皆さんは腕時計を使っていますか?
最近ではスマートウォッチなんかが流行っており、自国だけでなく体調面やスケジュール管理、電話なんかもできる優れものがありますよね。
作者はREGUNOというシチズンのサブブランドの時計を使っております。
今回はそんな作者の腕時計に関するお話です、お楽しみください。
2017年8月上旬。
もうパソコンを閉じてさっさと帰りたい、早くお盆に入って涼しい部屋でゴロゴロしたい、そう思うような蒸し暑い日の夕方でした。
ピロロン
右ポケットに入れていた携帯電話がメールを受信したメロディを奏でました。
こんな時間にメールを送る業者は少なく、何かなと開いてみるとそれは母からのメールでした。
「おじいちゃんが亡くなりました。」
メールの表題には一言、そう書いてありました。
私の祖父はずっと農業一筋でしたが、いろいろ自分でこなせる人で、尊敬していた人です。
その祖父が亡くなった、と。
その時はメールを疑いました。実は送り主は母ではないのでは?もしかしたら母の冗談なのでは?
ですがその疑いも意味のないことにすぐ気づかされます。
ピリリリリピリリリリリ
ガラケー独特の甲高い着信音が会社内に響きました。
発信元の名前は母。急いで応答ボタンを押してスピーカーを耳に当てると、そこから聞こえてきたのはすすり泣く母の声。
「...おじいちゃん、死んじゃった...」
それを聞いた瞬間、体の力が一気に抜ける感覚を覚え、携帯を落としそうになりました。
母親と一通り話し終えた後、上司に報告をしてすぐに会社を上がりました。
母方の祖父母の家は実家からは結構距離がある場所でしたから、母はすぐ向かい、自分達は翌日に行くこととなりました。
翌日、着替えを用意して父と共に祖父の所へと向かいました。
何度も通っているはずの国道、いつもは短いと思っていた道のりも、その日はとても長く感じられました。
道中で電話があり、祖父はセレモニーホールに移動したとのことでした。
数時間後、セレモニーホールには親族が続々と集まっており、祖母にもすぐに会う事が出来ました。
大ホールに行くと、そこには一つの棺が置いてありました。
「まだ人もそんなに居ないから、そっと顔合わせておいで。」
祖母に言われ、私は棺の窓から祖父の顔を見ました。
最後に会ったときより少し痩せた感じがしましたが、安心して眠るような、穏やかな表情をしていました。
今にも目を開けそうな感じがしましたが、胸の動きはありません。
その瞬間、今まで堪えていたものが全て出てきてしまいました。
頭の中では今までの祖父との思い出が沢山過りました。
お通夜、お葬式が終わり、本当に最後のお別れの時が来ました。
「おじいちゃん、今までありがとう。ゆっくりと休んで下さい。」
そう言って私はお別れをしました。
火葬場の方からお骨に関して説明を受けた際に
「とても骨が丈夫な方ですね。」
そう言われました。
確かに骨粗鬆症などもなく、最後の最後まで畑をやっていたと祖母から聞きました。
2日間ほど祖母の手伝いをし、私と父は家に戻りました。
それから四十九日。
四十九日法要は行わない所も徐々に増えてきているという話でしたが、祖父母の家系は親族がとても多いため行う事となりました。
法要自体は2時間ほどで終わり、親族も夕方には帰っていきました。
夜になり、祖母が「腕時計の日付を合わせてほしい」と言ってきました。
祖母は機械類にはあまり詳しくはなく、腕時計の日付も自分では変えることができませんから私は快く引き受けました。
日付を調整し、腕時計を母に渡すと
「そういえばおじいさんの腕時計があるけど、使うかい?」
と言われ祖父が生前身に着けていた腕時計を持ってきてくれました。
最初は自分も悪いからと言ったのですが、形見として残っているものは逆に言えば腕時計しかないという事に気づき、その腕時計を受け取りました。
腕時計は風防に傷がついており、ベルトには畑の土が入り込んでいましたが正確な時刻を刻み続けていました。
流石に土汚れなどがついていては普段使いに支障が出るため、綺麗にクリーニングをし、時計店で風防を取り換えてもらいました。
本当は生きていた証としてそのままにしていた方がよかったのかもしれませんが、意思を繋ぐという点では綺麗にして使う方が良いと思い、ほぼオーバーホールに近いレベルで綺麗にしていきました。
そして現在。今もこの腕時計は仕事や私生活に関係なく使い続けております。
いかがでしたでしょうか。
この小説を書いている際、祖父が亡くなってからもう6年以上経ってしまったのかと思いました。
ついこの間まで祖父が生きていたような、そんな気がしてなりませんがもう二人ともこの世を離れてしまいました。
ですが二人の生きていた証は今でもきちんと残してあります。
皆様もご自身が今この世に存在しているのは、おじい様、おばあ様のおかげなのですから。大切になさってくださいね。
それではまた次回。