虚の穴は何故閉じない?   作:エア_

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超息抜き作品。基本ほのぼのをかく。

ジョジョ学ではかけない主人公を暴走させる何かを書きたかった。

あぁ、そういや、ハリベルさんって下腹部に虚の穴があるんだっけ


第一話~悪戯

ここは虚園(ウェコムンド)、虚空の世界の事を言い。そこの居住区の事を指す。死神などいない(ホロウ)だけが住む世界。それが虚園である。

 

そんな虚園、今日もヤミーの叫びから始まる。

 

「待てやテメー等ァア!!」

 

「っべぇぞ! 今回のあいつの怒りようは半端ねぇ!!」

 

「どうするんだよノイトラ!! 絶対お前のあれが原因だぞ!」

 

その光景はすでに虚園の者なら誰もが見たことのあるもので、それは日常茶飯事に起こっている行事のようなものであった。巨大な男、ヤミーと呼ばれる巨漢が目の前を走る二人を追いかける。誰も止めはしないその毎日恒例の追いかけっこは今もなお続く。

 

「何言ってんだ! お前のあれの方で怒ってんだよ!!」

 

一人は左目に穴が開いている男のようだ。しかしその穴からは体内のものが噴出しない。今は眼帯でそれを隠しているが、それは彼が虚だった証拠でもある。だがまぁ、今はどうでもいいだろう。彼等は今追われる身なのだから。

 

「いいや違うね! 俺のはまだ可愛げがあったし! むしろ女の子なら絶対俺のこと可愛がってくれるし」

 

もう一人は、体に穴など一切開いておらずむしろ最近流行でもしているのかパーカーを着こなしながら一緒に全力疾走している。姿を見るに彼は人間なのだろう。

 

そんな食物連鎖の関係にある二人は後ろから迫ってくる巨漢を差し置いて言い合いをはじめる。勿論全力疾走はしたままだ。

 

「カァー、あれを可愛げだとか。お前の脳みそは散歩中かぁー?」

 

「お前の脳味噌だってどうせ今頃砂漠の中遊泳してんだろうが」

 

「「HAHAHAHA」」

 

お互い額に青い線を浮き立たせながら笑っていた。それはもういい笑顔で笑っていた。もう一度いう。彼等は勿論全力疾走したままだ。

 

「「表出ろやぁ! この糞野郎がぁ!」」

 

「てめぇらまとめて捻り潰してやらぁあああああ!!!」

 

「「ぎゃあああああああああああああああ!!」」

 

ついに後ろの巨漢、ヤミーはぶちぎれた。ただでさえ怒っていたというのに、とうとうぶちぎれた。ノイトラと青年は互いに抱きつきながらも全力疾走を繰り返す。一歩間違えば死ぬ。そんな恐怖を二人は覚える。

 

「お、おいノイトラ!! グリムジョーだ!」

 

「来た! グリムジョー来た! これで勝つる!」

 

ハスキーな声でネット用語を叫ぶ破面とはいったい・・・・・・。最近はネット社会とは言うけれどもこれは酷い。流石に酷い。青年はグリムジョーと呼ばれた青髪の破面に近づくと思い切り叫んだ。

 

「グリムジョー!! 煙幕!!」

 

「はぁ!? あ、お、ちょ!? えぇいままよ!!」

 

突然の出来事に戸惑いを見せたグリムジョーと呼ばれた破面。しかし煙幕はちゃんとはれたようだ。ドゴンッ、という大きな音を立てながらグリムジョーを中心に黒い煙幕が張られた。元が砂地なせいでもあるのか、砂埃がとても酷い。

 

「グリムジョー! ヤミーが俺等の居場所を聞いてきたら向こうに逃げたっていってくれ」

 

「・・・・・・はぁ、またやったのか。あいつに」

 

「話は後だ! とりあえずタロム!!」

 

煙がまう中、二人はグリムジョーの返事を聞かないまま近くの岩陰に隠れた。彼は、仕方がない。と呟くと煙幕をそのカギ爪でかき消した。そこ現れたのは自分よりも4~5倍はでかい大男が目の前にいた。普通の人ならちびるほどのでかさだ。

 

「ぐぅう! あいつらどこに行きやがった」

 

