虚の穴は何故閉じない?   作:エア_

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こっちは今年初めて書いたな。

今回はやっとグリムジョー回かな?


さて、息抜きと言いつつ率先して書かれてるこれもいよいよ終わりに近づいてきたな。


20話までには終わるつもりだけど、果たして完結するのか。




第十四話~六刃

 

 

 

「ようこそ、我らの城へ・・・・・・虚夜宮へ」

 

十刃が藍染の前に集う。そこには一ヶ月ほど前に守に肉塊に変えかけられていた東仙の姿もある。そして、井上織姫の姿も存在していた。

 

何故彼女がこの場に存在するのか、それは守が修行をした数日後の話をしなければならない。

 

守が修行した数日後、藍染は十刃のうちの数人を現世に送り込み、黒崎一護達に攻撃を仕掛けさせたのだ。勿論本当の目的は井上織姫拉致なのだが、あまりにも事が簡単に行ってしまう。まず十刃達の基礎戦闘力が確実に上がっていた。あの裏原でさえ一瞬ではあるが、死を覚悟したほどで、藍染自身彼らの実力を見誤ってしまっていた。死神陣営の中で無傷ですんだ者は誰一人として存在しない。しかもそれが全て井上織姫を手中におさめるための陽動としての副産物と来たものだ。辛勝ではあるが、死神陣営で勝利出来たのは対ルピをしていた現世に来ていた日番谷率いる先遣隊のみ。

 

唯一の成果といえば、虚化した際の一護が放った月牙天衝によってグリムジョーの腕がまた吹っ飛んだことだろうか。こいつまた腕吹っ飛んでるな。

 

そして一日の猶予ののち、織姫は無事に虚夜宮に拉致されたのだった。何が無事なのか全くわからないが気にするな。

 

「井上織姫と言ったね」

 

「・・・・・・はい」

 

「さっそくで悪いが織姫。君の力を見せてくれ」

 

藍染の言葉に織姫は金縛りを受けたような感覚を覚える。力を吸い出され、まるで麻痺しているようだ。

 

これこそ藍染が織姫を拉致した理由である。決して胸のでかい今を生きるJKを狙ったわけではない。

 

藍染がいたって真面目そうに話している間、ノイトラは隣にいるグリムジョーと皆に見えないようにハイタッチを交わした。どうやら十刃のうちで賭けが行われたらしい。タイトルは【藍染様がJKを拉致りたい理由】である。ちなみにスタークのみが負けた。

 

「君がここにいるのを不服に思っているものもいるからね。だからこそ、君の力を端的に示したい・・・・・・グリムジョーの腕を治してやってくれ」

 

藍染の言葉にそこにいた十刃誰もが驚愕した。今この男は、今はなきグリムジョーの腕を治せる力があることを知っているかのように話したのだ。既に腕は消失しているというのに、“守のように”治せるとでも言いたげにのたまったのだ。

 

「・・・・・・」

 

「それは無理って話ですよ藍染様! グリムジョー? あいつの腕はあの死神かぶれに消し飛ばされたじゃないですか! ない物を戻すなんてそんな神じゃあるまいし!!」

 

藍染の言葉に俯き黙っている織姫をよそに口を開き申し立てる者がいた。そう、ルピ・アンテノールである。

 

そもそも第六刃である彼の前任者、グリムジョーは前回の独断を咎められたため十刃を外された。本来ならその期間が過ぎれば元の六刃に戻る・・・・・・はずだったのだが。

 

今回の片腕喪失により、ルピの六刃の地位は揺るがない物へと変わるはずだったのだ。

 

グリムジョーの片腕が消えたことにより、全力を出せない彼よりも自分の方が強いということを知らしめることができ、改めて正式に十刃の仲間入りを果たすはずだったのだ。

 

だというのに、ポッと出てきた小娘に計画を邪魔されるなど言語道断。藍染の前でなければさっさと片付けていただろう。

 

「・・・・・・やります」

 

しかし、織姫は覚悟した表情でグリムジョーの元へと歩み、そしてその腕を修復し始めたのだ。

 

「双天帰盾。私は・・・・・・拒絶する」

 

その言葉と同時に彼女のヘアピンの一部が宙を舞い、そしてグリムジョーを包むオレンジ色の空間を生み出す。

 

するとどうだ。グリムジョーの腕が時間を遡るように修復されていっているではないか。その力は最早回復などという言葉では言い表せないようなもので、その光景をみたものは藍染を除き総じて驚愕していた。

 

これこそ彼女の能力【盾舜六花】が一つ、双天帰盾。藍染曰く、神の領域を侵す能力である。

 

