虚の穴は何故閉じない?   作:エア_

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夜一と砕蜂のターン。

さて、守の運命やいかに


第五話~死神

 

 

「それで麗しいお姉さん。俺に何のようでっしゃろか」

 

「うむうむ、素直なところが好印象じゃのう。一護もこうであってほしいもんじゃ」

 

ウラハラ商店と呼ばれる場所にて、守は夜一と呼ばれた褐色肌の綺麗な女性に経緯を説明してもらう事にした。夜一はそんな態度の守が気に入ったのか背中をバンバンと叩く。その都度彼は内心、彼女に対して感謝を叫んでいた。こいつ本当の変態だった。

 

「どうじゃ砕蜂。こやつ中々肝もすわっとるしいいんじゃないか?」

 

「私は認めてませんよ(あぁ羨ま・・・・・・違う違う。何とも怪しからん奴だ。夜一様とあんなに密着して、ずるい)」

 

「砕蜂さんて、中華の方なんすかね? まぁとりあえず肌が色白くて夜一さんとはまた別に綺麗なお嬢さん。俺の名は東吾守っていいます。どうぞお近づきに握手なんか」

 

守は見境無しに美女とあらば自分を売る。その姿はどこぞのぬいぐるみを彷彿とさせた夜一だが、その表裏の無い笑顔にこいつは安全だと確信を持った。

 

こいつは敵じゃない。例えこいつの知り合いが悪い奴だとしても、こいつは敵になりうることは無いだろう。何故か、そう頭の中で決定づけたのだ。

 

何故なのかは分からない。しかしそれが不快という訳でもなく、むしろこいつ疑ったら可哀想だろという考えが浮かんだからだ。

 

それは砕蜂も同じ事で、口ではそんなこと言っているが、内心危険ではないと判断していた。夜一に対しての行動は度外視できないようではあるが。所謂ツンデレだろうな。

 

「まぁ、一応よろしくしてやろう」

 

「わーい」

 

握手を交わす二人。一人はただただ美女との握手に喜び、一人は何故自分と握手することにこんなに喜ぶのかと不思議に思っていた。

 

砕蜂はその手を握った感触と、その暖かさにすこし懐かしさを感じていた。それはいつの日のことなのだろうか、彼女には分からなかった。

 

「それで、どうして呼ばれたのか。お前さんは知りたいか?」

 

「そりゃあもう。いきなり気に入られてここまで拉致気味に連れてかれましたからね」

 

「嫌じゃったか?」

 

「抱かれてる時は桃源郷と錯覚しました結婚してくださヒィッ!?」

 

瞬間守の後ろからクナイが飛んできた。守は感覚的にそれを避けたがあと数センチでその顔に傷がつくところだった。やばい。ハリベルに傷なんか見つかれば絶対に問いただしてこの可愛らしいチャンネーを殺されてしまう。それだけは避けねば。己のウッハウッハ人生のために。

 

内心そんなことを考えていた。一番の敵は本妻らしい。彼自身本妻と思ってはいないらしいが。

 

そしてその守の咄嗟の回避に二人は驚きを隠せないでいた。素晴らしい身体能力だと感心するほどだ。あの、暗殺部隊の現隊長が放ったクナイを避けたのだ。凄いと思わず何と思う。

 

「び、ビックらこいた。そ、砕蜂さんやばいって。それNINJAが使う武器だよ。使うならちゃんと投げること言わなくちゃ」

 

「し、忍者が忍ばずしてどうする!」

 

「いや、そこは[アイエエエエエエエ!? NINJA? NINJAなんで?]って言いますし」

 

守のジェスチャーに砕蜂は頭に?マークが浮かび上がる。それはそうだ。何を言っているのか理解が出来ないのだ。それになんだあいええって、そんな叫び方する奴見たこと無いぞ。と心の中で突っ込みう入れていた。

 

「忍者の、話だよな?」

 

「えぇ、NINJAの話ですが」

 

「?」

 

「?」

 

「(こやつら会話が成立しておらんぞ?)」

 

成立しない会話に夜一は苦笑いをする。そりゃ知りませんわ。ニンジャスレイヤーなんて海外の本なんか、知る由も無い。

 