二人を見失ったヤミーをその背を生かして周囲を見渡した。周りは意外にも建物が多く、その背を生かせないでいたが十分あたりを見渡せている。

 

「おぉヤミーじゃねぇか。いきなり煙幕なんかはってすまねぇな」

 

グリムジョーに気がついたのか、ヤミーはその声がした方へと顔を下ろした。でかい。滅茶苦茶でかい。それが彼を見たときの第一印象だった事を思い出しながら、グリムジョーは挨拶をした。

 

「そりゃ今はいい。それよりもだ。あいつ等はどうした」

 

あいつ等。勿論ノイトラと青年のことである。ヤミーは浮き出た血管をこれでもかとさらに浮き立たせながらグリムジョーに聞いた。挨拶よりもそっちが先決らしい。だが分かる。その表情から分かる。捕まったらやばいと。もろ分かりである。

 

「あぁ、向こうに行ったけど。一体何されたんだ?」

 

グリムジョーは今日一番聞きたいことができた。それは彼等の悪戯内容だった。するとフルフルと震えながら、思い出したようにさらに血管を浮き立たせている。子供が見たら先ず泣き叫ぶほど怖いのは確かだ。

 

「あいつらはなぁ! あろう事か俺を女中のまえでズリパンして俺のけつに落書きして行きやがったんだよ!」

 

だが聞いて後悔した。それがその質問をしたときの感想である。まぁ、したのは青年で、その後そのけつに青年から貰った黒油性ペンで落書きしたのはノイトラなのだが。

 

結論、これはあの二人が悪い。

 

「それは災難だったな」

 

「今日という今日は徹底的にぶちのめしてやる」

 

そこには(オーガ)がいた。多分今の彼を見れば、一兵卒の死神なら恐怖で腰をぬかすほどの怖さだ。

 

「兎に角、あいつ等は見つけ次第ぶちのめす。見つけたら教えろ!」

 

そう言うと、返事を聞かずにヤミーはすっ飛んでいった。こいつら人の返事きかねぇのな。それがグリムジョーの感想だった。

 

「おう、考えとく」

 

ヤミーに返答する(聞こえているかは謎)と、彼がいなくなるまで手を振って見送った。消えたと同時に岩陰からソロリと顔をだす二人。そんな彼等を見てグリムジョーは、はぁ。とため息をつく。

 

「おうグリムジョー! 助かったぜ!」

 

脅威が去ったと二人は岩陰から現れる。その顔はとても晴れやかだった。

 

「お礼に、今度俺の秘蔵本一冊貸してやる」

 

秘蔵本。それは青年の所有する所謂えっちぃ本である。これは青年が家から持ち出したりや、コンビニで買ったりしたものだ。ちなみにグリムジョーはその中でも年上系のジャンルが好みらしい。青年の言葉に、グリムジョーはピースサインをしながら、恥ずかしそうに、

 

「・・・・・・二冊だ」

 

と呟いた。そんなテレながら呟く彼の姿に近くにいた女性破面を虜にしていた。こいつ、モテる癖にこういう事はしたことがないという○貞野郎だったのだ。もうしてそうなのに。

 

「ギャハハハッ! だから言ったじゃねぇか! グリムジョーはムッツリスケベだってよぉ!」

 

「おいノイトラ! 人をムッツリ呼ばわりするんじゃねぇ!」

 

「グリムジョー。安心しろ。前の好きな年上系は網羅してるから」

 

「お前も[シャイなんだな。お前って]みたいな顔をするな! 俺だってなぁ! 戦闘欲はあるがそっちの方だってあるんだよ!」

 

二人に対してグリムジョーはギャーと叫ぶように言い返している。そんなグリムジョーが面白かったのか二人はゲラゲラと笑う。

 

今日も、虚園は平和です。

 

 

 

 

「つうか何でしたんだよ。あんな事したら絶対ェにあいつ切れるだろ」

 

「だってよぉ、ヤミーのおっさんがまた女中の子泣かしたんだぜ? 可哀想だろ? しかもその子最近俺に相談に来た子なんだぜ? そりゃあ男の見せ場だろ」

 

「いや、格好つけてるけど。やったことは最低だからな?」

 

虚園のとある大きな通路では、三人が駄弁りながら歩いていた。勿論ノイトラとグリムジョーと青年である。

 

