虚の穴は何故閉じない?   作:エア_

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久しぶり

遊戯王かいてたらすっかり忘れててな。いやぁ乱世乱世(意味を知らない流行言葉を使いたがるマン)

今回は修行回だ。すごいぞ、何てたって一話で修行終えるからな。馬鹿じゃねぇの!?

とりあえず待っててくれた読者の皆さん。この回はシリアスじゃないですよ。




第十二話~七刃

 

 

「なぁ・・・・・・ゾマリ」

 

「なんだ少年。もうへばったか?」

 

「いや・・・・・・へばったとか以前にだな・・・・・・ここどこだよ」

 

医療品を買ってきたのも束の間。休息も無しに守はゾマリに連れられ、何処とも知らない場所に来ていた。分かるのは真っ暗までは行かないが薄暗い世界で、辺り一面に巨大な木が広がっているくらいだろうか。暗い世界に生える巨大な木々がより恐怖を増幅させているのか、ざわめき一つに肩が跳ねる。

 

そう、大虚の森である。

 

「な、なぁ。俺はこれからなにをすればいいんだ?」

 

「そうだな・・・・・・教えておこう。守、お前には霊力と言うものが存在している。霊力とは生まれつき持っているもので人間は少なからず持っている。霊感と違い、極微量であるが必ず持っているのだ」

 

「へぇ・・・・・・じゃあ俺も持ってるのか?」

 

「あぁ、無意識に使ってもいるな。おかげでお前を襲う虚など一切いない。お前ほどの巨大な霊圧なら逆に死神ですら感知できないだろう。お前のは大きすぎて範囲が絞れないからな」

 

「どれくらいなんだ?」

 

「町4つ分」

 

マジかよ、と自分の隠れた才能に驚きつつもゾマリの話に耳を傾ける。自分の手を見つめ握っては話を繰り替えす。自分が自分であるのかを確かめるように、守は自分の体を確認した。

 

「お前が以前、一人旅をした事があったな。その時お前はあの量の箱を簡単に持ってきていた。普通ならまず無理なほどな・・・・・・まぁお前の場合は鍛えられているからな。持てない事はなかっただろう。だがそんなお前を支えているのが霊力なのだ。霊力は体の自然治癒を高める性質があるとザエルアポロが言っていた。つまりお前は基本疲れ知らずなのも霊力が関係している。そこで私が守に響転(ソニード)を教えようと思っている」

 

「響転? 何だそれ」

 

「簡単に言えば瞬間移動だ。時空跳躍機のような長距離ではなく短距離の瞬間移動だ。機械はいつ壊れるか分からんからな。これを覚えて損はないだろう」

 

「お、おう」

 

説明をするためにゾマリは霊圧を上げる。守がいるため阻害されるが、暫くして大量の虚が現れる。

 

仮面を被った黒い何か、多分守なら恐怖してくれるのではないだろうか。

 

「か・・・・・・か・・・・・・」

 

「恐怖するか? だが安心しろ、彼奴等はお前よりも――」

 

「顔無しだ・・・・・・顔無しがおる」

 

「――ふむ、なら続けるか」

 

あまり恐怖してくれないようだ。寧ろ千と千尋に出てくるアレと勘違いしている。写メまで撮りはじめている。

 

ゾマリの説明が始まった。響転の仕方である。

 

ゾマリ曰く、響転とは霊力を足の裏から爆発させるように噴出させ、いきたい方向へ体をむけそちらへ跳ぶ感じらしい。しかもこれをすると相手に感知されないんだとか。意味が分からない。

 

とりあえず足に霊力・・・・・・いや、霊圧を溜めることを練習することになった。

 

「まずは霊力を流し込むとしよう。守、背中を向けてみろ」

 

「おう」

 

守の背中に手を当て、その手から霊圧を流し込む。何かを感じ取ったのか守は首をかしげる。何かが背中からエネルギーとして入ってくるのを認識したのか感嘆の声も上げていた。

 

「これが霊力、霊圧だ。霊圧とは霊力の厚み・・・・・・つまり霊力の集合体と思ってくれ。この霊圧こそが響転をするときに必要なものになる」

 

「へぇ、これがかぁ。じゃあ俺はいつもこれを出してるのか?」

 

「そうだ。お前は現世では無意識にこれを出しているようでな。最近は現れる虚が少し興奮状態で見つかるらしい。つまりお前に恐怖して臨戦態勢をとっているということだ」

 

「マジかよ。悪いことしたな・・・・・・止め方は?」

 