それから店主が来るまで数日と掛かるらしいので三人でその店主が戻ってくるまで会話をするとの事。守は携帯で帰るのが遅くなることをバラガン(何故かみんなうまく使えないが、孫と話したいという執念から彼だけ使いこなすことが出来た)に伝え、今日はとまることになった。

 

会話の途中、そこの従業員から酒なんかも出された日には、三人で飲み明かす勢いで飲んだのだ。

 

守も砕蜂も酒に弱いのは目に見えて分かったが、まさか夜一まで弱いとは思わなかった。

 

しかし、飲んでいる酒が【神殺し】とかかれる幻レベルの酒だとはそこにいた三人は思いもよらなかった。何処から持ってきたんだろうか。

 

 

 

 

「ん~。頭痛いぜ」

 

守がその重たい目蓋を開けた。壁に立てかけられた時計の針は長い針と短い針が共に12時を指している事から昼だということが分かる。あれだけ飲んだのだ。こうなるのも仕方が無いか。そう思ってあたりを見渡す。

 

「・・・・・・Oh」

 

辺りに布団はあった。それはいい。

 

酒もあった。それもいい。

 

つまみもあった。どうだっていい。

 

裸の女性が二人いた。これはまずい。

 

「これはつまり、俺は寝てる間に大人の階段を上ったという事なのか」

 

嬉しさ反面、悲しさ反面といったところか。大人になったのはとても嬉しいことだ。だがまさか酒の勢いでその感触を味わえていないのは何とも悲しいことだ。あぁ、せめて意識がはっきりしたときにやりたかった。何て馬鹿なことを考える始末。

 

「これは、俺が責任を取って二人とも俺の嫁にするしかない。うん、得策だ」

 

「何が得策じゃ」

 

「ん? あ、夜一さんおはようござます」

 

「おう、元気なことで。お前もあれも」

 

あれとはやはり、やっちまったのだろう。あぁ非常にまずい状況だ。酒の勢いとは何とも恐ろしいことか。これはもう公開処刑されるかもしれない。守はとっさに夜一の肩を掴んで顔を寄せる。

 

「夜一さん!」

 

「(は、はやい)な、なんじゃ?」

 

今までこんな真剣な顔で男性に顔を近づけられたことの無い夜一はその真っ直ぐな目に一瞬動揺した。対して守は彼女を目を見つめる。その目が語る。俺に任せろと。

 

「夜一さん。こんな俺を愛せなんていいません。でもこれから俺を知って愛してください。俺は出会ってすぐに惚れました」

 

「お前、何か勘違いしとらんか?」

 

しかし、内容は馬鹿なものだった。夜一の言葉に豆鉄砲を食らったような顔になる守。彼女はその反応にジト目で返しながら、その手に持つ酒の空き瓶を見せる。

 

「お主が酒を飲んで暫くのあいだじゃったか、少しずつじゃが霊圧が上がってのぅ。気がつけばわし等が気絶するレベルにまで霊圧を開放するもんじゃから大変だったぞ? お前を気絶させるのにも」

 

「あー、何か知りませんがすんませんっした」

 

守にとってよく分からないワードがちらほらと出る中、彼はとにかく迷惑かけたんだと謝った。くそう、やれてないのか。

 

「何じゃ? もしかしてあっちの方かと思ったか?」

 

「はい。俺の名刀正宗が鞘を捜したのかと」

 

「そのバタフライナイフは閉まっとけよ」

 

酷い返しだ。守は泣き出しそうになりながらつっぷくした。くそう、俺のはでかいんだぞ? たぶん。たぶんでかい(ナンノコッチャ

 

守がつっぷくしている間に、砕蜂が目を覚ます。そして彼を見た瞬間怒鳴り始めた。

 

「貴様! いきなり霊圧を放出する馬鹿がいるか! 今回は虚が出なかったからよいものを、一歩間違えば死んでおったぞ!」

 

「まぁ、こんな量じゃみんな怯えて出て来んじゃろうな。こやつの霊圧は果てしない。しかも寝ているときの開放じゃ、真面目に出せばどれほどのものか」

 

「あの~、失礼と思うんですが。霊圧って、なんすか?」

 

よくも分からないワードで怒られるのも流石に辛いので、守は二人に聞くことにした。聞くは一時の恥、聞かずは一生の恥という言葉を思い出しながら彼は聞いた。

 