藍染の説明を聞き、ルピは叫ぶ。ふざけるなと高らかに。それはまるで恐怖に対して吼える獣のよう。何を血迷ってこんな人間の娘を呼んだのか、これじゃあまるで今この虚夜宮にいるあの人間と同じではないかと。

 

その反抗の声に顔には出さないが誰もが反応した。

 

「・・・・・・守のことについてはまだわかっていない。だから明確な力を今は欲していたんだ」

 

「・・・・・・へぇ。なら、もうそいついらないですよねぇ。暴走したらまともに扱えない壊れた機械みたいな奴に、ようはないって事でしょ?」

 

「・・・・・・」

 

このままじゃこの怒りが収まらない。どこかに発散したいと考えたのだろう。ルピの言葉は今迄で一番虚夜宮に響き渡った。

 

藍染の返答はない。表情を一切変えず、ただ彼のものを見つめる。その顔をどう捉えたのか、頬を吊り上げ両手を広げ、高らかに叫んだ。

 

「なら、僕がそのお荷物を殺してあげるよ」

 

次の瞬間。彼は自分の腹部に違和感を覚える。あるはずのないものだ。今この場に関係ないはずのものだ。何故自分の腹部でその違和感を認識しているのかわからない。

 

そして何故この青髪の男が、人間では到底できないような怒りの表情を露にしているのか。全くもって理解できなかった。

 

「ぐ、グリムジョー。テメェ、どういうつもりだ」

 

「・・・・・・死ね。氏ねじゃねぇ、死ね」

 

何の理由も告げず、何の意見も聞かず、グリムジョーはその指から放った虚閃で跡形もなく消し飛ばした。そこには霊子の欠片も残っておらず、全てを葬り去られたのだった。

 

影の形すら存在しない。彼は、完全に消え去ってしまったのだ。

 

「・・・・・・これで、俺はまた第六刃ってわけ・・・・・・いいっすよねぇ。藍染様」

 

「あぁ、そうなるね」

 

あくまでクールに、あくまで端的に。グリムジョーは6刃へと返り咲いた。ふと何処からか取り出したタトゥーシールを織姫に手伝ってもらいながら背中の腰部分に貼り付け、改めて彼は第六刃として認められたのだった。タトゥーシールで残念に見えるが彼は今一段と輝いて見える。

 

「じゃあ、六の宮に荷物戻すんでここいらの奴ら持っていきやす」

 

「構わないよ・・・・・・では、ここで解散とする・・・・・・ウルキオラ、織姫のことは任せるよ」

 

「承知しました」

 

ウルキオラと織姫を残し、残りの十刃は響転でその場を去る。数分の沈黙の後、織姫は彼に連れられ、第四の宮へと向かうのだった。

 

 

 

 

人間は自分達より劣る存在であり、捕食対象である。それが、この俺、グリムジョーの人間への見解だった。

 

守との初めての出会いでもその主張はかわらなかったし、出会って間もなく自分の意見を旗幟鮮明もした。

 

だがあの時の俺の態度を見たにも拘らず、あいつは可哀想な物をみるような目でこう言ったのだ。

 

「・・・・・・病院、教えようか?」

 

キレそう。

 

まるで俺の言っていることが中二病であるかのような返答に、殺意が沸いてくる。だが藍染様に止められているため拳を出そうにも出せなかった。力こそ正義だったからな、上下関係 くらいはちゃんと理解してるつもりだ。

 

それからだ。俺はあいつをどうやって間接的にいたぶってやろうか考えた。今はそんな事一切考えないが、ゲームで言う所謂コミュレベル0だった時の話だ。仕方がないだろ。ペルソナは発現してなかったんだよ。

 

まずは虚夜宮の外に連れ出して、ほっぽり出した。人間の恐怖の声が聞きたかった俺はどんな風に死ぬかをみるために少し離れてあいつを監視することにした。右往左往する姿が目に浮かんだもんよ。

 

するとどうだ。気がつけばあの虚園で生活を始めやがった。砂漠の世界だっていうのに何故か水があるし、そこで砂で作った家に住んで悠々と生活してやがった。何でか虚が出てきてもあいつを狙わないし。というか、あのオアシスが発見されてから虚夜宮の水問題が解決したもんだから市丸ギンがホッとしていたな。何でだろうな。

 

で、数日戻ってこないと流石に文句言われたから仕方なく迎えにいったら。

 

砂の城が出来上がってやがった。しかも虚夜宮よりでかいときた。数日で何作ってんだよ。

 

で、会ったときの第一声が。

 

「あ、痛い人だ」

 

キレそう。

 

この時、こいつに脅しなんて一切効かない事を察した俺は、あいつを観察することにした。肉体を所持したまま虚園を生活できる特異な存在である東悟守って存在を。

 