大虚の頭を撫でる。その行為に大虚が体を跳ねさせ一目散に後退する。涙目になる守とそれを無言で写真に収めるゾマリ。完全に対ハリベル用の最終手段になるのだろう。

 

「簡単だ。蛇口の水を捻れば止まるだろう? それと同じだ」

 

「いや、その感覚は分からん」

 

「うむ・・・・・・トイレを我慢するときの踏ん張りを止めたらいい・・・・・・力を抜け」

 

言われたとおりに力を抜くと、見る見るうちに辺りを支配していた守の霊圧が胡散していく。周りにあった圧力が消えていくのをゾマリは感じ取っていた。

 

「ふむ、要領がいいな。これならすぐに響転は覚えるだろう・・・・・・双児響転も教えてみるか?」

 

「うん、霊圧だっけか? それが消える感覚は分かった。これで俺は周りに被害とか出さなくなるよな」

 

「あぁ、そもそも虚夜宮にいる十刃やら破面には良い刺激になるからいつも通りでいい。特にお前はなにかしでかす時や運動するときは自然に霊圧が高まっているからな。気にすることはないぞ。外に行くときだけ考えればいい」

 

「了解」

 

(それに今回の暴走のことを考えればいつもの状態はまだましだ・・・・・・もしもあのまま暴走が続いていたら・・・・・・虚夜宮はおろか、虚園全てに影響が出ていたかもしれない)

 

彼の潜在能力というのだろうか、その力の一端を目の当たりにしたゾマリは守の将来について不安になっていたのだ。そもそも今の自分達は死神と闘っている真っ最中なのだ。いつ奴らが虚園へ乗り込む方法を見つけるか分からない。そんな時に守を見つけられでもしたらどうなる。解剖されるか実験動物にされるか、もしかすれば霊力タンクにされるかもしれない。力がなければそうなる。そして今回の暴走だ。最悪殺されるかもしれない。それだけは避けたい。何が何でも避けたいのだ。

 

自分達は虚。心を渇望する亡者。それは破面になっても変わりはしない。本来なら虚は人間を喰らい、その心の渇きを静めるために襲うのだろう。そして人間は恐怖を覚え、断末魔を上げながら喰われていくのだろう。

 

だが、目の前にいる人間は、守は違った。この男は全く違うのだ。

 

守なら両手を広げて抱きしめてくるのだろう。自らが食われようとも、痛みが全身を走ろうとも、まるで聖母のように全てを赦し、全てを受け入れ、全てを認めてくれるのだろう。

 

破面という存在を知ったときも、彼はだからどうしたといわんばかりだった。

 

それだけじゃない。出合ったときから仲がよかったわけじゃない。そんな幼児の出逢いじゃないのだ。既に考えることが出来るそれなりに成長した状態でだ。バラガンなんて既に老化している時なのだ。

 

彼が心を惹く存在であるのがよくわかるだろう。破面が唯一食べようという気持ちも起こさず、殺そうとも考えず、ただ守りたい、共に居たいと切に願った存在。それが彼、東悟守なのである。

 

それは一種の才能なのかもしれない。ライオンに懐かれた人間がいて、噛みつかれる事なくじゃれあう姿をどこかのテレビ番組で取材されることがいくつかあるだろう。それの虚版ともいえるんじゃないだろうか。

 

十刃の全てが、彼を好き、信頼し、信用している。確かに悪戯をし殴られることはあるだろう。だがそれは既にじゃれあいの範囲内なのだ。

 

彼も仲の良い存在にしかこのような事はしないし、近づきもしない。つまり十刃全員は彼に悪戯を受けていることが分かるだろう・・・・・・その所為で一人病んでしまったのだがまた別の話で語られるだろう。そうだハリベル。だから立ち上がるな。

 

「さて、足へ霊圧を溜められたか?」

 

「おう、こんな感じか?」

 

「お前はその足で鋼を砕きたいのか? その万分の一でよい。そのままだとお前の後方の森が消し飛ぶ」

 

「そ、そこまで俺の霊圧って多いのかよ・・・・・・俺弱っちいしさ」

 

「あぁ、確かに守は弱い。それはまだその力を認識せず、意識して使ったこともなく、鍛錬をしたこともないからだ。市丸の言っていた花太郎だったか? 聞くにはそれよりも弱いぞ」

 

「よくわからないが何か嫌だな」

 

尸魂界の一画にて盛大なくしゃみが響いたのはご愛嬌。

 

「だが鍛えればいいのだ。努力と言うのは報われるべきものだ。天才が努力をしてみろ、勝てるものなど居ないぞ」

 

「俺は天才じゃないと思うんだがなぁ」

 

