ソードアート・オンライン~クソゲーハンター、デスゲーに挑まんとす~ 作:HassAku
グランドクエスト「王国騒乱」が終結し、一息つくため、もといよさげなクソゲーを求めて、俺は久しぶりにいつものゲームショップに来ていた。
「久しぶりじゃん、陽務くん。JGE前以来かな?」
そう言いながら奥から店の奥から出てきたのは、この店の女主人たる岩巻真奈。俺、陽務 楽郎がクソゲーを主食とする偏食主義ならば彼女は乙女ゲーを主食とする偏食主義者である。
ロックロールが不定期(ある種の規則性はあるが)に休業する理由は、常連は大体知っている。
「神ゲーの沼にどっぷりと浸かってるクソゲーマーが今日はどうしたの?」
「「シャンフロ」の大規模イベントが一区切りついたんで新しいクソゲーでも開拓しようかと。」
とはいっても、「フェアクソ」をクリアした俺が満足するようなクソゲーがこの店にあるのか疑わしいが。
そんな俺の思考を読み取ったように
「そうだねえ、かの「フェアクソ」をクリアした君が満足いくようなクソゲーは今のところないかなあ」
「デスヨネー」
じゃあもう用はないし帰るか。と店を出ようとしたとき
「だがしかーし」
「ん?」
「君におすすめしたいゲームがあるんだよねぇ」
ん...?さっき「俺が満足いくようなクソゲーはない」って話したばかり...まさか
「また「神ゲー」ですか?」
「正解。でも今回のもきっと君は気に入ると思うよ?「シャンフロ」にドはまりした君ならね。」
もう「シャンフロ」のような「大衆が認める神ゲー」はお腹一杯なのだが...まあせっかくおすすめしてもらえるなら話だけでも聞いてみるか。正直タイトルは想像ついているけど
「どんなゲームなんです?」
「おっ、食いついたね?」
「人を魚みたいに扱わないでくださいよ」
「超ド級のクソゲーが釣り餌ならホイホイ釣れるチョロい魚だと思ってはいるよ私は。」
そんな風に思われてたのか...魚類はユニーク自発出来ないマンで十分なんだよなあ...
「まあいいです。それでどんなゲームなんですか?まさか件の「ソーd」」
「そのまさかなんだよねぇ。今話題の「あの」ゲームだよ」
やっぱりか、正直気になってはいたんだが、いかんせん「シャンフロ」が忙しかったからやる気はなかったんだよなあ...
「というか、あれ予約殺到してる期待作ですよね?よく手に入りましたね。」
「まあね、伝手があるから一本だけ手に入ったよ。「お得意様」に高額で売りつ...げふんげふん、優先的に売ってあげようと思ってね」
今「高額で売りつける」とか言おうとしてなかったかこの人。
「高いなら買えませんよ。いま金欠気味なんで」
「まあまあ話は最後まで聞きなよ。もちろん君に対して高額で売りつける真似なんてしないさ?むしろ定価の7割で売ってあげる」
マジかこの人。なにか企んでるのか...?いやいやこの人は商売人であって外道側の人間ではないはず...外道スコープで一般人を見ると疑心暗鬼になってしまうぞ...気を付けなければ
「マジですか。じゃあ買います。」
「毎度あり。いつも言ってるけどさ」
「ゲームの前はトイレを済ませてしっかり栄養補給、二時間ごとに休憩も忘れずに、ですよね?」
「わかってるならよろしい。」
ゲームを買う度に交わしているので最早あいことばのようになっているVRにおける注意を言い合いながら、俺はロックロールを出る。
帰り道の途中、俺の通う高校の制服を着た女子とすれ違った。顔なじみなので気づかないなんてことはなかった。俺はその女子高生と目が合った。
「あ、玲さん」
「あ、ら、楽郎くん。こ、こんにちは、いいいいいい天気ですねっ!!?」
「今日曇りだけど」
「」
固まってしまった。JGEのときもそれ以前もそうだったが玲さんはやっぱり面白い生態してるよなぁ。女の子に生態はふさわしくない表現だったと反省している俺をよそに玲さんが戻ってきたようだ。その視線は俺が提げているビニール袋を注視している
「ら、楽郎君、新しいゲームを買われたようですがまさか「シャンフロ」をやめてしまわれるんですか...?」
「ないない、王国騒乱イベントが終わったから少し別ゲーでもやろうかと」
「そ、そうですか...」
玲さんはホッとしたように胸を撫で下す。
「今回はどのようなゲームなのですか?」
「なんとびっくり、今話題の「ソードアート・オンライン」!」
そういいながら俺は玲さんに向かってパッケージを見せつける
「あ、そのゲームは知ってます。最近なにかと有名なゲームですよね、シャンフロと同じオープンワールドのMMORPGなんだとか」
「そう、しかも独自のシステムで構成された今までになかったようなゲーム性で話題を搔っ攫ているんだ。」
そう、ソードアートオンライン(これ以降はSAOとしよう)には魔法がない。ファンタジー系のMMORPGには珍しく、剣や槍などの近接武器のみで戦う。さらには、独自のゲームシステム「ソードスキル」というものがあり、これはシステムが半自動で体を動かし、必殺技を放つというものだ。これにより、おぼえさえすれば誰でも超人的な身体能力、剣技を習得できるという点が魅力的だ。
「そ、そうなんですね。そういうことでしたらわかりました。また楽郎くんが「シャンフロ」にログインするのを心待ちにしてますね!」
「まあどのくらい空くかはわからないけど必ず戻ってくるよ。じゃ、、また明日学校で」
「は、はい!さようなら!」
玲さんに軽く挨拶しつつ俺は歩き出す。これが玲さんとの最後の会話とも知らずに...