二人を殺せば、勝者になれば、潜在魔力量の増加により、究極魔法を得る筈だった。だが、オーディンは究極魔法を会得することは出来なかった。発現させることが出来なかった。

 

 ならばそもそも、謎の多い『究極魔法』の発動条件から見直す必要がある。オーディンが勘違いし、更に既存の方法ではない何か。

 

「……あれ? そう言えば、何で僕は他者のマホウを『一つの集合体』として扱えている?」

 

 模倣だから? 完全なるコピーだから?

 

 ――冷静に考えれば、断じて有り得ない。

 

 何故ならば、それは一つの集合体ではなく、もとは別々のものだった。それを無理やりひとつにカテゴライズするなんて、有り得ない。それはマホウの『5.ゆえにマホウは、一人につき一種類まで。』というルールに接触する。

 

「だけど……いや、待て。待て。待て!? 僕はまだ存在しているオーディンのマホウを完全に扱うことが出来ない。だけど、他の死んでしまったヤツのマホウであれば、完全に扱える。えっ、いや、まさかオーディンのマホウだけは、完全なる別物、集合体とされていないコピーか!?」

 

 すぐさま『ニーベルングの指環』の反応を確かめる。しかし、それだけは、そのマホウだけは、他とのマホウの繋がり、連帯感というものが感じられない。

 

 ――即ち、能力で生み出したに過ぎない100%の紛い物。

 

「確か、コードネームが振られていたはずだ! オーディンは『ミッシングNO.1』で、ロキは『ミッシングNO.13』だ。今僕が使えるマホウのもとの所持者のなかで、最初にマホウを発現させたのはオーディン。一番最後がロキ。番号の振り方は発現させた順番か。……他のやつの番号は知らないが、数はピッタリだ。間には、他の人のマホウのコードネームが入る。直接見ていない相手のマホウも、復元出来ている。でも、それは全員死んだ人のマホウだ。あれ、でもオーディンだけは、確かにこの目ではっきりと見て、対峙して……その時に、あのマホウを得て……。だとすれば、まさか、まさか……!?」

 

 死んだ者のマホウを得る。言い換えれば、所持者の居なくなったマホウを使えるようになる。未だ所持者のいるマホウは、完全には扱えない。コードネームの繋がり。自分のマホウの『マホウを復元する能力』の発動条件。

 

 それらを統合して、全てのピースが確かに、現実に、繋がった。

 

「……オーディン、お前が僕を殺せば、究極魔法に至っていた。いや、僕でなければダメだったんだ」

 

 彼の左目が淡く白銀色に輝いた。

 

「同様に、僕が究極魔法に至るには、お前を殺さなきゃダメだ。いや、もしかしたら……お前が死ななきゃ、究極魔法は完成しないのかもしれない」

 

 それは深く、深く自分のマホウを理解しようとしたが故にわかった歪みであり、真実。

 

「――『魔術兵装(ゲート・オープン)』――ッ!」

 

 同時に展開される、14のマホウ。

 

 ――『雷光を打ち砕くもの(イルアン・グライベル)』(パイルバンカーガントレット)――

 ――『スウァフルラーメ』(西洋剣)――

 ――『うたまる&アルキメデス』(二丁拳銃)――

 ――『グリモワール』(遠隔操作式小型魔導砲)――

 ――『ストリームフィールド』(666本のナイフ)――

 ――『ミスティルテイン』(遠隔操作型トランプ)――

 ――『きらきらメモリーズ』(メガネ)――

 ――『ギャラルホルン』(携帯電話)――

 ――『スイート・ホーム』(鳥籠)――

 ――『エッケザックス』(バトルアックス)――

 ――『ストリングロード』(ウェディンググローブ)――

 ――『夜桜』(人型戦略破壊魔術兵器)――

 ――『失われた神眼(オーディンのまなこ)』(左目)――

 ――『偽・ニーベルングの指環』(マリッジリング)――

 

「ケジメをつけよう。オーディン」

 

 向かう先は、弱肉強食の世界。起き上がるは、戦場の跡。

 

 彼は起き上がり、聖王、覇王、そしてもうひとりに、こう言った。

 

「ごめん。ちょっと、行ってくるよ。十六年前から続く、因縁に終止符を打つために。大丈夫、もう僕は、ひとりじゃない」

 

 『スウァフルラーメ』で空間そのものを断ち切り、その舞台へと足を踏み入れる。

 

「……ん? あぁ、わかったよ。僕が負ければ、どのみちこの先には破滅しかない。三人とも、一緒に行こう。……って、何で爺さんまで? あぁ、あぁ、わかったよ。ほら、能力で傷は元通りだ。まったく……は、勝算? もちろんあるよ。自殺しに行くわけじゃない。僕には皆が付いている。なら、僕はみんなの力を借りるだけだ。そう、みんなの力を……ね」

 

 そうして、五人の英傑は『終わりの大地(ヴァルハラ)』に足をつける。目標は、ただ目の前で静かに、洗練された気迫を纏って待っていた、オーディン……否、芳乃創世その人である。

 

「来たよ、創世。終わらせよう、このふざけた負の連鎖を」

 

 これは、負の連鎖を断ち切るための、最後の戦い。

 

 それが一体、どのような結末を迎えるのか……それは、神でさえも分からない。

 

 ただし、これだけは確実に言える。

 

 この戦いの勝者こそが、最強の『召喚せし者(マホウツカイ)』……人類である、と。

 

 人智を超えた戦いは今まさに、始まろうとしているのだった。

 

 

 

 

 

 ――To be continued.

 

 

 




 感想、コメント、批判、評価、その他もろもろ、お待ちしております((。´・ω・)。´_ _))ペコリ

 次はいよいよ、オーディンとの決戦です!


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