「で? 一応聴くが、ノイトラは?」

 

「面白そうだったからジェットストリームアタックをかけた」

 

「聴いた俺が馬鹿だった」

 

頭を抱えるようにしゃがむグリムジョー。これじゃあどっちが悪いのか分からない。いや確実に二人の方が悪いのだけれども。

 

「っと、噂をすればなんとやらじゃねぇか!」

 

なんと、目の前からやってきた破面は、先ほど言った苛められていたという女中の破面だったのだ。青年はわくわくと小さく声に出しながら、その女中を見つめていた。

 

「あ、あの!」

 

(来たァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!)

 

(おいおい待てよ。もしかしたらビンタされるかも知れんぜ?)

 

(HAHAHA! 何を言うかと思えばノイトラ君。そんな事があるはずないじゃないか)

 

(何でエナリカズキなのかはおいといて、ほれ、さっさと聴いてやれや)

 

ノイトラに茶化されようともビクともしない青年にグリムジョーは頭痛を覚えながらも、現実に引き戻してやった。

 

「えっと? 何かな?」

 

「はい! 先ほどは助けていただき、ありがとうございました! ノイトラ様!」

 

「おうおう! お礼ならチューでもって、え? ノイトラ?」

 

「お、俺カー!?」

 

まさかの選球はストレートではなく低めのカーブ。これは手が出せないストライク。バッター三振敗者確定。青年は文字通り化石化した。ノイトラはまさかの自分に驚きを隠せないでいた。

 

「はい! ノイトラ様は怖い方だとよく噂で耳に入れておりまして。自分、怖いのとか苦手で。でも! 朝ノイトラ様に助けていただいて! お礼がしたくて」

 

(まさかの春がノイトラ一番乗りとは、てか、こいついつまで石にって硬ッ!? こいつめっさ硬いんだけど!?)

 

ノイトラと女中が良いムードの中、グリムジョーは青年の席かをどうにかしようと模索していた。ちなみにこの化石化、めちゃんこ硬くて破面がびびるほどのようだ。

 

「ま、まぁ俺は孤高の一匹狼だからよ。そう言う噂があってもしょうがねぇよなぁ!」

 

「はい! ですが、その。今日の、あの、私のためにヤミー様と対立なさっていただいて。私の思いは止まりませんでした!」

 

(何だと!? あれか? こいつが貸してくれた漫画にあった【不良が見せる一瞬の優しさ】ってやつか? ってかこいつ更に硬くなりやがった。トラ○セルかよ!)

 

青年は[硬くなる]を唱えた。防御力がグーンと上がった。しかし心の支えは堅くならなかった。

 

「も、もしよろしかったら。いつでもよろしいので、ご奉仕させてください! 身の回りのことをお手伝いさせてください」

 

「お、おうよ! そんくらいでいいんなら頼むぜ」

 

若干押されぎみなノイトラだったが、最後まで女中と会話を続けていた。そのワンシーンは一瞬エロゲか! と突っ込みたくなるものだったが、事実なのだからしょうがない。女中は深々と頭を下げると嬉しそうにその場から去っていった。

 

「・・・・・・聴いたかよグリムジョー」

 

「あぁ、聴いたぜノイトラ」

 

「「エロゲって、現実を元にしてんだな」」

 

「ンな事あってたまるかァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

トラ○セル状態だった青年はついに動き出した。号泣しながらノイトラに迫り行くその姿はなんとも情けないものだった。

 

「何故だ! 何故俺じゃなくてこのガサツ男なんだ!」

 

「おい! さり気なくガサツ言うんじゃねぇ! 最近ザエルアポロからクドクド言われて変えたんだからよ!」

 

「止めてやれノイトラ。あれが非モテの叫びなんだから」

 

「くそぉおおおおおおおおお! 理不尽だぁあああああああああ!」

 

青年の魂の叫びが響く。

 

今日もやっぱり虚園は平和です。




いろいろとカオスですが、たいていは主人公からの受け売りなノイトラさん

何故か作者の中で「こいつむっつりじゃね?」って思われた哀れなグリムジョー

そして可哀想な目にあうヤミーのおっさん

あぁ、楽しいわぁ
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