「あぁ、霊圧というのは簡単に言うとエネルギーじゃ。お主のその霊圧は滅茶苦茶大きいという話じゃ。それが放出されると酷いと気絶をしてしまう。それがさっきまでのわし等じゃ」

 

「なーる。理解しました。つまりは酒飲んで気づかず放出ってのをしたってことですよね? 俺初めてだわ。でも初めてが酔った勢いってのが何か悲しいな」

 

しかし待てよ? と守は考える。そう重要なことだ。

 

「じゃあ何で二人は裸なんすか?」

 

「寝るときは裸じゃから暑くて脱いだんじゃろ」

 

「へ? は、ハダカァ!?」

 

夜一はいつものことらしい。しかし、砕蜂はそんな事も無かった。しかも今も現在進行形で素っ裸。守の息子も現在進行形で抜刀中。その顔は真面目ながらも、内心はその美しいヌードにメロメロだった。

 

「安心してください。僕が嫁に貰えば」

 

「変態は死ね。慈悲は無し!」

 

「やっぱり知ってんじゃないっすぎゃああああああああ!?」

 

何処から取り出したのか分からないクナイの雨、守は一生懸命避ける。その時、来ていたと思われた服が無かった。そう、上から服が被ってただけだった。

 

つまり、彼も素っ裸だったのだ。

 

「ほう(予想以上にでかい。正宗というのも頷けるのう)」

 

「あ、あわああわわわわあわ」

 

「終わった・・・・・・」

 

何故か無駄に鍛え上げられた筋肉。着やせするのだろうか、それよりもたぶん日ごろの地獄の追いかけっこ(VSヤミー)のおかげなのだろう。体中がとても逞しい筋肉で埋め尽くされていた。夜一は何処見ているのか比較的に下腹部を見つめていた。つまり絶賛品定め中だった。砕蜂なんて初めて男の裸を見たせいか(剣八、総隊長は論外)耳まで赤く染め上げて失神した。守はダビデ像のようなポーズをとりながら何故か覚醒している。もう悟りを開いたのだろう。

 

 

 

 

「なっはっは。もう気にするもんじゃないじゃろうが砕蜂。奴のは普通のよりもでかかっただけじゃないか」

 

「はじめて見ましたよ。あんな獣の象徴」

 

「いや、そればかりは本当に申し訳ない」

 

絶賛土下座中の守と凄い一物を見て未だに顔が赤い砕蜂。その二人を見てげらげらと笑う夜一の姿が夕暮れのウラハラ商店にあった。

 

「まぁ、真面目な話。お主は霊圧が恐ろしいほど大きい。ワシが今までに感じてきたあらゆる霊圧を遥かに越えておった。そこでじゃが。お主はわしの下で霊圧を学ばんか?」

 

「すみません。うちの家族の一人が『幽霊なんて不可解な存在を真剣に言ってくる人は危ない人だから気をつけろ』って言われてるんで、その話についてはご遠慮します」

 

もちろんハリベルである。やはり彼女達の壁は本妻のようだ。

 

「そうか、それは残念じゃが。もしもの時はここに拠れ。そうすれば教えてやる」

 

「ありがとうございました結婚してください」

 

「流れるような告白に、流石の私も驚きだ」

 

結局その後、守は何事も無く二人から解放されて、自分の住む虚園へと帰った。虚園自体は彼女たちも感知できないらしく、守を追うことなど到底出来なかった。まさか彼が虚園と現世を行き来するのに十刃全員が全力でサポートしているなど到底思えないだろう。協調性が無い彼らだが、唯一守の事に関しては統一して行動していたのだ。愛染涙目。

 

・・・・・・そして

 

「女の臭いがする。守、何をしたんだ?」

 

「何故にそんな易しい甘い声で言ってくるの肩がねじ切れるぅううううううううううううッ!!」

 

やはり守は折檻を受けていた。相手はやはりハリベルだった。

 

「またか」

 

「ミラロズも行って来たらどうだ?」

 

「行ったらハリベル様に『これは私にしか出来ないことだ』って張り切って無理だった」

 

「あぁ、一応しようとしたんですね」

 

今日も、彼の悲鳴が虚園に響き渡った。

 

 

 

 




エア「やれたん?」

守「無理だった」

エア「orz」

そんな脳内会話が行われました。
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