宮を物珍しそうに歩いて回り、出会う破面にちょっかいだしては悪戯しまくって。あのヤミーに追い掛け回されたときは流石の俺も大声で笑ったさ。

 

俺はその時からノイトラとよくつるむようになってた。守と出会う前の俺達はああやってつるむなんざ一生ないと思ってたが、案外話が合うもんだから守関連じゃよく2人で行動したもんだ。

 

そんなある日だ。あいつが突如消えて、虚夜宮から少し離れた場所で守がボロ雑巾みたいな状態になってるのを発見した。

 

いきなりいなくなったもんだから大慌てで探しまわったら虚園でうつ伏せになって倒れてやがった。

 

死んだかと思ってビンタして無理矢理起こしたら何て言ったと思う?

 

「・・・・・・あ、青髪のっぽっぽのグリムジョーじゃないか」

 

キレそう。

 

あいつは事ある毎に俺を茶化しやがる。多分そんな関連であいつは袋叩きにあったんだろう。馬鹿は死ななきゃ治らないとは言うがまさにそれだと思ったね。

 

そんな時にノイトラが立場弁えないと死ぬぞって脅した。俺もこいつが言わないならいってやろうと思った。

 

これは最終警告だって感じでな。

 

だけど、あいつはそんなの関係ないって感じでよ。

 

「歩み寄んなきゃ、ダチは出来ねぇよ」

 

そう言ってのけやがった。

 

曰く、人間歩み寄らなきゃ良いとこも悪いとこも見つけられないし、ダチにもなれないんだと。今から思えば漫画の読み過ぎで夢見がちな大馬鹿野郎だと思えるが。

 

その時の俺達は、何も知らねぇ破面(おれたち)は、そんなあいつの持論に耳を傾けたんだ。それからだ。あいつともつるみ、三馬鹿と言われるようになったのは。

 

そしてそれを気に十刃達の価値観は全て変わっていった。

 

 

 

 

「今じゃあれは中々調子の良い出来事だったよな」

 

「そうだな。人間一人で変われるもんなんだな。やっぱすげぇよ・・・・・・あいつは」

 

第六の宮にてグリムジョーは自身の私物を部屋に置いていた。殆どが第五の宮に押し込められていたもので、やっとノイトラは自分の部屋にスペースが空いた。とはいっても元からスペースなんて物はあまりないのだが。

 

「うっし、これで最後だな」

 

「助かったぜノイトラ。今度お前の好きそうなゲームを貸してやる」

 

「まじかよ、ならスーファミのウルトラマンって奴にしてくれ。エキスパートゼットン倒すから」

 

「お前マゾかよ。あのゲームのゼットンはまさしくバグだぞ」

 

「安心しろ、ゼットンは倒した」

 

「ンハハハハハハってか?」

 

一仕事を終えた二人はそのまま守の帰りを待ちつつビール片手にドンチャン騒ぎ。酒が飲めると何処から知ったのか十刃やその従属官が集まり第六の宮が酒飲み共で騒々しくなった。皆は守の話を肴に酒が飲めるからと自分の宮から酒瓶を取り出してくる。ちなみに西洋に凝ったバラガンはワインを、甘いのが飲みたい女性破面達はチューハイやらジュースを片手にワイワイガヤガヤ。それが二日も続いたのだった。

 

ちなみに織姫も一緒に居るらしく、ロリに巨乳だからと異様に絡まれていた。曰くおっぱい担当はハリベルだけで十分とのこと。

 

その後、何故か飲み会がゲーム大会になり、皆がグリムジョーの提供したSFCウルトラマンのエキスパートゼットンがぼこぼこにしてまわり、破面勢に壮絶なトラウマを残していったのだった。

 

余談だがクリアしたのはアーロニーロとザエルアポロのみで、暫くの間二人は【英雄】だの【ネクサス】だのと称えられた。お前ら、そいつら時代が違うぞ。

 

その後二日続けて飲み明かした所為で、守に介抱されるまで皆仲良く第六の宮で眠っていたのだった。織姫に飲ませなかっただけマシと言えるかもしれない。

 

 

 




スターク
「最近スポットライトあたんねぇと思ったらこんな役回りかよ。泣きたくなるぜ」

グリムジョー
「ちなみに何て賭けてたんだ?」

スターク
「そりゃ勿論、今を生きる現役JKの胸揉みたいからって」

ノイトラ
「それお前の願望じゃねぇか。ヤミーだって当ててんだぜ」

ヤミー
「そら戦ったからな。何かあるとは思ったさ」

ウルキオラ
「・・・・・・リキュールは、旨い」
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