「うむ、謙虚でよろしい。だが自覚を持て。この世の中、才能がないものなど誰一人としておらん。才能がないと言っておる者は自信の才能を見つけられてないだけだ。人間など才能の塊だぞ? その人間であるお前に、才能がないはずなどないのだ」

 

「・・・・・・サンキュ、頑張るよ」

 

霊圧を調整し、守は跳んだ。木々を掻き分け跳んでいく。途中の木の枝に着地し、霊圧を再び調整、そしてまた跳ぶ。比喩するならまるで猿のようだ。本当の猿がこれほど高機動ではないにしろ比喩するなら猿なのだろう。

 

木から木へ飛び移り、着地と同時にどこへ跳ぶかをすぐに決め、そこへ跳ぶ。止まることのないその動きにゾマリは感動すら覚えた。

 

「よし、響転の動きになれたな。ならば次の段階へいくぞ」

 

「ん? 次の段階?」

 

「そうだ・・・・・・破面最速の私と地獄の鬼ごっこをするぞ」

 

「アカン」

 

その鬼ごっこは数時間にわたって行われた。勿論、休憩など一切なかった。

 

 

 

 

「初めは霊圧を絞るだけでよかったと思った。だが一瞬でマスターしたから教えがいがあったのだ。響転もすぐに覚えたのだ。霊圧の絞り方も放出の仕方もマスターしたからできるであろうと思ったから教えたのだ。私との速度を比べても引けをとらなかったというのに数時間もすれば私よりも早くなってたのだ。師匠として嬉しいことだったからその後虚閃も教えたのだ。守の場合はかめはめ破の方がわかると言っていたから手からの放出を練習させたのだ。これまた簡単に覚えたのだ。お前たちだって自分の教えたことをすぐにマスターしていくあいつの姿をみて見ろ、教えたくなるだろうが!」

 

「お前の精神が一番たるんでるのがよくわかったよこん畜生」

 

「守が・・・・・・私の守が・・・・・・」

 

「おいハリベルが魘されてるじゃねぇかよ。何とかできねぇのか」

 

あれから2日たった。守を心配して帰りを待っていたハリベルがみた光景が酷かったのだ。

 

筋肉もりもりマッチョマンの変態のような何かがゾマリを肩で担いでやってきたのである。

 

ゾマリの頭よりもでかい上腕二頭筋がとても印象的であり、しかも妙にきりっとした顔なのである。例えるなら元カリフォルニア州知事のようなイカした顔をしていて、今にもショットガンを片手で構えそうである。おい見ろよ、まるで鋼みてぇな体だぜ。

 

「どうすんだよ。こいつだけ世界観まるで違うじゃねぇか」

 

「霊力で戦ってる中一人だけ筋肉で闘ってそうだな」

 

守が仁王立ちで虚空を見つめる姿を端からみて冷静に感想を述べるグリムジョーとノイトラは、気絶し魘されているハリベルを除く十刃全員に囲まれ、石畳に正座をさせられているゾマリを見下ろす。皆若干怒っているのがわかるほど、額の血管が浮き出ていた。

 

「言い残すことはあるか? ゾマリ・ルルー」

 

「・・・・・・ふっ」

 

間髪抜きにいっせいに皆が殴る。躊躇のない袋叩きがそこにはあった。そしてゾマリの最後の言葉は「ふっ」だった。何か間抜け。

 

「犬神家みたいにしてそこらへんに埋めっか。処遇はそれで十分だろ」

 

何処からかとり出したスコップで地面を掘り、その中に頭からそのまま何も抵抗させることなくゾマリを埋めるヤミー。ノイトラたちを除いた十刃達は、あとを任せると言わんばかりに自分の宮へと帰っていく。その後一仕事を終えた土方の親父のように一つ息をついたヤミーは饗転でその姿を消した。流石の彼らも今の守を相手するのはきついのだろう

 

「悪は滅んだか」

 

「でもどうするんだよ。こいつ袋叩きにしたところで守はどうにもならねぇだろ」

 

「・・・・・・安心しろ」

 

暫く守を眺めつつこの状況をどうしようかと考えてた二人に上半身を埋めたままゾマリが声をかける。その後頑張って自力で顔を地面から抜き立ち上がると無表情ながらの全力などや顔でこう言ったのだ。

 

「明日になったらなおるさ」

 

「お前は現実とおかあさんといっしょを同じラインで語んなハゲ」

 

だが翌日、本当に元に戻っており、再びあのドヤ顔をみせられたのは言うまでもないだろう。

 

勿論、二人がアッパーを食らわせたのは言うまでもない。

 

 

 




腰痛ぇ
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